« 『遠まわりする雛』 米澤穂信 | トップページ | 『月の扉』 石持浅海 »

2008/04/09

『アイルランドの薔薇』 石持浅海

アイルランドの薔薇 (光文社文庫) Book アイルランドの薔薇 (光文社文庫)

著者:石持 浅海
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

レイクサイドハウスで起こった不可解な殺人

すべてはあの日の爆破テロから

すべてはアイルランドの統一のため

唐突に“石持浅海ブーム”が私に到来しまして、既読未レビュー作品を片っ端から読み漁っております。しばらく“プチ石持浅海祭”が開催されることとなりましたので、皆様お付き合いくださると幸い。

“プチ石持浅海祭”第1作目の作品は石持氏のデビュー作でもある『アイルランドの薔薇』。歴史スキーを自称しております私ですが、そのベクトルは全面的に日本史方面に向いているため世界史には明るくありませんで。アイルランド問題についても本作で初めて知ったくらいの駄目人間です。本作はそんな駄目人間な私でも充分理解できるようアイルランド問題の歴史や背景をしっかり描写しつつ、ミステリ(しかも石持氏お得意のクローズド・サークル!)まで拵えてしまうという意欲作。

殺害されたのはアイルランド統一に尽力する武力勢力NCFの副議長(つまりお偉いさん)。犯人候補はレイクサイドハウス宿泊客8名。しかもその8名のなかには正体不明の殺し屋まで紛れ込んでいて…と、犯人当てでも愉しめる、殺し屋当てでも愉しめるという、1冊で2度美味しい作りになっております。

個人的には犯人究明の契機が動機方面からだったのが残念なのですが(って、それが本作のウリじゃないですかっ!?)物理的な理由付けもなされていた(伏線もしっかり張られていたしね)から及第点にしましょうか。本格ミステリは(西澤保彦氏が本作を「いまここに鮮やかに咲きほこる“本格”という名の美しい薔薇」と評しております)ロジックロジックロジックで詰め詰めして欲しいものですから。個人的好みですけどね。

さらに個人的好みを申し上げるならば、もう少し殺し屋のターンが多くても良かったかな、と。探偵役VS殺し屋の頭脳対決みたいな展開も読みたかったかも。まぁ、表舞台に登場してしまっては“正体不明の殺し屋”では無くなってしまうんですけれども。殺し屋という特殊過ぎる職業の方を登場させた割に…活かしきれていなかったように思います。個人的好みですけどね。

でも、やっぱり石持氏は長編の方がイイッ!と再認識。次回は超名作『月の扉』のレビューでお逢いしましょう。

|

« 『遠まわりする雛』 米澤穂信 | トップページ | 『月の扉』 石持浅海 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/20021054

この記事へのトラックバック一覧です: 『アイルランドの薔薇』 石持浅海:

« 『遠まわりする雛』 米澤穂信 | トップページ | 『月の扉』 石持浅海 »