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2006/12/24

『オランダ水牛の謎』 松尾由美

オランダ水牛の謎<安楽椅子探偵アーチー> Book オランダ水牛の謎<安楽椅子探偵アーチー>

著者:松尾 由美
販売元:東京創元社
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安楽椅子探偵の決定版。

安楽椅子そのものの名探偵・アーチーが幼きホストとともに挑む日常の謎。

読了作品レビュー消化週間第三弾、『オランダ水牛の謎』です。

ミステリファンは“国名○○の謎”というタイトルにべらぼうに弱い!と思っているのは私だけでしょうか?本家エラリィ・クイーンに始まり、大胆なオマージュで話題になった北村薫、そして有栖川有栖。この『オランダ水牛の謎』も“国名○○の謎”と銘打ったいくつかの短編を収録した作品集です。

そして、『安楽椅子探偵アーチー』の続編でもある本作。このシリーズの特異なところは、安楽椅子探偵が安楽椅子そのものであるという点です。一日の疲れを癒すために安楽椅子に腰掛け、その日にあったよしなしごとを呟いているうちに、安楽椅子自体に人格が目覚め、人語を操れるようになったという不思議な椅子。前作はそんなアーチーの最初の持ち主を探すという主題があったわけですが、本作は晴れて幼き主人・守のものとなったアーチーが、彼が持ち込む日常の謎(しかも国名もの!)を解いてゆくというスタンスです。

しかし、本作のアーチーにはキレがございません。名探偵たるもの、たいして根拠もないのに「これが真実に違いない!」と大見得きるくらいのことはしていただかないと。推理合戦だなんて、そんな生温いことを楽しむだなんて…しかも間違った推理までかますとはどういうこと!?

でも、本作はワトソンたる守の成長が見物です。5つの短編が収録されているのですが、守が辿り着く結末はどれも心温まるハートフルなものばかり。希望の持てないラストがミステリでは日常化しておりますが、謎が解き明かされたことで前を向いて新しい道を歩み始めることができた人を見るのは気持ち良いですよね。

名探偵の名探偵たる所以を楽しむための一冊では無いかも。でも、国名シリーズっていうだけ胸がドキドキ。ミステリファンなら、次はどこの国のどんな特産品(?)と絡めてくるのか?と楽しめると思います。他の国名シリーズ同様、多少のこじつけ感は否めませんが。

なんだか、有栖川有栖の国名シリーズも読みたくなってきましたね。1月には当ブロ愚の一周年記念が待ち構えておりますので、国名シリーズ一気レビューも良いな。帰省のお供に国名シリーズを携えて行こうかしら。

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