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2008/09/11

『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎

ゴールデンスランバー Book ゴールデンスランバー

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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「逃げろ!オズワルドにされるぞ」

その声を背に男は走り出す

なぁ、俺は一体なにから逃げれば良いのだろう?

なんかもう「読んでください」としか言えない

本屋大賞を受賞して、直木賞は辞退して。なにかと話題の『ゴールデンスランバー』ようやく読了しました。帯の「伊坂的娯楽小説突抜頂点」という似非中国語っぽい煽り文句(笑)も今なら解る。なんとかあの限られたスペースにこの興奮を収めようとした結果だってことが。

首相暗殺事件の濡れ衣を着せられて逃げる男を、ケネディ暗殺事件とビートルズをベースにして。「事件のはじまり」「事件の視聴者」「事件から二十年後」「事件」「事件の三ヶ月後」の5部構成、時系列と視点をばらして混ぜ合わせて描く。「事件の視聴者」で3日間のダイジェスト版を読まされたときには「だ、大丈夫ですか!?筋が解ってても愉しめますか?」なんて思っちゃいましたが…私なんぞに伊坂幸太郎が理解しきれる訳がない。いつも100手先を読んで「詰んじゃってる」のが伊坂幸太郎です。

“伊坂幸太郎とは伏線が張り巡らされた状態である”という解説が広辞苑に載る日もそう遠くないと思った本作。大学時代の、いまとは正反対の、自分が幸せだった頃の想い出をフラッシュバックのように思い出すことがあって。それは銃声が響き渡った瞬間であったり、フランス料理店のシェフがにこやかに微笑むCMが流れた瞬間であったり、森の声が聞こえたように感じた瞬間であったり。過去が今を創り、今が未来を創る。大きな組織に所属しているわけでも、巨大な力を有しているわけでも無いけれど…それでも僕は生きているから。これまでも沢山の人に助けられて生きてきたから。だから行けるところまで行ってみよう。逃げられるところまで逃げてみよう。

私は「痴漢は死ね」の件が大好きで、冬休みの宿題書初めにそんなこと書かせる親ってのは凄いな、と思うんですが(大爆笑)この件が最後に回収されたときには…お母さんといっしょに号泣ですよ。お父さんが啖呵切るところもグッとくる。「いいか、俺は信じたいんじゃない。知ってんだよ」って、もの凄く重い。そして、横で泣きじゃくる児島さんも。

「行け、青柳屋」のこととか、シーマン(懐い)のこととか、いっぱい書きたいことあるんだけれど…巧い言葉も巧い表現も見つかりません。でも、最後に一言だけ。

読んでください伊坂幸太郎の金字塔です

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