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2008/04/08

『遠まわりする雛』 米澤穂信

遠まわりする雛 Book 遠まわりする雛

著者:米澤 穂信
販売元:角川書店
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省エネ主義・折木奉太郎が省エネを放棄し、謎解きに挑む

それもこれも千反田えるのあの一言のせいなのだ

「わたし、気になります」

久しぶりの古典部シリーズ。もちろん「あれ?古典部シリーズって省エネだっけ?小市民だっけ?」という事前準備が必要です。痴呆症気味のこの脳が恨めしい!

というわけで、省エネだった本作『遠まわりする雛』。古典部メンバの1年間が7編の短編で描かれております。若干、「あれ?古典部のメンバってこんな射に構えた奴等ばっかりだった?」という戸惑いはありましたが、すべて鳥頭の所為にしました。きっと既出作品も捻くれ&こしゃまっくれた物言いであーでもないこーでもないやってたんだと思います。覚えてないだけで。

さて、収録作のうちもっとも好みだったのは「心あたりのある者は」でしょうか。自分とは全く関係無い事象について、想像だけであれやこれやと議論する…そのシチュエーションが超愉しいですよね。私もよくやります。どっちかっていうと想像というより妄想ですが。この「心あたりのある者は」は最終的にホータローの想像が正しいことが証明されるのですが、正しさの証明に何頁も費やす自慰小説が多いなか、数行でそれを示してくれた本作には好感を覚えます。

あとは「あきましておめでとう」のラストの台詞。「やあ。あけましておめでとう」「よお。あきましておめでとう」には思わず「巧い!」と膝を叩きました。こういうジョーク大好き。こういう言葉を返せるような素晴らしい脳が欲しいものです。でも、作品の主題である閉鎖空間からの脱出については、堂々と声を上げれば良かったのだと思います。まわりくど過ぎる。

本作は古典部1年間を描くという主題の他に、もうひとつ主題がありましたね。それは恋。いやぁ、高校生らしい主題で恨めしい…もとい羨ましいです。作品タイトルの『遠まわりする雛』がホータローの遠まわり具合と絶妙にマッチしていて良い。次からの古典部シリーズには恋愛要素がさらっと挿入されるのでしょうか。恨めしい清々しいですね。ホータローが如何にして省エネを脱却するのか…これからのシリーズに期待。

って、これからの古典部シリーズの予定が米澤氏の公式HPに記載されてないじゃない!?

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