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2007/04/12

『紙魚家崩壊』 北村薫

紙魚家崩壊 九つの謎 Book 紙魚家崩壊 九つの謎

著者:北村 薫
販売元:講談社
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1994年から2005年まで長き時を経て、今ここに集結。

優雅なのにホラー、そしてミステリ。

貴方のどの北村薫がお好き?

見事に異なる作風が集まった短編集。バラエティ。北村薫の幅広い力量が示される一冊です。単行本の収録に漏れ続けた作品ばかりが集まっている…割には、レベル高!?描かれているのは東野圭吾氏の『名探偵の掟』を彷彿とさせる超メタミステリや、背筋に冷たいものが奔るホラー、ラブストーリー、そして御伽噺まで。

北村薫氏と私の出逢いは『スキップ』なのですが、3部作の最終巻『リセット』が未だ読めずにいて(絶賛積読中)それが心残り。個人的な北村ベストは『リターン』。北村氏の魅力はその詩的でゆるやかな文章だと思っております。

その魅力がどの作品でも惜しげもなく披露されております、本作。私の読書遍歴はかなり偏っております故、北村氏とのお付き合いもミステリが中心だったのですが、北村氏の書く文章はホラーにこそマッチするかもしれない。いや、北村ミステリも大好きなんですけれども!!

一番のお気に入りはブラックユーモアの利いた「俺の席」でしょうか。友人宅からの徹マン帰りに始発通勤電車に乗った主人公。車内はガラガラなのに、なぜか自分の前に立ちはだかる男。男が呟く…「そこは俺の席だ」。あるあるある、そういうことってある!!私は通勤にバスも地下鉄も利用していないので、現在キープ中のmy席って無いのですが、高校生の時はバスの一番後ろの右側を常にキープして学校に通っていたものです。乗り合わせるのはいつも同じ顔、同じ席。いつもいっしょになる他校の生徒がいなかったりすると(当然話したことはない)「あれ?今日は○高、開校記念日かなんかだったか?」と妙に心配になったものです。

ミステリ&ラブストーリーの融合、「白い朝」も素敵でした。まさかおばさんのマシンガントークから始まった作品が、しっとりとしたラブストーリー(しかもミステリ付)に化けるとは思いませんでした。私もあんなピュアラブしてみたいわ。秘密の暗号、ふたりだけの記号。す・て・き。

表題作「紙魚家崩壊」と「死と密室」に登場した“両手が恋をしている女と探偵”シリーズもまたどこかで読みたいな、と。ミロのビーナスの不在の腕盗難事件が読んでみたいものです。

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コメント

おお、意外な好評価!!(ですよね)
北村ファンではありますが、これはちょっと・・・て思いました。「新釈おとぎばなし」が一番良かったかな~。
ちなみに「リセット」は三部作の中で一番好きで、北村さんベストは「冬のオペラ」なのです。

投稿: たいりょう | 2007/04/17 17:37

☆たいりょうさん☆
結構愉しめましたよ~。
でも、往年の北村作品と比べるとやっぱり…私がまだまだ読み込めてないこと丸解りでしょうか?
未読の『リセット』がたいりょうさんオススメですか!現在進行中の腐れプレイ日記が終わったら、積読解消してみようかなぁ。あの無秩序本棚から見つけることができるかが、いちばんの問題ですが…。

投稿: まじょ→たいりょうさん | 2007/04/17 23:45

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受信: 2007/04/17 17:38

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