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2006/12/04

『シンデレラ・ティース』 坂木司

シンデレラ・ティース Book シンデレラ・ティース

著者:坂木 司
販売元:光文社
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歯医者さんなんて大嫌い。

歯科医嫌いの女子大生が始めた夏のバイトは…歯科医の受付嬢。

果たして彼女は一ヶ月のバイト期間を逃げ出さずに終えることはできるのか?

読了後、とっても清々しい気持ちにさせられました。

ひきこもり探偵シリーズでも、クリーニング屋さんのお話でも無く、今回坂木司氏が送り込んできたのは歯医者さんのお話。でも、坂木氏の作品の中でこの『シンデレラ・ティース』が個人的にベストです。

まず、成長の物語…ていうのに弱いんです。歯医者さんなんて大嫌いだったサキが、一ヶ月のバイト期間の間にスタッフの優しさとその高い技術に信頼を寄せて、自分も治療(検診)を受けてみようと決意する。そんなところでこの物語は終わります。もう予定調和も予定調和、お約束もお約束な展開なのですが、読了後とっても気持ち良い。私も歯医者さん嫌いですが(絶対に虫歯持ちだもの。親不知も抜きなさいって云われているのに…)こんな歯医者さんなら行ってみたいって思ったもの。

そして、一ヶ月の間にぐんぐんと進むプラトニックなラブストーリー。この手の作品に恋愛模様が入り込んでくると、いつもなら「いらねー」って思ってしまうのですが、今回ばかりはこのラブストーリーの行方がとっても気になりました。でも、四谷さん…ビールの国って。何話目かに登場したナンパ男と変わらないじゃないですか!(嘘です。全然そんなこと思ってません)とにかく、『シンデレラ・ティース』の読み所のひとつにこのラブストーリーが挙げられると思います。

そしてそして、多才なキャラクタ陣。三人の歯科医に三人の歯科衛生士、頼れる先輩医療事務に、とても優しそうで綺麗な手を持つ歯科技工士。最初、こんなに沢山の人物が書き分けられるか?と不安になったものの、そんな心配は杞憂でございました。みんな、ちゃんと記憶に残ってますよ。まぁ、それだけ個性的なキャラが揃っていたということなのですが。一番のお気に入りはやっぱり歯科技工士の彼なのですが(私、声フェチで手フェチなのです。まず最初に男性のこのふたつをチャックします)、その次にお気に入りなのが歌子さん(歯科衛生士)だったりします。あの強気キャラ、見習いたい!

というわけで、物語的にはいつもの坂木司同様、ちょっとした日常の(今回はお客様の)謎を解いてゆくというスタンスです。その基本スタイルを鮮やかに色付けるラブストーリーとキャラクタ陣。

うん、この作品が坂木司のベストですね。

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坂木 司 シンデレラ・ティース オチって大事ですよねと二作続けて想いました。 ええ想いました。思うんじゃなくて想ったんです。恋焦がれますよ? 四谷さん、あの、泣いているのを慰めようとする所で、悶えました。 世界史でしたが、本気で笑いました。もう、な... [続きを読む]

受信: 2006/12/29 13:35

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