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2006/12/29

『珊瑚色ラプソディ』 岡嶋二人

結婚式を控え帰国した里見の元にもたらされたのは、婚約者入院のニュース。

婚約者の待つ沖縄に駆けつけた里見であったが、待ち受けていたのは嘘嘘嘘。

果たして真実はどこにあるのか?誰が嘘を付いているのか?

前回レビュー致しました『ソフトタッチ・オペレーション』で岡嶋氏の『そして扉は閉ざされた』が素敵に紹介されておりまして、これは読まなきゃ!と急ぎBOOK ○FF(おぉ、フセ字になってない)へ。ただ、古本との出逢いは一期一会。出逢いないときはどうやっても出逢えないのが古本道。その日も『そして扉は閉ざされた』には出逢えず、でも岡嶋二人読みたいモードに突入していた私が手にしたのが、この『珊瑚色ラプソディ』でした。

岡嶋氏と私の出逢いは遅く、『99%の誘拐』と『クラインの壷』という超有名2作品しか読んだことないのですが(本当にミステリファンか?)、岡嶋作品の読者を物語に引き込む力にはいつも感服。本作『珊瑚色ラプソディ』も、ぐいぐい読ませます。ミステリファンなら病み付きの“謎が謎を呼ぶ快感”が十二分に。

婚約者が独身最後の思い出に…と親友と出掛けた沖縄旅行。その沖縄で消えたのは親友と記憶。失くした記憶を埋めようと、婚約者の足あとを辿る里見であるが、そこで聞かされるのは信じられない話ばかり。婚約者は本当に親友と沖縄の地に降り立ったのか?浮気の清算旅行ではなかったのか?婚約者を信じられない里見は、彼女を愛していないことになるのか?

とにかく読ませます。でもね、読ませれば読ませるほど、面白ければ面白いほど、ラストのオチに期待してしまうのが人情。きちんと納得できるオチが用意されているのですが、そんな納得のいくオチなんていらないから、最後まで驚かせて欲しい!と思うのは、若干我が侭過ぎるかしら?

ちなみにオチは“ミステリの女王”の超有名作をもじったような感じです。あのオチはあんまり好きじゃないんですよ。だって、絶対にバレるもの。人の口に戸は立てられませんからね。

というわけで、あの引きずり込み感を最後まで持続してくれたら…と、ちょっと残念感の残る読了ではありましたが、岡嶋作品は『99%』『壷』『珊瑚色』とハズレない作品ばかりが続いておりますので、もっと読み込んでいきたいなと思う今日この頃。来年の抱負がもうできちゃったかしら?

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2006/12/26

『ソフトタッチ・オペレーション』 西澤保彦

超能力、我々の生活からは大きくかけ離れたその能力を用いて行われる犯罪に立ち向かうは…

中学生の卒業式ですか?ルックのチョーモンイン正規相談員・神麻嗣子。

人気シリーズもついにもう8作目。

まだまだ続く読了作品レビュー消化週間。第五弾はチョーモンインシリーズ最新刊『ソフトタッチ・オペレーション』です。前回レビューがパスラー作品として紹介した『箱の中の天国と地獄』だったのですが、パズラーといえば西澤保彦ですよね。チョーモンインシリーズはパスラー作品とは云い難いですが。

さて、先ほどから連呼しております“チョーモンイン”でございますが、ご存知ない方のために少しだけ説明をば。当ブロ愚でチョーモンインシリーズのレビューを書くのは、初めてなんですよね。既読作品をコンプリートした完成形ブロ愚が書きあがるのはいつの日か。って、チョーモンインの解説でした。チョーモンインとは超能力者問題秘密対策委員会の略でして、超能力者(この作品群で描かれる頻度で超能力者がいたら、5人に1人は超能力者なんじゃないかと思ったり思わなかったり)がその能力を悪用し、犯罪を犯した場合にそれを補導し、指導し、更生させるという特殊任務を負った組織です。その委員会に所属し、スミスのように(笑)超能力者を補導してゆくエージェントが本作のマスコットガール・神麻嗣子です。この嗣子ちゃんには秘密があるようなのですが、それはシリーズ最終巻で明かされる模様。

