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2008/10/30

『白兎が歌った蜃気楼』 高里椎奈

白兎が歌った蜃気楼(薬屋探偵妖綺談) (講談社文庫 た 95-6) Book 白兎が歌った蜃気楼(薬屋探偵妖綺談) (講談社文庫 た 95-6)

著者:高里 椎奈
販売元:講談社
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少女の焼死体が口火となり

積み重ねられる死体死体死体

一家が潰えたとき、秋が解き明かす真相とは?

うーん、死にすぎ?

あまりに事件(死体)が増えるとドン引きする罠。前半なかなか面白いと思ったのですが、事件(死体)の数のわりにまったく進まない推理に飽き飽き。

サブ(?)ストーリーとして三次&つるちゃんが出てきたときにはどうしようかと思いました。メインストーリー全然解決してないのに、サブでさらにお茶を濁すつもりかっ!?と。それでもまぁ、サブの解決がメインの解決に若干貢献しますが…若干ですよね。別の方法でサブネタ絡めて欲しかった。

なによりもラストに蛇足感が。○○がなかなか良いキャラクタだったのに、とかそういう次元じゃなく。たしかに○○がそんなにいい加減な人間には思えなかったけれども…そんな伏線なかったじゃない!?

そもそも○○が本当は○○じゃないってのに閉口。んじゃ、こんな事件起こらなかったのでは?○○が○○ならすべてを計画して契機なる事件を起こした…という説に頷くこともできようが。偶然とか曖昧なものに頼りすぎ、奇跡的な確率で成立した綱渡り、そんな印象しか持てなかった本作の事件。

収穫といえば、総和と「はじめまして」リベザル、秋の過去(=水夏)くらいでしょうか?あとは座木のバレンタインね。

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2008/10/29

『タルト・タタンの夢』 近藤史恵

タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ) Book タルト・タタンの夢 (創元クライム・クラブ)

著者:近藤 史恵
販売元:東京創元社
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下町の片隅にあるフレンチレストラン

そこには絶品料理と極上のミステリが

さぁ、ご堪能あれ

パ・マルでフレンチをいただきたい!!

物語の中の料理に涎を垂らしたのは久しぶりでございます。どれもこれも美味しそう堪能したいごっくん。近藤史恵氏のことは『サクリファイス』までノーマークで、殆ど存じ上げていなかったのですが(申し訳ない)こんなに上質な作品を送り出してくれていたとはっ!勿体無い読書人生。

本作の舞台はフレンチレストラン“パ・マル”。店名に“悪くない”なんて名前を付けるなんて、なんと挑戦的なシェフだこと。もちろんその人物像も偏屈で“パ・マル”悪くない。カウンター7席、テーブル5つのそんなに大きくないお店に舞い込んで来るお客とミステリと。

個人的に最も好みだったのは「オッソ・イラティをめぐる不和」でしょうか。理由も告げずに実家へ帰ってしまった妻。「なにが契機だったのか?」を探るのは簡単。けれど、サムライの子孫・シェフ三舟が解き明かすは「そもそもの原因はなんだったのか」。ひとつの出来事が契機となって、これまでずっと我慢できていたことが我慢できなくなる。愛想を尽かす、とは少し違うまるでダムが崩壊するかの如く。

「ぬけがらのカスレ」も美しいですよね。女子なら思わずキュンとなる恋愛物語。

本作が巧いのは必ず料理とミステリが絡み合っているということ。ただレストランでミステリが起こるというだけじゃない。このレストランで、この料理と、このミステリが合わさることで謎が解かれる。うん、美味しい。

本作には続編が出ている模様。『ヴァン・ショーをあなたに』なるべく早く読みます!!

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2008/10/28

『予告探偵 西郷家の謎』 太田忠司

予告探偵―西郷家の謎 (C・NOVELS) Book 予告探偵―西郷家の謎 (C・NOVELS)

著者:太田 忠司
販売元:中央公論新社
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すべての事件の謎は我が解く

そう予告して、威風堂々乗り込んだ摩神尊

果たしてこの難攻不落のトリックを解き明かすことはできるのか?

