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2007/01/27

『独白するユニバーサル横メルカトル』 平山夢明

独白するユニバーサル横メルカトル Book 独白するユニバーサル横メルカトル

著者:平山 夢明
販売元:光文社
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日本推理作家協会賞とこのミス二冠を達成した2006年最大の問題作。

大量放出される脳内麻薬様物質が魅せる悪夢とは?

全然ダメか、諸手を挙げてカモン!のどちらかの評価になると思われていた『独白するユニバーサル横メルカトル』。まさか両方の評価が混在することになろうとは…。

前半は「あぁ、やっぱりダメだったか…」的作品が続きます。その評価が一転したのが「オペラントの肖像」。「オペラント~」も最初はよーわからん用語の連続で、“置き去りにされた感”満載だったのですが、ラストのどんでん返し(結局それかい、自分)で「おっ、読ませてくれるじゃん!」と。ああいう展開は諸手を挙げてカモン!ですね。

その次の「卵男」もまた良かった。こういうのも好き好き!カモンカモン!です。この2作で『横メルカトル』自体の評価をかなり押し上げておりますね。ラスト数行でこれまで読んできた世界観の再構築を無理矢理迫られる形の作品が好き。他の作品も、もっと深く読むことでこの感覚を味わうことができるようになるのかもしれませんが。時々現れるグロイ表現が深い読書の邪魔をします。

絵空事の世界だからこそ、キレイなものばかりを読んでいたい…というのが私の正直な気持ち。「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」なんかは、正直読むのを止めたくなりましたし。あと数ページだから良いかな?って。この「怪物のような~」もラストでキレイにまとめてくれたので、まだ救われましたけれども。

そして表題作「独白するユニバーサル横メルカトル」。ユニバーサル横メルカトルが地図投影法の一種であることは事前知識として持っておりましたが、まさか本当に独白をかますとは想定外でございました。こういう手法も好き。ただ、作品として一番完成されているだろうこの一編が、無難すぎると思ってしまう(思わせてしまう)あたりは、どうなのかな?と。短編集のド頭にこの一編が収録されていたならば、もっと取っつきやすいのではないかと。

そうそう、「すまじき熱帯」の似非日本語のユーモアにはすっかりやられてしまったことを、ここに記しておかなくては。

というわけで、3勝5敗で負け戦の方が多かった『独白するユニバーサル横メルカトル』。この作品がこのミスの1位を飾ることの方がミステリだ…とまでは云わないにしても、読者を選ぶ作品であることは確か。少なくとも私は選ばれなかった。帯に書評を寄せている綾辻氏や京極氏にリスペクトしております私としては、共にこの作品の良さを味わえなかったことが残念でなりませんが。

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コメント

何なんだこの本と読んでるのを後悔するよな内容でした 私もオペラントあたりで復活 その前のなんてひど過ぎますよね まさに生理的嫌悪 
このミスで読む人はショック受けますよ(含む私)結果後半の良さで読んで良かったと思いますが、この人の本は読まないかな〜って思います 

投稿: きりり | 2007/01/28 14:01

☆きりりさん☆
私も、平山氏の他の作品は読まないと思います。「オペラント」クラスの作品ばかりが詰まってるというのなら別としても。
「このミス」はこういう作品を時々ねじ込んでくるから油断なりませんね。でも、推理作家協会賞も獲ってるのか…これからミステリがこの方向に向かないことを祈ります~

投稿: まじょ→きりりさん | 2007/01/29 00:31

これはもう好みの問題が大きいですよね、ほんと。
選ばれなかったとしてもしょうがないし、他の作品はもっとグロかったりするから、読む必要はないでしょうし^^;;もう孤高の異才ということで(笑)。

投稿: たいりょう | 2007/01/31 07:45

☆たいりょうさん☆
グッとくる作品もいくつか有ったんですけどねぇ…如何せん、ダメなものは徹底的にダメだったものですから。
しかも、他の作品はもっとグロいんですか!やっぱりもう読めない…だぶん。
まさに異才という言葉がぴったりでございました。

投稿: まじょ→たいりょうさん | 2007/02/03 12:45

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