というわけで、4つの短編と1つの中編で構成されております本作ですが、表題作である「ソフトタッチ・オペレーション」の主人公・浩美くんの語り口とフェチ度にすっかりノックアウトされた私です。作品としては「闇からの声」が最も完成度が高かったと思うし、私もぞくりとしたのですが、読了後いちばん印象に残ったのが表題作でした。

あそこまでフェチ度が高かったら、それはもう犯罪ですよ!西澤氏も足フェチですか?

というわけで、物語の半分くらいは浩美くんの足への情熱でできている本作(嘘です)。本当に気に入ったのは双子のエル・テレパシー。双子のシンクロニティについてはいろんな作品で描かれておりますが、そのひとつの形としてチョーモンインらしく描かれたのが双子間でのみ使用可能なテレパシー。そのテレパシーが本作では大活躍するわけですが、それはまぁお読みいただければ幸いかと。しかし、双子の片割れ貴緒ちゃんも浩美くんに負けず劣らず良いキャラしてますなぁ。この双子で一作書いてくれないでしょうか、西澤氏。

それにしても、本作は能解警部の出番が一切御座いませんでしたね。保科さんとのラブ模様が嗣子ちゃんの秘密に関係しているようなので、そのあたりの記述がもっと読みたかったのですが。うーん、気になる木。シリーズ完結は哀しいですが、秘密を秘密のままにしておけない性質なんです。だって、ミステリフェチなんだもの!!

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2006/12/25

『箱の中の天国と地獄』 矢野龍王

箱の中の天国と地獄 Book 箱の中の天国と地獄

著者:矢野 龍王
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

ワンフロアに2つの箱。

宝の入った箱を開けることができれば、私たちは自由になれる。

但し、誤った箱を開けたならば…バーン!

読了作品レビュー消化週間第四弾。第四弾で終わりかと思いきや、読了本はその後も増加の一途を辿っております。通常サイクルに戻るのは一体いつの日か…。

さて、今日のレビューは矢野龍王新作『箱の中の天国と地獄』です。『極限推理コロシアム』でメフィスト賞を受賞し(なんとテレビドラマ化まで果たした)注目を浴びた矢野氏ですが、2作目『時限絶命マンション』ですっかりバトロワ化してしまい、ちょっと残念に思っておりました。そんな矢野氏の三作目は“パスラー(但し、やっぱりバトロワ風味)”です。

“パズラー”にはめっきり弱い私。『頭の体操』とか読んでも、早々に考えるのに飽きてしまい解答ページに直行です。でも、皆さんのレビューを拝見するに結構良く出来たパズル作品みたいですね。その良し悪しの判断すらも出来ません、私。彼らが選んだルート(箱)は正解だったのか!?なんて読み方があるなんて、全然思いもよりませんでしたもの。開かれなかった箱の中身まで推理してみるなんて、パスラー資質の方ってすごいなぁ。

さて、パズラー読みの出来ない私の感想はと申しますと…あれ?矢野龍王って、こんなに文章下手でしたっけ?です。ストーリーとその設定はgood、一気に休むことなく読み終えることができましたので、それは保証します。でもね、その良さを消しかねない中学生並の文章力にはがっかりです。バトロワ風味と紹介しましたように、人が虫のように死んでゆくのですが、その度に中途半端なセンチメンタリズムを読まされて閉口気味です。ゲームと割り切るならば(布袋のように)、そんなセンチメンタリズムはいらないし、人情小説として読ませたいならば、もっと死人は少なくして描ききらなければ。非常に残念。

布袋という(個人的な)萌えキャラがいなければ、かなり厳しかったかも。そういう布袋も噂に聞くほどの天才とは思えなかったですし。というか、天才なんて人間にお目にかかったことはないので、案外そんなものなのかもしれませんが。

では、この作品のどこがミステリなのか?という最大のポイントに触れておきましょうか。それは般若はどこからこのゲームを鑑賞していたのか?という点。これは思わせぶりなラストで提示され、解決されない謎ですが、各章の般若の独白を振り返れば自明かと。ネタバレするならば…

スーツケースの中なんですがね!