噂に違わぬバカミスっぷりでございました(大爆笑)

読書Blogサーフィン中に「KING OF バカミス」として紹介されていた本作。「そうまで言われて読まずにはおれない」と息巻いて読んでみました。いやぁ、期待を裏切らないバカミスっぷりです。うっとり。

レビューを書こうにもネタバレになってしまうので、「バカミスです」としか言えない。ごめんなさい、各々で愉しんでみてください。でも、バカミスだと認識した上で読むことをお奨めします。前半は(ありがちな)ガッチガチ本作ミステリなので、そのノリでラスト30頁を読んだら、確実にやられます。

読了中、なんとなく『翼ある闇』を思い出したのですが、そんなに突飛な妄想でもなかった模様。探偵の奇人変人っぷりとか、ワトソンのドMっぷりなんかは麻耶作品に通じるところがあると思います(笑)そして、結末はいっしょだ。

とにかく、バカミスだと知った上でお読みいただきたいエンタメ作品。まさかの続編『予告探偵 木塚家の謎』もこのくらいバカミスなんでしょうか?でも、このネタ、一度っきりしか使えませんよね?しかも木塚さん家で事件って!?読まねば。

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2008/10/27

『妃は船を沈める』 有栖川有栖

妃は船を沈める Book 妃は船を沈める

著者:有栖川有栖
販売元:光文社
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船乗りは船に女性の名をつけるという

けれど、ここに船を沈める魔性の女がひとり

火村英生は船を沈めることなく、岸まで辿り着けるのか

「船を沈める」「妃(=女)」『セイレーンの沈黙!?』と思ってみて、それは作家アリスの作品名だったと気付く。そんな執筆ペースの早い学生アリスの作品『妃は船を沈める』が本日のメニューです。

本作はひとりの“魔性の女”を巡る2つの中編を幕間を挟んで繋ぎ合わせた異色長編。ジェイコブズの名作『猿の手』をモチーフに据えつつ、描かれるのは現実的な幕引き。もちろん幕を引くのは火村英生。

今回、新キャラが登場しましたが、彼女(あっ、彼女って言っちゃった!?)の火村英生観には鋭さを感じます。特にネクタイの件。火村が臨床犯罪学者として殺人犯を追いかけるのには理由があり、その理由こそ最大のミステリですが…本作、少しこの件に踏み込んだ?それともミスリード??

さて、ここからネタバレします。この警告文も久しぶり。

個人的に、お妃様が犯人って納得ゆかないんですが、皆様どうですか?「猿の手」側で限りなく黒だった彼女を捕らえられなかった→「残酷な揺り籠」でリベンジという構図も解らなくはないですが。彼女はいつまでも“魔性の女”で有り続けて欲しかった。火村が“あの女”と言ったら彼女みたいな展開までは期待しないから(笑)

殺人犯は火村の手にかかると(その謎解きに多少の無理があっても)自然と罪を認める…なんて記述が多用されておりましたが、「残酷な揺り籠」の火村の推理はやっぱり弱いと思います。読了後に「そうだったのか!」と膝を叩けなかった。そして、火村が犯人をどう追い詰めるべきか悩んだ理由も解らず。だって、彼女はもう“魔性の女”じゃなくなってしまったのに。“ただの女”が犯した犯罪なら、これまで充分に暴いてきたじゃない。

どうも納得のゆかない終焉。幕間と『猿の手』論争が面白かったと書いたら怒られますか?

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2008/10/26

『警察庁から来た男』 佐々木譲

警察庁から来た男 (ハルキ文庫 さ 9-3) Book 警察庁から来た男 (ハルキ文庫 さ 9-3)

著者:佐々木 譲
販売元:角川春樹事務所
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道警を揺るがした“あの”事件から半年

警察庁からキャリアが襲来!?

所轄とキャリアが交差したとき、現れる真実とは?

『笑う警官』のあまりの面白さに、読了後そのまま本屋に直行し購入しました道警シリーズ第2弾『警察庁から来た男』。『笑う警官』は「事件は現場で起きてるんだ」よろしく、現場の刑事を活き活きと描いておりましたが…本作は「警察庁から来た」キャリアが物語に強引に踏み込んできます。

突然ですが、「警察庁と警視庁の違いって分かる?」とチャラい男のナンパをかわしたのは何のドラマだっただろうか?(この間15分)あっ、「交渉人」だすっきり。

というわけで、警察小説のキャリア=水○豊さんという固定概念に染まりつつある私。本作もキャリア様を脳内映像化するときは水○豊さんのお姿をお借りしました。私はカフェラテよりカフェモカ派です。

