『スロウハイツの神様』 辻村深月
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スロウハイツの神様(上) 著者:辻村 深月 |
憧れの神様と過ごすひとつ屋根の下。
まるで“ときわ荘”のようなスロウハイツに訪れる波乱の日々。
辻村深月の描く青春群像。
漸くレビューが叶いました辻村深月新作『スロウハイツの神様』。前作『ぼくのメジャースプーン』を大絶賛した私ですが…
本作、失速?
辻村作品の魅力は、細部まで描かれ活き活きと動く登場人物たちと、ラストに仕掛けられたどんでん返し。でも、本作『スロウハイツの神様』はそのどちらもがおざなり。
スロウハイツに住む未来のクリエイターたちは8人。いつもの辻村作品であれば、これでもか!これでもか!とまでに繰り返される過去のトラウマが本作には登場しません。過去が詳細に描かれるのは家主でありスロウハイツのNO2でもある環と、スロウハイツの神様・チヨダコーキのみ。他のメンバは…書かれて無いと断言することはできないまでも、2本柱との関係を描くことが重視され、なおざり感あり。
まぁ、タイトルからして神様・コーキを押し出した直球勝負だから、ちょっと違和感を感じました~くらいで我慢できるんですけれど…
今回のストーリー展開はぬるい!
上巻を読み終えた時点で下巻の展開の95%が読めたと云っても過言ではありません。
チヨダコーキの偽者・鼓動チカラとは何者なのか?チヨダコーキを越える評価を受ける幹永舞は誰なのか?そしてコーキの天使ちゃんは?このあたりの謎が上巻を読み終えた時点で見渡せてしまう。それがとにかくとにかく残念で。
いつもの辻村作品なら「そんな記述どこにあったよ?」と読者を唸らせる巧妙さで伏線を隠してくるのですが、今回はあからさま過ぎる。奇人・チヨダコーキがぶつ切りで語る、嘘か真かエピソードがラストで巧いこと回収される様は綺麗でしたが…ねぇ?
本作はこれまでの辻村作品と比べてキレに難アリ。ただ、辻村氏の狙ったところはそこじゃないのだとも思う。スロウハイツの名の通り、神様を取り巻くスロウな生活を、神様の新しい家族を、神様の復活を描きたかったのだと思う。
そうそう、理帆子(by『凍りのくじら』)の登場は嬉しかったですね!スコシ-なんとかをsuper-なんとかに持ち替えた理帆子。伊坂幸太郎作品にも見られるこういうリンクは、ひとつひとつの作品をひとりひとりの登場人物を大切にしている感が存分に伝わってきて、本当に嬉しい。芹沢光これからの活躍を祈って。
蛇足ですが、チヨダコーキに西尾維新を被せて読んだのって、私だけでしょうか?
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スロウハイツの神様(下) 著者:辻村 深月 |
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