でもね、シール交換の箱が開けられたときにどうやって上階のシールを貼り変えたのか…という謎が残るわけですよ。いまさら協力者がいるなんてオチはナンセンスですので、この点をうまく説明してくださる方を募集中。

もうちょっと文章に引き込まれるものがあれば…という難点はあるものの、すでに矢野スタイルを確立された氏の新刊がいまから楽しみです。『極限推理』も久しぶりに読み返してみようかしら。あのラストの駄洒落が嫌いなんですよね。

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2006/12/24

『オランダ水牛の謎』 松尾由美

オランダ水牛の謎<安楽椅子探偵アーチー> Book オランダ水牛の謎<安楽椅子探偵アーチー>

著者:松尾 由美
販売元:東京創元社
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安楽椅子探偵の決定版。

安楽椅子そのものの名探偵・アーチーが幼きホストとともに挑む日常の謎。

読了作品レビュー消化週間第三弾、『オランダ水牛の謎』です。

ミステリファンは“国名○○の謎”というタイトルにべらぼうに弱い!と思っているのは私だけでしょうか?本家エラリィ・クイーンに始まり、大胆なオマージュで話題になった北村薫、そして有栖川有栖。この『オランダ水牛の謎』も“国名○○の謎”と銘打ったいくつかの短編を収録した作品集です。

そして、『安楽椅子探偵アーチー』の続編でもある本作。このシリーズの特異なところは、安楽椅子探偵が安楽椅子そのものであるという点です。一日の疲れを癒すために安楽椅子に腰掛け、その日にあったよしなしごとを呟いているうちに、安楽椅子自体に人格が目覚め、人語を操れるようになったという不思議な椅子。前作はそんなアーチーの最初の持ち主を探すという主題があったわけですが、本作は晴れて幼き主人・守のものとなったアーチーが、彼が持ち込む日常の謎(しかも国名もの!)を解いてゆくというスタンスです。

しかし、本作のアーチーにはキレがございません。名探偵たるもの、たいして根拠もないのに「これが真実に違いない!」と大見得きるくらいのことはしていただかないと。推理合戦だなんて、そんな生温いことを楽しむだなんて…しかも間違った推理までかますとはどういうこと!?

でも、本作はワトソンたる守の成長が見物です。5つの短編が収録されているのですが、守が辿り着く結末はどれも心温まるハートフルなものばかり。希望の持てないラストがミステリでは日常化しておりますが、謎が解き明かされたことで前を向いて新しい道を歩み始めることができた人を見るのは気持ち良いですよね。

名探偵の名探偵たる所以を楽しむための一冊では無いかも。でも、国名シリーズっていうだけ胸がドキドキ。ミステリファンなら、次はどこの国のどんな特産品(?)と絡めてくるのか?と楽しめると思います。他の国名シリーズ同様、多少のこじつけ感は否めませんが。

なんだか、有栖川有栖の国名シリーズも読みたくなってきましたね。1月には当ブロ愚の一周年記念が待ち構えておりますので、国名シリーズ一気レビューも良いな。帰省のお供に国名シリーズを携えて行こうかしら。

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2006/12/23

『九つの殺人メルヘン』 鯨統一郎

九つの殺人メルヘン Book 九つの殺人メルヘン

著者:鯨 統一郎
販売元:光文社
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日本酒バー<森へ抜ける道>で交わされるアリバイ崩し。

有栖川有栖が分類した九つのアリバイトリックを、鯨統一郎が描ききる。

ミステリファンには堪らない一冊。

読了作品レビュー消化週間です。消化第二弾は鯨統一郎の『九つの殺人メルヘン』です。この作品を手に取ったきっかけは、裏表紙に有栖川有栖が寄せたコメントによるところが大きいです。

有栖川有栖が『マジックミラー』で講義した九つのアリバイトリックのすべてが網羅されているなんて!!

