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2008/01/27

『人柱はミイラと出会う』 石持浅海

人柱はミイラと出会う Book 人柱はミイラと出会う

著者:石持 浅海
販売元:新潮社
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人柱、それは工事の完成を祈って神に捧げられる生贄

そんな「人柱職人」が存在する似非日本で巻き起こった非日常を

石持浅海が描く連作短編集

放置期間中に読了しました『人柱はミイラと出会う』が図書館で開架(予約無し)状態だったので、「こりゃ、再読&レビューにうってつけだわい」と借りてまいりました。「このミス!2008」でも21位以下にランクインしておりました本作。石持浅海氏の非日常ミステリです。

ポートランド出身の留学生・リリーが日本で出遭った不思議な風習。「人柱」「黒衣」「お歯黒」「厄年」等々、もはや現代日本には存在しない風習が色濃く残された似非日本が本作の舞台です。そして、探偵役を務めるのは「人柱職人」の東郷直海。「人柱」は工事が完成するまで(長いときは2年以上)地面深くに掘られた地下室で孤独な時を過ごす職業。その存在意義はまさしく生贄。“僕たちはちゃんとした工事をします→だから生贄を差し出します→もし土地の神様が僕たちの工事を気に入らないなら、生贄をどうとでもしちゃってください”みたいな無理な論理が罷り通る世界。無茶苦茶だ。

収録作のなかで最も好みだったのは表題作の「人柱はミイラと出会う」でしょうか。「人柱職人」がその職務を全うする地下室で発見されたミイラ死体。死体は「人柱」として地下室に籠った直海の仲間なのか?もし、仲間の「人柱」で無いのなら、彼は一体どこに消えてしまったのか?「人柱」という風習と、その舞台設定と、謎解きのキーポイントと。それらががっちりスクラムを組んだ、ロジカルな一作だったと思います。

では、他の作品は…ロジカルなんてあったもんじゃない、無理矢理そこまで飛躍させますか?的な展開が多かったように思う。最も「無いな…」と思ったのが「お歯黒は独身に似合わない」でしょうか?作中の似非日本では既婚者はお歯黒をするしきたり…では、既婚者でも無いのにお歯黒をして出掛けた彼女の目的は?という主題なのですが…それしきの条件で○○の○○まで見破らないで頂きたい。あとは「厄年は怪我に注意」もちょっとね。建物を○○させるべく、地下室に籠る厄年トリオって…風習云々でなくて、貴方たちの思考の方が非日常でございますわよ。ラスト3作はどれもこれも人情臭いし。

あとは、留学生・リリーさんと人柱・直海のロマンスは要らなかったかなぁ、と。唐突にロマンス混入されても、読者としては戸惑うだけです。まぁ、ラストのイースターの件を書きたかったのだと思いますが…ロマンスでなくても良かったのでは??

って、なんだか批判ばかりですね。でも、やっぱり「無い」と感じた作品の方が多かったもので。石持氏の作品にしては珍しく「人に“わざわざは”お勧めしない作品」かも。既に何度か申しておりますが、石持氏には是非とも長編を書いていただきたく。2008年、お待ちしておりますっ!!

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