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2007/06/03

『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラー

ロング・グッドバイ Book ロング・グッドバイ

著者:レイモンド・チャンドラー
販売元:早川書房
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私立探偵フィリップ・マーロウ。

シニカルな思考と飛躍するカンバゼイション。

あの『長いお別れ』を村上春樹訳で読めるしあわせを。

「最近、洋モノ(笑)読んでないなぁ」ということで、話題の春樹プレゼンツ『ロング・グッドバイ』をチョイスしてみました。

『ロング・グッドバイ』と私の出逢いは高校生のとき。まだまだ“おこちゃま”だった私はマーロウの魅力の一片も、ハードボイルドがなんたるかも理解できず、

ただの皮肉屋さん

という認識しか持てなかった…アイタタタな過去。それから時を経て、四捨五入したら三十路という妙齢に達した私が、この『ロング・グッドバイ』をどう読むか。

やっぱり皮肉屋さん(笑)

でも、“ただの”は取れました。そして、マーロウの魅力もちょっとだけ、ちょっとだけ解ってきました。マーロウにとってシニカルは欠かせない要素。シニカルさのないマーロウなんて、ただのニートか?ってなもんで(それは俺の仕事じゃない、とか)

ひょんなことから知り合った駄目男・レノックス。とびきりの厄介事を持ち込んでくれた彼に、できる限りの友情を示すマーロウ。様々な表現で「この事件から手を引け」と忠告&脅迫を受けるマーロウであるが、彼は彼の信念の赴くまま。そんな中、マーロウに持ち込まれる新しい依頼。美女とのロマンス。意図したわけでも無いのに、軌道は自然とレノックス事件へと修正され。マーロウが最後に出逢う真実とは?

まじょ。的『ロング・グッドバイ』要約はこんな感じ。随所に“彩り”として配置されるハードボイルドの色合いが作品をさらに高めます。ミステリ作品としての『ロング・グッドバイ』は「だろうね」的結末。あそこで○○○○○が登場しなかったら詐欺だろ!と思うのは、世にミステリが溢れる今だからであって、本作の初出は1953年ですから。驚き。そして、不要とも思える描写たち。これこそが準古典に分類される本作の贅沢さ、なのでしょうか。物語に関係ない伏線や描写はいらないぜ!という、最近のコンパクトミステリには見られない姿勢かと。

本当にどうしてこんな云い回しができるのか…とうっとりすること数回。物語よりも、その美しい台詞に恍惚とさせられます。でも、やっぱりまだすべてを理解するには至らない。若いな、まだまだ。またいくつか歳を重ねたら再挑戦したい一作。素敵です。

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コメント

こんにちは。何気なく持ち込まれる依頼が自然とレノックス事件に繋がってゆくという流れは本当に面白いですね。私も「長いお別れ」読了したばかりで、長い間同じ作品だと気づかずにいました。。。ハードカバーは村上春樹訳なのですか。だったらハードカバーでも読みたかった気が。

投稿: ソラチ | 2007/06/16 08:07

☆ソラチさん☆
この作品の良さを奥底から理解するには、月日と経験が必要みたいですね…まだ甘かったみたいです。でも、こういうハードボイルド作品をきちんと理解できるような読書人になりたいと思いました。
春樹訳がこれまでの作品とどう違ったのか巧く表現できないのですが、言葉遊びは絶妙でしたよ!

投稿: まじょ→ソラチさん | 2007/06/17 02:35

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» 『ロング・グッドバイ』 [天竺堂通信]
 早朝、いきなり友人が訊ねて来る。暗く絶望的な表情で、ブルブルと震えており、片手に拳銃を持っている。何か重大な事件に巻き込まれたことは明白だ。  そんな時、あなたはサイフォンでコーヒーを淹れてやることができるだろうか?  私はできない。きっとできない。....... [続きを読む]

受信: 2007/06/10 19:14

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