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2008/09/26

『被害者は誰?』 貫井徳郎

被害者は誰? (講談社文庫) Book 被害者は誰? (講談社文庫)

著者:貫井 徳郎
販売元:講談社
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ミステリの醍醐味、犯人当て

今日は犯人当てはお休みして

探偵を当ててみませんか?

通勤本。満員の地下鉄、朝から「殺人」だの「死体」だのが踊る分厚い小説を読みながらニヤニヤするおばさんってどうなんだろう。結構怪しいですよね。通勤本にミステリをチョイスするのは止めておこうかしら…とか云いつつ今の通勤本は法月。

というわけで、本作『被害者は誰?』は正統派(本格)ミステリではないけれど、貫井氏らしいユーモアに溢れた一作。まず名探偵が容姿端麗頭脳明晰眉目秀麗…あれ?容姿2回褒めた?とにかく人間が書けていないと揶揄されるような(笑)ミステリ作家・吉祥院先輩が本作の探偵役。

そんな吉祥院先輩が手掛けるのは犯人当て…ではなく、「被害者当て」「目撃者当て」「探偵当て」「名探偵当て」という4つの謎。なんだ、結構ありがちな設定じゃん!と思った貴方。そこは大どんでん返しの貫井徳郎氏。大とまではゆきませんが、中…小どんでん返しをしっかり用意してくれておりますのでご安心を。

個人的には表題作「被害者は誰?」と「探偵は誰?」が好きです。どんでん返しの要素も充分に、ミステリとしてもなかなか上質。「探偵は誰?」を3番手に持ってきて、読者も探偵当てを楽しめるように設計してあるのがにくい。「名探偵は誰?」だけ若干、蛇足感あるものの…書き下ろしだからしゃーないということで。

貫井氏自身がHPで「伝統的なスタイルではなく、いろいろ遊んでます」と紹介しているように、遊べる楽しめる一作ですので、通勤本に皆様も是非。

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2008/09/25

『密室は眠れないパズル』 氷川透

密室は眠れないパズル Book 密室は眠れないパズル

著者:氷川 透
販売元:原書房
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密室

それは本格推理小説に欠かすことのできないファクター

氷川透が密室講義に挑む

やっぱり好きだわ氷川透

本格推理小説という分野に真っ向勝負を挑んでいる感じが好きです。最近そのお姿をさぱーり見かけませんが…筆を置いてしまったのでしょうか?『各務原氏の逆説』シリーズ第3弾が直前でぽしゃってからお見かけしませんが。HPも2007年から更新ありませんが。

本作も推理作家志望の青年・氷川透を探偵役に据えたガッチガチの本格。ですが、氷川透が若いので、ロジックも比較的若めにくどさを押さえたすっきり設計となっております(笑)まぁ、事件を解決に導くのは氷川透ですが、本作の探偵役は氷川透じゃないので。探偵役まで氷川透にやらせたら、この倍くらいの分量になったのではないですか?だって、氷川透ってばああでもないこうでもないと理論をこねくり回して読者を置いてけ堀にするのが得意だから(笑)

そんなんだから女の子にもてないんですよ(爆笑)本作では吊り橋効果か、登場する女の子とお近づきになれたようですが。

それよりもなによりも密室!!本作では真相に辿り着くまでのダミー回答が複数個用意されておりまして、ミステリスキー垂涎モノです。しかも、どれもレベル高い。個人的には(探偵役が提示した)最初の真相もなかなか好きです。7年ぶりの再読で、すっかり当然のように真相を忘れていた私が、最初に自力で辿り着いた真相がまさにこれでした。だから“なかなか好き”なのかもしれませんが。

そうそう、読書中にいくつか思い出したネタ(真相?)があるのですが、最後まで描かれなかったネタは、本作と主題を同じくする『密室ロジック』で描かれたネタなんでしょうかね?本作と『密室ロジック』は激似だったように記憶しているのですが…所詮私の脳だからな。きっと気のせいでしょう気のせいでありたい。

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2008/09/24

『金糸雀が啼く夜』 高里椎奈

金糸雀が啼く夜<薬屋探偵妖綺談> (講談社文庫) Book 金糸雀が啼く夜<薬屋探偵妖綺談> (講談社文庫)

著者:高里 椎奈
販売元:講談社
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自分たちが敵に回ったと知ったら

秋はどんな顔をするのでしょうね?

座木、ついに謀反!?

精力的に再読を進めております薬屋探偵妖綺談シリーズ。第4弾にしてようやく

合点のいく真相が!?

良かったもう少し読み進められる。今回は合点がいくどころか作品(ミステリ)としても結構好きです。

今回は座木が主人公。秘密の過去(なんと初恋♥)まで明かされちゃって、キャラ萌えも可能です。これまでの3作では秋への妄信っぷりが目立った座木でしたが、実は好戦的であることが判明。敵に回った秋がどんな行動に出るのか…それを楽しみで仕方無いと云えるあたり、悪です。そして、自信を感じる。

まぁ、その自信が過信でないとは言い切れないのですが。試合には勝ったけれども勝負に負けたって感じですか?もちろん試合とは殺人事件。本作の殺人事件→解決は好きですシンプルイズベスト。ほんの少しの違和感から真相に到達する系のミステリが大好きです。ついでに言うと、葉山くんのように犯人に同情しちゃうような刑事は大嫌いです。犯人は罰せられるべきだろう。

これまで読んだ4作の中で一番好きです。ミステリ部分とは関係ない人間模様(薬屋シリーズはこっちも重視しているんですよね?)もなかなか読ませる。4年間共に生活した薬屋とは秋だったのか??謎は深まるばかりもう少し読み進められる。

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2008/09/23

『陰陽師』 夢枕獏

陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫) Book 陰陽師(おんみょうじ) (文春文庫)

著者:夢枕 獏
販売元:文藝春秋
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「ゆこう」

「ゆこう」

そういうことになった

先日、同居人が関西方面に出張になったので、安倍晴明神社に行ってもらいました。お土産に御守りをもらったのですが、☆が可愛いぜこんちくしょう!御朱印をすっかり忘れていたのは赦してやろう、いつか自分で行く。

というわけで、久しぶりに「陰陽師」シリーズ再読です。あぁ、何度読んでもおもしろいなぁ。数年意識下から外していたら、新刊もたっぷり出ていて…しばらく愉しめるなこれは。嬉しい嬉しい。

けれど、どうも某QEDシリーズを読んでから鬼=○○が脳内補強されてしまって、式神やらなんやらが登場すると「あぁ、これはこういう○○なんだろうなぁ」とか思っちゃってる自分が嫌です。不思議は不思議のままで、晴明が織りなす神秘を博雅といっしょにぽっか~んと口を眺めて読んでいたかった。

そんな博雅が久しぶりに読むと良い漢すぎて笑える(おいっ)「たとえ晴明が妖物であっても、この博雅は、晴明の味方だそ」って名台詞と一連の流れが凄い。うわぁ、博雅ってば漢のなかの漢。だって、寝起きに晴明の声をした猫に話しかけられて、その言いつけ通りにやって来る奴なんてそうそう居ない。

そんならぶい(笑)晴明&博雅ですが、映画版「陰陽師」は晴明の妖艶さと博雅の愚直な感じがぴったりで良かったですよね。いまでも時々観ちゃうもの。CGがお粗末で妖怪大戦争みたいになっちゃってるのさえ目をつぶれば、衣装も美しくて大好きな映画です。また観たくなってきた。

陰陽師 DVD 陰陽師

販売元:東宝
発売日:2002/05/21
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2008/09/22

『悪魔と詐欺師』 高里椎奈

悪魔と詐欺師〈薬屋探偵妖綺談〉 (講談社文庫) Book 悪魔と詐欺師〈薬屋探偵妖綺談〉 (講談社文庫)

著者:高里 椎奈
販売元:講談社
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「これらの事件には、共通点がある」

解決したと思われていた6つの事件

その先に潜む秘密を掴むのは…誰?

