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2007/01/26

『終末のフール』 伊坂幸太郎

終末のフール Book 終末のフール

著者:伊坂 幸太郎
販売元:集英社
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8年後、小惑星が地球に衝突し、人類は滅亡する。

そんなタイムリミットを宣言されたとき、貴方はどうする?

最期のとき、貴方の隣に居るのは誰ですか?

いまさら?とまではいかないまでも、入手までに予想以上の時間を費やした『終末のフール』。単に図書館予約を忘れていた(というか、予約したと思い込んでいた)だけなんですけれども。

さてさて、ようやく伊坂氏の出版ペースに追いつくことができました。伊坂作品(現在のところ)コンプです(でも、ブロ愚開始前に読了した作品もあるので、レビューはコンプできてないです)。既に直木賞常連の伊坂氏。第ニの東野圭吾化しておりますが、次の次くらいには受賞できるのではないでしょうか?文芸春秋から出版すれば良いのに…。

って、上記は伊坂氏のレビューを書く際の枕詞だと思っていただければ幸いです。肝心の内容はここから。

本作は小惑星が地球に衝突することが発表され、破綻してしまった社会が描かれております。タイムリミットまでの時間を思い思いに過ごす人たちのお話。伊坂氏特有のあっさり感と虚無感が存分に味わえます。

8つの“終末の過ごし方”が描かれておりますが、一番グッときたのは「太陽のシール」。えっ?意外性の欠片も無いって?そうさっ!私はこのベタベタな展開が大好きなんだよ!!歩く優柔不断の富士夫君が為した一世一代の決断。自分ならどうするか…なんて、考えるのは不可能です。だって、想像力には限界がある。どうしてもどうしても楽観視してしまう自分が居る。落ちるわけが無いと思っている自分が居る。だから、そんな想像に価値は無い。でも、富士夫君のように勇気ある決断ができる人間であれば良いなと思った一作。

同じくベタベタな展開で私を喜ばせてくれたのが「演劇のオール」。似非家族が寄り合って、真の家族が出来上がれば素敵。終末だからって、失うものばかりではない。得るものもきっとある。ただ、得るために普段より多くのエネルギーが必要なだけで。倫理子のエネルギーが結びつけた、その結びつきを終末まで育んで欲しいと切に思った一作でした。

ただ、印象に残ったのはこの2作(「深海のポール」で描かれていたお父さんにも泣けたけれども)だけで、あとはパンチが弱かったかも。やっぱり底抜けに明るくて救えない作品を伊坂氏には期待。

終末までに伊坂氏が直木賞を受賞できますように。

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» 終末のフール |伊坂 幸太郎 [ミステリー倶楽部]
私は、ほとんどの伊坂さんの作品を読んでいますが、この作品は、題材が終末という事もあって、いつもの作品よりも、ちょっと重く淡々とした時間の経過を感じました。 とはいえ、8つの物語の構成からなり、登場人物が要所要所で交差している事、 伏線の張り方は、伊坂さんならではと思いましたが。 ... [続きを読む]

受信: 2007/02/08 17:31

» 終末のフール |伊坂 幸太郎 [ミステリー倶楽部]
3年後に地球に隕石が落下して地球が滅亡してしまうかもしれないという設定。 こういうif物はリアリティに欠けすぎて面白みのない物になってしまうケースが多いのですが、そこはやっぱり伊坂幸太郎。本当にあってもおかしくない様な現実味をもたせて納得行く内容に仕上がっています。 発狂する者、絶望する物がいる中でこの小説の主人公達は(全員ではない)どうやら生きることを選んだ様だ ... [続きを読む]

受信: 2007/02/26 09:42

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