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2006/12/21

『凍りのくじら』 辻村深月

凍りのくじら Book 凍りのくじら

著者:辻村 深月
販売元:講談社
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SF-スコシ・ナントカ。

そんな風にしか人を見ることの出来ない、すこし・不在な存在・理帆子。

そんな彼女が経験した、すこし・不思議な物語。

辻村深月強化週間も本作『凍りのくじら』でラストでございます。繰り返し繰り返し述べておりますが、辻村作品、重い。連続で読むもんじゃないね。ブロ愚更新も滞る滞る。

さて、本作『凍りのくじら』はそんな辻村作品の中でも、読了後の気分がライトに保たれる方です。『ドラえもん』へのオマージュである本作は、藤子先生の提唱するSF-すこし・不思議な物語。

って、ここまでが読了日(なんと13日だ!)のレビュー。ここからはもう、うろ覚えレビューです。

『凍りのくじら』は、亡き両親(母親)が理帆子に贈った最後の写真集のシーンでもう号泣です。私は家族ものを扱った作品に弱い。恋愛小説を読んで、切なくなったり涙を流したりすることはほぼ皆無に等しいですが、友情や家族愛を描いた作品では必ずと云って良いほど涙が溢れてきます。自分の母でさえも“すこし・不幸”だなんて、カテゴリ付けしてしまう理帆子。そんな理帆子に正面から向き合うことのできなかった母親。彼女が自分の死を感じ取り、娘にしてやれる最後の仕事として選んだ、写真集作り。うわっ、もう読了してから1週間以上経つのに、思い出しただけで泣きそうになりました。

良い作品って、こういう作品のことを云うんですね。

そして、理帆子の先輩であり、キーパーソンでもある別所あきら。彼がラストにあの“りはこのスモールライト”を持って登場したシーンは、本当に秀逸だと思います。オマージュっていうのは、こういう作品のことを云うのだ…と再確認再認識。あきらの存在に関するトリックは薄々勘付いていたのですが(初読の際のお話。「おっきなカメラね~」とおばさんに話しかけられたシーンであれっ?と思いました。)こういったミステリミステリしていない作品でも、こういう要素をきちんと残してくれるって嬉しい。もちろん、あきらの存在はミステリ要素として用意したのではなく、ストーリーの要として必要だったわけですが。とにかく、辻村深月はいろんな引き出しを持っているな、とうっとり。

そうそう、郁也がピアノを弾くシーンも好きですね。ラストのちょっと大人になった郁也も好きです。すこしじゃなく、すごく・ナントカの郁也。父親に捨てられたくないがためにピアノを続ける…という、かなり辛い経験をしたであろう彼が、どうしてあんなに前向きに生きて行けるのか。辻村氏の描く男の子は、みな素敵です。

あっ、若尾なんて男もいましたか…。

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