道警内の問題(不正・不祥事)を暴くという主題は前作『笑う警官』同様なのですが…本作は少しスピード不足だったような。結末まで真っ直ぐに道が伸びてるんですよね。もちろんそれは素晴らしいことで、結末まで道が続いていないような作品も世の中にはいっぱいあるのですが。けれども、時には脇道に逸れて欲しいし、裏道を通ってきた奴に追い抜かれたりして欲しい。『笑う警官』が素敵だっただけに、ちょっと我が儘を。

あとは…事件の目撃者があさーりと殺されてしまうのですが、その件が少し物足りない。新宮刑事はもう少し悲しみを押し出してくれても良かったのではないか、と。悲しくないなら悔しさを。この件に対する記述は、ちょっと不満…というか違和感が付き纏いました。

それにしても佐伯&小島はそういう仲だったんですかっ!?道警シリーズ第3弾で、このふたりの仲は進展しますか?wikiに掲載されている『警官の紋章』ってのは道警シリーズの第3弾ってことでおk?いつ出ますか?もうすぐ出ますか?2008年ってあと2ヶ月たらずで終わりますよ?

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2008/10/25

『笑う警官』 佐々木譲

笑う警官 (ハルキ文庫 さ 9-2) Book 笑う警官 (ハルキ文庫 さ 9-2)

著者:佐々木 譲
販売元:角川春樹事務所
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「うたう」、それは隠語で自白することを指す

うたった警官は仲間に白い目で見られ…

真実を語ることはそんなに悪いことなのか?

前から気になっておった佐々木譲氏。本屋で「道警シリーズ」とか書かれたPOPを見るたびに後ろ髪惹かれておったのですが、ついに手に取ってみました面白かったどうしてもっと早く読んでおかなかったんだろう後悔。

というわけで、大満足の一品。お膝元が舞台だったのも良し。読みながら「おっ、これはあそこのことね」「あれをこう表現しますか」「こんなとこないから(笑)」と読み方違う読み方違う!でも、北海道に住みながら道警裏金問題について殆ど知らなかったので(それはもうびっくりするくらい知らなかった)お勉強にもなりました有難うございます。

って、主題はそこじゃないから!始まりはアパートの一室で起こった婦人警官殺し。容疑者として挙がったのは身内…裏金問題について新聞社に「うたった」と目されていた警官。問答無用の射殺命令まで下り署内がヒートアップするなか、彼を信じる男がひとり。なんとか彼の無実を晴らそうと、真相を解き明かそうと、短い時間を駆け抜ける男たちの物語。

本作はミステリとして読むのではなく、プロフェッショナル集団の仕事ぶりと真実にじわりじわりと近づいてゆくその過程を愉しむべきかと。陰の捜査本部内に紛れ込んでいるスパイの存在も良いスパイスに。

そして、組織(世間)の向いている方向とは違っていても、正しいことをしていれば仲間がどんどん増えてゆく…というRPG的お約束も良いですね。もちろんRPGならば正義が勝つのですが、彼らは果たして勝てるのか。っていうか、彼らは自分たちを正義だと思っていないところが良いんです。「正義のため」だけでは走り続けられないですよね。彼らは自分たちを正義だと思っていないから…だからタイムリミットまで走っていられた。そんな風に感じます。

どうやら2009年秋に映画化の模様。キャスティングは…佐伯に大森○朋さんですか。ちょっとイメージと違う?大森さんは新聞記者のイメージ(って、それ作者違うから!)まぁ、一番のイメージ違いは津久井=宮迫なんですが。なんか「うたってない」とか言われても信用できないイメージ(笑)松雪○子さんはキレイなので大好き許す。

最後に。タイトルは「笑う警官」じゃなくて「うたう警官」に戻すべきだと思います。たとえ意味が解り難かって。読めば、解る。

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2008/10/23

『緑陰の雨 灼けた月』 高里椎奈

緑陰の雨 灼けた月<薬屋探偵妖綺談> (講談社文庫) Book 緑陰の雨 灼けた月<薬屋探偵妖綺談> (講談社文庫)

著者:高里 椎奈
販売元:講談社
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高飛車な女子高生が持ち込んだ依頼を

解決すべく乗り込んだ高校で

秋&座木が遭遇する新たな事件とは?

薬屋シリーズの中では本作がベストかも!

