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2007/02/26

『空の中』 有川浩

空の中 Book 空の中

著者:有川 浩
販売元:メディアワークス
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高度2万メートルで起こった謎の航空機事故。

事故の原因究明のため乗り出した青年と航空機乗り。

事故の傷を癒そうともがく少年と少女。

彼らが見た空の中の真実とは?

20000HIT御礼館シリーズ一気読みレビューの最中ではありますが、ド嵌り中の有川浩氏の作品が入手できたとあっては読まずにはいられません。明日はどんな中村青司の呪いが私を襲うのか(洗濯物干しは買い替えました)

さて、本作は有川氏初のハードカバー作品『空の中』。まず、装丁がキレイ。波打つ雲にすっと走る高度計。『図書館戦争』シリーズの徒花スクモ氏のイラストも可愛らしくて素敵ですが、『海の底』とも通ずるこの装丁も良か良か。装丁だけで読んでみたいと思わせる力を持つことも必要よね。

それでは、肝心の物語ですが…

またもた巨大生物登場!?

私は有川作品を逆打ちで読んでるので(新→古)またもやとなります。っていうか、今回は生物ですら無いのか…怪獣!?でもないやね。白鯨って、どういうカテゴライズを望むのでしょうか?むしろカテゴライズという概念自体を嫌うでしょうね。でも、瞬&佳江コンビがUMAだといってフェイクを持ち帰ったときには、本気で気持ち悪いと思いました。よくそんなもの素手で掴もうと思うな、本当に。

そんなフェイクと対照的なのがディック。なんでしょうか?大きいとちょっと平気になるのでしょうか。ディックは比較的冷静な目で見ることができました。知能レベルの差もあるのかもしれませんが。ブツ切れかつ瞬に盲目なフェイクは、やっぱり怖いんですよ。フェイク&瞬に一国を任せて良いと思うことは決してできない。やはりセーブ・ザ・セーフの方向性は間違っているという証拠ですね。

本作の主人公はやはり瞬なのでしょうが、一番私を捕らえて離さなかったのは高巳です。高巳は『クジラの彼』で既にお知り合いだったのですが、「ファイターパイロットの君」とはまた別人な高巳がここには居ました。絶対に『空の中』で描かれる高巳に胸キュン!笑顔で毒舌という、私のストライクゾーンを用意してくれておりましたか。光稀にお願いされて頑張っちゃう高巳なんて、素敵すぎて鼻血が出そうです。ディックとの会話がうまく成り立たなくて(ディックの一戦構えるもやぶさかでない発言の時)の、あの慌て方も素敵。って、とにかく素敵なんだね、自分。

でもやっぱり、今の有川作品に比べるとラブロマ要素もギャグ要素も少なくって、物足りなく感じてしまうのも事実。ただ、それは未来の作品にどんどん期待ができるという意味で、明るいニュースに違いない。有川氏の既刊作品は残すところ『塩の街』だけですか…寂しい。『塩の街』はいざというときのために残しておいて、これからの発売を今か今かと待ち望むことに致します。

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2007/02/24

『黒猫館の殺人』 綾辻行人

黒猫館の殺人 Book 黒猫館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
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記憶を失くした老人が江南の元に持ち込んだ“手記”。

その手記に描かれた殺人事件は妄想か真実か?

中村青司が手掛けたという黒猫館は一体どこに?

漸く『黒猫館の殺人』まで到達いたしましたか。『びっくり館の殺人』は既にレビュー済ですので、残すは『暗黒館の殺人』…正直タジタジです。できればずっと読んでいたかった『黒猫館の殺人』。なにはともあれレビュー。

この『黒猫館』を読み終えたときの正直な感想は…

すわっ、バカミスかっ!!

です。そんな真面目くさった顔で「実は黒猫館は○○○○○に有ったのです!」とか云われたって爆笑!だって、○○○○○よ?○○○○○以外のどこにあったって、こんなに笑えなかったと思う。なんでしょう、言葉の響きですね。

でも、黒猫館が○○○○○に有る必然性はナルホドくん。中村青司の変人ぶりもさることながら、天羽博士もなかなかやります。中村青司じゃなきゃ、そんな仕事請け負わねぇぜ!って感じ。でも、これまで登場した館のなかで、一番住んでみたいかもしれない『黒猫館』。『十角館』はそんなに部屋いらねぇ!感満載ですし、『水車館』は部屋の行き来が大変そうだし、『迷路館』はもうアトラクション化してるし、『時計館』はそんなところで眠れません、許してください。その点、『黒猫館』はモチーフも可愛らしいし、○○○○○に有るんでなければ住みたいです。

そうそう、ちょっと前になにかのレビューで「ドジスンの作品をちゃんと読んだことない」と書いた気がするのですが(検索してみたら『英国庭園の謎』でした)、この『黒猫館』にも登場してきたことで、さらに読みたい気持ちが上昇しました。でも、翻訳モノは訳者の言葉選びが肝心だからなぁ。ちゃんと調査してから選ばないと危険ですね。

って、殆どが『黒猫館』に関係ないことばっかりだわ。危ない危ない。この『黒猫館』は『時計館』の次ということもあって、ちょっとパンチが足りないような気がしてしまいますが、私は結構好きですね。○○○○○のあたりなんて、すっかりバカミスだし(まだ云うか!?)でも、生前の中村青司を知る人物との邂逅により、さらに中村氏の根っこの部分を知ることのできる作品かもしれません。

それを云うなら次巻の『暗黒館の殺人』に勝るものは無いのですが…。

あぁ、あの物理的殺人級厚さを誇る『暗黒館』に手を付けるときがきましたか。まさかこんなに早く再読の時がくるとは思っておりませんでした。南無三。

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2007/02/23

『時計館の殺人』 綾辻行人

時計館の殺人 Book 時計館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
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108個の時計が時を刻む時計館。

時計の針が進むにつれ、死体となってゆく仲間たち。

殺人犯は時計館の亡霊か?館シリーズ第五弾!!

『人形館の殺人』レビューがあまりにもアレなもんでTOPに置くのは忍びない…と畳み掛けるように『時計館の殺人』レビューをupです。この『時計館の殺人』は、

館シリーズNO.1との呼び声高い名作

『十角館』『水車館』でかましたあの5分間フリーズをこの作品でももちろんかましました。だって、だって、旧館と新館で○○の○○が違うだなんて!鹿谷氏(この作品からはこの名称が定着)の最初の指摘を受けて、残りのページを貪るように読んだおもひでがあります。一瞬、なんのこちゃい?状態だった私。

作中で鹿谷氏が何度か語る“時間の概念”。こういう哲学的なことは難しい上に建設的じゃないから苦手なんだよ~とナナメ読みを決め込んでいた私は、どっさり後悔することとなります。見事に確信じゃんか!?

