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2007/03/23

『東京奇譚集』 村上春樹

東京奇譚集 Book 東京奇譚集

著者:村上 春樹
販売元:新潮社
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不思議な、あやしい、ありそうにない-奇譚。

そんな奇譚話を集めた村上春樹短編集。

さぁ、春樹ワールドの調に身を委ねよう。

“普段の精神状態なら絶対に手に取らないであろう”作品群、第2弾は大御所・村上春樹氏です。「えっ?嘘!いまさら??」感満載の方もいらっしゃろうかと思います。実は私、村上春樹氏は『ノルウェイの森』しか読んだことございませんでしたの…うふっ♪

とくに苦手意識を持って避けていたわけではないんです。私のこれまでの読書遍歴は基本スタンスがミステリミステリミステリ・・・・・・ミステリ一辺倒だっただけで。ミステリではない作品を読むきっかけも、その殆どが“装丁が綺麗”とか“話題だし”ってなもんで。村上春樹氏くらい有名(ノーベル文学賞獲るかっ!ってくらい)だと、自然とその作品のあらすじとか結末が耳に入ってくるので、それで読んだ気になっちゃうっていうのも本音。

というわけで、『ノルウェイ』以来○年ぶりの村上春樹作品です。村上春樹氏の作品の特徴は細部まで亘る人物(あるいは料理、場所、空間)の描写だと思っている私。女性の身にまとっているものから、その立ち振る舞いまで読者に的確にイメージできるように描写する。でも、肝心のその中身はいつもビロードのベールがかかっていて、容易に覗くことができない…そんな素敵描写が村上春樹氏の特徴だと思っていました。どうでしょう?合ってます?

そんな“あやしさ”が文章の根底に流るる上に、作品集の主題まで奇譚(不思議な、あやしい、ありそうにない)だって云うんだから、どれだけあやしい作品がくるのかと思っていたら“妖しさ”でびっくり(笑)最後に収録されている「品川猿」は妖怪だと思い込んでいる私…って、春樹作品の読み方はそこじゃない!って怒られますか?

本奇譚集でもっとも好みだったのは「偶然の旅人」ですね。こういう偶然が起こることを常に待っています…って、それは意識しているかいないかの違いであって、いま私の側でも素敵な偶然が起こっていると氏は指摘しているのだけれども。この「偶然の旅人」はジャズの旋律を描いた部分が素敵でした。思わずジャズCDに手が伸びるくらい。日常的に好んで聴いているわけではないけれど、良質のカフェにはやっぱりジャズがかかっていて欲しいと思うくらいにはジャズ好きです。アドリブがアドリブを生む、無から有が生まれる最高の瞬間に最高の偶然に居合わせたいと感じた一作でした。

“春樹チルドレン”と評される本多孝好氏があんなに大好きな割に、そのお父さんを読んでないのもアレですしね。これからも(短いものから)春樹ワールドを自己の中に取り入れてゆこうかな…と思った、そんな“普段の精神状態なら絶対に手に取らないであろう”作品でした。

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