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2008/03/21

『君の望む死に方』 石持浅海

君の望む死に方 (ノン・ノベル 845) Book 君の望む死に方 (ノン・ノベル 845)

著者:石持 浅海
販売元:祥伝社
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癌に冒された私の余命はあと6ヶ月

ただ、無為に過ごすことになろう6ヶ月

だから…私は君に殺されることにしたよ

いつもは密林のアフィリを使うのですが、なぜか表紙画像が用意されていなかったためセブンアンドワイで。密林で画像が用意されていたので差替え。どうしてそんなに表紙画像に拘るのか…もう皆様お解かりですよね?あの!あの作品の続編がついに登場です!!

続編と云っても、探偵役が同じであることを除けば別の作品。本作の趣向はちょっと変わってますよ。とてもネタバレ無しでは語れませんので…いきなりネタバレレビューの開幕でございますっ!!

本作は“自ら殺されることを望んだ被害者”と“被害者が自らの味方であることを知らない加害者”、そして“病的なまでに悪意を察知する探偵”の物語です。あれ?なんか探偵の紹介に毒が混じってますね。

とにかく趣向の凝らされた本作ですが、その最たるものは

探偵が殺人事件を未然に防いでしまう

ということでしょう。事件が起こってから登場し我が物顔で舞台を引っ掻き回すのが“探偵”ならば、事件を未然に防ぎ皆が納得する結末を用意するのが“名探偵”。では、本作の探偵役・碓氷優佳はどうでしょう?最後の「私はすべて知っていますよ」「殺人は私のいないところでやってください」という態度はどうなんでしょう?

個人的には「探偵が殺人への道をすべて塞いでしまった結果、加害者は動くことができず、加害者を夜な夜な待ち続け途方に暮れる被害者」というラストを用意して欲しかったところです。張り巡らされた悪意をすべて解き明かしておきながら、被害者の“殺されたい”意志が強いことを知り、事件の発生を容認してしまう探偵役って…必要だったわけ?

趣向自体は最高に好みなんですがね!探偵役の彼女がいけ好かないだけなんですよ!!『扉は閉ざされたまま』でも感じたことですが、彼女は妄想が過ぎる上、自分の妄想が正しいと猛進し過ぎなんですよ。物語の都合上、その妄想はすべて正しいんですけれど。

被害者と加害者が織りなす心理戦はなかなか楽しめました。同じ事象をどちらのサイドからも描くので、「もう読んだよ!」感は若干ありましたけれども。でも、<著者のことば>で石持氏が仰っている「みんなそれぞれに努力していることがよくわかりました」という作品に込められた意図は充分に伝わってまいりました。

この作品がどう評価されるのかは分かりませんが、『扉は閉ざされたまま』の続編として上梓されるに納得のクオリティでございました。面白い作品を読んだ、と言うに充分。ご馳走様でした。

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