わかる人にはきっとわかるのだろう、このトリック。でも、鹿谷氏の解決編まで気付かずに読むことができたら…きっとこの『時計館の殺人』を最適な形で楽しむことができるのではないかと、今回の再読で確信しました。この『時計館』トリックは、その衝撃度から決して忘れることのできないトリック。一度読んでしまったら「あれ?この作品のトリックってどんなのだっけ?」だなんて呆けることは不可能です。そのため、再読時にはそのトリックがずっと頭の中を駆け巡る…この作業、結構頭使います。物語に入り込むことが出来なかった。これが叙述トリックと物理トリックの楽しみ方の相違なのか、と妙に感慨深い。やっぱり、私は叙述をふんだんに駆使した作品の方が好きだな。

でも、『時計館の殺人』が名作であることに変わりは無く。鳴る為の機能を所持していない鐘の音が聞こえたとき…ぞぞぞっと鳥肌が立ちます。再登場を果たした瞬間に悲劇に巻き込まれる形となった江南くんには、皆で哀れみの合掌を。中村青司の設計した館で怪事件が起こる…というよりは、その館に鹿谷氏が介入した瞬間に最後のスイッチが入ってしまうといった方が正確だな…と思ったり。

とにかく、この作品はトリックを知らぬまま、できれば推理なんてうっちゃって、物語の重圧感を存分に楽しんだ後、いっしょに仰天して欲しい。そんな思いを込めて、お勧め。『時計館』に仕掛けられたトリックは、まさに天からの授かりもの。そんな至福の思いを皆様も是非。

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2007/02/22

『人形館の殺人』 綾辻行人

人形館の殺人 Book 人形館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
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京都の街をマネキンで彩る人形館。

中村青司の呪いはここにも現れる?

館シリーズ異色作とも呼べる、衝撃の第四弾。

20000HIT御礼だ!と云いながら、なかなか再読する機会のないシリーズものを消化しているに過ぎないかもしれないこの企画。お館様シリーズもようやく折り返し地点です。

さて、最初に謝っておきましょうか…ご、ごめんなさい!

えっと、この『人形館の殺人』がお好きな方は、ここからのレビューは読まれないほうが懸命です。企画レビューと云えども、当ブロ愚の構成要素は基本的にぶった斬り。今日は…斬ります。

なにをくどくど…とお思いでしょうが、要するに“私的にこの『人形館の殺人』は館シリーズとして認めていなくってよ!?”という思いの現われです。だって、そもそも

中村青司の館で起こった事件じゃないじゃん!!

いや、解るんです。解ってはいるんです。時々こういう作品を書きたくなっちゃう気持ちっていうのは。でもね、だったら『人形館の殺人』だなんてタイトルにしないでくださいよ~。『人形屋敷の殺人』とか『人形邸の殺人』とか『人形館-ただし番外編-の殺人』とかにして欲しい。いっそのこと『人形館の囁き』でも良いです。だって、この作品ホラーでしょ!?

ミステリは大好きだけどホラーは苦手(というか嫌い)な私は、綾辻氏の「囁き」シリーズが未読だったりします。お恥ずかしい話ですが、駄目なんですホラーが。だから、『人形館の殺人』に対しての評価も自然と辛くなる。ミステリだと思って読んでたらホラーだった…っていうんだから、このぎゃふん感をどうしてくれようか。

館シリーズと銘打っておきながら、実は中村青司の館で起こった事件では無いという新手のミステリか!?と本気で思いましたもの。読了後、私のこの気持ちがミステリ!?とも思いましたもの。あぁ、ごめんなさい。もう書けません。

この作品の良さが解るときがいつか来るのでしょうか?もうちょっと寝かせておこうと思った今回の再読。名作と呼び声高い『時計館の殺人』で気分をリフレッシュして、ソフトもハードも重い『暗黒館の殺人』に挑みましょうか…って、『黒猫館の殺人』忘れてるから~!!

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2007/02/21

『迷路館の殺人』 綾辻行人

迷路館の殺人 Book 迷路館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
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あの中村青司の設計した迷路館で起こった推理小説家連続殺人事件。

貴方は綾辻行人の、いや鹿谷門実の仕掛けた罠を見破ることができるか?

作中作の形をとり描かれる迷路館の殺人。

20000HIT御礼館レビューの最中に、あんな腐女子丸出しなレビューをupしたからかなのか、朝起きたら洗濯物干しが崩壊→あわせて洗濯物も生乾きでお陀仏になっていました…すわっ、中村青司の呪いか!?

気を取り直してレ、レビューを。この『迷路館の殺人』は作中作の形をとっておりまして、稀譚社ノベルスの体がいきなり挿入される様は圧巻でございます。あぁ、こういう凝り方大好き。そして、唐突に宣言される鹿谷門実氏当て。『迷路館』以降の館シリーズをお読みの方には当たり前過ぎる事実なのですが…だからシリーズものは順番に読まないと!という教訓。

ただね、稀譚社さんには申し訳ないのですが、鹿谷氏の書く作中作『迷路館の殺人』は凡作です。すべての殺人が「中村青司の手によるからくり趣味を全面に利用しての殺人」というのはミステリとしてタブー、約束違反ですからね。そんな殺人、成功して当たり前なわけです。その凡作を良作に押し上げているのが綾辻氏によるエピローグ。こういうラストのどんでん返し、大好きです。まさかあの数頁でこうまでひっくり返されるとはっ!

この『迷路館の殺人』に仕掛けられているのは、これまたミステリの定番「性別誤認トリック」です。このトリックは決して映像化できないトリック、小説でしか為しえないトリックとして、出版界にとって重要視されるべきものだと個人的に思っております。作家の力量が試されるトリック。その意味では鹿谷氏もよくやってくれたやもしれません。結果として凡作だったけれど。

まぁ、鹿谷氏もエピローグで仰っているように、作中作『迷路館の殺人』は犯人への告発がメインの役割を果たしているわけで、作品の可否は問題ではないのだと思います。だから、その辺りは目を瞑ってください(って、これまで散々「凡作凡作」叩いておいてそれを云うかっ!)。とにかく、作中作『迷路館の殺人』を読み終えてこの『迷路館の殺人』の位置付けを決定してしまうのは甘いということで。判ったかね、数年前の自分よ。

さて、次回は私の鬼門『人形館の殺人』です。この作品はダメなんです。もう今のうちに謝っておきます。ご、ごめんなさい。

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2007/02/20

『まじっく快斗 4』

まじっく快斗 4 (4) Book まじっく快斗 4 (4)

著者:青山 剛昌
販売元:小学館
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待ったから!13年間待ち続けたから!!

と、さらりと大文字で嘘を吐き捨ててみる。

20000HIT御礼館レビューの真っ最中ではございますが、お館様に匹敵するほど愛して止まないキッド様のために、緊急レビューの開幕です。今日だけ、今日だけはキッド様に主役の座を明け渡してください。いやぁ、お怒りにならないでお館様!お怒りにならないで中村青司様ぁぁぁぁぁ!!

と、黄泉の国から復帰しましたところで『まじっく快斗』レビューです。いやぁ、待ったよ。1~3巻の背表紙が紙焼けで真っ黄っ黄になるくらい待ったよ。1巻のキッド様なんて別人に見えるくらい(笑)待ったよ。しかし、13年も間が空いたとは…本当に今世紀中に5巻は出ますか?

でも、本当にコナン様様ですね。コナンにキッドが登場しなければ、4巻だって絶対に出なかっただろうに。コナンの最大にして最高の好敵手、怪盗キッド。そのキッドの物語を集めた作品(本編)がこの『まじっく快斗』です。

しかし、コナン作品でのキザったらしくて紳士的なキッドがお馴染みとなってしまった私にとって、『まじっく快斗』で描かれるキッドは妙に違和感感じちゃうんですよね。あのポーカーフェイスの裏に隠された素顔に…萎える。決して萌えない。

しかも!今回は新一VSキッドの対決が読める「ブラック・スターの巻」が収録…

って、この対決が読みたくて『名探偵コナンVS怪盗キッド 完全版』をわざわざ購入した私の立場って一体!?