間違いなく再読なのに、全く内容覚えていないので冒頭語尾は「かも!」です悪しからず。でも、本作『緑陰の雨 灼けた月』は良かった好きです。

車道の片割れ高飛車女子高生が本作の依頼人。彼女の身に突然降りかかった怪異を取り除くのが今回の仕事のはずが…怪異の原因を探りに潜入した高校でサラサラが行方不明に!?

と、なるべくネタバレにならないように書いてみました。本作の主題は“関係”だと思うんですよね。秋&座木、リベザル&柚之助、クルクル&サラサラ、そして車道。その“関係”は信頼であったり友達であったり幼なじみであったり。人間(妖怪)が2人居れば、そこにはなんらかの強弱があり、なんらかの感情が生まれる。片方が一方的に終わらせて良いものではない。そんな“関係”をいろんなエピソードを交えて饒舌に教えてくれる、そんな1冊。

それにしても、座木の秋に対する“信頼”は相当ですね。育ててもらった恩以上のものを感じます。こんな風に無条件に、いついかなるときも、絶対の“信頼”を預けることのできる相手。凄いですねちょっと考えられません。秋が座木に与える“きく薬”のエピソードは圧巻です。このエピソードだけでも本作を読んだ価値があったというもの。

ミステリとしてもなかなか。今回は「真相よく解らない状態」に追い込まれることなく読了できました。事件はふたつ起こりますが、どちらも納得の解決です。本筋(依頼人)の事件の方が簡単なのはいただけませんが(笑)「犯人、こいつしか居ないだろ」状態です…伏線が巧く張れていたが為と好意的に言い換えることと致します。

とりあえず、暫定ベストが出たことでまだまだ読み続けられる。第一部(?)完結まで頑張るぞ!

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2008/10/20

『俺が俺に殺されて』 蒼井上鷹

俺が俺に殺されて (ノン・ノベル 830) Book 俺が俺に殺されて (ノン・ノベル 830)

著者:蒼井 上鷹
販売元:祥伝社
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絞殺される瞬間に飛び出した俺の魂は

よりにもよって犯人の体に

俺が俺に殺されて…捕まるのも俺かよ!?

通勤本。地下鉄に乗っている間ずっと「ノベルス用の上質なブックカバーが欲しい」と思っておりました。講談社ノベルス20周年記念で送られてきたブックカバーは純白…そりゃないよ。

というわけで、ブックカバーのことばかり考えていたので、内容しっかり頭に入っているか微妙な本作。私が「評価を決めかねている」と繰り返す蒼井上鷹氏ですが…今回も保留とさせていただきたく。

致命的に合わないわけではないんだけれど。読了中「あぁ、ここはもっと盛り上げて(細かい描写が)欲しい!」とか「そのネタはもうスルーして良いよ、くどい」とかどうしても思っちゃう。本作はトリックがシンプルなので、肝心要のところで頭こんがらがることはありませんでしたが、いつもは「は?」「え?」「ん?」とか思うこと数回なので…ってやっぱり致命的に合わないんじゃないか?

本作の主題はなんなのだろう…やっぱり動機の解明でしょうか?どうして俺は俺(別所)に殺されねばならなかったのか?俺(別所)に聞いてみたいけれど、俺が俺(別所)に引越ししてしまったがためにそれも無理。っていうか、なにこの非常識な展開!?小説じゃないっての!というオレオレ詐欺状態の中で、その動機を推理するのですが…どう考えたって丸解りじゃないですか!?最初に思い浮かんだ動機(○○○○作り)がどうか正解ではありませんように、と思いながら最後まで読みました。

でもまぁ、俺がこれから生活するのはどうしてもこの体(別所)になってしまうから、俺を殺した憎き相手ではあるけれど疑惑は晴らしておかないと、という思考回路は好きです。嫌疑を晴らすために自らをも犠牲にするあたりとか

合理的ですね

そういうの好き。

蒼井氏の『ホームズのいない町』がとても気になってます(主にタイトルが)。次で評価を決めることができるでしょうか?傑作よ、来い。

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2008/10/19

『山魔の如き嗤うもの』 三津田信三

山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ) Book 山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)

著者:三津田 信三
販売元:原書房
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忌み山に足を踏み入れたこと

それが全ての誤りで

全ての始まり

家本として読み始め、間に「ペルソ○4」を挟んだので…読了までに3週間。このままではアカン!と“汗だく合宿(読了するまでお風呂から出られない地獄の合宿)”を敢行して読み終えた本作。決して面白くなかったわけではありません。

