« 『スロウハイツの神様』 辻村深月 | トップページ | 『QED 六歌仙の暗号』 高田崇史 »

2007/01/31

『QED 百人一首の呪』 高田崇史

QED―百人一首の呪 Book QED―百人一首の呪

著者:高田 崇史
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

百人一首コレクターが殺害された-一枚の札を握りしめた状態で。

解き明かすは奇人変人・桑原タタル。

百人一首に隠された壮大な謎が、殺人事件をも解き明かす!

2月の河童伝説発売を前にして、そろそろQEDのおさらいをしておかないと…と手に取りました、QEDシリーズ第一弾『QED 百人一首の呪』でございます。今日から数日、当ブロ愚ではQED祭を開催。私がこっそり拝見しておりますQED(タタ奈々)サイト様では、河童伝説発売に向けて不穏な動きもあるようですが…同意せざるを得ない動きです。

さて、QEDシリーズの最大の特徴と云えば“歴史薀蓄とミステリの融合”でございます。最近のQEDシリーズは融合どころかまるまる薀蓄本と化しておりますが…頼むよ、河童伝説!それはさておき、ミステリとして本シリーズをお手に取った(メフィスト賞受賞作という事前知識しかお持ちで無かった)方は、約半分を占めるある意味どうでも良い歴史薀蓄に閉口されたのではないでしょうか?

歴史大好き!を自認する私(大学も歴史専攻でした)ですが、QEDの薀蓄世界にはついてゆけません。百人一首?そんなもの、ひとっつも諳んじることはできません。そんな似非歴史好きでも、充分について行けるように(嘘つき!タタルさんと奈々ちゃんが百人一首並べに奔走するシーンなんて、殆どスルーだったくせに!)本作は親切設計されております。でも、本当に最近のQEDシリーズに比べれば、本作『百人一首の呪』は懇切丁寧に指導してくださってるのよ、タタルさん。奈々ちゃんが可愛く小首を傾げれば、タタルさんはその偏った薀蓄を惜しげもなく披露してくれます。奈々ちゃんは読者のバロメータですので(最近は奈々ちゃんすらも読者を置いてけ掘ですが…)奈々ちゃんと一緒に学習する気分で本作に取り組んでいただけたら。

というわけで、百人一首に藤原定家が秘めた壮大な謎。率直な感想を申しますと…

よくやるよ!!

定家もタタル&奈々コンビもです。ただ、平安という時代が私たちが想像するような華やかで優雅な時代ではなかったという事実からは目を逸らせません。この前提の下、定家の仕事を眺めれば…それは職人の仕事。歌を生涯の生業とし、歌を以ってして生きた・生きてゆくしか無かった定家を思えば、このくらいの情熱ものともせず、と云ったところでしょうか。このQEDで提示される解答は、あくまでも高田崇史氏オリジナルのものですので、これが正解というわけではない。もしかすると、タタルさんでも気付くことのできなかったさらに深い解釈ができるかもしれない。定家、深い。

さて、ミステリ部分。本作の中でミステリが占める割合は役3割といったところ(これでも多い!)なのですが、よくできてると思います。登場人物の中で、ちょっとした思い違いをしている人間がいるのですが、そのボタンの掛け違いをタタルさんが直してあげるだけで、巧い具合に謎は解けます。ただね、そのくらい岩築さん警視庁一同は10ヶ月もかけずに裏とってくれよ…とは思う。

それでは最後に狐憑きとなったタタルさんが、奈々ちゃんにはたらいたセクハラを訴えて終了と致しましょうか。

手を握る
そして、並んでベッドに腰かける

一行目と二行目には時間的隔たりがあるのですが、こう並んで書き出すとセクハラ風味倍増ですね。このセクハラがシリーズが進むにあたってどう進化してゆくのか…それも見物です。しかし、このふたりはこの程度の進捗しかしていかないっていうんだからもどかしい。

そうそう、「3年ぶりですね」と声をかけた奈々ちゃんに対し、「2年6ヶ月ぶりだ」と訂正したタタルさんですが、貴方は西之園萌絵かなんかですか?って、それだけ奈々ちゃんに逢うのを待ち望んでいたのだと好意的に解釈させていただきますね。

|

« 『スロウハイツの神様』 辻村深月 | トップページ | 『QED 六歌仙の暗号』 高田崇史 »

コメント

この頃はまだ薀蓄についていけてたな~(遠い目)。
百人一首の謎が果たして公的な考証として認められてるのかどうか知りませんが、説得力はすごいですよね。
でも何がすごいって歴史の専門家でもないのに、シリーズを書くたびに1から研究して論理を組み立てる高田さんの脳みそですよ、、、

投稿: たいりょう | 2007/01/31 21:06

よくここまで考えたよって言うのが凄い たしかに定家も....
普通推理小説のなかで全部を説明しようって奴は、なかなかいないですよね そう言う点メフィストなのか?

投稿: きりり | 2007/02/01 03:11

☆たいりょうさん☆
そうなんですよ!この頃まではまだついていけました(同じく遠い目)
QEDシリーズはその世界の中で、きちんと謎を昇華させてくれるのが嬉しいですよね。でも、すべてを鵜呑みにすると、ものすごく偏った知識のみを基軸とする変人が出来上がるわけで。話題の捏造テレビ番組もそうですが、バランス感って大切だと本当に思いますね。

投稿: まじょ→たいりょうさん | 2007/02/03 12:53

☆きりりさん☆
まさにメフィスト賞ですよね~。メフィスト賞が無かったら、出逢うことのできなかった作品を読む度に、その偉大さと奇想天外さ(笑)を思い知らされます。
この『百人一首の呪』だって、そういうことが書きたいなら専門書として出版してください、とか無下に云われそうですもの。
でも、最近の読者置いてけ掘はどうかと思ったり。うーむ、メフィスト。

投稿: まじょ→きりりさん | 2007/02/03 12:56

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/5141676

この記事へのトラックバック一覧です: 『QED 百人一首の呪』 高田崇史:

« 『スロウハイツの神様』 辻村深月 | トップページ | 『QED 六歌仙の暗号』 高田崇史 »