何行になるか想像もつきませんが、最大サイズで訴えてみました。な、萎える。

もう、こうなったら、彼に、ついに銀幕デビューも果たした彼に登場願うしかありませんか?

嗚呼、探ぼっちゃま!!!

エッフェル塔をバックにテルテルテレフォンのぼっちゃまに激萌え!自らをチェスの白い騎士になぞらえるぼっちゃまに激萌え萌え!!でも、あの役回りは騎士というよりポーンだと思う…。とにかく、コナン本編にもちょこちょこ登場し始めた探ぼっちゃまの帰国で、キッドVS探ぼっちゃまという本来の姿を見ることができましょうか?今世紀中に出るらしい5巻がいまから楽しみです。

それでは、散々「萎える萎える」を連発されたキッド様ですが、数少ない萌えページを紹介して特別レビューを終えましょうか。でも、箇条書き。

・“クリスタル・マザー”を見事ゲットし、列車の窓でキメるキッド様
・“赤い涙”に隠された最後のマジックを解き明かすキッド様
・ヘルメットをはずし「探偵ですよ」と名乗る工藤新一(あれ?)
・ヘリからニューナンブをぶっ放す工藤新一(あれ?あれれ?)
・文字盤に刻み込まれた暗号を足でコツコツやるキッド様
「忘れるかよ…バーロ…」とまるで工藤新一なキッド様
・ジッポライターの炎を吹き消すキッド様
・黒猫のもとに“ゴールデン・アイ”を出現させるキッド様(ジイか?)
「…んで?獲物は?」とナイトメアと対峙するキッド様
・ナイトメアの悪夢を盗むためトランプ銃を構えるキッド様

いくつかキッドじゃないものも混ざってしまったようですが…それもまぁご愛嬌ということで。あぁ、やっぱり面白かった♪

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2007/02/19

『水車館の殺人』 綾辻行人

水車館の殺人 Book 水車館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
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あの中村青司が設計した水車館に訪れた突然の落雷と殺人。

現在と過去が交互に語られる中、明かされ繋がってゆくふたつの事件。

解き明かすは…島田潔。

20000HIT御礼だ!と勝手にお送りしております館シリーズ連続レビュー。さっそく第二弾『水車館の殺人』を上梓です。

あぁ、やっぱりお館様は最高だ。

『十角館の殺人』で「さぁ、どうだ!」と云わんばかりに私の度胆を抜いてくれた館シリーズ。一作目に傑作が出来上がってしまうと、二作目三作目は如何せん凡作が出来上がってしまうという出版界の負の約束事を、ここまで見事に裏切ってくれるとは!普通は五作目くらいまで泣かず飛ばずで、いきなり信じられないくらいのヒット作が生まれたりするものなのですが(その五作目に『時計館の殺人』がくるあたりに、もう鳥肌が立ちます)。

さて肝心の『水車館の殺人』レビューでございますが…これまた度胆を抜かれること間違いなし!手垢が付くほど再読を繰り返している私でも、島田潔によって真相が明かされる瞬間に“ゾクゾクッ!”としてしまいましたもの。この記念レビューは常時ネタバレアリですので、怪傑ズバットの如くネタバレしますが、ミステリのお約束「入れ替わり」を一人称でこうも巧みに仕掛けられるとは思っておりませんでしたよ!!

その叙述の罠には、解答を知っている再読者(私)が読んでも舌を巻くほど。『水車館』は親切設計になってまして、ラストの場面で綾辻氏が仕掛けた記述の罠をしっかり回収してくれているのですが(例えば342頁の「どうしたって、あの時のようにはピアノを弾いてやれない…」とか!)もうそんなに懇切丁寧に語ってくれなくたって読者は判ってくれるよ!と伝えたくなるほど、巧い。またもや「入れ替わり」の事実を告げられたときに5分程ページを捲る手をフリーズさせた私。もちろんフリーズが解けたときに捲ったのは解決編ではなく、これまで1時間かけて読み広げてきたページであったことを告白しておきます。

もう、この館シリーズを読めばミステリの主流トリックの殆どを知ることができると云っても過言ではありませんね!まさに、エンターテイナーです綾辻氏。

しかも、これまたミステリでお馴染みの「色覚異常」まで絡めてくるんですから…巧すぎる。「色覚異常」と絵画を絡めた清涼院流水氏の『ジョーカー』と『水車館』が頭の中で混線をきたしていた私は、ラストに『幻影群像』の詳細が明らかになったときに「あれ?」と思ってしまったものですが、それはご愛嬌ということで。

とにかく、凡作覚悟で読む必要なんて一切無し。『十角館』に負けないクオリティを持った『水車館の殺人』。心からの忠誠を込めてこう呼ばせていただきます。「お館様」、と。

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2007/02/18

『十角館の殺人』 綾辻行人

十角館の殺人 Book 十角館の殺人

著者:綾辻 行人
販売元:講談社
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すべてはこの作品から始まった。

再び復興を始めた新本格ミステリムーブメント。

アガサ・クリスティの有名過ぎるあの作品へのオマージュをふんだんに含んだ、名作!

20000HIT有難うございます!おめでとうございます!!今回は事前コマーシャル無し・秘密裏に進めておりました、この企画。企画モノ好きのまじょ。がこの舞台で何もしないわきゃねぇ!と予想していた貴方は鋭い。

というわけで、館シリーズ連続レビュー企画の開幕でございます。私、綾辻行人氏の館シリーズを敬意を込めて「お館様」とお呼びしておりまして(戦国スキーな私の一部が命名)、このレビューの中でも「お館様」発言が何度か飛び出すことが予想されます。最初にお断りをば。

さてさて、館シリーズ第一作目にして、私の中のベスト『十角館の殺人』レビューです。今回も右サイドバーにてアンケートを同時開催しておりますので、奮ってご参加ください。この『十角館の殺人』を読んだときは衝撃受けましたねぇ。本家アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』を読んだとき以上の衝撃だったかもしれません。こ、こ、こ、こんなのアリですか?とすっかり興奮した若きまじょ。の悩み…じゃなくておもひで。

企画レビューでございますので、思い切って全作ネタバレ満載フルスロットルレビューをここに宣言致します(しかも、いきなり他シリーズのネタまで割りますので注意が必要です)が、最後に○○君が自分のニックネームが○○○であることを告白したときの電撃ったら無かったですね。江南=ドイルをさらっと明かしておくことで、○○君ならルブランだろう!とミステリファンに思い込ませるその手法にうっとり(って、○○君の伏せ字が全く活かされておりませんな)。あのニックネーム告白シーンで、私の頁を捲る手は5分程フリーズしましたもの。

それもこれも、本土での島田&江南コンビに翻弄された結果。本作は島と本土での記述を交互に織り交ぜる構成となっているのですが、うまい具合にこのふたつが絡み合っていて、島で明らかになった秘密が次の本土の場面で重要なキーポイントになっていたり…と、読み飛ばしは命取りです。もちろんその逆パターンも然り。そして、本土で島田&江南コンビが肉薄する真相とは…前年に謎の死を遂げたかの奇才建築家・中村青司が実は生きていた!というもの。

出ました、中村青司!!

この館シリーズ語る上で、決して外すことのできない人物・中村青司。十角館、水車館、迷路館…とシリーズの舞台となる館は、すべてこの中村青司の手によって生み出されました。青司がなぜこんな変人になってしまったか…は『暗黒館の殺人』に詳しいのですが、詳細は『暗黒館』レビューの際にたっぷりと!!って、さらっと『暗黒館』のネタを割ったね?