再読フェア中の薬屋探偵妖綺談シリーズ第3弾です。えーっと、

今回も真相よくわからなかった

なんだ?私の読み方が悪いのか?確かに電気点けっぱで寝たりはしたが、決してナナメには読んでないそ?もうこれは私の脳の所為とばかりに云えないような気がする。

妄想するのは得意(趣味)ですが、想像するのは苦手なんですよ。国語のテストでも「○○について書かれた箇所を書き出しましょう」は◎でも、「○○の気持ちを考えなさい」は×。そんなもん知らねー。なので、ファジィな感じ取ってください系小説は苦手です。だからこそ理詰め理詰めなミステリを読んでいるのに。ミステリでもファジィにお見舞いされてしまうとは。

まぁ、本作『悪魔と詐欺師』は色も入っていないし、薬屋シリーズの中の異色作ですから。だから、ミステリというよりファンタジィホラーに分類したほうが正しいかと。

1幕から4幕までの短編も微妙でしたし。ミステリミステリしていたのは1幕と4幕だけ?しかも探偵役が高遠三次とリベザルという、いつもなら探偵役はれないぜコンビ。しかもちょっと弱い。彼らが探偵役を務めなくても、勤勉な警察の方々が3日くらい頭を悩ませれば解決しそうな謎レベルで。そうそう、コンビと云えばリベザルと御葉山(からしネクタイ)のふたりの会話は和む。このコンビは良い。

けれども、秋とゆたコンビはどうも…ここがヒントだと気張ってしまうからなのか、どうもゆっくり(のめり込んで)読むことができなかった。もしかしたら感動ストーリーなのかもしれないけれど…ミステリに感動求めてないから(どうでも)良いか。

とにかく、もう少し解説を加えてくれると嬉しい薬屋シリーズ。この調子で「真相よくわからない」を続けてしまうとあと2、3作で嫌になるな。ぎゃぼ。

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2008/09/21

ブログ通信簿

遅ればせながらブログ通信簿を試してみました。

Tushinbo_img

いろいろ云いたいことがあるんですが。

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『耳をふさいで夜を走る』 石持浅海

耳をふさいで夜を走る Book 耳をふさいで夜を走る

著者:石持 浅海
販売元:徳間書店
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僕はこれから3人の少女を殺しに行く

僕が創り上げた可愛い少女たちを

彼女たちが覚醒する前に

こんな石持浅海は読んだことない

印象だけで語るなら『BG、あるいは死せるカイニス』が一番近いかも。まさか石持・ロジック・浅海氏からシリアルキラーが産み出されることとなろうとは。

主人公・並木直哉が“なぜ”3人の少女を殺害せねばならないのか、その動機が隠されたまま進行する物語。石持氏の作品で、動機面で納得できたことはあまりないので(笑)そこを隠されてしまうと正直読むのキツイ。ミステリ小説の吸引力って“なぜ”“誰が”“どうやって”だと思うので。

では“どうやって”で愉しめば良いじゃん!という話なのですが、本作は“練りに練られたどうやって”を捨てねばならない事情ができてしまった…というところから物語が始まるのです。当然、行き当たりばったり。ミステリスキーの愉しみどころがどんどん減ってゆきますなぁ。だからこそのシリアルキラーなのですが。でもシリアルキラーの心情に興味ないよ。

その殺人劇のシナリオを書いたのは誰だ?という謎もあるにはあるのですが…それが表面化したころにはそんなのどうだって良くなってるし。だって、もう数えるほどしか人間残ってない。しかも、みんな頭悪そう。

この手の作品は所詮、好みの問題なので。シリアルキラー物が好きな方(得意な方)の評判を聞いてみたいです。石持浅海は人間が殺人者になる過程を描ききることができたのか。こちらとあちらを分ける線を踏み出すには…どんな覚悟がいるのでしょうかね?越えてみたらなんてことないなんて、嫌よ。

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2008/09/20

『腕貫探偵、残業中』 西澤保彦

腕貫探偵、残業中 Book 腕貫探偵、残業中

著者:西澤 保彦
販売元:実業之日本社
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悩める市民の相談事を一手に引き受ける

それが、市民サーヴィス課

腕貫探偵、今回は残業までして市民の悩みを解決する!

『腕貫探偵 市民サーヴィス課出張所事件簿』がいつの間にかシリーズ化しておりました。しかも今回は残業!もちろん残業代は出ないのでサーヴィスですサーヴィス。

悩める市民の相談事を没個性で聞き出し(まるでロボットに話しているかのような感覚に陥るのでしょうか?)怪傑ズバット。それがこの「腕貫探偵」シリーズの特徴です。本作『~残業中』ではどうも聞き上手な感じはしませんでしたが(相談する前、した後にバッサリ分かれてしまっているの残念)よくもまぁ、こんな奇天烈斎な相談に応えられるな、と。

個人的には「流血ロミオ」が好きです。私も相談者もすっかり忘れていたある人物から推理を連ねてゆく過程が本格!後味が悪いところも本格(って、それ間違った認識だから!)タイトルも好きです。

あとは…実はもう光る作品はなかったり。ラストの「人生、いろいろ。」はなかなかなのですが、腕貫探偵の仕事かと云われると…そうじゃないので。でも、腕貫探偵の彼女がやってくれます。この彼女、なかなか。「流血ロミオ」の物産展での腕貫探偵&彼女の会話なんて、間違いなく恋人のそれです。没個性の公務員もなかなかやるな、うん。

個人的には前作でやった「誰も待っていないのに名簿に名前書かせる→とりあえず椅子でお待ちいただく→椅子を温める暇もなく○○さ~んの呼び出し」パターンを復活させて欲しいのですが。今回は腕貫探偵&彼女の美味いもの対決(?)か見物だったわけですが…食に全く興味のない私には面白みもなにも無かったりしたので…。

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2008/09/19

『FINE DAYS』 本多孝好

FINE DAYS (祥伝社文庫) Book FINE DAYS (祥伝社文庫)

著者:本多 孝好
販売元:祥伝社
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恋に切なさが付き物ならば

その切なさに種類があるのはご存知?

本多孝好が織りなす4つの恋愛小説

本多孝好スキーを公言している割に『FINE DAYS』はそんなに好みじゃなくって2回くらいしか読んだことなかった私。でも「イエスタデイズ」映画化で意識してしまったが最後。短編集は通勤時に読むという独自ルールを守るために、文庫本をわざわざ購入してまで読ませていただきました。この印税が少しでも本多氏の懐に入ってくだされば本望。

さて、『FINE DAYS』には4つの恋愛小説が収録されているのですが…

「イエスタデイズ」が一番人気って本当ですか?

