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2008/05/27

『チョコレートゲーム』 岡嶋二人

チョコレートゲーム (講談社文庫) Book チョコレートゲーム (講談社文庫)

著者:岡嶋 二人
販売元:講談社
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息子が死んだ。しかも殺人犯の汚名を着て

思えば眼を見て息子と話したことなってあったのだろうか

だから…俺は息子の無実を信じる

ノベルス刊行は昭和60年…名作は名作、良い作品はいつ読んでも良い、というお手本のような一冊でした。

殺人犯の汚名を着て死んでいった息子。その汚名を晴らす、否、無実を信じて不徳の父親が立ち上がる。唯一の手掛かりは『チョコレートゲーム』。息子が、その同級生たちがひた隠しにする『チョコレートゲーム』とは一体どんなゲームなのか?本当に息子は無実なのか?真犯人は誰?

描写や用語の古さは当たり前として、この主題、現代でも充分に通用しますよね。自分の子どもについて何も知らない知ろうとしない親。子どもを失って、事件に遭遇して、初めて気が付く…俺は今まで何をしてきたんだ?と。むしろこの作品が出版された1985年より、現代の方が扱う主題として正しいような気すらしてきました。岡嶋二人、さすが!!

そして唯一の手掛かり『チョコレートゲーム』。どんなヤヴァイゲームかと思いましたが、かなり現実的。中学生にして、社会というものがどれだけ汚いものか思い知らされるなんて…不憫な仔たち。でもまぁ、自分たちで蒔いた種ですしね。自分たちで回収してください。殺人以外の方法で。この殺人は舞台が中学校だったから起こった事件なんだろうなぁ、と思います。中学生のゲームだったから、途中の逃げ道が見つからず、殺人まで一直線に向かってしまった。子どもは残酷ですから。

それにしても、文庫版の表紙はいただけないですね。『チョコレートゲーム』がなんたるか、ヒントが出ちゃってます。それが本作の醍醐味だと思ったのですが…私だけ?

とにかく、良い作品は年月を経ても良い。岡嶋二人の作品を読むといつもそう思います。いつの時代も子どもが、親が、抱える問題は根っこのところで同じ。ミステリ読者が求める謎だって、いつの時代も同じ。何十年経ってもミステリを読んでいたいと思った一作でした。

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