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2007/01/08

『英国庭園の謎』 有栖川有栖

英国庭園の謎 Book 英国庭園の謎

著者:有栖川 有栖
販売元:講談社
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不思議の国のアリスよろしく、英国庭園を彷徨えるアリス&火村。

ジャバウォッキーまで登場し、まさにアリス尽くしの一冊。

有栖川 国名シリーズ第4弾!

この『英国庭園の謎』は有栖川 国名シリーズでも異質な一作。何故って?それはタイトルの国名が日本語表記だからですよ!イギリス庭園とせずに、英国庭園と表記するあたり、私の超好みです。では、その内容はというと…?

「雨天決行」

この作品はタイトルからして読者をミスリードしておりますねぇ。有栖川氏の作品はかなりの数を読んでいて、タイトルを読んだだけでは内容を思い出せないものも幾つか存在しますが、この「雨天決行」は別ですね。

しかし、被害者の白石女子。めちゃくちゃこだわりもってますねぇ。この手のこだわりは、森博嗣のお得意とするところなのですが(私もかなり森作品の影響受けております)テレビはテレビじゃないとゾワゾワっとしませんか?

あとね、この作品に登場するぬかるみに遺された足跡の件なんですが…必要でしたか?火村の推理のとっかかりも、足跡とはまったく関係ないところからだったような気がするのですが?まさに蛇足だったような気が致します。

「竜胆紅一の疑惑」

この作品は有栖川お得意の犯人指摘しない系ですね。私は結構、こういう結末も好きなのですが、ズバットやってくれないと気持ち悪い方もいるのではないかなぁ?と思います。

本作のアリスの役割はとにかく不憫。火村を紹介して欲しい-ただそれだけのために駆り出された哀れな推理小説家。アリスの存在意義(雑学データベース?)が発揮された作品をそろぞろ読みたいものです。

でも、好きな作家の新作が読みたい!という読者の気持ちは本当によくわかります。有栖川氏の学生アリスシリーズの新刊を待ちに待ち望んで早○年。もうすぐ二桁に到達しようか…年上だったアリスたちがすっかり年下に。江神さんは…まだセーフ?でも、彼らは大学生ですからねぇ、ウラヤマシイ。新刊を待ち望んでいるといえば、小野不由美氏もそう!せめて自分が死ぬまでにシリーズ(十二国記)の完結を!!

「三つの日付」

アリスがその存在意義を~と書いたばかりですが、この「三つの日付」がありましたか。この作品はアリスが容疑者のアリバイ証人で…というかなり異色な作品。鬼・火村の追求を受ける犯罪者や共犯者の気持ちが少しはわかりましたか?アリスよ。

この作品には今は亡き赤星氏が登場しており、『海奈良』も再読しないとなぁと思わせた一作。火村シリーズは短編の方が好きなので、角川系の『海奈良』『ダリ繭』『朱色』あたりは国名シリーズに比べて読みが浅いんですよね。でも、レビューコンプのためにも、しっかり時間を作らないとね!

というわけで、アリスのように曜日にとらわれない生活に憧れます。毎週毎週、サザ○さんが怖いという今の生活からは早くおさらばしたいものです。

「完璧な遺書」

『英国庭園の謎』の中では、この作品が一番好きです。この作品は古畑系の倒叙形式でもって書かれているのですが、犯人側から見た火村がいかに怖いかが存分に描かれてる作品。犯人の考えたこと、為したこと、そのすべてが見破られる恐怖ったらないでしょうね。

しかも、最後に火村がかますハッタリ。私のPCは「こうさつ」と入力すると「絞殺」が一番最初に変換されるという、どういう生活送ってるわけ?PCなのですが。少し前に携帯の記憶機能バトンが流行りましたが、そんなおっそろしいバトン、受け取れねーっす。丸裸じゃないですか!!でも、「もりひろし」と入力して、きちんと「森博嗣」と変換してくれるこのPCは、やっぱり愛おしいです。そろそろ寿命ですが…。

「ジャバウォッキー」

実はルイス・キャロルのアリスシリーズをちゃんと読んだことの無い私。小学生のころにジュブナイル版で大抵の作品は読んでしまったので、いまさら感がどうしても拭えないのですよ。でも、ジャバウォッキーのジャバウォッキーぶりが知りたければ、ちゃんとしたの読まなきゃですよね。

さて、本作はかつて火村に捉えられたジャバウォッキーが、復讐あるいはSOSのために再度交信してくる…というお話。私はジャバウォッキーの思考回路、好きです。壊れていないのならば、是非ともコピーして欲しい。あの思考の飛躍は魅力的です。

そうそう、本作もアリス大活躍の回でしたね。ちゃんと、存在意義を示しておりましたアリス。でも、携帯で通話しながら暴走運転だなんて、今の世の中じゃ捕まっちゃうよ?アリス。しかも、千円札を投げつけて、改札を突破だなんて…アリスもなかなかやるわね。あとで火村にいっしょに謝ってもらってください。大の大人がふたりして、ペコペコ頭を下げる様…見物です。

「英国庭園の謎」

表題作。やっぱり表題作がラストだと落ち着きますね。国名シリーズ読んでるぞ!って感じで。

ただ、表題作は正統派であろうとする姿勢の現われか、如何せん地味な作品が多いのも事実。本作はポエティックな暗号モノなのですが、暗号解読のいくつかのパターン(ひとつ飛ばしとか、文字を削除して読むとか)を一通り試してゆけば正解に辿り着けるでしょう。電撃で打たれるかの如く、突如として脳裏に閃いた暗号の美しさにはやはり負けます。

本作も火村が犯人を嵌める型のオチが用意されているのですが、犯人は誰かわからないけど、この罠に嵌った人間が犯人だ!という解決の仕方は好きです。もっと臨場感があれば尚良し。アリスがお約束をかましてくれましたが、犯人と対峙しない名探偵だなんて勿体無くって。アリス、よくやったぞ。

というわけで、どんどんレビューという名の随筆の様相を為してきた企画レビュー。この『英国庭園の謎』で丁度折り返しでございますか。後半戦は『マレー』が厚いので、そこで数日を要するかもしれませんな…。

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