個人的には一番不人気なのが「イエスタデイズ」なんですが。やっぱり私の感覚ってズレているんだろうか。私は「眠りのための暖かな場所」を映画化して欲しかった…その理由は主人公が好みってだけなんですが。本多作品で女性が主人公って珍しいですよね。初めてじゃないかってくらい。でも、読んでいて『MISSING』を思い出した…彼女は本多初期作品の主人公たちに近いのでしょう。好きです。

「シェード」も良い。昔話と今とが交差する感覚が自然で好きです。でも、ベッタベタ。

表題作の「FINE DAYS」も好きです。主人公に関わる人間が誰も幸せになれないところが、ダックスフントを挟んで寝るところが、「お前は天才だ」と肩を叩かれて微笑む神部が、好きです。

4つ全ての作品に共通して云えるのが、不思議を不思議のまま受け入れながら(受け入れると云うよりは受け流すが正しいかもしれませんが)どこかで折り合いをつけながら、人間は生き続けるということを描いている点。恋愛に挫けて、人生に挫けても、生き続ける限り人間は寝て、食べて、排泄をする。そんな“生”を4つの作品から感じました。

なにはともあれ、これで映画「イエスタデイズ」の特典小説が読める。今晩寝る前にさくっと読んじゃうつもりです。あの薄さなら5分くらいで読めるでしょう。感想レビューは…ネタバレどころの話じゃないので書くかどうかは微妙です。すんごい良かったら(あるいは良くなかったら)書くかもしれないです。

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2008/09/18

『黄色い目をした猫の幸せ』 高里椎奈

黄色い目をした猫の幸せ (講談社文庫―薬屋探偵妖綺談) Book 黄色い目をした猫の幸せ (講談社文庫―薬屋探偵妖綺談)

著者:高里 椎奈
販売元:講談社
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深山木薬店に持ち込まれた新しい依頼

巧く(?)お断りをしたものの…

殺人容疑が秋に掛かって!?

あれ?ちゃんと読んだはずなのに真相がよくわからない…

このアイタタタな状況は私の脳の所為なのか、作品のクオリティの所為なのか。クオリティの所為だとすれば中盤で明かされた謎(キーワード)を解決章で繰り返してくれない(もう解ってるんだろ?と)不親切さ…って、やっぱり私の脳の所為か。

謎(ミステリ)自体は前作『銀色の檻を溶かして』より好きです。こちらの方が殺人殺人してるし、薬屋三人衆が介入する動機が自然。なんてたって、秋に殺人容疑ですからね!しかし、秋みたいな正々堂々怪しい人が警察のお世話になって大丈夫なんでしょうか?身辺調査されても埃ひとつ立ちませんでしたけれども…どんなコネクションを使ったんだ。

しかし、ザキは本当に女ったらしですね!(褒めてますこれでも精一杯褒めてます)どう考えても妖怪だということを差し引いても私の好みど真ん中に位置するザキ。確かザキの本体が元々そういう性質(女ったらし)なんですよね?しかし、ザキは秋に対して妄信が過ぎると思うのですが。腐女子狂喜乱舞ですよ。秋が犯人に傷つけられたときのザキの豹変ぶりが本作の見所です。

あとはリベザル。なんて可愛い生き物なんでしょうか。ところで、リベザルがどうしてもリザベルになってしまうのは私だけでしょうか?リベザルだとどうしてもお猿さんを連想してしまう…本当は試験管たわしなのに。

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2008/09/17

『銀の檻を溶かして』 高里椎奈

銀の檻を溶かして―薬屋探偵妖綺談 (講談社文庫) Book 銀の檻を溶かして―薬屋探偵妖綺談 (講談社文庫)

著者:高里 椎奈
販売元:講談社
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ひっそりとした佇まい仰々しく飾られた看板

そこは「深山木薬店」

どんな薬でも症状に合わせてお出しします

『レッドクリフ』ノベライスで久しぶりに高里椎奈氏を意識することとなったので、これもご縁と薬屋シリーズを再読することに。薬屋シリーズは『蝉の羽』で購入を止めてしまったんですよねぇ…契機がなんだったのか思い出せないんですが。薬屋シリーズは色がない作品=趣向を凝らした意欲作(成功しているかどうかは別問題)なので、その辺に理由があったんじゃないかと思っていますが。再読を続けたら思い出せるのではないかと。またもや『蝉の羽』で手が止まってしまうのだけは避けたいと思っております。カンパリマス。

それにしても、凄いペースで文庫化進んでるんですね!さっき密林で確認したら、偶然にも『蝉の羽』まで文庫になっているのを見て驚愕。『銀の檻を溶かして』の文庫化がつい最近だったでしょ…って2005年5月って書いてある!!えっ、半年くらい前に「ついに薬屋も文庫化するのかぁ、時間かかったねぇ」って思ったはずなのに。嫌だわ、歳を重ねるごとに時が進むのが早くなる現象が如実に!?

まぁ、薬屋三人衆の長寿っぷりにはどう足掻いたって叶わないんですけれども。人間と妖怪が共存(?)すべく、妖怪が介入した摩訶不思議現象の解決に乗り出す…そんな動機付けで描かれる本シリーズは三人の本体がどんな妖怪なのかにも注目。高里氏自身が「最終巻では明らかにします」と仰っていたように記憶しているのですが…第一部完結でその辺りクリアになったのでしょうか?

って、『銀の檻を溶かして』に触れないと…なんのためのレビューだ。展開が速く、探偵役の秋が多くを語らないので、「?」の積み残しばかりが増えますが、まぁ8割方はラストで回収してくれるのでご安心を。あとの2割(雪の妖精=プレゼントなのは解った。ところでどうやって造ったわけ?大きすぎない?とか)は…まぁ些事として眼を瞑ってください。基本的に腐女子な私は薬屋三人衆が妙にキザったらしいのも気にならないし。逆に男性読者はこれだけで(どんなにミステリとしての出来が良くても)読めないんじゃないかと思います。ノベルス版はともかく、文庫版は表紙があれだしね。完全に女性読者にターゲットを絞ってますよね。

とりあえず『銀の檻を溶かして』はデビュー作ということもあり、いろんな要素を詰め込んで見ました作品なので、ごちゃごちゃしちゃうのは仕方の無いことでしょう。以後の巻は比較的一本道の(ちょっと物足りないくらいの)ミステリだったと記憶しておりますので、再読楽しみです。

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2008/09/16

『賢者の贈り物』 石持浅海

賢者の贈り物 Book 賢者の贈り物

著者:石持 浅海
販売元:PHP研究所
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一度は耳にしたことのある古典文学

十の名作をモチーフに

石持浅海が理論で味付けを

本年もハイペースで執筆を続ける石持浅海氏の“日常の謎”系短編集。その共通点は古今東西の名作がモチーフに据えられていること、そして磯風という美女が登場すること。それにしてもPHPから出版されてるってのが凄いですね。PHPって歴史文庫のイメージしかない。

とりあえず挨拶代わりの「金の携帯銀の携帯」で読者にパンチを一発。ロジックロジックロジック理詰め理詰め理詰め。嘘偽りなく「ひゅう」と口笛吹いちゃいました(変態♥)これはミステリスキーにしか通用しない本だわ。ミステリスキーであっても「もう良いから5万貰えよ!」って云ってやりたくなる。

そんな短気な私のお気に入り作品は表題作「賢者の贈り物」。妻から謎の贈り物、妻の真意はどこに?という定番中の定番作品でして、登場人物2人のディスカッションによって謎は解かれるのですが…導き方が素晴らしい。私も登場人物と全く同じところで謎が解けました=その時点で全てのヒントが提示された=本格ミステリ“読者への挑戦状”!?飛躍し過ぎなのは自分でも解っています。

「泡となって消える前に」と「最後のひと目盛り」も好きです。どちらも恋愛を扱った作品ですが、どちらもラストの一文(本当に最終行)が素敵。

一転、どうも納得いかないのが「玉手箱」。

ミステリなのに解決されないってどういう?