てっきり『首無の如き祟るもの』で行き先変更したときに遭遇した事件=さすが刀城言耶!しっかり怪奇に巻き込まれてくださる!!とか褒めようと思ってたのに。阿武隈川先輩を漸く拝めると思っていたのに。

怪異の舞台は忌み山・乎山。遅い成人参りの最中、乎山に迷い込んでしまったが運の尽き。山魔に追われ辿り着いた先で出遭った怪しい家族と、その消失事件。乎山に隠された徳川埋蔵金の利権を巡り争う旧家。そして…邑に伝わる民謡になぞらえて惨殺され消えゆく人々。お一人ずつ消えて残ったのは?

なんかもう、古き良きミステリのにほいがプンプンしますね。鳥肌。もちろん刀城言耶シリーズ恒例の“怒涛の謎列挙(箇条書き)”も健在です。その量、約2枚半。

しかも、読者サービス=解決の二転三転までもが健在。そのどれもが捨てるには惜しい名解答だったりするんだから美味しい。あの少ない残頁でここまでやってくれるとは正直思っておりませんでした。残頁を確認し、「大丈夫?ちゃんと終われる?もしかしてバカミス的解決?」とか疑っちゃってすみませんでした。

登場人物の名前が似ている(旧家の一族モノでよく起こる現象)ので、私のようなトリアタマかつ読了まで3週間みたいな人間は、最後まで「えっ?それ長男?次男?甥っ子??」とかやる羽目になりましたが…まぁご愛嬌ということで。

シリーズが進むにつれ面白くなってゆく本作。一家消失の解答は秀逸でございました。次も読む、絶対。

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2008/10/18

『海のある奈良に死す』 有栖川有栖

海のある奈良に死す (角川文庫) Book 海のある奈良に死す (角川文庫)

著者:有栖川 有栖
販売元:角川書店
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「行ってくる。『海のある奈良』へ」

そう言って手を振った友が死んだ

一体誰が?『海のある奈良』とは一体何処に?

別に長時間通勤しているわけじゃないのに(地下鉄には15分くらいしか乗らない)さくさく読める通勤本。他の誘惑がないからでしょうか。ぺよんとか。

この『海のある奈良に死す』を読むたびに『セイレーンの沈黙』はいつ出るんだろう?と思います。半年がかりで書き上げた五百枚の書き下ろし長編…読みたい。でも、『女王国の城』が出たときにこれ以上は言わないって決めたんだ。次まであと5年くらいは待てるって思ったんだ。自重。

本作は比較的ネタを覚えていて…というか覚えすぎていて、『海のある奈良』という言葉が登場する度に該当地が日本地図でピカンピカンと点灯してくれました。アリガタイワァ。地図と言えば、故・赤星楽氏の『アリバイの鐘』は読んでみたかったですね。同じ頭で考えてるから当たり前なのですが有栖川有栖氏(実写)が思いつきそうなネタだと思いました。こういう与太話(作中表記)好きです。

さらにさらに覚えているといえば、○○○○○○効果について知ったのも本作だったように思います。大してネタバレじゃないですが、なんとなく伏せてみる。きっと火村がキャメルを吸う度に私も煙草が吸いたくなるのはこれなんじゃないかと思ったり。街でキャメルを吸う人を見る度に「火村発見!?」かと思うのですが、もちろん一度も発見できたことはありません。

それにしてもトラベルミステリ度の高い本作。歴史のお勉強までできちゃったりして。読んでいて幾度となく「初期有栖川って感じ!」と興奮。(ほとんど)歳をとらないアリス&火村ですが、心なしか若いような気さえします。腐女子フィルタですか?

そんな若々しい火村がうなされるシーンも挿入されていて、作家アリスシリーズの模範となるような1冊。朝井女史も登場するよ!

