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2007/04/10

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』 桜庭一樹

少女七竈と七人の可愛そうな大人 Book 少女七竈と七人の可愛そうな大人

著者:桜庭 一樹
販売元:角川書店
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辻斬りによって生を受けた少女・七竈。

彼女は“たいへん遺憾ながら”美しく産まれすぎたために、諦めなくてはならないことも多かった。

そんな少女の喪失の物語。

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』と『赤朽葉家の伝説』を両手に思案すること5分。同じ“女の物語”ならば、少しライトなもので助走をつけようと、選んだのがこちらでした。あら、『Sweet Blue Age』に収録されていた「辻斬りのように」の続きじゃない?と嬉しくなってみる。

本作は「辻斬りのように」で複数の男性と関係をもった女から産まれた少女・七竈の物語。母の辻斬りは七人の男を相手にした後も、終わること無く。定年退職した祖父と定年退職した犬と、鉄道模型に囲まれて暮らす七竈。母の所業は小さな旭川では有名で(旭川はそこまで小さくないやい!というツッコミを道産子の私はしてみる。あと、北海道では県立高校ではなく道立高校と呼びます)、友だちも居ない七竈。そんな七竈の唯一の楽しみは…同じく“美しく生まれすぎた”雪風とのひととき。

父親を知らない七竈。決して美しくはなかった母親。美しかった過去を持つ雪風の父親。まるで兄妹のように似てくる雪風と七竈。好きに愛してはならないヒト…。

うぉぉぉぉ、切ない!!

まさか桜庭作品でこんな気持ちになろうとは。時代錯誤の言葉を駆使し、妖しげな雰囲気を醸し出す美少女・七竈には、腐女子として邪に好感を持ちました。その七竈の屈折した母親への想いと、雪風への想い。好きだから愛しているから、好きだからこそ愛しているからこそ、離れなくてはならないふたり。これ以上いっしょの時を過ごして、現実を目の当たりにしてしまうのが怖いから。美しいすぎるという個性を没個性とするために、旭川という生まれ育った場所から離れることを決めた七竈。

なんでしょう、私の妄想心をくすぐるのに充分な作品でございました。これまでの桜庭作品は、実はよくわからなかったのですが…本作は良いと思った。七竈の喪失の哀しみが、そうとはっきり描かれているわけでは無いのに、どしーんと伝わってきた。これは『赤朽葉家の伝説』も期待できますね!

本作は装丁のイラストも素敵で、読者のイメージ(私の場合、妄想)を助けるのに充分役立っていたと思います。七竈と雪風の美しさ…出逢いたい。

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コメント

こんにちは。
図書館シリーズと新刊に追われて、
この記事持ってましたけど、ご訪問が遅くなりました(汗)。
七竈の切なさや喪失の哀しみが伝わってきましたよね。
母娘の確執、そして鮮やかな旅立ちも印象的でしたね。
『赤朽葉家の伝説』もいいですよ~(記事あります)。

こちらからのトラバが通らないので、このコメントのアドレスにページリンクを付けました。
直接ページに着きますので、トラバもしやすくなるかと思います。
お手数おかけします。よろしくお願いします。

投稿: 藍色 | 2007/04/25 14:50

☆藍色さん☆
コメント返し遅くなりまして申し訳ないです。
趣味の時間って、忙しいときには真っ先に削らなきゃいけないってのが哀しいですよね。ちょっとした時間を積み重ねて1冊読んでたら、1週間もご無沙汰しちゃってました。藍色さんもオススメの『赤朽葉家の伝説』が未だ読めておらず…無念だ。
TBの件、本当にどうしちゃったんでしょうか。ココログの方でなんとかしてくれないと、ユーザサイドでどうにかできるレベルの問題じゃないのに…ご迷惑お掛けしてます~。

投稿: まじょ→藍色さん | 2007/04/30 17:42

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カバーイラストは、さやか。ブックデザインは鈴木成一デザイン室。 野性時代2005年12月号から2006年5月号までの連載を加筆訂正書籍化。 母、川村優奈が二十五歳で、ある日“辻斬りのように男遊びがしたい... [続きを読む]

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