「全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙なことであっても、それが真実となる」ことは重々承知だから!だからどんなに理不尽でも結末は用意して欲しい。それがミステリスキー心の叫び。別に私が読み切れなかったわけじゃないですよね?描かれてないですよね解決?最近どうも脳の退化著しく、作品の意図を掴みきれないことが多いものですから。

というわけで、「玉手箱」だけがどうも納得ゆかない。もし☆をつけるなら、このマイナス部分だけで2個は☆を減らせる。残念です。

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2008/09/15

『シャドウ』 道尾秀介

シャドウ (ミステリ・フロンティア) Book シャドウ (ミステリ・フロンティア)

著者:道尾 秀介
販売元:東京創元社
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母の死からすべては…

すべては狂い始めた

もう僕には父しか居ないのに

もっと早くに読んでおけば良かった

ようやく読めました2007年本格ミステリ大賞受賞作『シャドウ』。道尾氏凄い。期待以上でございました。

既に道尾氏の作品に慣れ親しんでしまった今だから、「来るぞ来るぞどんでん返し」とか「このまま終わるはずがない」とか思って(解って)しまうのですが、『シャドウ』が出版された当時って未だ真備庄介シリーズのイメージが強かったはずだから…凄い衝撃的だったでしょうに。あっ、『向日葵の咲かない夏』は出てたのか。

とにかく最後まで充分に存分に愉しませてくれる良作。小学生が語り部(にして探偵!)なので、若干違和感ありますが(私は叙述トリックすら疑いました。凰介が息子と思わせといて父親なんじゃないの!?とか。阿呆)それすらも味付けとして美味しくいただけます。

犯人(悪)の意外性が弱いような気はしますが、全然知らない人をいきなり持ってこられるよりはよっぽど。もう少し聖人君主ぶりを強めに表現してくれてたら意外性出たかもしれないですね。登場人物の全てが怪しく思えてしまうのは残念。でも、全員が怪しいのにひとりだけそうじゃなかったらばれるのか難しいですね。

まぁ、作品のポイントはそこではないので。緻密に、練りに練られた殺人計画。敵を欺くにはまず味方から。敵を欺くにはまず読者から。すべての記述に意味がある。ゴミ箱なんて覗くものじゃない。

道尾氏らしい毒(狂気)はもちろん散りばめられているのだけれど。それでもだいぶ抑えめに。頁を捲る手の動きは早いです。良質な2時間の読書タイムに是非どうぞ。

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2008/09/14

『絶叫城殺人事件』 有栖川有栖

絶叫城殺人事件 (新潮文庫) Book 絶叫城殺人事件 (新潮文庫)

著者:有栖川 有栖
販売元:新潮社
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6つの迷宮の先にあるのは

殺人事件

火村&アリスはこの迷宮を抜け出せるのか?

『暗い宿』あとがきで有栖川氏が仰っていた怪しい○○シリーズのひとつがこの『絶叫城殺人事件』でしょうか?末尾に「殺人事件」と名のつく作品が収められた短編集でございますが、かならず「~亭」とか「~荘」といった建物を表す名称とセットになっているあたり有栖川有栖の館シリーズと言えなくもないような。

個人的な好みは「黒鳥亭殺人事件」でしょうか?最近は後味の悪いミステリを気に入る傾向にあるようですね私。病んでいるのかしら?でも、作中に自然な形で登場する○○から火村が真相に到達するあたりは秀逸だと思います。あと、アリスがゲーム(二十の扉)の正解を口にしたときの少女の満面の笑顔が怖い。おどろおどろしい雰囲気を身に纏った短編集のスタートを飾るに相応しい作品だと思います。

あとは表題作「絶叫城殺人事件」でしょうか。読書前「火村が犯人を埠頭に誘き寄せ、スポットライトをバックに推理を披露するやつよね?」と思い込んでいた私の頭はどうなっているのだろうか。確かに埠頭は出てきたが…そんな神々しい火村は用意されておりませんでした。なにか他の作品と間違ってる?間違ってるのは私の頭か?とりあえず、本作も後味は悪い。でも、推理は秀逸。この展開は素晴らしい。

この2作に挟まれた残4作は…普通かやや劣るといった評価になろうかしら。「月宮殿殺人事件」に至っては駄洒落(?)混じりだし。

文庫版あとがきに映画「マグノリア」について書かれた箇所があって、久しぶりに観たくなりました。トムが怪しげなセックス教祖を演じてたことしか覚えていないのですが(記憶力ってなぁに?美味しいの?)好きです。

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2008/09/13

祝・映画化

私の愛して已まない本多作品、
初の映画化!!

『FINE DAYS』収録の「イエスタデイス」映画化情報をキャッチしたのが一昨日。そして勝手にNO残業デーを敢行し、特典付き前売り鑑賞券を入手したのが昨日。最初の感想?

特典の書き下ろしブック、薄っ!?

もしかしたら仕事忙しくて観に行けないかもしれないけど。けど、後でこの特典のことを知って激しく後悔するくらいなら1300円惜しくない。でも、「特典ってまだ残ってますか?残ってるなら前売りください(ハァハァ)」なんて、映画館窓口のお嬢さんに迫っちゃったのはやり過ぎだったかしら?

というわけで、『FINE DAYS』は2回くらいしか読んだこと無いので(えっ?)「イエスタデイズ」がどんな作品だったのか全然覚えてないんですけれど(あらすじ読んだって思い出せなかった)とりあえず本多作品が映画化ってだけでめでたい。

えっと、公開はいつですか?とりあえずカウントダウンブログパーツを貼ってみる。ハードカバで持ってるんだけど、文庫版も買おうかしら通勤用に。でも、朝から地下鉄で目頭を潤ませる女って変態だよね(どうせ欠伸を噛み殺したものと判断されるだろうが)

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『工学部・水柿助教授の解脱』 森博嗣

工学部・水柿助教授の解脱 Book 工学部・水柿助教授の解脱

著者:森 博嗣
販売元:幻冬舎
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元助教授作家、突然の断筆宣言

その真相が知りたければ…

これを読め!!