とにかく、奇才・中村青司の手によって創造された館で、次々と起こる殺人事件を描いたこの館シリーズ。シリーズ一作一作毎に異なるトリックを用いた(叙述系が多い)その心意気に惚れます。一作目『十角館』から、このクオリティだっていうんだから…他の作品に期待するなって方が無理です。

『十角館』は本家クリスティを読んだ後に読むほうが楽しめる…と個人的に思っているのですが、どうでしょう?オマージュはどんな結末をラストに持ってくるのか。期待を裏切ることの無い会心の出来です。とにかくとにかくオススメの一作。未読の方は、必ずこの『十角館』からお読みくださいますよう、お願いいたします。

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有栖川国名シリーズアンケート

右サイドバーに設置しておりましたアンケートを新企画用に差し替えたため、本文内(企画内)に収納させていただきました。投票は引き続き可能でございますので、レビューをお読みの後に是非一票を投じていただけると幸いです。

アンケートにご協力ください
好きな有栖川 国名シリーズは?
ロシア紅茶の謎
スウェーデン館の謎
ブラジル蝶の謎
英国庭園の謎
ペルシャ猫の謎
マレー鉄道の謎
スイス時計の謎
モロッコ水晶の謎

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2007/02/17

『Sweet Blue Age』

Sweet Blue Age Book Sweet Blue Age

著者:有川 浩,角田 光代,坂木 司,桜庭 一樹,日向 蓬,森見 登美彦,三羽 省吾
販売元:角川書店
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7人の新鋭作家が送る青春小説群。

甘く切ない物語を召し上がれ。

有川浩氏と坂木司氏、そして装丁に惹かれて手に取った本作ですが…有川氏の作品は『クジラの彼』に収録されていた春の物語ではないですか!?残念。これは、坂木氏『シンデレラ・ティース』の番外編とも云える「ホテルジューシー」に期待するしかないわ!と思ったのに…これまだ残念な出来で。ぎゃぼ。

そんながっかり模様を醸し出した本短編集でございますが、もちろん良かった作品もございます。一番良かったのは桜庭一樹氏の「辻斬りのように」でございましょうか。動物園でお馴染みの旭川市を舞台に(道産子ですので旭川はお馴染みの都市でございます)辻斬りの如く男性と関係を持つ主人公。こういう抽象的な物語は普段の私なら、もっとも苦手とする作品なのですが…他の作品がそれ以下だっただなんて、とてもじゃないけど云えない。

でも、桜庭氏の作品が良かったのはホント。名も知らぬ男性と7度の関係を持ち、最後には誰が父親かわからぬ子を孕んでしまう主人公。七竈の香りが主人公をそうさせたのか、これは七竈の呪いか。この七竈を使いたかったから舞台が旭川なのかと納得。旭川の市民の木は七竈ですからね。

あとは角田光代氏の作品が「さすが(この作品集の中で最も)ベテラン」と思わせる出来でした。しかし、こんなsweetな装丁なのに、報われた作品がひとつもないのが残念なところ(おいおい、有川氏の作品を忘れてるぜよ?)。日向蓬氏の「涙の匂い」も良かったですよ。保少年の想いが一瞬でも判り易い形で報われてくれれば、ロマンティック馬鹿な私はさらに満足だったのに。

今話題の森見登美彦氏「夜は短し歩けよ乙女」は、ごめんなさいよくわかりませんでした。もっとスマートに落ち着くかと思っていたものですから。この作品が表題作になっている単行本が売れているようですが…どんな出来なのでしょうか?ちょっとレビュー巡りをしてみようかしら。

というわけで、なにが一番良かったですか?という質問には「装丁」と断言してしまうであろう、私。どうもすみません。

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2007/02/16

『のだめカンタービレ ♯17』

のだめカンタービレ #17 (17) Book のだめカンタービレ #17 (17)

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
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ドラマ&アニメ効果か、ハイペースでコミック化しております『のだめ』。ファンには嬉しい限りです。早速入手したての『のだめカンタービレ ♯17』レビュー。

17巻は転機の巻とも云えそうですねぇ。千秋・父親と再会とか、のだめ・新たなる目標を見つけるとか。でもね、その分…

爆笑ポイントが少ないのが残念!

「さっきも3時で…今も3時?」のカズオ時計が今巻いちばんの爆笑ポイントでしょうか?ヨーロッパの携帯は(当然だけど)ローマ字なんですよね。あのチコクメールがただの爆笑ポイントじゃなく、千秋先に行く宣言に繋がっているのがウマイ!と思いましたが、やっぱりも~の~た~り~な~い~。

千秋のやらかした「ここはどこ?」シーンでは、のだめコンクルのキューピー3分クッキング場面を思い出して天丼。その後、控え室でゴジラと化す千秋と目撃者・テオのシーンも笑かしてもらいましたが…やっぱりも~の~た~り~な~い~。

そうそう、私もオケのコンサトには時々行くのですが、弾き振りってのには一度も遭遇したこと無いデス。弾き振りって…そんなにあるもんじゃないですよね?オレ様の音を聴け!ってやつですか?うーむ、千秋多才過ぎる。屈折してて鬱々とした千秋の演奏、是非聴きたいです。

本誌「kiss」では、千秋が引越しを終え、のだめと千秋の歩む道は刻々と離れつつありますが、いつこの道は重なってゆくのでしょうか?重なった時が『のだめ』の終わるとき…だと思うと寂しい限りです。そして、あの爆笑マルレ・オケともおさらばかと思うと。いやぁ、16巻のマルレは本当に最高だったなぁ。もう一回読もう、そうしよう。そして、この物足りない気持ちを押さえ込もう。

あっ、でも千秋の最高のねぞうには萌・え・ま・し・た☆

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2007/02/15

『クジラの彼』 有川浩

クジラの彼 Book クジラの彼

著者:有川 浩
販売元:角川書店
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自衛官との恋愛模様を描いた有川浩短編集。

乙女でベタ甘ラブロマ満載、キュンとなること間違いなし!

思い掛けなく有川浩氏連続レビューとなっております。有川氏、現在イチ押し。ハードカバーの新刊をここまで立て続けに購入したのは初めてかもしれません。そのくらい、乙女具合にド嵌りしております。

『クジラの彼』には6編の胸キュンストーリーが詰まっております。その内2編は『海の底』からのスピンオフ。夏木&望のこれからがとにかく気になった私としては、嬉しい限りです。って、一番どっきゅんきたのは、夏の話でも冬の話でも無く、3編目の「国防レンアイ」だったのですけれども。

「国防レンアイ」は真駒内基地に勤める自衛官同士のレンアイ模様を描いた作品。北海道生まれ北海道育ち北海道から脱出した経験は数回しか無い、という道産子丸出しの私としては、作中で三池が使う方言(?)に「今どきこんな北海道弁丸出しの奴はいねぇ」と憤りかけましたが、そんなの吹き飛ばすほどのラストに胸キュン全開。伸下がホテルに残した書置きは、もう間違いなく反則です。あんな書置き残されたら誰だって堕ちるよ。少なくとも私はその場で堕ちる。134~135頁はとにかく必見、この2頁だけで何度ときめいたか判りませんことよ。

そして「ロールアウト」のラストも良かった。それまでムカつく男筆頭だった高科が突然良い男に見えました。くそぅ、ああいう不器用でくそ真面目な男も良いわね。

もちろん夏&冬のお話もね!夏はすっかり望ちゃんの尻に轢かれちゃって。森生という望の名字には意味があるだなんて『海の底』で彼女を救った夏が、彼女の名字を代えるべくミッションに挑む胸キュンストーリー。正直、望のいちゃもんは厳しいものがある(有川氏のお言葉を借りるなら非常に面倒くさい)のですが(夏レベルの口の悪さには定評のある私)その面倒くささが気にならない夏となら、きっとうまくやってゆけると思います。なんせ、初めましてをもう一度やり直すために5年努力した女ですからね!

