『T.R.Y 北京詐劇』 井上尚登
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T.R.Y. 北京詐劇(ペキン・コンフィデンシャル) 著者:井上 尚登 |
1916年中国、革命家と暗殺者が闊歩する時代が望んだのは天才詐欺師の復活
天才詐欺師の新たな狙いは袁世凱
−総統に、皇帝の座を
マイ・オールタイムベスト10に食い込んで来るであろう『T.R.Y』に後編が出ているという情報を入手して(遅っ!)さっそく手配しました『T.R.Y 北京詐劇』。
おかえりなさい、伊沢修!
『T.R.Y』は織田○二で映画化もされました(第19回横溝正史賞も受賞)のでご存知の方も多いかと。歴史のエッセンスを絡めた、ペテンだらけの大エンタテイメント小説。私はこの作品が大好きで、天才詐欺師という属性に萌えを感じる(ライアーゲームの秋山深一とか)契機となったと云っても過言ではないかも。
本作は前作『T.R.Y』から4年後、辛亥革命の成った中国・北京が新たな詐欺の舞台です。本作副題の『北京詐劇(ペキン・コンフィデンシャル)』ってのが、またグッときます。ベストチョイス。そんなペキンで伊沢が仕掛ける次のカモは、かの袁世凱。
VIP中のVIP、大要人じゃないですかっ!?
「さすがの修ちゃんでも、それは無理だZE☆」とさすがに思った。でも、そこが彼が“天才”詐欺師と呼ばれる所以。予想外の方向に飛び跳ねる駒を臨機応変・自由自在に操り、彼は大ペテンを敢行します。
敵を知り、相手が信じたい奇跡を見せてやるのが詐欺師の仕事。その“敵を知る”時間(布石)が今回は異様に長かった為、前作『T.R.Y』に有った爽快感や疾走感が損なわれているのは事実。でも、そこで計画され尽くした緻密さに酔って頂けたら。
もっと個人的な感想を述べるならば、今回描かれた舞台(時代背景)が私の卒論テーマとがっぷり被っていたから楽しめたという要因もあるように思います。時代背景がわからないと(革命党と袁世凱の確執とか)その部分にCPUの一部を使わなくてはならないので、面倒くさいと感じる読者もいるのではないかと。
あとは、前作ラストで別れ別れになった仲間(関虎飛や愛鈴)が復活してくれたことが嬉しい。関虎飛が相変わらず“己の信じる道をただ突き進む”融通の利かない奴で居てくれたことが、特に。時代が変わっても、変わらない想いや関係があるっていうのは素敵です。
とにかく、伊沢が袁世凱に仕掛けた大ペテンがどんなものだったのか、読んでいただきたくて。なるべくネタバレ無しのレビューに仕上げてみました。“天才詐欺師”という文字についつい反応してしまう方は、是非。
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