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2008/11/08

『九マイルは遠すぎる』 ハリイ・ケメルマン

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2) Book 九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2)

著者:ハリイ・ケメルマン
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「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない

まして雨の中となるとなおさらだ」

貴方はこの言葉からなにを推理しますか?

あまりにも有名すぎるあまりにも秀逸すぎるタイトル『九マイルは遠すぎる』。高校生の頃、本作を読んだときにはその良さがよくわからなかったのごめんなさい。屋敷が傾いてたり、屋敷が十角形だったり、30人くらい被害者が居たりする小説ばっかり読んでいた弊害?でも、いまならわかるこの良さが。

『九マイルは遠すぎる』はニッキィ(ニコラス・ウェルト教授)と郡検事の“わたし”が、ああでもないこうでもないと主に“わたし”をからかいつつ、謎を墓暴きの如く掘り出してきては解決するシリーズ短編集。

この「謎を墓暴きの如く掘り出してきては」ってのがポイント。あまりにも有名な表題作「九マイルは遠すぎる」はニッキィの

「たとえば十語ないし十二語からなる一つの文章を作ってみたまえ」
「そうしたら、きみがその文章を考えたときにはまったく思いもかけなかった一連の論理的な推論を引きだしてお目にかけよう」

という挑発(?)から、すべてが始まるという秀逸すぎる物語。“わたし”が作った十一語からなる文章が、どんな論理的な推論を生み出すのか…は読んでのお楽しみ。

そんなわけで。事件すら、謎すら発生していない無から、ニッキィと“わたし”の掛け合いによって事件が、謎が形作られる。もちろん派手さはないけれど、じわっときますこの良さは。

表題作以外なら「おしゃべり湯沸かし」が好き。隣室で鳴った湯沸かしの音から事件を捏造して(笑)解決までしちゃう。しかも、終わりのユーモアも黒い。

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