そして冬。冬が『海の底』であっさりと結婚してたのには度胆を抜かれましたが、潜水艦をクジラに例えるそのセンスに惹かれて付き合い始めたふたり。語彙センスを気に入るかどうかって、本当に大切なことだと思う。読書をこよなく愛する私だから、心からそう思う。どんなに素敵なストーリーを備えた作品でも、言葉選びのセンスが合わなかったらやっぱり心の奥底には残らないもの。ふとした瞬間のさりげない言葉にグッときたり、思わぬところでシンクロしたり。一生を共にしてゆく相手とは、そんなひとときを楽しみたいものです。

うわぁ、やっぱり恋愛小説のレビューって苦手だ。読み返してみて、自分でもよく判らんこと書いてる。とにかく、有川氏の言葉選びに心酔して、有川氏の提唱するベタ甘ラブロマに諸手を挙げて賛同中の私には、大満足の一冊でございました。『空の中』…早く読まなきゃ!

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2007/02/14

『海の底』 有川浩

海の底 Book 海の底

著者:有川 浩
販売元:メディアワークス
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巨大甲殻類の襲来に逃げ惑うことしかできない人間。

潜水艦「きりしお」内に閉じ込められることとなった、自衛官2名と子供たち。

「きりしお」内のいざこざと巨大甲殻類と戦う機動隊の長い五日間を描いた長編。

巨大ザリガニ、超こえぇ!!

もっと大きいフォントは無いのか?と思ってしまう程、声を大にして云いたい。

あまりの怖さにちょっと眠れなくなりました!!

ト、トラウマだ。物語は横須賀基地に謎の巨大ザリガニが大挙してやってきたことから始まります。突然変異で巨大化したザリガニ・レガリスは、桜祭りのため基地内に集まってきた住民たちを喰らい尽くす。事態を自衛隊に速やかに引き継ぐため、決死の覚悟を決め巨大ザリガニに挑む機動隊と、襲来の際に逃げ遅れ、基地内に停泊する潜水艦「きりしお」内部に閉じ籠った少年少女の物語を軸に本作は描かれます。

有川氏、いまのところハズレ無し。

こんな非現実的な設定(こんなことが起こって欲しくない希望を込めて、敢えてこう云う)持ち込んでこられて、ドン引きどころかのめり込んじゃいました。有川氏は褒め言葉として思考がぶっ飛んでますね!す、好きです。

「きりしお」内部に閉じ込められた少年少女が、お約束どおり一癖も二癖もある連中ばかりで。そんな彼らの成長の物語であり、そんな彼らを守る自衛官2人の成長の物語でもあります。自衛官の2人は図書館シリーズの堂上&小牧を彷彿とさせるナイスコンビです。むしろこちらがプロトタイプか。夏木なんかは、堂上様が切り捨ててしまった部分を後生大事に抱えてる感じで、郁に近い部分も持ってますねぇ…って、こっちがプロトタイプなんだって。

しかし、圭介(ジャイアン系悪ガキ)なんかは、普通にムカついちゃいましたね。いや、お約束どおりの配置なんで、こういう悪態をつくお子様が居ないと始まらないのですが、どうしてそこまで子供でいられるのか?と。そんな圭介の対称として描かれる望にも、どうして子供であろうとしない?とちょっとムカついちゃいましたし。子供であることを終えた私からしてみれば、そのすべてが羨ましいのだと思う。寄り添わせてくれる大人が居て、その傘の下である程度の自由が与えられている子供という存在。その過去の時間がきっと羨ましかったのだと思う。今回の傘(夏&冬)は若干、パンチが強すぎたようですが。

そして、機動隊の面々。私、あんまりその気は無いのですが、今回は云いましょう。

オヤジスキー!

いやぁ、敢えての壊滅を宣言し、頭を下げた烏丸。明石も含めて、全体を見渡すことのできている指揮官の下で働くってのは良いですねぇ。そこに存在する信頼関係も。有川氏はこういうお約束の関係をさらっと描いてくれるので、私の琴線に触れます。しかし、自衛隊(というか内閣)は一体全体なにをやってたんでしょうねぇ。『海の底』を読んで、阪神大震災の際のお粗末内閣を思い出しました。あぁ、そういうことね、と。自衛隊合憲違憲について語る気は毛頭ございませんが、自衛隊という名から読み取れるものがあるでしょう?と云いたい。きっと有川氏もそれを云いたかったのだと思います。

さて、どうやら有川氏新刊『クジラの彼』は、冬原のラヴが描かれている模様。『海の底』ラストの締めくくり方が最高に乙女だっただけに、期待しちゃいます。実は『図書館危機』といっしょに購入済なだけに、期待大だがん!

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2007/02/13

『図書館危機』 有川浩

図書館危機 Book 図書館危機

著者:有川 浩
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憧れの王子様の正体を知り、寝込んでしまった笠原郁。

昇進試験に挑み、堂上教官をハラハラさせる笠原郁。

図書隊員として戦闘に参加していることがバレてしまった笠原郁。

遂に、堂上教官が好きだと認識してしまった笠原郁。

そんな笠原郁が送る乙女で過激な図書館シリーズ第3弾!!

漸く入手できました!待ったよ~、一ヶ月長かったよ~、入手までの道程も過酷だったよ~(詳細は右サイドバーの掲示板?を御覧ください)。とにかく、現在私の妄想ワールドの8割を占める図書館シリーズ第3弾『図書館危機』でございます。

そうねぇ、今回は上記のようにとにかく期待が大きかっただけに、物足りない印象を受けてしまったのも事実です。だって、だって、だって、

郁と堂上教官の絡みが少ないんで無いかい?

もちろん、読んでるほうがむず痒くなるようなラヴラヴ乙女描写もありましたけれども!今回の最大のヒットは、電話口で郁の頭を撫でる堂上教官です!

そんなに郁の頭を撫で回したいか!?

なんかもう、堂上教官の横に郁のマネキン人形かなんか置いといたら、一日中撫で回していそうですよね…。自分の恋心を自覚してしまった郁サイドの描写はちょっと甘過ぎで、無自覚同士であれだけゲロ甘トークをかますから面白いんじゃない!と思ったり思わなかったり。堂上教官はどうなんだろう…是非とも無自覚でお願いします!!

