« 『ハンプティ・ダンプティは塀の中』 蒼井上鷹 | トップページ | 『二枚舌は極楽へ行く』 蒼井上鷹 »

2007/03/05

『墨攻』 酒見賢一

墨攻 Book 墨攻

著者:酒見 賢一
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

その哲学と戦術を以って戦国時代を生きた守りのスペシャリスト集団・墨家。

墨家からその城を守るために使わされたのは…たった独りの男。

男の指揮の下、自分たちの生活を守るための戦いが始まる。

す、すみません(2度目)

2度目ともなると、いきなりの謝罪も空々しくなりますね。最初から空々しかったというツッコミの声も聞こえてきますが。えーっと、もう忘れたい気持ちで一杯なのですが、現在20000HIT御礼館レビューの真っ最中でございまして、そのラストを飾る『暗黒館の殺人』が未だ読了しておりません。「どの辺りまで読み終わってるわけ?」というツッコミには強気で「答えたくありません」と逆ギレです。そして、今日も『墨攻』レビューでお茶を濁すわけです。(反省の色が見えないな、自分)

でも、『墨攻』はバスタイムのお供に連れて行って、そのままお風呂場で読了したわけでして、『暗黒館』の進行をそこまで邪魔す…むにゃむにゃむにゃ…もう云いません。でも、本当にあっという間に読めちゃいます。この薄さが潔いですね(←まだ云うか!?)

『墨攻』を手に取ったきっかけは、映画の宣伝の中で酒見賢一氏が原作者だと紹介されていたからです。酒見氏は“常に動向をチェックしているわけではないけれど、どこからか情報が入ってきたら読みたくなっちゃう作家”の一人。酒見氏の処女作『後宮小説』は私のオールタイムベスト10に食い込んでくるほど好きな作品です。『泣き虫弱虫諸葛孔明』も最高!どうやら『泣き虫~第二部』が刊行されたようでして、酒見氏マイブーム、来るかも!?

さて、肝心の『墨攻』レビューですが、この「すわっ、これは教科書か!?」ってくらい短いセンテンスと説明的文章が如何にも酒見節。普通ならガンガン批判するところなのですが、これが酒見氏の味でして、ラストはしっかり読ませてくれるから不思議とそんな気分にはならないんですよね。

映画は観てないので、ラストのあの落とし方にはちょっとびっくりしました。まさかあんな風に落ちるとは(二重の意味合いです)。純然たるハッピーエンドにしないところが、如何にも酒見節。『後宮小説』もね…って、それはまた別のお話。ヤバイですね、『後宮小説』読みたくなってきましたよ(←おいおいおいおいおいおい)

歴史物は唐突に意味不明な言葉が出てきて説明も無いから…と苦手意識をお持ちの方も、『墨攻』は安心して手に取っていただけるのではないでしょうか?とにかく平たく平たく墨家の思想(哲学や戦術)が描かれていて、すーっと頭の中に入ってきます。逆に歴史に詳しい人ほど物足りなさを感じるのでは?

というわけで、原作を読んで全然興味の無かった映画が観てみたくなった!という、宣伝効果バッチリの一冊。映画を御覧になった方も是非どうぞ。

|

« 『ハンプティ・ダンプティは塀の中』 蒼井上鷹 | トップページ | 『二枚舌は極楽へ行く』 蒼井上鷹 »

コメント

こんにちは。
コメントありがとうございます。
とってもエンタテインメントで、面白かったですね。
ほんと、“これは教科書か!?”って思えるほどの簡潔な文章でした。
『後宮小説』、オールタイムベスト10に食い込んでくるほどお好きなのですね~。私は酒見さん、初読みでした。

トラバ、なぜか未着でした。
お手数ですが、もう一度していただけますか?

投稿: 藍色 | 2007/03/22 11:50

☆藍色さん☆
こちらこそコメントありがとうございました。
酒見氏の文章は本当に簡潔で的確。この力って、本当に大切だな…と最近読んだある作品を思い浮かべては溜息がでます。
酒見氏の描く偽(?)中国物語も私の歴史スキー心を擽りますし、至れり尽くせりです。嬉しい。
トラバ、失礼致しました。再送信させていただきました。今回はちゃんと届いた模様です!

投稿: まじょ→藍色さん | 2007/03/23 15:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/5573628

この記事へのトラックバック一覧です: 『墨攻』 酒見賢一:

» 墨攻 [風と雲の郷(読書と時折の旅と・・)]
 昨日の夜は、映画「墨攻」の試写会だった。 小国梁は、趙の大軍に攻め込まれようとして、墨家に助けを求める。墨者の革離は、一人梁城に乗り込み、梁軍を指揮して、趙軍を撃退するが、革離の人気を妬んだ梁王とその取り巻きたちに裏切られる。 ちなみに、墨家は、中国...... [続きを読む]

受信: 2007/03/05 19:32

» 「墨攻」酒見賢一 [読書とジャンプ]
いやもう、面白い!うすっぺらい文庫本なのであっという間に読めちゃいますが、文章の密度が違う。一つの文章にライトノベル1ページ分の情報量がつめこまれてる感じです(笑)こうゆう佳品を読むと、やっぱ時代小説はいいなあ、としみじみできますね。淡々とした語り口に...... [続きを読む]

受信: 2007/03/10 10:11

» 墨攻 酒見賢一 [粋な提案]
カバー装幀・挿画は南伸坊。1989(平成元)年、『後宮小説』で第1回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。主な作品『墨攻』、『陋巷に在り』(中島敦記念賞)、『周公旦』(新田次郎文学賞)、『聖母の部隊』、『ピュタゴラ... [続きを読む]

受信: 2007/03/22 11:35

« 『ハンプティ・ダンプティは塀の中』 蒼井上鷹 | トップページ | 『二枚舌は極楽へ行く』 蒼井上鷹 »