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2006/12/23

『九つの殺人メルヘン』 鯨統一郎

九つの殺人メルヘン Book 九つの殺人メルヘン

著者:鯨 統一郎
販売元:光文社
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日本酒バー<森へ抜ける道>で交わされるアリバイ崩し。

有栖川有栖が分類した九つのアリバイトリックを、鯨統一郎が描ききる。

ミステリファンには堪らない一冊。

読了作品レビュー消化週間です。消化第二弾は鯨統一郎の『九つの殺人メルヘン』です。この作品を手に取ったきっかけは、裏表紙に有栖川有栖が寄せたコメントによるところが大きいです。

有栖川有栖が『マジックミラー』で講義した九つのアリバイトリックのすべてが網羅されているなんて!!

鯨統一郎ファンも、有栖川有栖ファンも必読の一冊です。『マジックミラー』のアリバイ講義はもうすっかり頭から抜け落ちているのですが、至るところでこのアリバイ講義ネタを見かけるので、その出来と評価は上々なのでしょう。私の『マジックミラー』評価も確かに高い。

しかも、九つのアリバイトリックの制覇だけでなく、そのすべてにメルヘンを絡めてくるなんて、やりますな鯨統一郎。『本当は残酷なグリム童話』が数年前にベストセラーになり、童話に隠されたその残酷性と裏テーマは広く知れ渡るところとなりましたが、本作ではそのあたりをすべてのトリックと絡めて描かれております。若干、厳しい解釈も見られますがね。こじつけだろ!!みたいな。

そして、その九つのアリバイを解き明かすのは『すべての美人は名探偵である』にも登場した桜川東子です。20歳の誕生日前日に、隠れ家(笑)日本酒バー<森へ抜ける道>に現れたお嬢様。法律的には誕生日の前日に加齢されるだなんて、知りませんでしたよ。だから、4月1日生まれの人は学年がひとつ上なんですね。東子お嬢様、ひとつ勉強になりました。

さらに、ところどころに挿入されるミステリ小ネタにも注目です。ミステリファンならそのネタだけで1時間は語れるよ!的な話題が至るところで放置されております(笑)嗚呼、マスターとミステリ談義に花を咲かせたい。でも、同じくらいの頻度で交わされるアイドルネタやCMネタには食指は動きませんでした(そりゃそうだ、年代が違うんだから)。

というわけで、ミステリファンには垂涎ネタ満載の本作。傑作!とまではいきませんが、読んでおいて損のない一作だと思います。

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