そして、小牧&鞠江ちゃん。いやぁ、鞠江ちゃんもやるねぇ。「上書きして」だなんて云われたら、オバチャンもう興奮しちゃうよ!!(カタカタカタカタカタカタ←判る人には判るネタ)それにしっかり応える小牧教官もジェントル!!しかし、郁が痴漢野郎に襲われた件で、「一体何のサービスをするつもりかと思ったわ!」と心配&興奮のあまり“サービスとなり得ること”を認めちゃった堂上教官には爆笑させていただきました!!いやぁ、ここでこの台詞は出てこないっす、有川氏の脱帽。

って、小牧&鞠江ちゃんの話をしようと思ってたのに、やっぱり堂上&郁の話になっちゃうんだよなぁ。あのふたり好き過ぎ、自分。そうそう、気になるといったら手塚&柴崎コンビも気になりますよねぇ。あの優等生コンビがこれからどんな風になってゆくのか…手塚が良い具合に手篭めにされそうで心配です。

さて、玄田&稲峰の衝撃ラストで幕を閉じた本作。有川氏のあとがきによると、図書館シリーズあと一作でエンドとのこと。も、勿体無い!!もっともっと彼らの物語を読みたい気持ちでいっぱいです。でも、ちゃんとハッピーエンドにしてくれれば…あとは妄想でなんとかします

というわけで、速度読了で興奮冷めやらぬままレビュー致しました次第。絶対、語りたい何かを忘れている気がする…後日の追記&補正もあるかもしれません☆

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2007/02/12

『正しく時代に遅れるために』 有栖川有栖

正しく時代に遅れるために 有栖川有栖エッセイ集 Book 正しく時代に遅れるために 有栖川有栖エッセイ集

著者:有栖川 有栖
販売元:講談社
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エラリー・クイーンから有栖川有栖まで。

ミステリの枠内に囚われず、漫画や文楽・能にまで及ぶエッセイ集。

本格好きの貴方、いっしょに時代から遅れてみませんか?

『謎は解ける方が魅力的』に続く、有栖川氏のエッセイ集です。『謎は~』でも触れておりますが、私は有栖川氏の短い文章が大好き。文字数の制約の中で、いかに伝えたいことを伝えるか…巧い。

ただ、現在右サイドバーに設置してあります「アンケート」を見るに(そろそろ違うものに差し替える予定ですので、是非今のうちにご参加ください!←宣伝)有栖川氏の魅力は長編にこそあり!と感じていらっしゃる方が思ったよりも多い模様。もちろん、私も有栖川氏の長編もラヴなんですよ~。ただ、どうせ読むなら作家アリスよりも学生アリスを読みたいという願望の表われなのです…。

ところで、ミステリ(本)を読むのは好きだけれど、それを書いている作家には特に興味が湧かない…という意見をお持ちの方は多いのでは無いでしょうか?私もミステリに出逢った当初は、既刊の作品を追うのに必死で、エッセイに手を出す余裕なぞございませんでした。エッセイに手を出すようになったのはごくごく最近。森博嗣氏の『森博嗣のミステリィ工作室』あたりがもしかしたら最初かもしれません。その後、東野圭吾氏の『あの頃ぼくらはアホでした』に出逢い、それがまた飛び抜けて傑作だったため(オススメです。エドガー・アラン・ポーの件が最高です)エッセイに興味を持つようになりました。この2冊は本当にオススメ。やっぱり、生み出される作品が面白いのには、生み出す人に面白さがあるからだと思います。

というわけで、エッセイもなるべく読むように心がけで数年。『正しく時代に~』を読んで、またエッセイの良さを感じましたね。正直、読んでいない作品の書評や解説、ミステリ選考会の講評などは厳しさを感じずにはいられませんが、雑記はやっぱり良かった。「六段階の距離」なんかは、有栖川氏に六段階目までに辿り着くためにどこに手紙を送ろうか、真剣に考えてしまいました(編集部に送るという荒業は却下)。「オススメされる私」も密林愛用者の私にはにやりとさせられる内容でしたし。

作家という職業にを営んでゆくためには、日常の些細なことも見逃さない、鋭いアンテナが必要なのだなと感心します。いつもの日常をちょっとした日常に変えるために、有栖川氏のアンテナを借りてみませんか?そして、当ブロ愚を訪れてくださるミステリ好きの皆様、有栖川氏が熱く語る本格論を読んで、いっしょに時代から遅れる決意を固めましょう。

ミステリとならば、時代から遅れることも厭わないですよね?

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2007/02/11

『QED 河童伝説』 高田崇史

QED  河童伝説 Book QED 河童伝説

著者:高田 崇史
販売元:講談社
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河童の住むと噂される川で起こる連続殺人事件。

切り落とされた手首を持ち去ったのは…やはり河童?

河童の謎に挑むはやっぱりタタル御一行様。

お待たせいたしました、漸くQED新刊『河童伝説』レビューです。繰り返しになりますが、北海道は新刊の入荷が内地よりも2~3日遅い!!私が楽しみで楽しみで卒倒しそうな有川浩氏の『図書館危機』も祝日の関係で火曜にならないと入手できそうにございません。祝日をこんなに恨んだのは、本当にひっさしぶりでございます。

さて、『図書館危機』に負けず劣らず楽しみだった『河童伝説』でございますが…最近のQEDシリーズの悪いところが顕著に現れておりますね!端的に表現すると…

殺人事件発生

事件とは全く関係無いところで、史跡巡りに出かける一行

タタル薀蓄三昧

一行とは全く関係無いところで、勝手に事件解決

殺人事件と歴史薀蓄の巧妙な融合とかもう求めませんから、探偵役(?)のタタルさんに事件くらい解かしてやってください…

遂に薀蓄マシーンに成り下がった、桑原祟!

もう、がっかりです。おさらいと称して読み返した『式の密室』知識(野見宿禰関係)が巧いこと活かされて、河童薀蓄自体はすんなりと入ってきたのですが、如何せんミステリとの融合が皆無でした。ミステリ自体の題材もなかなか魅力的だっただけに残念。タタルさんと奈々ちゃん一行が合流し、ホテルで薀蓄合戦が始まるまでは、「すわっ!QED節復活か!?」と思わせる出来だったのに。

しかも、タタ奈々コンビに進展も無しですか…。序章も序章で毒草師を登場させて、薀蓄王子VS毒草師の火花バチバチ展開を妄想させておいて…あっさり“奈々ちゃんが毒草師の携帯番号を知っている”という現実を受け入れやがって!!何度でも云おう、ぎゃふん、と。しかも、タタルさんを今日こそは問い詰める!と息巻いていた沙織ちゃんも、口ほどにもない。その代わり…

放送禁止用語を連呼するセクハラ王子!!

今回のタタ奈々ポイントって、「奈々くんは素敵だ」だけですか?そんなんじゃ、満足できないんですよ、20代後半の乙女は!

あぁ、どうしよう。そろそろQEDに対する身の構え方を考えなくちゃならない日が来てしまうのかしら。次巻こそ、次巻こそ、どうぞよろしくお願いします、高田氏。

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2007/02/10

『化物語(下)』 西尾維新

化物語(下) Book 化物語(下)

著者:西尾 維新
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怪異呼び寄せ体質と貸した阿良々木暦。

彼女との愛を育みながらも、他の女の子にも手を出さずにはいられない節操無し。

そんな節操の無さが呼び寄せるのは…やっぱり怪異なのです。

なんとかエンド(図書館返却)に間に合わせることができました、えがった。さて『化物語(下)』レビューでございますが…怪異なんて、全体の一割くらいしか登場しませんでしたね…。

忍野メメをナビゲーターとする化け物語りにも、興味深々だった私にはちょっと残念でした。こう立て続けに読むと、阿良々木くんのツッコミにどんどんキレが失われてゆく様が気になってしまいますねぇ。でも、最初(上巻)は苦手だった、神原のノリが最後にはいっとう心地よく感じられたのは僥倖でございました。さずが、百合パワー。

しかし、阿良々木くんはこれからどんな道を歩んでゆくつもりなのでしょうか?下巻は忍野氏の手を(殆ど)借りることなく、怪異と対峙してきた彼。忍野氏の後を継ぐお積もりですか?怪異をきっかけに、怪異のおかげで、新しく清々しい萌え萌えな生活を手に入れた彼。そこに至るには捨てられた、捨てねばならなかったものもあったのかもしれませんが、やはり怪異は怪異であり、人とは相容れないものだという障り猫の主張は正しいのだと思います。優しいだけの男には、いつか飽きが来ますよ?優しさを越えたなにかを掴みつつある彼が、どんな未来を迎えるのか?