実は昨日までにお届けしたレビューの全ては、先週のうちに書き終わっていたものでした。そして、この『工学部・水柿助教授の解脱』は正真正銘本日書いたレビューでございます。ということで…

読むのに1週間かかった○作

○にはお好きな文字を入れてくだされば。昨日、2時間の長風呂に入らなければきっとまだ読み終わっていなかったと思う。というか、一生読み終わらなかったと思う。作中にもありましたが、読者を怒らせる小説ってのは難しいですね。だって、読むの止めるもん普通。

というわけで、帯に書かれている「断筆・引退宣言の真相がここに!?」はJAROモノ(嘘・大げさ・紛らわしい)です。あぁ、「?」だけは合っているかもしれないなぁ。

とにかく眠くなる。履歴書の特技欄には「いつ、どこでも寝られる」と書くようにしている私ですが(本当です)それにしたって1頁読みきれずに寝てしまった本は初めてかもしれない。本を開いて、一度も頁を捲ることなく、そのまま本を閉じる…読了までに288日かかるね!

とりあえず、森先生水柿助教授の元に一生かかっても使い切れないくらいの大金があることだけは解りました。超微力ながら私もそのお手伝いができたことを嬉しく思います。でもね、森先生にそんな気はないことは解っているんだけど、自慢なんかじゃなく本当に使い切れなくて困ってるんだと思うんだけど、わざわざ出版物にそんなこと書かなくても良いじゃん?って思っちゃいますよね。

水柿助教授と須摩子さんの語らいは面白いです。真似しようと思ったって真似できない。そんな唯一無二があるから、読むのに1週間かかった○作でも最後まで読めたんだと(読み終わるまでお風呂から出ちゃいけないんだから作戦は決行されましたが)思います。もう水柿シリーズも出ないだろうしね。

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2008/09/12

『ラットマン』 道尾秀介

ラットマン Book ラットマン

著者:道尾 秀介
販売元:光文社
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-俺は正しいことをした

時を経て蘇る父の声

父の声は僕の背中を押した

幼少の頃に背負わされた癒えない傷。もう道尾氏のお家芸と言っても過言ではない。本作『ラットマン』を読んでそう思いました。

両親に可愛がられ、惜しまれながら命を落とした姉。最後に「-俺は正しいことをした」と言い遺し息を引き取った父。ふたりの死から眼を背け、遺された唯一の息子からをも眼を背けるようになった母。誰にも言えない秘密を背負ってしまった僕。バラバラになった家族、バラバラになった心、そして…バラバラになりつつある仲間。そんなものが『ラットマン』では描かれております。

その痛みがミステリ(トリック)と絶妙に絡み合ってくるんだから…道尾氏素晴らしい。重たい主題の連続なのですが、その語り口、物語の展開はスムース。『ラットマン』読了に費やした時間は2時間弱といったところでしょうか?

ミステリとして読者を世界に導いてくれるからでしょうか。提示される謎はただひとつ…誰が彼女を殺したのか。けれど、ひとつしかない謎も見方を変えれば「ラットマン」のように、いくつもの解に分裂して。その分裂が読者の「騙された!」に、読了後の爽快感に繋がります。至福。

最初から最後まで、タイトル『ラットマン』からぶれない作品。もし、いろんな要素を混ぜ合って『ラットマン』から主題を離したとき…それはただの重たい作品に成り下がるとき。それをさせない、ぶれることなく最後まで読者を導いてゆく、道尾氏の筆力は素晴らしい。

でもやっぱり、『背の眼』『骸の爪』の真備庄介シリーズが読みたいの。

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2008/09/11

『ゴールデンスランバー』 伊坂幸太郎

ゴールデンスランバー Book ゴールデンスランバー

著者:伊坂 幸太郎
販売元:新潮社
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「逃げろ!オズワルドにされるぞ」

その声を背に男は走り出す

なぁ、俺は一体なにから逃げれば良いのだろう?

なんかもう「読んでください」としか言えない

本屋大賞を受賞して、直木賞は辞退して。なにかと話題の『ゴールデンスランバー』ようやく読了しました。帯の「伊坂的娯楽小説突抜頂点」という似非中国語っぽい煽り文句(笑)も今なら解る。なんとかあの限られたスペースにこの興奮を収めようとした結果だってことが。

首相暗殺事件の濡れ衣を着せられて逃げる男を、ケネディ暗殺事件とビートルズをベースにして。「事件のはじまり」「事件の視聴者」「事件から二十年後」「事件」「事件の三ヶ月後」の5部構成、時系列と視点をばらして混ぜ合わせて描く。「事件の視聴者」で3日間のダイジェスト版を読まされたときには「だ、大丈夫ですか!?筋が解ってても愉しめますか?」なんて思っちゃいましたが…私なんぞに伊坂幸太郎が理解しきれる訳がない。いつも100手先を読んで「詰んじゃってる」のが伊坂幸太郎です。

“伊坂幸太郎とは伏線が張り巡らされた状態である”という解説が広辞苑に載る日もそう遠くないと思った本作。大学時代の、いまとは正反対の、自分が幸せだった頃の想い出をフラッシュバックのように思い出すことがあって。それは銃声が響き渡った瞬間であったり、フランス料理店のシェフがにこやかに微笑むCMが流れた瞬間であったり、森の声が聞こえたように感じた瞬間であったり。過去が今を創り、今が未来を創る。大きな組織に所属しているわけでも、巨大な力を有しているわけでも無いけれど…それでも僕は生きているから。これまでも沢山の人に助けられて生きてきたから。だから行けるところまで行ってみよう。逃げられるところまで逃げてみよう。

私は「痴漢は死ね」の件が大好きで、冬休みの宿題書初めにそんなこと書かせる親ってのは凄いな、と思うんですが(大爆笑)この件が最後に回収されたときには…お母さんといっしょに号泣ですよ。お父さんが啖呵切るところもグッとくる。「いいか、俺は信じたいんじゃない。知ってんだよ」って、もの凄く重い。そして、横で泣きじゃくる児島さんも。

「行け、青柳屋」のこととか、シーマン(懐い)のこととか、いっぱい書きたいことあるんだけれど…巧い言葉も巧い表現も見つかりません。でも、最後に一言だけ。

読んでください伊坂幸太郎の金字塔です

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2008/09/10

『暗い宿』 有栖川有栖

暗い宿 (角川文庫) Book 暗い宿 (角川文庫)

著者:有栖川 有栖
販売元:角川書店
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旅の想い出

それは訪れた土地であったり、出逢った人であったり

出遭った事件であったり

火村&作家アリスが活躍する『暗い宿』は、タイトルにもある「宿」モノを集めた短編集。命の洗濯に出掛けた先々で事件に遭遇する火村&アリス。野上さんじゃなくても「こいつら疫病神ちゃうん?」と思いたくもなります。

個人的に最も好みなのが「ホテル・ラフレシア」でございます。この作品、ミステリとしては物足りないのですが(だから謎をふたつ用意してあるのでしょう)後味の悪さが最高です。ラストの数頁(数行)、背筋にゾッと冷たいものが奔ります。深い深い人の闇。

「201号室の厄災」は漫画版を先に読んだような想い出が。漫画版の火村はイメージぴったりなんですが…アリスはやっぱり(作者の)有栖川氏のイメージと重ねちゃいますよね(笑)作中の火村の台詞は全て英語なんですが…火村スキーの私は正直うっとりせずにはおれません。謎を解き明かすという行為をなんのために行うのか。そこにトリックを用意した意欲作です…ってちょっとネタバレでしょうか。

