『心臓と左手』 石持浅海
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心臓と左手 座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス) 著者:石持 浅海 |
あの“座間味くん”がついに帰ってきた!
美味しい料理と共に提供されるアクロバティックな推理
さぁ、美味しく召し上がれ
あの名作『月の扉』で探偵役を努めた“座間味くん”の復活、というミステリファンにとって嬉しい一作が今日のレビュー作品『心臓と左手』でございます。「このミス!2008」では堂々の18位にランクインした本作。酒の肴に既解決事件の与太話を→それを聞いた座間味くんがアクロバティックな論理を展開する、という趣向の作品ばかりが集められた短編集。
私のフェイヴァリット作品は「水際で防ぐ」でしょうか。外来種が与える生態系変化の危険性を訴える団体で起こった殺人事件。与太話を聞かせてくれるのが警視庁の凶悪犯係(で、良いのでしょうか?)の現役刑事ということもあって、収録されているすべての作品はそういった危険団体ないしは宗教団体・テロリストたちが起こした事件として語られるのですが、この「水際で防ぐ」で取り扱われている団体はいろんな意味で凄いです(笑)海外からの貨物船に向けて、拡声器でシュプレヒコールを挙げる彼等。「いやいや、そんなの無駄だから!」と思わずツッコミたくなる彼等の活動に、アクロバティックな推理のメスを入れるのが座間味くん。その切れ味は読んでのお楽しみ。ただ、作品ラストの「彼らが大切にしていたのが、動植物だったのか、それとも人間だったのか」という台詞が素晴らしくて、思わずゾクッとしてしまいました。この一言があったから「水際で防ぐ」が私のフェイヴァリットになったと言っても過言ではないです。
次点は表題作でもある「心臓と左手」か、まさに『月の扉』その後と言える「再会」か。「心臓と左手」の推理の美しさは見事です。無理や無駄のないロジックにうっとり。その反面、「沖縄心中」の推理には無理が有り過ぎると感じました。ロジックの飛躍加減から言えば収録作の中で最も羽ばたいている作品だと思うのですが、「そこまで飛ばすのはちょっと無理があるような?」と感じてしまったのが事実。皆様、いかがでしょう?
「このミス!2008」レビューでも触れたのですが、やっぱり石持氏には練りに練られた長編を書いていただきたいと思った読了後。「沖縄心中」に感じた違和感はきっと、短編という限られた枚数で披露されたがための違和感だと思うのです。石持氏はじっくりと外堀を埋めてから「これで、どうだっ!!」と言わんばかりにひっくり返してくれるタイプの、貴重なミステリ作家だと信じておりますので。
なんて偉そうなこと言っておりますが、私自身も「じっくりゆっくり推敲してからレビューしないと…」と反省しきりでございます。
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