って、適当に書き殴りましたが、そんなことにはちっとも興味がなかったりする私。真面目じゃない世界に真面目テイストを織り込んでみたかっただけです。

でもまぁ、忍野氏のラストの決断からみるに、このシリーズはこの上下巻でエンドを迎えそうな気配ですね。あの萌えキャラたちをもエンドを迎えてしまうのは哀しいので、なんらかの形で彼等のその後が読めたら良いなぁと思います。とくに、百合っ子・神原と蝸牛浮遊霊・真宵ちゃんは惜しい。今度は阿良々木くんの妹たち・栂の木二中のファイヤーシスターズを主役に、是非。(追記:Wikipediaによると、『無物語』もしくは『傷物語』として、2008年の刊行を宣言とあるので、どうやら続いてゆく模様ですね!

というわけで、西尾維新らしい、西尾維新でなくては紡げない作品を読むことができました。

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2007/02/09

『化物語(上)』 西尾維新

化物語(上) Book 化物語(上)

著者:西尾 維新
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阿良々木暦が遭遇する怪異。

それは吸血鬼となった春休みに起因する。

怪異は怪異を呼び…怪異をまとった萌え少女と暦の化け物語り。

まるで赤本のような装丁とお値段とのコストパフォーマンスが気に入らなくて、あろうことか図書館予約で済ませてしまった西尾維新作品。そのツケは下巻が先に到着するという事態を招いてくれました。合掌。ミステリブログお友達のソラチさんにお伺いしたところ、下巻から読んでも問題なさそう…とのことでしたが、無事リミット前に上巻が到着致しました。えがったえがった。

本来なら上下巻ものは一気にレビューするべきなのでしょうが、この『化物語』は短編集ですし、発売すらも一ヶ月相違があるということで、もう別々にレビューしちゃうことに致します。下巻でもしかしたらとんでもないことが起こるかもしれないし(下巻の事前知識一切無し。暦くんの吸血鬼事件と羽山委員長の猫事件が描かれていれば良いなと思ってますが、西尾維新作品でよく使われるチラリズム手法なのでしょう…きっと)。

さて、今回のテーマはタイトル通り“化け物”=吸血鬼とか猫とか蟹とか蝸牛とか猿とかが祟ってくれちゃう物語かと思いきや、上巻あとがきで西尾維新氏が語るように「本書は怪異を主軸に据えた三つの物語-では、ありません。」…なんじゃそりゃ?なお言葉ですが、長いお付き合いですからね、そのくらいではもう驚きません。でも、西尾氏の意図する「とにかく馬鹿な掛け合いに満ちた楽しげな小説」にしっかりと出来上がっていたと思います。

とにかく馬鹿な掛け合いだらけ。もちろん楽しませて頂きました。ただ、この作品で扱っているネタすべてを理解できる層って、かなり限定されていると思う。少なくとも健全に生きていらっしゃる方には楽しめない…って、自分が不健全だということを認めてしまっておりますが。かなり内角の際どいところに投げてきた感覚。この『化物語』はどこまで西尾維新の脳内に入り込めるかにかかっているような気がする。

まぁ、会話のテンポや蟹少女の毒舌を純粋に楽しめれば、それだけでハイエンドなのかもしれませんが。

私としては吸血鬼の抜け殻と化した忍ちゃんにもっとスポットが当たれば萌えれるのにと…ロリコンぶり(女が女の子に萌えることもロリコンと云うのだろうか?)を発揮しつつ。

でも忍野メメ氏の憑き物落としにも興味があって、既におまけの様相を示しつつある化け物語りも楽しい。妖怪系のお話はド嵌りしないまでも、さらっと解説書読んだりするのが好きです。あの怪異は既存のものなのか、西尾氏の妄想なのか…きっと既存のものなのだと思うのですが、本作のようにうまいこと少女たちの想い(依存)と絡めて紹介していただけると、興味も倍増効果です。

さて、それでは土曜日がエンドの『化物語(下)』に取り掛かりましょうか!

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2007/02/08

『QED 龍馬暗殺』 高田崇史

QED 龍馬暗殺 Book QED 龍馬暗殺

著者:高田 崇史
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またもやまたもやモアイに厄介事を頼まれてしまった奈々。

ここぞとばかりに奈々に同行する沙織。

そして、やっぱりサボタージュを繰り返すタタル。

そんな三人が平家の落人伝説の残る村に集まって…事件が起こらないわけが無い!

おさらいにならないからという理由で『ベイカー街』をとばしたくせに、『龍馬暗殺』は読むんかい!というツッコミが聞こえてきそうな今日この頃。しかも更新が疎かになっている新撰組カテゴリまで更新したことにしちゃおう!っていうんだから、浅ましい限りです。『風光る』の新刊レビューはどうした、自分。

さて、高知までやってきても殺人事件に巻き込まれるタタル&奈々コンビ。この『龍馬暗殺』で沙織とタタルは初対面ですか…将来のお兄さん候補はどうですか?沙織ちゃん。しかし、この奈々妹・沙織ちゃんですが、未だに趣味範囲が絞りきれません。もうちょっと凝り性だったならば、女タタルになれるのではないか?ってくらい、興味の幅は広いです。若いからか?

そんな龍馬フリーク沙織と共に龍馬名所巡りと楽しむ奈々…

う、うらやましい!!

私、あんまり龍馬に興味は無いんですが(やっぱり新撰組が好きです~)歴史の証言者たち(龍馬の手紙とか屏風とか)を見るのは大好きです。歴史の浅い(敢えて使う)北海道に住んでいるため、こういう歴史的重要物を見る機会が極端に少ない私。駅から自宅までの間に城があります!みたいな方、本当に羨ましく思うもの。自分の歩くこの道の上を、数百年前に○○が歩いたんだなぁ…とか思っただけで、あっという間に妄想ワールドにジャンプできるわ。というわけで、『龍馬暗殺』の中で最も心ときめいたのは、奈々&沙織の龍馬名所巡りの箇所でございました。

肝心の龍馬暗殺の真相とミステリについては…物足りないぃ。龍馬暗殺については新事実!!的衝撃が一切無かったですからね。○○が黒幕説は私も支持するところでしたし。龍馬の傷の件が新事実!に該当する箇所なのかもしれませんが、その説も既にどこかで読んだことがあったように思う。まぁ、龍馬による手(書)を一挙に見て、リアルに感じられるように作られていたことには好印象。でもね、一番最初に書かれた手だって、現代に住む私たちには読むことができなくてよ?

そして、ミステリ部分…無駄に長い!!推理パートが一切無く、殺人の事実だけが積み重ねられて、最後にタタルさんがバサッと切る…みたいな、一番つまらない作りになってるじゃないですか!!ミステリファンは真相に至るまでの過程を楽しむんですよ…。『龍馬暗殺』はQEDシリーズ第7弾でございますが、このあたりから今のQEDの問題点が出始めましたか?うーむ。

そして、なによりなにより

新撰組についての薀蓄が殆ど無いとは!!