(2016.1追記)そしてドラマ第2話の原作である「異形の客」。冒頭、ボールペンに直に触れたシーンを読んで、この指紋が最後に効いてくるはず!と思ったらそんなことはありませんでした。消えた包帯男は何者なのか?が鍵ですが、読者にとってはそんなに難しい謎ではないかも。なにせ登場人物が少ない。大黒様のあたりで犯人に辿りつけるはず。

ところで「異形の客」でさらりと触れられたシャングリラ十字軍が登場する短編ってなにに収録されているんでしたっけ?『絶叫城』でしたっけ?でも、ノンシリーズとして書かれていたような気もする。トリアタマガニクイ。「覚えてるよ!」という方がいらっしゃいましたら教えてくださると幸いです。っていうか、ありましたよねそんな作品。なかったらどうしよういよいよ末期か私の脳。

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2008/09/09

『闇の聖杯、光の剣』 篠田真由美

闇の聖杯、光の剣 闇の聖杯、光の剣

販売元:楽天ブックス
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広大な敷地 鬱蒼とした森に囲まれた旧ブロック

学園に伝わる七不思議が

その秘密を解き明かす鍵となる

通勤本に2度に亘って読了を阻まれた篠田真由美女史の御本というのが、本作『闇の聖杯、光の剣』でございます。一度読み始めた作品を投げ出す(他の作品を優先する)という行為がどんなときに行われるのかと考えていただければ…この作品の出来がわかろうかと。

本作は『王国は星空の下』の続編にあたりまして…北斗学園七不思議シリーズの②作目です。

やっぱり⑦までやるんだろうか?

というのが、私の最大の関心事です。『王国は星空の下』レビューで「このキャラクタ(語り手としてのオレ=アキ)で、読者の興味を引っ張るのは難しいと思います」と書いた私ですが…主人公チェンジは行われなかった模様。今回も主人公(アキ)は頭悪すぎます。

しかも、今回は頭悪すぎ主人公を置いてけ堀にする記述も多くって。主にナチやヒトラーについて語った部分なんですが。主人公、空気。置いてくくらいなら主人公代えるか、作品にそういう雰囲気を持ち込まなければ良いのに。

前作のレビューでも書きましたが、主人公の幼き思考回路と問題の大きさがマッチしていないんですよね。チグハグな印象が読者まで置いてけ堀。だって、

学園の七不思議追っかけた結果、銃を突きつけられる中学生って!?

ないないない、絶対ない。学園の七不思議系物語で主人公が陥るピンチって、せいぜい体育倉庫に閉じ込められるくらいでしょう?なんかもう、ぶっとんでるんだよなぁ作品が。

でも、いま説明したような物語以外のところで愉しんでください…と言い切ることも難しい作品。しかも、「○○については前作に詳しく書いてあるから、そっちを読んでくれよな!」みたいな記述も多くって閉口。おいおいおい、そこが作者の腕の見せ所でしょう?宣伝か??

そういえば、本作に闇の聖杯は出てきた気がするんですが、光の剣ってでてきましたっけ?どんだけナナメ読み(笑)

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2008/09/08

『目薬αで殺菌します』 森博嗣

目薬αで殺菌します (講談社ノベルス モF- 43) Book 目薬αで殺菌します (講談社ノベルス モF- 43)

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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劇物が混入した目薬

そのパッケージにはαの文字

これも天才の仕掛けた実験?

C大三人衆がいつの間にか四人衆に!?

「雨宮って誰ね?」と思いながら読み始めた本作『目薬αで殺菌します』。読了まで結局思い出せませんでした。そして、過去作を読み返してみるつもりもない。だって、このGシリーズにC大メンバ必要ない。

C大メンバとは関係ないところで事件が起こって(ときどき事件すら起こらなかったりする)C大メンバとは関係ないところで完結するのが定番になりつつあるGシリーズ。今回は加部谷ちゃんが死体を発見したりして、「定番返上か!?」と思わせる部分もございましたが…完結(解決)はC大メンバとは関係ないところで行われ、しかもなにも完結していないという。

天才との距離は少し縮まったように思いますが。これまで天才を垣間見ることができたのは犀川&萌絵(ときどき保呂草様♥)に限られておりましたが、このふたりが終に達観し距離を置くようになった代わりに、赤柳さんが一気に追い上げてまいりました。最後に赤柳さんがうっすら嗤ったような気がする!!

そんな赤柳さんが掴んだ情報に往年の森ファンには見逃せない情報が混じっておりましたね!島田文子女史、復活おめでとう!!C大雨宮は最後まで(そして今でも)思い出せなくとも、島田文子女史はお名前を眼にした瞬間に通電しました。やっぱり彼女、まだ天才の傍に仕えていらっしゃるのでしょうか?お姿を拝見できなかったのが残念ですが…って、ログハウスの女が島田女史ってことないですよね??

本作、ナナメ読みなので(おいっ!)結末よくわかってないのが正直なところなんですが、悩みを抱えたOLがログハウスの女の人格を真似て統合させた…ってことでよろしいのでしょうか?ログハウスの女は実在していたんですよね?いつからか消え去り、OLがふたりの役目を果たすようになったってことで合ってます?少なくとも加部谷ちゃんが出逢ったときにはその一人二役は完成していたってことで。ディティールが割りとはっきりしているので、全くの空想であの人格が生まれたとは思えないんだ。

まぁ、ミステリの結末よりも海月くんがこれからどうするのかの方が気になるので良いんですけれども。海月くんは一体どんな闇を抱えているのでしょうか?「僕には関わらないほうがいい」って、海月くん=天才が野に放ったウォーカロン説!?他にも犀川先生の弟説とか流れてますが、全く読めない海月くん。読めるような記述を私が発見できないと言った方が正しいのかもしれませんが。なんせ、森作品ですから。

とりあえず、次回作は『ゾラ・一撃・さようなら』のノベルス化でお茶を濁すようですね。というか、MORI LOG ACADEMY「次の第8弾は、1年以上さきになる見込み」って書いてある!?1年後までC大三人衆が四人衆になったことを覚えている自信がありません。また冒頭でC大三人衆が四人衆に!?って叫ぶ自分が見えます。嫌だわ予知能力?

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2008/09/07

『氷菓』 米澤穂信

氷菓 (角川スニーカー文庫) Book 氷菓 (角川スニーカー文庫)

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店
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やらなくてもいいことなら、やらない

やらなければいけないことなら手短に

米澤穂信が描く、省エネ青春小説

通勤本としてチョイスした本が面白くって、以下略。篠田真由美女史の御本は本日も読了できず合掌。

もちろん今回も「あれ?古典部って省エネだっけ?小市民だっけ?」というお約束からスタート。どうやら省エネだった模様。高校生活といえば薔薇色、けれど主人公たるホータローのは灰色。そんな記述を読んで自分の高校生活は何色だったのかと振り返ってみる…鈍色?ってそれ限りなく灰色!!

