『名前探しの放課後』 辻村深月
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名前探しの放課後(上) 著者:辻村 深月 |
突然のタイムスリップで3ヶ月前の世界に戻された依田いつか
タイムスリップには誰かの何かの意図があるはず
それならば…いつかの“使命”は唯一つ
仲間の自殺を止めること
大好きな辻村深月嬢の最新巻。単行本での刊行に購入をしばし迷いましたが…やっぱり好きなんだ辻村深月作品。そして、今回も号泣。
晴れ渡る秋空の下、ジャスコの屋上、突然のタイムスリップに戸惑う主人公・依田いつか。ここから見えるあの看板は、もう撤去されたはずなのに。季節は冬であるはずなのに。誰かが自殺をしたはずなのに。
どうして自分はここに居るのだろう?どうして“誰か”は死んでいないのだろう?
そんなミステリチックなスタートを切った本作は、辻村嬢らしい青春小説でした。主題は辻村嬢のデビュー作である『冷たい校舎の時は止まる』に似た、自殺した誰かの“名前探し”。3ヶ月前に戻されたいつかには、肝心の自殺した“誰か”の記憶が無い。誰が自殺したのか思い出せない。だから仲間を集めて自殺しそうな人間に当たりをつけて。その“誰か”が死なないように。最期の瞬間、自分たちを思い出すことで自殺を思い留まることができるように。仲間のために死ねない、と思ってもらえるように。
そんな風に“誰か”との関係を深めてゆく、そんな友情と愛情の物語。
辻村嬢の描くキャラクタは、どの作品も個性的で魅力があって。女性にだらしない主人公・いつかを始め、指揮を採ることに長けた自信家にして野心家・天木、鉄道マニアで遺書を書くのが趣味・河野、強く優しく歪みを自ら矯正することのできる・秀人&椿、そして自らの哀しい過去を絶望を笑って語る・あすな。とにかく魅力的なキャラクタがその“誰か”のために一丸となって。
私は途中で自殺するのが“誰なのか”に気付いてしまったのですが、それで終わらないのが辻村作品。気付いていても号泣させられましたし。では、ここからは他作品とのリンクにも触れるネタバレレビューを開始しましょう(個人的にはここからが一番愉しい)。
まずは『凍りのくじら』に登場した幼き天才ピアニスト松永。私はキャラクタの名前を覚えたりできるほどの脳内キャパが無いので(無念)ドラえもんの件が出るまでまったく気が付きませんでした。『凍りのくじら』のラストでも郁也がピアノを辞めなかったことは描かれておりましたが、改めてピアノを引き続ける郁也の姿は素敵だと思いました。ちょっと切ないけれどね。
そして…衝撃の秀人&椿。まさか彼らが『ぼくのメジャースプーン』の
ぼく&ふみちゃんだったとはっ!!
もちろん気が付きませんでした。あの秀人といっしょに居たジェントルメンなおじさまは先生だったわけですね。最多出場じゃないですか、先生。しかし…まさかこの作品の根幹、契機となったのが
ぼくの持った例の力の所為だったとはっ!!!
なんかパワーアップしてないですか、力?まだ起こっていないはずの未来のことまで捏造させてしまうとは…恐るべし、ぼくの力。しかし、いくつになってもふみちゃんが絡むと冷静でいられない秀人…悪くない。美味しい。
そうそう『スロウハイツの神様』からチヨダ・コーキのお名前がひょっこり出てきたりもしてましたね。
作品単体の出来ももちろん上質な上、辻村作品スキーなら隅から隅まで楽しむことのできる一作。ただ、初めての辻村作品には向かないかもしれませんね。少なくとも『ぼくのメジャースプーン』だけは読んでおくことをお勧めします。
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名前探しの放課後(下) 著者:辻村 深月 |
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