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2007/04/08

『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介

向日葵の咲かない夏 Book 向日葵の咲かない夏

著者:道尾 秀介
販売元:新潮社
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学校を休んだS君のために届け物をした僕が見たのは…S君の首吊死体。

S君の死の真相に“僕と妹・ミカとS君の生れ変わり”という3人組(?)が挑む。

さぁ、誰が物語を終わらせよう?

『背の眼』で美しく儚いホラー&ミステリを届けてくれた道尾秀介氏が、「このミス2007」17位に送り込んだ本作は…

グロテスク作品でございました。

「分類不能、説明不可、ネタバレ厳禁!超絶・不条理ミステリ」という帯の謳い文句が、まさにぴったり。ミステリでもあり、ホラーでもあり、怪談でもあるかもしれない。ネタバレ厳禁!の文句はさらっと無視して、当ブロ愚ではネタバレレビューと相成りますので、未読の方はご注意を。

もう、道尾氏の仕掛ける叙述トリックにひっかかりまくり!妹・ミカの言動が3歳児にしては大人過ぎる…とは思っておりましたが、まさか○○○だとは思いもよりませんでした。だって、お母さんがさ、「ミカ!ミカぁ!」って五月蝿いから…まさかミカ違いとは(しかもどっちもミカじゃない)。

S君の生れ変わりだという蜘蛛が吐く”嘘”にもやられっぱなし!嘘を吐かなかった登場人物も居なかったわけですけれども…トコお婆さんくらいか?でも、彼女もその存在自体が嘘みたいなものだからなぁ。そもそも主人公たる僕(ミチオ)自身が読者に秘密を抱えておりますからね。しかし、彼はいろんな意味で超絶だったわ。

そうそう、ミチオのフルネームは摩耶道夫とのことで。ミチオが名字であったならば、『向日葵~』のミチオが大人になって『背の眼』に登場した道尾秀介になった=だから『背の眼』で少年の声が聞こえた…みたいな妄想ネタが使えたのですが、違うようです。どうやら麻耶雄嵩へのオマージュ的名字のようですね。確かに、読了後の印象(不条理加減)なんかは麻耶作品に近かったです。

そして、作品全体に横たわるグロテスク描写!犬猫の連続虐待に始まり、死体への装飾、性的異常者、そして火事。もう、お腹いっぱいです。『向日葵~』への総合評価は☆で表すならば×4というところなのですが、あのホラー的雰囲気がもう少し薄まれば×5も点いたかもしれない。ホラーは苦手なんです。意味の無い要素は無いといえ(伏線の回収ぶりは見事です。下駄箱の鉢植えとか、百合のスミダさんとか)もうちょっと抑えた描写に徹していただけたら。ミチオが犯人(でも、偽の)を追い詰めた際なんて、小学生のミチオに本気で恐怖を感じました。道尾氏の力量故なのだと、評価は出来るのですが…。

最後に漸く家族を取り戻し、両親&ミカと親戚の家へと旅立つミチオ。その影がひとつしか無かったのは…きっと気のせいでしょう。ホラー。

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