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2006/12/25

『箱の中の天国と地獄』 矢野龍王

箱の中の天国と地獄 Book 箱の中の天国と地獄

著者:矢野 龍王
販売元:講談社
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ワンフロアに2つの箱。

宝の入った箱を開けることができれば、私たちは自由になれる。

但し、誤った箱を開けたならば…バーン!

読了作品レビュー消化週間第四弾。第四弾で終わりかと思いきや、読了本はその後も増加の一途を辿っております。通常サイクルに戻るのは一体いつの日か…。

さて、今日のレビューは矢野龍王新作『箱の中の天国と地獄』です。『極限推理コロシアム』でメフィスト賞を受賞し(なんとテレビドラマ化まで果たした)注目を浴びた矢野氏ですが、2作目『時限絶命マンション』ですっかりバトロワ化してしまい、ちょっと残念に思っておりました。そんな矢野氏の三作目は“パスラー(但し、やっぱりバトロワ風味)”です。

“パズラー”にはめっきり弱い私。『頭の体操』とか読んでも、早々に考えるのに飽きてしまい解答ページに直行です。でも、皆さんのレビューを拝見するに結構良く出来たパズル作品みたいですね。その良し悪しの判断すらも出来ません、私。彼らが選んだルート(箱)は正解だったのか!?なんて読み方があるなんて、全然思いもよりませんでしたもの。開かれなかった箱の中身まで推理してみるなんて、パスラー資質の方ってすごいなぁ。

さて、パズラー読みの出来ない私の感想はと申しますと…あれ?矢野龍王って、こんなに文章下手でしたっけ?です。ストーリーとその設定はgood、一気に休むことなく読み終えることができましたので、それは保証します。でもね、その良さを消しかねない中学生並の文章力にはがっかりです。バトロワ風味と紹介しましたように、人が虫のように死んでゆくのですが、その度に中途半端なセンチメンタリズムを読まされて閉口気味です。ゲームと割り切るならば(布袋のように)、そんなセンチメンタリズムはいらないし、人情小説として読ませたいならば、もっと死人は少なくして描ききらなければ。非常に残念。

布袋という(個人的な)萌えキャラがいなければ、かなり厳しかったかも。そういう布袋も噂に聞くほどの天才とは思えなかったですし。というか、天才なんて人間にお目にかかったことはないので、案外そんなものなのかもしれませんが。

では、この作品のどこがミステリなのか?という最大のポイントに触れておきましょうか。それは般若はどこからこのゲームを鑑賞していたのか?という点。これは思わせぶりなラストで提示され、解決されない謎ですが、各章の般若の独白を振り返れば自明かと。ネタバレするならば…

スーツケースの中なんですがね!

でもね、シール交換の箱が開けられたときにどうやって上階のシールを貼り変えたのか…という謎が残るわけですよ。いまさら協力者がいるなんてオチはナンセンスですので、この点をうまく説明してくださる方を募集中。

もうちょっと文章に引き込まれるものがあれば…という難点はあるものの、すでに矢野スタイルを確立された氏の新刊がいまから楽しみです。『極限推理』も久しぶりに読み返してみようかしら。あのラストの駄洒落が嫌いなんですよね。

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