鯨統一郎ファンも、有栖川有栖ファンも必読の一冊です。『マジックミラー』のアリバイ講義はもうすっかり頭から抜け落ちているのですが、至るところでこのアリバイ講義ネタを見かけるので、その出来と評価は上々なのでしょう。私の『マジックミラー』評価も確かに高い。

しかも、九つのアリバイトリックの制覇だけでなく、そのすべてにメルヘンを絡めてくるなんて、やりますな鯨統一郎。『本当は残酷なグリム童話』が数年前にベストセラーになり、童話に隠されたその残酷性と裏テーマは広く知れ渡るところとなりましたが、本作ではそのあたりをすべてのトリックと絡めて描かれております。若干、厳しい解釈も見られますがね。こじつけだろ!!みたいな。

そして、その九つのアリバイを解き明かすのは『すべての美人は名探偵である』にも登場した桜川東子です。20歳の誕生日前日に、隠れ家(笑)日本酒バー<森へ抜ける道>に現れたお嬢様。法律的には誕生日の前日に加齢されるだなんて、知りませんでしたよ。だから、4月1日生まれの人は学年がひとつ上なんですね。東子お嬢様、ひとつ勉強になりました。

さらに、ところどころに挿入されるミステリ小ネタにも注目です。ミステリファンならそのネタだけで1時間は語れるよ!的な話題が至るところで放置されております(笑)嗚呼、マスターとミステリ談義に花を咲かせたい。でも、同じくらいの頻度で交わされるアイドルネタやCMネタには食指は動きませんでした(そりゃそうだ、年代が違うんだから)。

というわけで、ミステリファンには垂涎ネタ満載の本作。傑作!とまではいきませんが、読んでおいて損のない一作だと思います。

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2006/12/21

『凍りのくじら』 辻村深月

凍りのくじら Book 凍りのくじら

著者:辻村 深月
販売元:講談社
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SF-スコシ・ナントカ。

そんな風にしか人を見ることの出来ない、すこし・不在な存在・理帆子。

そんな彼女が経験した、すこし・不思議な物語。

辻村深月強化週間も本作『凍りのくじら』でラストでございます。繰り返し繰り返し述べておりますが、辻村作品、重い。連続で読むもんじゃないね。ブロ愚更新も滞る滞る。

さて、本作『凍りのくじら』はそんな辻村作品の中でも、読了後の気分がライトに保たれる方です。『ドラえもん』へのオマージュである本作は、藤子先生の提唱するSF-すこし・不思議な物語。

って、ここまでが読了日(なんと13日だ!)のレビュー。ここからはもう、うろ覚えレビューです。

『凍りのくじら』は、亡き両親(母親)が理帆子に贈った最後の写真集のシーンでもう号泣です。私は家族ものを扱った作品に弱い。恋愛小説を読んで、切なくなったり涙を流したりすることはほぼ皆無に等しいですが、友情や家族愛を描いた作品では必ずと云って良いほど涙が溢れてきます。自分の母でさえも“すこし・不幸”だなんて、カテゴリ付けしてしまう理帆子。そんな理帆子に正面から向き合うことのできなかった母親。彼女が自分の死を感じ取り、娘にしてやれる最後の仕事として選んだ、写真集作り。うわっ、もう読了してから1週間以上経つのに、思い出しただけで泣きそうになりました。

良い作品って、こういう作品のことを云うんですね。

そして、理帆子の先輩であり、キーパーソンでもある別所あきら。彼がラストにあの“りはこのスモールライト”を持って登場したシーンは、本当に秀逸だと思います。オマージュっていうのは、こういう作品のことを云うのだ…と再確認再認識。あきらの存在に関するトリックは薄々勘付いていたのですが(初読の際のお話。「おっきなカメラね~」とおばさんに話しかけられたシーンであれっ?と思いました。)こういったミステリミステリしていない作品でも、こういう要素をきちんと残してくれるって嬉しい。もちろん、あきらの存在はミステリ要素として用意したのではなく、ストーリーの要として必要だったわけですが。とにかく、辻村深月はいろんな引き出しを持っているな、とうっとり。