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2008/10/16

『地獄の奇術師』 二階堂黎人

地獄の奇術師 (講談社文庫) Book 地獄の奇術師 (講談社文庫)

著者:二階堂 黎人
販売元:講談社
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美しき巻き髪を揺らして

復讐に身を焦がす殺人鬼と対峙する

二階堂蘭子、最初の大事件

通勤本2冊目…厚さ2㎝のタイトルからして仰々しいマイナな文庫本を地下鉄で以下略。見かけたら声をかけてやってください。

恐ろしく懐かしい1冊を本棚から引っ張り出してきた理由は唯一。蘭子が二階堂家に引き取られた理由を思い出したくって。

思い出すどころか
「今まで知らなかったんじゃないか?」ってくらい
ピンとくるものがありませんでしたけれども

物語(ミステリ)を読む上でこの情報はあまり必要ないみたいです。トリアタマの私にしては珍しく、本作の犯人は覚えておりましたし。意外な人物を本命に挙げとけ戦法の筆頭みたいな作品ですけれども(最早それも古いか。意外な人物どころか「えっ?それ誰だっけ?」みたいな人物が堂々と犯人だったりする時代ですものね。哀愁)

本作の初出は1992年。裏づけとか皆無なので戯言として読んで頂きたいのですが、この時代にこういった猟奇的殺人犯を犯人に据えた作品って少なかったのではないかと思います。新本格ブームの真っ最中ですよね?ロジックが理論がパズルが…って言っていた時代だと思うので。本作がロジカルでないとは申しませんが、ロジックに混ぜ合わせる風合としてこの手の猟奇性残虐性を採られた作品は少なかったのではないかな?と。その意味で二階堂黎人氏の存在は貴重。

二階堂氏の作品は読了後「はぁ?」と思うものも多い(これまでレビューしてきた作品は比較的この傾向が強かった)ですが、蘭子シリーズだけはこれからも追い続けたいと思っております。『人狼城の恐怖』ももう一度くらい読みたい!トリック(ネタ)を知った上で読む楽しさを満喫したい!!還暦過ぎたら挑戦しようと思います。

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2008/10/14

『法月綸太郎の冒険』 法月綸太郎

法月綸太郎の冒険 (講談社文庫) Book 法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)

著者:法月 綸太郎
販売元:講談社
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エラリークイーンの顰に倣い

難事件を解決するは法月綸太郎

そんな法月綸太郎のルーツともいえる第一短編集がここに

ご無沙汰しておりました(てへっ)

今回の失踪は「ペル○ナ4失踪」と名付けるのが相応しい。先程、のべ70時間のプレイを終えたところでございます…ビギナーで70時間って!しかも真エンド見ようと思ったらまだかかるって!?腐女子要素たっぷりの素敵ゲーム。2年後くらいに真エンド見たいと思います。

というわけで、寝る間も惜しんで「ペルソ○4」をプレイしておりましたので、読書はさぱーり進まず。この失踪期間に読了した本は2冊…ともに通勤本でございます。もう感想なんてシャドウに喰われてしまいましたが、なんとかレビューを。

まずは1冊目…もう何度目だ!?ってくらい読んでいるはずなのに犯人もトリックも覚えていなかった『法月綸太郎の冒険』。余談ですが、私のパソ子は「のりづきりんたろう」を一発変換してくれます。なんて良い子なんでしょうか。森博嗣も一発。なぜか有栖川有栖だけは有栖川有栖川って入力してますが…判断基準はどこにありますか?

そんな法月綸太郎の(←入力したかっただけ)『冒険』『新冒険』は本格ミステリスキー必読の名著でございますが、「カニバリズム小論」が個人的に忘れられないNO.1。カニバリズムについて知りたかったらこれを読め、ってくらい。私は世間知らずなので、カニバリズムについて(そういう言葉があるということを)知ったのはこの『冒険』じゃなかっただろうか。ちなみに『冒険』をノベルスで読んだのはもうかれこれ○年前…○の中には二桁の数字が入ります…歳がバレる!!

あと図書館シリーズも好きです。文庫版追記として掲載されている「図書館の自由をめぐって」は尤もなのですが(司書資格を持っていたりする私)それでもやっぱり図書館シリーズはミステリとして完成されていると思うんですよね。誤解を与える表現…確かにそうなのですが、図書館を愛する(もう本当にお世話になっております)一市民として、図書館を舞台とした図書館が舞台でなくてはならないミステリが読めるというのは嬉しいことなんですよ。

そんな図書館シリーズ4編の中から個人的ベストを選ぶとするならば「緑の扉は危険」でしょうか。犯人は本当にバレないと思っていたのか…それがなにより気になる。人の口に緑の扉は立てられなくってよ!

それにしても、綸太郎と穂波の仲はどうなっているのでしょうか??気になる。

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