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2007/12/18

『厭魅の如き憑くもの』 三津田信三

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ) Book 厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

著者:三津田 信三
販売元:原書房
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憑き物筋の家系と非憑き物筋の家系。

神隠しに遭い消えた子供とカカシ様。

ミステリと民俗学を融合させた刀城言耶シリーズ第一弾。

以前から気になってはいたのですが、“ミステリと民俗学の融合モノは疲れる”という経験則を打ち破るほどの魅力を感じることができずに敬遠してきた刀城言耶シリーズ。ですが「このミス!2008」の5位に『首無の如き祟るもの』がランクインしているのを見て、比喩でなく重い腰を上げた次第でございます。

結論から申し上げますと…

やっぱりミステリと民俗学の融合モノは疲れる

ミステリと民俗学の組み合わせは非常に相性が良く、禍々しい雰囲気を醸し出すことには成功しておるのですが…如何せん冗長過ぎる。斜め読み、万歳。カカシ様と邑の関係を読者に理解させる重要性はきちんと理解したつもりなのですが、ここまで同じ話を繰り返されるとさすがに飽きます。言葉や角度を変えただけで、結局どれも同じ話なんだもの。まぁ、それでも某Q○Dシリーズよりは融合が巧くいっているように感じました。

ついでにもうひとつミステリ読み人間として忌憚無い意見を申し上げますならば、探偵役たる刀城言耶が犯人を指摘する箇所をもう少し丁寧に描いて欲しかった。あの少ない頁では仕掛けられた“どんでん返しに次ぐどんでん返し”の魅力が半減。残り頁を確認した上で、「えっ?この小説、ちゃんと犯人指摘して終わるんでしょうね?」と要らん心配をしてしまいました。刀城言耶が最終的に指摘した犯人の数は4人。どれも説得力ある指摘にも関わらず、当て推量戦法に見えてしまったのは、その描写(頁数)の少なさに原因があると思います。

個人的には黒子=○太郎説に一番グッときました。○三郎が幼い頃に経験した神隠しの伏線が非常に美しく回収されていたと思う。ケッキョクチガッタンダケドネ。その所為で神隠し伏線が宙に浮いてしまった感が残念。一旦綺麗に回収された伏線を捨て、もう一度回収し直すのには高度なテクニックが必要かと。

まぁ、本作の最大の魅力は叙述トリックにあるのかもしれませんが。メタミステリ的要素を含んだ本作。「はじめに」を丁寧に読んだ読者こそ騙されるという罠。けれど、あの少ない残り頁で「実はこんな叙述トリックを仕掛けてたんですよ。貴方は気付きました?」と言わんばかりの解説(?)を読まされたのには閉口。ミステリ読み人間は皆まで言ってくれなくとも、気になったら自分で回収しにゆきますから。妙なところで親切心を披露してくれなくても結構。それなら犯人指摘をもっと丁寧に描いてくださいよ。

なぜか酷評レビューとなった本作ですが、個人的には好印象好評価なんでございますのよ。これは『首無の如き祟るもの』に期待大。その前に『凶鳥の如き忌むもの』に取り組むのをお忘れなく!

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コメント

どうも~♪ お久しぶりです!

久しぶりにまじょ。さんが動き出したなぁと思ったけど、僕も8月から記事書いていなくって、12月に復活した程度でした。

『首無の如く祟るもの』を最近読みました~。個人的にはあまり好きな作家ではないみたいです。

投稿: Cozy | 2007/12/18 21:04

☆Cozyさん☆
お久しぶりですっ!!
お恥ずかしながら復活しちゃいました!読書スイッチって、ある日突然消えたり点いたりするんですよね。いま、私の読書スイッチは「もうこれ以上入りません!」ってくらいオンになってますので、しばらくは頑張れそうです(笑)
『首無』はCozyさん的には今ひとつでしたか!?うむむ、私はどっちに転ぶやら…。

投稿: まじょ→Cozyさん | 2007/12/18 21:45

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