そうそう、郁也がピアノを弾くシーンも好きですね。ラストのちょっと大人になった郁也も好きです。すこしじゃなく、すごく・ナントカの郁也。父親に捨てられたくないがためにピアノを続ける…という、かなり辛い経験をしたであろう彼が、どうしてあんなに前向きに生きて行けるのか。辻村氏の描く男の子は、みな素敵です。

あっ、若尾なんて男もいましたか…。

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2006/12/11

「このミステリーがすごい! 2007年版」

このミステリーがすごい!2007年版 Book このミステリーがすごい!2007年版

販売元:宝島社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

師走のお楽しみ「このミス」を漸く入手致しました。あっ、全編ネタバレレビューとなりますので、「このミスは自分の目で確かめるんじゃい!」という方はずずずっとスクロールされませんように。

うひょ~。『横メルカトル』が1位ですか!?

ここ数年、『葉桜』『生首』『容疑者X』と(こうして並べてみると、なんとも不穏な文字の配列…)本格志向のミステリが1位だったのですが、ここにきてホラー(なんですよね?)作品が1位を飾りましたか。先日、前評判を手に図書館予約をしてまいりましたが、その際に予約10人待ちでしたので、私が『横メルカトル』を読めるのは数ヶ月後になるかと思います。書評読みましたが、どれだけ奇天烈斎先生なのかめちゃくちゃ楽しみだがん。

しかし、毎度毎度のことですが、ベスト20に入っている作品のほとんどを読めてませんねぇ。今年は『銃チョコ』『怪盗グリフィン』『夏期限定トロピカル』『顔のない敵』『ボトルネック』『乱烏の島』の6作品ですか。ベスト40まで広げたって、13作品しか読めてません。どれだけ固定作家に偏った読書をしているかが判るってなもんです。当ブロ愚もレビュー作品は200を越えましたが、その中で13作品しかランクインしていないっていうんだから…。

また「このミス」片手に狙い読書をする日々が始まりそうな予感です。

そして、今年もやってきました「私の隠し玉」!!!今年も気になった作家さんの「隠し玉」紹介です。

●有栖川有栖氏●
来ました(笑)今年もこの頁から確認させていただきました。毎年毎年ありがとうございます。そうですか、江神(学生アリス)シリーズは今年もお預け、現在執筆中でございますが。来年こそは「やりました」と書かれた「隠し玉」を読ませてください。『双頭の悪魔』を越える長編…どんと来い!です。ただただ、待ってます。

●石持浅海氏●
光文社<座間味くんシリーズ>なるものをお書きになっていたのですか!座間味くんって、『月の扉』に登場した座間味くんですよね?ほへ~、純粋に短編集の発売が楽しみ。そうそう、今年の新人作家インタビューは石持氏でしたね。去年が米澤穂信氏でしたので、来年は坂木司氏あたりではないかと予想してみる…いかがでしょう?

●本多孝好氏●
毎年毎年丁寧なご挨拶、ありがとうございます。ただ、本多ファンとしては早く早く新刊を手にしたい気持ちでいっぱいでございます。ハードボイルドでも青春小説でも、官能小説でも構いませんから、早く新刊を!!

●横山秀夫氏●
数年計画と云わずに、タイトルを明かした4作品、すべてを待ち構える準備はできておりますので!去年まではチェックしていなかった作家さんの「隠し玉」を楽しく読めるってのは嬉しいですね。早く、リアルタイムで横山作品新刊を手にする機会を私にっ!