本作『氷菓』は短編としての体裁も整えつつ、主軸に千反田えるの想い出と古典部文集「氷菓」の謎を据えて。「氷菓」の謎については、個人的には「スケールちっちゃ!?」と思ったり思わなかったり。だって、あれだけ材料揃えば想像できるでしょ。それよりも、あれだけの材料を彼らが集めてきたことが凄い。その執念が凄い。

その点、「愛なき愛読書」の謎は良し。推理の材料と、導き出された着地地点が離れれば離れるほどグッとくる。っていうか、もっと他に描くものなかったんかい。

そうそう、里志の立て板に水話法は好きです。「桁上がり四名家」なんて相当洒落てる。でも、こんな高校生居ないですよね居るんですか?このあたりに違和感を感じるあたり自分が歳をとった証拠だと思ってます。この作品を中学生くらいの歳に読んだなら、きっと自分も高校生になればこのくらいの言い回しができるようになるんだと勘違いしたんだと思います。若いって良いねやっぱり私の学生時代は鈍色…。

古典部の次の新刊はいつかな~?と米澤氏のHPを確認したのですが…予定情報が更新されている気配がない。ちなみに最も熱望しておりますのはS&Rの新しい事件なんですけれども。

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2008/09/06

『ALONE TOGETHER』 本多孝好

Alone together Alone together

販売元:楽天ブックス
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呪い

そんなものが本当に存在するのなら

僕は存在すべきではない

何度読んだって好きだ

通勤本としてチョイスした本が(再再再再再読にも関わらず)面白くって、家本そっちのけで読みきっちゃうことってありますよね!?今日のメニューはまじょ。が愛して止まない本多孝好氏の『ALONE TOGETHER』です。そして、今日も読了できないであろう家本は篠田真由美女史の御本です(笑)

初読のときに、そんなに面白いと感じなかった『ALONE TOGETHER』。そのときは『MISSING』に出逢った衝撃が大きすぎて、しばらくどんな本を読んでも面白いと思えない時期だったわけですが。とにかく(『MISSING』と比較して)そんなに思い入れがあるわけではなかった本作。それでも、

相当面白いんだからまいった

私の大好きな本多節炸裂。言葉選びがとにかく秀逸。言葉を代え、見方を代えて書かれる繰り返しの手法が素晴らしい。美しい、という言葉は本多作品を形容するために生まれたんじゃないかと個人的に思う。超個人的に。

そのくらい入れ込んでいる本多作品ですが、ラストが微妙なんですよね。というか、前半と後半にギャップを感じるというか。とりあえず、前半はミステリを書くつもりだったんじゃないかと思うんですよね。なぜ聖職者が殺人を犯したのか…もちろんこの主題は最後まで残っているのですが、それを全面に押し出した作品にするおつもりだったのではないかと。とりあえず、フリージャーナリストは最初は人間だったんだと思います。

それが、途中で主題のすり替えが起こる。後半の主題は…なんなんだろう?“呪い”はこの作品のキーワードですが、便宜上“呪い”という言葉を使っているのであって、主題の座を見事勝ち取った“あれら”は“呪い”ではないと…思うんですけれど、どうでしょう?

個人的希望を申し上げるならば、主人公は救われないで欲しかった。いや、あのラストだって充分救われてないのだけれど。とりあえず、熊谷と巧いことやりまくるのだけは(笑)止して欲しい。主人公に似合うのは熊谷じゃない。漸くとはいえ、弱みを見せた途端に戻ってくる女ってどうよ?完全に好き嫌いの問題ですけれどね。

とりあえず、教会の住職(笑)あたりから読むのがしんどくなるのだけが難点かと。それまでの美しさと痛さったらないです最高です。

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2008/09/05

『超・殺人事件』 東野圭吾

超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫) Book 超・殺人事件―推理作家の苦悩 (新潮文庫)

著者:東野 圭吾
販売元:新潮社
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直木賞作家・東野圭吾が

日本推理作家協会除名覚悟で挑んだ(笑)

超問題作!!

私のショヒョックスがいつも酷評モードとは限りません(笑)

「何度目だ、ナウ○カ」ばりに、通勤のお供として重宝しております東野圭吾氏のブラックユーモア系。本日のメニュー『超・殺人事件』です。

個人的に大好きなのが「超理系殺人事件」。“この小説が肌に合わない方は読み飛ばして下さい”なんて潔さに惚れる。しかも、それが伏線となり、ラストに回収される手法と云ったら貴方!さらに惚れる。あっ、超文系の私はもちろんあっさり読み飛ばしです。半分どころか1割も理解できない。

「超犯人当て小説殺人事件」も好き。これは、ミステリとしても秀逸ですよね。2度美味しくいただけます。ラストのブラック加減が秀逸。

あとは…過剰なブラックユーモア(○笑小説系の)を求めると、ちょっと期待はずれですよね、本作。なんだろう、ミステリとユーモアは両立し得ないというか。対極にあると思うんですよ。ミステリスキーはミステリミステリした重厚な作品を求める傾向があって、その呪縛から逃れることができないというか。同じミステリとユーモアの両立を目指した作品であっても、東川篤哉氏や石崎幸二氏の作品を読むのとは少し違うというか。巧く表現できなくてすみません。

とにかく、私のショヒョックスは酷評モードに合わせられていることが多いですが、たまにはおべんちゃらモードも使わないと壊れるかしら?あとは京極作品をぶち込んでおいたので、そろそろあらすじが出来上がってるかもしれないな、とか(笑)

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2008/09/04

なにそのラインナップ

このブロ愚をご覧の方であれば、十中八九登録されているであろうメールマガジン「ミステリーの館」。9月号をついさっき確認したのですが…なんかいろいろ気になったのでとりあえず列挙してみます。

・ 西尾維新氏『化物語』アニメ化!?
 やっぱり西尾作品はアニメになったか。
・ 10月の新刊予定に初野晴氏がっ!
 『水の時計』好きです楽しみだ。
・ ついでに有栖川有栖氏『乱鴉の島』もノベルスに
 ノベルス経由文庫化止めませんか?
・ 高里椎奈氏が映画「レッドクリフ」ノベライズ
 …って薬屋と三国志が私の頭の中でまったく通電しないんですけど!?っていうか「レッドクリフ(=赤壁の戦い)」ってそのまんますぎてウケる(爆笑)
・ 10月末に辻村深月嬢の初短編集『ロードムービー』発売
 買う。決定。はい予約~。

講談社は10月が熱いのかっ!?とりあえず、アニメは観るし本は買うんだろうな。愉しみだ。

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2008/09/03

『壁抜け男の謎』 有栖川有栖

壁抜け男の謎 Book 壁抜け男の謎

著者:有栖川 有栖
販売元:角川グループパブリッシング
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有栖川有栖の魅力を存分に詰めた

ノンシリーズ短編集

今度は黒を召し上がれ

『女王国の城』がめでたく出版されてからというもの、有栖川氏の勢い止まるところを知りませんな。本作『壁抜け男の謎』に始まり、『妃は船を沈める』『火村英生に捧げる犯罪』を立て続けにリリース。エッセイ集まで含めたら…今年になって一体何冊出版されたの!?