じゃあ、新撰組カテゴリに含めるなよ…ってお叱りを受けそうですが。時代背景上、触れなくてはならない最低限のことしか書かれておりません。発売前に『龍馬暗殺』のタイトルだけ見た時には、新撰組薀蓄なら喜んで受けよう!!と一念発起したものですが…ぎゃぼ。幕末って、いまから約150年前でしかないから、書物とか結構残ってるんですよねぇ。もちろん謎も少ないわけで。そこをなんとか新しい薀蓄を捏造して披露していただきたい!頼みます、高田氏。

そういえば、『龍馬暗殺』にはタタ奈々ポイントも殆どありませんでしたね。家族(沙織)への面通しができたくらいのもんで。狐憑き時の(公衆の面前での)キス未遂くらいのもんですか?そこでズバっと、キスしちゃえば良かったのに…。あぁ、『河童伝説』でふたりの仲がどの程度進展するのか…期待できるかしら?

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2007/02/07

『QED 式の密室』 高田崇史

QED 式の密室 Book QED 式の密室

著者:高田 崇史
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タタルと熊つ崎。

学部も違えばサークルも異なる、まるで共通点のふたりが縁を持つきっかけとなった事件とは?

安倍晴明が使役していた“式”の秘密とは?

ネッ逃亡復帰第一弾レビュー。『六歌仙』ラストで「『東照宮』でお逢いしましょう」とか云ってた私ですが、いざ逃亡する段になって『マレー鉄道の謎』同様、『東照宮』が見つからない!とりあえず目の前にあった『式の密室』『龍馬暗殺』『神器封殺』を鞄に詰めての逃亡生活でした。って、逃亡中に同じく鞄に詰め込まれた「逆転裁判2」をひととおりクリアしたために『神器封殺』まで読みきれなかったのですが…本当に詰めが甘いな、私。

さて、『式の密室』です。私はQEDシリーズの中でもこの『式の密室』に好印象を持っております。なぜかって…

タタルさんの薀蓄とミステリの比率が良い具合だからですよ!

現在のようにクドイまでの薀蓄野郎にタタルさんを変えたのはどいつだ?オカルト同好会という温床が悪かったのか?それとも、聞き上手すぎる奈々ちゃんの所為か?とにかく、『式の密室』くらいの薀蓄披露が私には丁度良い。

そして、ミステリとの融合も見事ですよね。この融合具合もQEDシリーズの中でベストだと勝手に思ってます。“式”の秘密を解き明かすことが直接的に事件解決に繋がっている。いつもはちょっと(無理矢理めに)捻じ曲げて、事件と関連させている印象が拭えないんですよねぇ。でも、この『式の密室』はばっちしです。これはQED初心者の方にオススメの一作。薄いし。繰り返しますが、薀蓄もクドくないし。

さてさて、肝心なのは晴明様です。って、思わず“様”付けちゃいましたが、晴明好きですねぇ。映画「陰陽師」も萌えましたし、夢枕獏氏の『陰陽師』ももちろん読んでます。タタルさんの語る晴明エピソードも、夢枕版『陰陽師』でお馴染みのものばかりで嬉しくなっちゃいました。久しぶりに読みたい…読むか。というわけで、晴明のことを熱く語る機会は夢枕版『陰陽師』を読んだ際のレビューのためにとっておきましょうかね。でも、この『式の密室』、晴明入門書としても読めるんじゃないでしょうか?でも、いらん(偏った)知識も同時に入手しちゃうのか…考えものですね。

というわけで、本編も短ければレビューも必然的に短い。過去の事件だからタタ奈々ポイントも無いですしね。でも、本当にオススメの一作。

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2007/02/03

『QED 六歌仙の暗号』 高田崇史

QED 六歌仙の暗号 Book QED 六歌仙の暗号

著者:高田 崇史
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またもやモアイに厄介事を頼まれてしまった奈々。

タタルといっしょの京都・七福神巡り…が順風満帆に終わるはずも無く。

母校を揺るがした七福神の呪いがふたりを襲う。

2月の『河童伝説』発売までにQEDをおさらいしておこう…という気の迷いに、早くも後悔しております。薀蓄王子・タタルさんとはやっぱりお付き合いできないと今更ながらに思う。

本作『六歌仙の暗号』を成分分析すると、ミステリ3割薀蓄7割という具合でしょうか。タイトルが「六歌仙」なのに、冒頭から提示される謎は「七福神」だっていうんだから…単純に薀蓄の量は倍です。ただ、怨霊云々の薀蓄は、以降の巻でもかなり重要な位置を占めるだけに流し読みは禁物。それが、『百人一首の呪』から3日もかかっての読了という無残な結果に繋がったわけで…。

まずは3割のミステリについてレビューしましょうか。私はこの『六歌仙の暗号』で描かれるミステリ部分は高評価を下しておりますのよ。ただ、読者をミスリードするぜ!ミスリードされてくれよ!感がぷんぷんするのだけが残念。『六歌仙の暗号』にはダイイング・メッセージがふたつ登場するのですが、それが「気のどくに…」と「七」。「気のどくに…」の方はラストで巧い具合に回収されてくるのですが(でも、それを伝えたって助からなかったんじゃ…と思う。未発表だからこそ貴方も命を狙われることになったわけで)「七」の方はミスリードされてくれって云うほうが無理です。

あれはどう読んだって「七」には見えないっすよ!

岩築警部の手腕を段々と疑いたくなってきた…。でも、なぜ犯人は人目のない窓から逃げなかったのか…という謎には充分納得の解決が用意されていたと思います。あと、最初の密室ですが、犯人が全速力駆け抜けた割には息が上がっていなかったのではないか?という疑問も有ったような無かったような。

そして、7割を占める肝心の(?)薀蓄部分です。タタル(高田氏)が解き明かした例の説がどのくらい真実味のあるものなのか、敢えて調べてないのですが、犯人にとってはそれが真理であり摂理であったのなら良いかなぁと思います。七福神と云えば、テレビCMでお馴染みのN○VA(あぁ、伏せ字にならないジレンマ)を条件反射的に思い出してしまう私。ごめんなさい、もう歴史が好きだとか云いません。六歌仙に於いては、小町と業平しかわかりませんでした。もちろん、彼らの詠んだ歌なんて、ひとっつも諳んじることはできなくてよ!(もう開き直り)でも、QEDシリーズを読むことは(きっと)可能ですので、未読の方も安心して手に取ってくださいまし。

でも、歴史の教科書(高校)で学んだ「薬子の変」とか藤原四家とか、私にとってテストに出るぞ!ポイントとして字ずらのみ記憶されていた事柄を、薀蓄王子が懇切丁寧に教えてくれたのには嬉しくなりました。日本史の先生がタタルさんのように…なってしまうと、絶対にセンター試験までに一冊終わらない…ので、タタルさんの一欠でも歴史の横道を案内してくれたら、もっと勉強が楽しくなるのにな、と思います。

そうそう、『六歌仙の暗号』には薀蓄王子ことセクハラ王子の出番は少ない。でも、前夜に強盗に襲われそうになった奈々ちゃんの部屋に朝っぱらから上がりこみ、奈々ちゃんが朝食を取りに行っている間は自分は部屋にステイって…

新手のセクハラですか!?

奈々ちゃんの荷物を漁って、タタルさんがにっこりしている様を妄想してみる…やめよう、リアル過ぎる。

次回は『ベイカー街』をすっとばして、『東照宮』でお逢いしましょう。『ベイカー街』も大好きなんですが、復習にはならなさそうなので。

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