●米澤穂信氏●
いつの間にか秋期限定が『マロングラッセ事件』にタイトル代わりしておりましたね。秋に古典部モノ、そして紺屋S&Rモノも是非。『トロピカルパフェ』と『ボトルネック』の2作品同時ランクイン!のようなご活躍を是非来年も期待しております。

あぁ、本当に「私の隠し玉」は楽しいなぁ。来年になって、この前年「隠し玉」を読むのが最高に楽しいんですよ(あぁ、悪だ。お主もかなりの悪よのぉ)有栖川氏、次こそ私の期待を良い方向に裏切ってください!

というわけで、まだ流し読みですのでいまからじっくり読み込みたいと思います。そうそう、去年は“ミステリ既読調査”なるものが流行りましたが、今年も開催してくださらないかしら。あれ、書き出すのが本当に大変だと思いますが、是非やってみたいです。

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2006/12/10

『子どもたちは夜と遊ぶ』 辻村深月

子どもたちは夜と遊ぶ(上) Book 子どもたちは夜と遊ぶ(上)

著者:辻村 深月
販売元:講談社
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虚数であり、存在しない数「i(アイ)」。

見えない「藍」の姿を追い求め、浅葱が犯してしまった罪。

子どもたちは遊び疲れた後、救われることができるのか?

辻村深月強化週間…とか云いながら、まったく“週間”になってないことを、誠に遺憾に思います。だって、読むのに気力も時間も必要なんだもの、辻村深月。

本作『子どもたちは夜と遊ぶ』は、魅力的なキャラクタとその設定に惹かれるものの、最期の落とし方があまり好みではなくて、初読時にがっかりした記憶がございます。さっそくネタバレレビューに早代わりいたしますが、よろしいでしょうか?

そうそう、このレビューでは月子や孝太くんと同じ時を過ごした彼を「浅葱」、浅葱が捜し求める兄を「藍」として扱うことに致します。その部分まで正確に記すと、混乱必至ですので。だって、まだ私の中でも充分に消化しきれているとは云い難いですし…。

まず、兄である「藍」が浅葱の作り出した(二重)人格だった…という点。はっきり云って「やっぱりそれかよ~」と思ってしまいました。二重人格ネタって、確かに落とし易いし描き易いのかもしれませんが、あれだけ「藍」に逢いたがっていた浅葱に、もっと救われるエンディングは用意してあげられなかったのか…と哀しい。恭司が「藍」だったネタの方がよっぽど素敵に思った、私。ラストの恭司なんて、充分にその資格があったし。最期に恭司として月子に再会した彼は、自分が壊してしまった最愛の彼女を見て、どう思ったのか。「不幸にならないで」と自分が不幸を与えてしまった彼女に、どんな願いを込めたのか。浅葱は幸せになる道をどこで間違ってしまったのか。

確かに、浅葱に日常を与えてしまうことは「破綻」を意味しますよね。殺人という罪を犯してしまった彼に、もう日常に戻ることは許されない。道から外れてしまった浅葱に、文字通り生死をかけて手を差し伸ばした月子。その月子の手を振りほどいてしまった彼に、もう道は無くなってしまいました。浅葱と対峙した月子の決意…それは『ぼくのメジャースプーン』でも語られていて、『ぼくの~』を読んだときに改めて驚嘆させられたものですが、もし月子の手を浅葱が離さなかったら…未来は変わっていたのかな?それとも、自分の知られてはならない過去を握る彼女を、浅葱はいつか手にかけてしまっていたのかな?未来は可変でしょうか?

そして、本作での仕掛けられている叙述トリック(?)月子と孝太くんの関係を差して私はそう呼びますが、これは初読の際には全く気付けませんでした。再読した今回も、「うわぁ、際どい書き方してるなぁ」と思いましたね。ただ、フェアかアンフェアかと聞かれれば、フェアかな、と思います。ただ、変わった家庭(日向子さんが絶対的な原因だ)だとは思いますが。浅葱がこの事実をもっと前から知っていたら…とここでも悔やまれる。

