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2007/01/29

『レインツリーの国』 有川浩

レインツリーの国 Book レインツリーの国

著者:有川 浩
販売元:新潮社
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あなたに惹かれる心を止めることができない。

でも、あなたに逢うことはできないのです。

だって、あなたに切られることが怖いから。

『図書館内乱』に於いて重要な役割を果たした『レインツリーの国』。鞠江ちゃんが自分を投影して読んだというラヴストーリーを読まないわけにはいかない!と早速入手した次第です。

『図書館内乱』では健常者(小牧教官)が聴覚障害をもつ少女(鞠江ちゃん)にレファレンスする作品として相応しくないとメディア良化委員会からいちゃもんをつけられたこの作品。実物の『レインツリーの国』を読んで、いかにメディア良化委員会が作品そのものの良さを理解せずに、うわべだけで検閲を謀っているかが浮き彫りに。

基本的に恋愛小説は読まない私ですが、この作品は純粋に好き。しあわせな現在と、不安を感じながらも立ち向かおうとする未来に、清々しい余韻を感じました。終わらないものなんて無いのに、それを敢えて隠し、恋は盲目とばかりに突き進む恋愛小説もある中、終わる未来もしっかりと見据えたこの作品の真摯な姿勢が好き。

メールで愛を育むふたり。ブログやメールは送信ボタンを押す前に、文章を推敲することができる…それって本当の自分?逢ったときのクイックレスポンスにこそ、その人のリアルが見える。逢って尚、メールで感じていたその人とは違う一面が見えて尚、逢いたいと感じる気持ち。苛々しても声を荒げることになってしまっても、切れて欲しくないと感じる想い。そんな矛盾する想いをしっかりと受け止めたふたりには、死がふたりを分かつまで終わらない未来があることを祈って。

鞠江ちゃんがこの作品を純粋に楽しんで、小牧教官が図々しくも登場人物と自分とを重ねて。ひとみと伸が一歩ずつ歩み寄ってゆくように、鞠江ちゃんと小牧教官にもまっすぐな道が見えますように。

薄さ(いろんな意味での)に若干の難ありですが、『図書館内乱』とのコラボ作品としては合格点だと思いたい。有川氏の過去作品にも手を出したい、出さなくては!

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装幀は新潮社装幀室のはず。なぜかすべて横文字で、photograph by Takashi Otaka.design by Shinchosha Book Design Divisionとなっています。雰囲気作り?書き下ろし。 関西出身で東京の会社へ就職して3年の向坂伸行は、中... [続きを読む]

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