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2008/03/24

『シャーロック・ホームズの冒険』 コナン・ドイル

Book シャーロック・ホームズの冒険

著者:コナン・ドイル,延原 謙
販売元:新潮社
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もともとは拍手御礼の特製レビューだった本レビュー。ミステリ好きの方なら大抵の方が喜んでくださって、かつ広く普及している作品を…と悩んでいる私の脳裏にふと浮かんだのが「ホ、ホ、ホ、ホームズ!!」。私ったら、ミステリスキースキー云っていながら、ホームズ作品を見事に無視しているではありませんかっ!私の脳内議会は満場一致でこの『シャーロック・ホームズの冒険』を特製レビューとすることを決めたのでございました。

ホームズ第一作『緋色の研究』とも迷ったのですが、青い背表紙新潮文庫の愛読者としては順繰り読んでいくしかない!しかも『冒険』には名作が多いし!!と、この『冒険』をチョイスした私。本当にこの『冒険』にはホームズ作品の中でも有名かつ愛されるべき作品が多い。

まずは私の愛して止まない「ボヘミアの醜聞」。ホームズが生涯唯一敗れた女性として“あの女”と呼ぶアイリーネ・アドラーとの対決を描いたこの作品。ボヘミア皇太子のスキャンダルを握る女から、その証拠を奪い取るために立ち上がったホームズ。す、好きです。2006年年末にyahoo動画で無料公開されていたドラマシリーズももちろん観ましたとも。いやぁ、ホームズの数少ない敗戦試合を文庫収録の一発目に持ってくるところが憎いですね、新潮文庫。というわけで、ホームズの手際は鮮やかなれど、したたか且つ大胆不敵な女には敵わないこともあるのさ…という、ちょっとラヴな物語。

そして次に収録されている「赤髪組合」も名作。大英百科事典を書き写すだけで週に4ポンド(今のレートに直すと800円くらいなんですが…当時の価値だとどのくらいなのでしょうか?とにかく高額収入であるようです)貰えるという、超おいしいアルバイトの裏に隠された巨大な犯罪とは?という作品。この「赤髪組合」に限らず、ホームズ作品には「ちょっとした謎が大きな犯罪撲滅に繋がる」系のお話が多いです。末端(?)から巨大な悪へと辿り着くホームズの手腕に酔いしれる一作。

そして「花婿失踪事件」。こ、これも好き!消えた婚約者を探して欲しいという依頼を受けたホームズ。ホームズ自身が変装の名人であるが故に、この結末へと早々に辿り着くことができるのでしょうな。だって、婚約までする仲なら普通は気付くもん!そんなとこ疑わないもん!!(笑)

「オレンジの種五つ」は、読了後なんとも云えない気持ちになりますねぇ。ホームズが導き出した真相が真実だったのかは藪の中でございます。新潮ホームズ初読が中学生だった私は、KKKがどういう団体なのかよく知らず、知らないながらも恐ろしく思ったものです。教科書でKKKが登場したときには、妙に嬉しくなりました。

「唇の捩れた男」も結末は「花婿失踪事件」と同じでございます。ホームズ作品で誰かが失踪したり消えたりした場合は、まずこのパターンを疑え…というのがセオリー。「花婿」と同じ感想となってしまいますが…妻よ、気付けよ!!

そして有名すぎるあの作品「まだらの紐」。これはもう有名過ぎて有名過ぎて、ツッコミどころも満載。あれですか?東洋(この作品ではインド)はどれだけ怪しい呪術や未知数の毒薬があふれかえる危険な地域なのですか?(笑)しかし、ベッドサイドにそんな意味不明の紐が垂れ下がっていたら、私ならソッコー縛り上げてしまうことでしょう。邪魔臭いもん。偉いね、娘たち。この「まだらの紐」事件の動機も「花婿」と同じ動機が繰り返されているのですが、こんなに事件が耐えないのならば、そんな悪習辞めてしまえばいいのに…。

というわけで、ホームズ作品は現代のミステリに求められているような論理型ではなく、閃き型驚き型の作品が多いのが特徴です。この電光石火型にうっとりしてしまう私は、まだまだ甘いのでしょうか?ワトソン(ワトスン表記はどうあったって許せない!)を小馬鹿にしたあの口調で、どんな閃きがホームズに訪れ、解決に向かったのかを読む時間が愛しくて愛しくて堪らないわけです。

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