ダメだ、浅葱が好きすぎる自分がいる…。女性受けを狙った漫画キャラクタのような彼にすっかり惚れている…。

本作は浅葱をはじめとする“魅力的なキャラクタ”に引っ張られるかのように成立している作品。月子も孝太くんも恭司も秋先生も、みんな魅力的。『冷たい校舎の時は止まる』でも感じたことですが、「こんな奴等いねーよ」と思わせる反面「あぁ、いるいるこんな奴」とも思わせる、そんな微妙な中庸感を持ち合わせたキャラクタ作りが、辻村氏は巧いです。彼らがどうやっても合わない…という方は辻村作品がどうあっても合わないし、それは人間のエゴと向き合うのが辛いという危機感がそうさせるのかもしれない。

とにかく辻村作品はとても面白い反面、連続で読むのは辛すぎる。強化週間と銘打ってしまった以上『凍りのくじら』まで読みますが…日々こういった小説を書き続けている辻村氏の精神状態がちょっと心配になったりならなかったり。

子どもたちは夜と遊ぶ(下) Book 子どもたちは夜と遊ぶ(下)

著者:辻村 深月
販売元:講談社
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2006/12/07

『冷たい校舎の時は止まる』 辻村深月

冷たい校舎の時は止まる (上) Book 冷たい校舎の時は止まる (上)

著者:辻村 深月
販売元:講談社
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雪の降り積もる中、不思議な力で校内に閉じ込められてしまった8人。

そこは8人の中に存在する、自殺したクラスメイトが作り出した世界。

自殺を謀った仲間は一体誰なのか?

カテゴリもあって、ワード検索でご来場いただいている方も多いのに、レビューがたった1冊しかなくて申し訳状態でした、辻村深月氏。今日から辻村氏強化週間です。ただね、辻村氏の作品を読むと、若干鬱状態に陥るんですよね。連投可能なのか、自分。

さて、強化週間1作目はデビュー作であり、メフィスト賞受賞作でもある『冷たい校舎の時は止まる』でございます。メフィスト賞らしからぬ作風と上中下の3冊組という、剛の者ではありますが、おもしろい。

雪の降り積もる学校に、何者かの手によって集められた8人の高校生たち。彼らを結ぶキーワードは“クラス委員”と“自殺したクラスメイト”。しかし、8人の誰もが“自殺したクラスメイト”が誰だったのか思い出すことができない。8人の中にその“自殺したクラスメイト”はいるのか?そして、その誰かはなんのために8人を集めたのか?恨み?それとも、最期の時を過ごしたかったから?

そんな「自殺したクラスメイト当て」を主軸に描かれるミステリ部分と、人間誰しもが抱える“生きることへの苦悩”を描いた心理(精神)部分に分かれる本作。

冷たい校舎の時は止まる (中) Book 冷たい校舎の時は止まる (中)

著者:辻村 深月
販売元:講談社
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辻村氏はそんな“悩みを抱えた若者”を書かせたら天下一品です。ちょっと重すぎる…という思いも抱かずにはいられないのですが、きっと8人の誰かには共感できる部分があると思う。ただね、主人公の深月ちゃん(主人公に自身の名前を与える…おぉ、エラリィ好きですか?)だけは、ちょっと重すぎると云いましょうか、被害者すぎると云いましょうか、読んでて苛々する場面が無かったとは云えません…。

そして、特筆すべきがミステリ部分。私はすっかり騙された口です~。えっ?これってアンフェアじゃない?と一瞬思わせましたが(えっと、自殺したクラスメイトの件の方です)あくまでも“ホスト”に関しては8人の仲間たちが考察(絞殺が変換1発目で出てくる私のPCって…ちょっと哀しい)した結果ですからね。その意味でフェア。

そして辻村氏が放つもう一発のトリック(写真に感じた違和感の件)。こちらがあって、あちらがあるのですが(あぁ、まどろっこしい!)このトリックには見事に騙されました。下巻にヒントがばら撒かれてますが、あの程度じゃ気付けないです。スガ兄の過去には普通に感動しちゃってましたし。私って、浅はかさん。

