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2007/06/11

『少年検閲官』 北山猛邦

少年検閲官 Book 少年検閲官

著者:北山 猛邦
販売元:東京創元社
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森に行ってはいけないよ。

森には恐ろしい『探偵』が居るんだ。

『探偵』に殺されたくなかったら、森に行ってはいけないよ。

この作品をどう評価したら良いかわからん。いろんな意味で、

北山猛邦氏らしい作品でした。

この言葉をどの方向性で受け取るかはアズユーライクで。

書物が追放された世界。何人も書物の類を所有してはならない。書物を隠し持っていることが判明すれば…焚書。それも家屋もろとも。

そんな書物の失われた世界=ミステリの失われた世界で、ミステリに焦がれる少年・クリス。クリスがミステリを求めて辿り着いた街で行われる『探偵』による殺戮。ミステリを知らない=殺人を知らない住民にとって、その殺戮は自然死と同義。ミステリとは?探偵とは?殺人とは?

うーむ。あらすじを追ってみましたが、やっぱり評価し難い。タイトルでもある少年検閲官が登場してからの物語の加速感は良し。やっぱり物語を動かすのは探偵なんだと実感。でもね、少年検閲官=名探偵登場までが序章だとするならば、3分の2が序章ではないですか!そんな長い序章読まされても!!

ミステリとは?探偵とは?といった哲学的なものに殆ど興味のない私。ミステリとは純粋なエンタテイメントだと想ってますので。序章が長すぎるおかげでエンタテイメント性に欠ける本作。

いきなりネタバレしますが、犯人である『探偵』が殺戮を行う理由は、失われた書物を再生させるため。書物に欠かせない“紙”を手に入れる為、不可解な十字架を描き続ける犯人。そんな、殺人を犯してまで手に入れたかった“紙”が自分の眼の前にある、自分が今まさに手にしていると思ったときに、若干背筋に冷たいものが奔りました。でも、でも、それだけなんだよなぁ。

父親の形見たるチョーカーがガジェットってな結末も、そのガジェットを前にしたクリスとエノの友情ってのも良かったんだけど、長すぎる序章がすべてを台無しに。冒頭で訴えた北山猛邦氏らしい作品ってのは、本当に云い得て妙だわ。北山氏の作品って、いつも思わせぶりなままラストまでゆくんだもの。

そうそう、北山氏=メフィスト賞繋がりで一言。いよいよミステリ・フロンティアから満を持して石崎幸二氏の作品が発売されますね!!何年ぶりだ、石崎氏!待った、待ったよ石崎氏!!もう、すんごい愉しみなんです。

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コメント

こんにちは。
いや全く同感です。
もっと短くても良かったというか、
短いほうが良かったというか。
意外な動機は面白かったですが。
そこにたどり着くまでがちょっと冗長・・・。
短編にして切れ味鋭くまとめれば
傑作になったかも。

投稿: 木曽のあばら屋 | 2007/06/11 23:11

☆木曽のあばら屋さん☆
コメントありがとうございます!
>短編にして切れ味鋭くまとめれば傑作になったかも。
眼から鱗!短編としてなら、この凝った趣向を活かした傑作になった可能性ありますね!!本当に冗長という言葉の似合う一作でした。
違う“ガジェット”を使った少年検閲官モノが書けそうですよね。読んでみたいような気もしますが…そのときはもっとスマートな作品をお願いします。

投稿: まじょ→木曽のあばら屋さん | 2007/06/13 21:08

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