ということで、ノンシリーズものの短編が集められた本作。未読作品の方が多かったので、なかなか楽しめました。有栖川氏、仕事の幅が広い。

個人的に最も好みだったのが「ジージーとの日々」です。残念ながらミステリじゃない。でも、私こういうハートフルなハートウォーミングなお話に弱いんですよ。いきなりの現れた刺客に見事に討ち取られ、私うっかり涙しそうになりました。絶品。

絶品といえば「震度四の秘密」も好きですね。こちらもミステリじゃない。でも、アリバイものと分類することはできるかもしれませんね、する意味ないけれど。嘘は上手に吐きたい。嘘は上手に吐かないで欲しい。そんな女心の機微がどうして解る有栖川氏。

あとはそうですねぇ…もう無いかも。残念ながら。有栖川氏のショートショートが大好きで、未だに有栖川氏のベストは『ジュリエットの悲鳴』(白い方)に収録されている「幸運の女神」だったりするのですが、今回のショートショート作品「天国と地獄」はちと微妙。あとがきで有栖川氏自身が語っておられるように、もう少し長い方が面白かったように思います。

今回はノンシリーズものの短編集ですが、学生アリスものの短編も一冊の本にできるくらいには溜まっているように思うのですが・・・いかがでしょうか?東京創元社さん、そろそろまとめてくれませんかね?

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2008/09/02

『ST 桃太郎伝説殺人ファイル』 今野敏

ST桃太郎伝説殺人ファイル (講談社ノベルス コC- 22) Book ST桃太郎伝説殺人ファイル (講談社ノベルス コC- 22)

著者:今野 敏
販売元:講談社
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猿、雉、犬を従えて…もといST5人を従えて

百合根警部が向かった先は

桃太郎伝説の伝わる地、岡山

菊川さんって妻帯者だったんですねっ!!

翠とのラヴラブフラグはなんのために立ちっぱなしなんだろう。それがなによりも気になった本作『ST 桃太郎伝説殺人ファイル』が本日のメニューです。結局そのまま読んじゃいました。でも、本作は一転して読んで嬉しい良作です。

岡山県警からの要請を受けて桃太郎伝説の色濃く残る岡山県へと馳せ参じたSTの面々。今回も「取材費もらっちゃった」小説だったらどうしようかと危惧していたのですが、その必要はノーサンキューだったようです。桃太郎伝説(温羅とか吉備津彦とか)についてはこれまた某QEDで嫌って云うほど読まされたので(笑)読みとばしOKってくらいには詳しい私。本作を読みながら「このくらい簡単にさらっとまとめてくれれば良いのに…」とか呟いちゃったのは秘密の方向で。

本作はプロファイラー・青山が大活躍の一作。腐女子代表の私としては嬉しい一作。しっかし、青山が最後に○○しちゃうのにはびっくりしました。お姉さんが側に居てあげたい…って私、青山より年上?年下??

でも、本当に読み応えのある一作でした。ミッシングリンクが登場したり、『隠蔽捜査』を彷彿とさせる警察内部の泥沼合戦があったり。今回は桃太郎所縁の寺院や陰陽五行説が登場したので山吹さんの出番もあったし(笑)そういえば黒崎さんが喋りましたね!何巻ぶり??

って、そんなことよりも(酷っ!)冒頭の叫びですよ!なんのために菊川♥翠のフラグは立ってるんですかっ!?私はてっきり菊川さんは独身で、翠と恋仲になるものとばっかり思っていたのに…妻帯者なの!?しかも、あの表記は「夫婦仲は冷え切ってる」とも「仕事に夢中な駄目な俺をしっかり支えてくれる良き妻」とも取れるじゃないですか。いやぁ、おてて繋いで飛行機♥みたいな初心なふたりを暖かく見守るのが好きだったのに。某マエストロが出てきたときに餅焼いてたよね?絶対焼いてたよね??

はぁ、これからもSTから目が離せません(邪だな、おい!)とりあえず既刊のSTシリーズは読破してしまったようなので、新刊が出る日を待ち侘びたいと思います。

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2008/09/01

『ST 為朝伝説殺人ファイル』 今野敏

ST 為朝伝説殺人ファイル (講談社ノベルス) Book ST 為朝伝説殺人ファイル (講談社ノベルス)

著者:今野 敏
販売元:講談社
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ふたつの大島で起きたダイビング事故と為朝伝説との関係は?

警視庁科学捜査班-通称STが新たな謎に挑む

『果断 隠蔽捜査2』が山本周五郎賞と日本推理作家協会賞と…あとひとつはなんだっけ?とにかくトリプル受賞を果たしてからというもの、いろんな書店で見かける今野敏フェア。まじょ。のその時流に乗っかり(笑)手に取ったのがこの「ST」シリーズ。文庫化済の第1部第2部は失踪中に読了し、第3部とも云える『ST 為朝伝説殺人ファイル』が今日のメニューです。

このブロ愚で「ST」シリーズを扱うのは初めてなので、少しSTの面々をご紹介。多様化する犯罪に対応すべく、刑事の勘に科学捜査の力をドッキングすることを目的に設立されたのが警視庁科学捜査班-通称STでございます。そのSTの面々、兎にも角にも曲者揃い。

STのリーダーたる赤城左門は法医学の専門家。セクシーな無精髭を生やし、「漢たるもの一匹狼でなければならぬ」が持論にも関わらず、周りに人を集めてしまう女性(人間)恐怖症。そして、臨床心理の専門家にしてプロファイラー青山翔。男でも目を止めてしまうほどの美少年にして毒舌家…なのに秩序恐怖症。さらに、男なら目を止めずにはいられないSTの紅一点・結城翠。彼女が着る露出の激しい衣装は、閉所恐怖症の現れ。彼女は人間には聞こえないはずの犬笛すらも聞き取る奇跡の耳を持つ。そんな翠と共に“人間嘘発見器”と呼ばれる黒埼勇治。黒崎は「人間ガスクロマトグラフィー」の異名を持ち、どんな匂いも嗅ぎ分ける。いくつもの武術をマスターし、必要なこと以外は口を開かない。まさに日本の漢。そんな黒崎とは裏腹に、STのキャップたる百合根の話を唯一聞いてくれるのが、実家が曹洞宗の寺で自らも僧籍を持つ山吹才蔵。殺人事件の現場で彼が経を唱え始めれば、誰もが作業の手を止め、神妙な面持ちになる。

とまぁ、すごい行数使って紹介してみましたが…とりあえず解るのはこの「ST」シリーズはキャラ萌え小説だってことですキャラ萌え小説に見せかけた本格ミステリだってことです(ちょっと突飛だけどそう云えないこともないと思う…たぶん)

んで、今回の『為朝伝説殺人ファイル』なんですが…すっかり旅小説になっちゃってました。私、嫌いなんですよねぇ…「取材費が出たので行ってきました観光!もちろん、作品に還元させていただきますよ。ぐふぐふふ」的小説が。今回の『為朝伝説殺人ファイル』はかなりそんな匂いがしました。黒崎でなくても嗅ぎ分けられる程に!

為朝伝説の方は某QEDシリーズで慣らした私にとっては可愛らしいものです。まさにこれくらいがエッセンスよね。歴史薀蓄本にエッセンスとしてミステリ混ぜてみました、じゃ駄目よねやっぱり。

まぁ、腐女子としては今回も青山のプロファイリングが役に立って良かったです、はい。(えっ?ミステリ部分のレビューってこれだけで終わり!?)

とりあえず、手元に次巻の『桃太郎伝説殺人ファイル』があるのですが…このままの勢いで読んでしまおうか何か間に挟もうか悩み中です。だって、また同じような「取材費が出たので」小説だったら嫌だ。

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