« 『十角館の殺人』 綾辻行人 | トップページ | 『まじっく快斗 4』 »

2007/02/19

『水車館の殺人』 綾辻行人

水車館の殺人 Book 水車館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

あの中村青司が設計した水車館に訪れた突然の落雷と殺人。

現在と過去が交互に語られる中、明かされ繋がってゆくふたつの事件。

解き明かすは…島田潔。

20000HIT御礼だ!と勝手にお送りしております館シリーズ連続レビュー。さっそく第二弾『水車館の殺人』を上梓です。

あぁ、やっぱりお館様は最高だ。

『十角館の殺人』で「さぁ、どうだ!」と云わんばかりに私の度胆を抜いてくれた館シリーズ。一作目に傑作が出来上がってしまうと、二作目三作目は如何せん凡作が出来上がってしまうという出版界の負の約束事を、ここまで見事に裏切ってくれるとは!普通は五作目くらいまで泣かず飛ばずで、いきなり信じられないくらいのヒット作が生まれたりするものなのですが(その五作目に『時計館の殺人』がくるあたりに、もう鳥肌が立ちます)。

さて肝心の『水車館の殺人』レビューでございますが…これまた度胆を抜かれること間違いなし!手垢が付くほど再読を繰り返している私でも、島田潔によって真相が明かされる瞬間に“ゾクゾクッ!”としてしまいましたもの。この記念レビューは常時ネタバレアリですので、怪傑ズバットの如くネタバレしますが、ミステリのお約束「入れ替わり」を一人称でこうも巧みに仕掛けられるとは思っておりませんでしたよ!!

その叙述の罠には、解答を知っている再読者(私)が読んでも舌を巻くほど。『水車館』は親切設計になってまして、ラストの場面で綾辻氏が仕掛けた記述の罠をしっかり回収してくれているのですが(例えば342頁の「どうしたって、あの時のようにはピアノを弾いてやれない…」とか!)もうそんなに懇切丁寧に語ってくれなくたって読者は判ってくれるよ!と伝えたくなるほど、巧い。またもや「入れ替わり」の事実を告げられたときに5分程ページを捲る手をフリーズさせた私。もちろんフリーズが解けたときに捲ったのは解決編ではなく、これまで1時間かけて読み広げてきたページであったことを告白しておきます。

もう、この館シリーズを読めばミステリの主流トリックの殆どを知ることができると云っても過言ではありませんね!まさに、エンターテイナーです綾辻氏。

しかも、これまたミステリでお馴染みの「色覚異常」まで絡めてくるんですから…巧すぎる。「色覚異常」と絵画を絡めた清涼院流水氏の『ジョーカー』と『水車館』が頭の中で混線をきたしていた私は、ラストに『幻影群像』の詳細が明らかになったときに「あれ?」と思ってしまったものですが、それはご愛嬌ということで。

とにかく、凡作覚悟で読む必要なんて一切無し。『十角館』に負けないクオリティを持った『水車館の殺人』。心からの忠誠を込めてこう呼ばせていただきます。「お館様」、と。

|

« 『十角館の殺人』 綾辻行人 | トップページ | 『まじっく快斗 4』 »

コメント

実は水車館が一番好きなんですよ すごいマニアックかもしれませんが超センチメンタルで好き ミステリーで読んでないかもしれません
いや〜感想を読んでると私も読みたくなります

投稿: きりり | 2007/02/19 23:40

実はこの叙述トリック、第2章(?I)うぃ読み終わった時点でピンときたんですよね。で、メモを取りながらブツブツと推理した内容がドンピシャ♪そういった意味では思い出に残ってる作品ですね。
お館様よりもとにかく絵の方が印象に残ってますね。

投稿: たいりょう | 2007/02/20 17:37

☆きりりさん☆
きりりさんのベストは『水車館』ですか!「僕をまだ愛しているかい?」(←すでにうろ覚え…)あたりはグッときますね。センチメンタル、確かに。
館シリーズはどの作品もベストたる資格を持つからすごい。読者の数だけベストはあるものですが、これだけ意見の分かれるシリーズもなかなか無いのでは無いでしょうか?

投稿: まじょ→きりりさん | 2007/02/20 19:15

☆たいりょうさん☆
まだまだミステリ歴の浅かった当時の私は、すっかり騙された口です。経験を積んだ今だって気付けるかどうか…でも、騙されても爽快、トリックに気付いても爽快なミステリ読みはやっぱり止められません!
絵は…絶対怖い。あんな絵、美術館かどこかに飾ってあったら絶対子供が泣くよ…。

投稿: まじょ→たいりょうさん | 2007/02/20 19:24

はじめまして。きなこと申します。
水車館、昨日読み終わりました!
すごく面白かったです。
犯人の(私には弾けない。あのときの~)というところでもしや?と思ったのですが、いくらなんでも執事が気付くかな~と。でもやっぱり!でした。
ユリエさんは最初コワイ女性だな~と思ったけれど、もしかしたら誰でもいいから塔の外に出して欲しかったのかもしれませんね。
次、迷路館を読んだらまた遊びにきます。

投稿: きなこ | 2010/09/22 14:32

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/5391858

この記事へのトラックバック一覧です: 『水車館の殺人』 綾辻行人:

» 水車館の殺人 著者:綾辻行人 [たいりょうのちょっと一息]
marquee vspace=3 height=1 direction=up bgcolor=dodgerblue/marquee font color=redB惨劇に彩られた「十角館」と同様、奇矯な建築家・中村青司の手になる「水車館」。古城を彷彿させる館の主は、過去の無惨な事故ゆえ常に仮面をつけた藤沼紀一。妻は幽囚同然の美少女。1年前に起こった奇怪な殺人と、一人の男の密室からの消失。舞台は整った。1年後のいま、戦慄の大トリッ..... [続きを読む]

受信: 2007/02/20 17:38

« 『十角館の殺人』 綾辻行人 | トップページ | 『まじっく快斗 4』 »