というわけで、ミステリとしても読み物としても充分納得の1作。処女作でこのクオリティを出してきますか!私とほとんど歳も変わらないのに!!と驚きの1作。辻村氏、いつか大物に化けますね。それも近いうちに。とにかくオススメの1作ですので、あの3冊組に倦厭気味の貴方にも是非お読みいただきたい作品です。

冷たい校舎の時は止まる  (下) Book 冷たい校舎の時は止まる (下)

著者:辻村 深月
販売元:講談社
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2006/12/04

『シンデレラ・ティース』 坂木司

シンデレラ・ティース Book シンデレラ・ティース

著者:坂木 司
販売元:光文社
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歯医者さんなんて大嫌い。

歯科医嫌いの女子大生が始めた夏のバイトは…歯科医の受付嬢。

果たして彼女は一ヶ月のバイト期間を逃げ出さずに終えることはできるのか?

読了後、とっても清々しい気持ちにさせられました。

ひきこもり探偵シリーズでも、クリーニング屋さんのお話でも無く、今回坂木司氏が送り込んできたのは歯医者さんのお話。でも、坂木氏の作品の中でこの『シンデレラ・ティース』が個人的にベストです。

まず、成長の物語…ていうのに弱いんです。歯医者さんなんて大嫌いだったサキが、一ヶ月のバイト期間の間にスタッフの優しさとその高い技術に信頼を寄せて、自分も治療(検診)を受けてみようと決意する。そんなところでこの物語は終わります。もう予定調和も予定調和、お約束もお約束な展開なのですが、読了後とっても気持ち良い。私も歯医者さん嫌いですが(絶対に虫歯持ちだもの。親不知も抜きなさいって云われているのに…)こんな歯医者さんなら行ってみたいって思ったもの。

そして、一ヶ月の間にぐんぐんと進むプラトニックなラブストーリー。この手の作品に恋愛模様が入り込んでくると、いつもなら「いらねー」って思ってしまうのですが、今回ばかりはこのラブストーリーの行方がとっても気になりました。でも、四谷さん…ビールの国って。何話目かに登場したナンパ男と変わらないじゃないですか!(嘘です。全然そんなこと思ってません)とにかく、『シンデレラ・ティース』の読み所のひとつにこのラブストーリーが挙げられると思います。

そしてそして、多才なキャラクタ陣。三人の歯科医に三人の歯科衛生士、頼れる先輩医療事務に、とても優しそうで綺麗な手を持つ歯科技工士。最初、こんなに沢山の人物が書き分けられるか?と不安になったものの、そんな心配は杞憂でございました。みんな、ちゃんと記憶に残ってますよ。まぁ、それだけ個性的なキャラが揃っていたということなのですが。一番のお気に入りはやっぱり歯科技工士の彼なのですが(私、声フェチで手フェチなのです。まず最初に男性のこのふたつをチャックします)、その次にお気に入りなのが歌子さん(歯科衛生士)だったりします。あの強気キャラ、見習いたい!

というわけで、物語的にはいつもの坂木司同様、ちょっとした日常の(今回はお客様の)謎を解いてゆくというスタンスです。その基本スタイルを鮮やかに色付けるラブストーリーとキャラクタ陣。

うん、この作品が坂木司のベストですね。

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2006/12/03

『新本格魔法少女りすか2』 西尾維新

新本格魔法少女 りすか2 Book 新本格魔法少女 りすか2

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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無敵とも思えるキズタカ&りすかの前に立ちはだかった“天敵”。

その“天敵”は思ったよりも大物で?

西尾維新の描く魔法少女物語、第二弾。

この『りすか2』でプチ西尾維新祭も終了で御座います。読んだ読んだ、来る日も来る日も西尾維新。もうしばらく西尾維新は良いです(って貴女、『化物語』は?『HOLIC』は?)

さて、『りすか1(便宜上)』であれだけ酷評致しました本シリーズ。本作はりすかの天敵登場に、城門管理委員会との遭遇、そして「六人の魔法使い」とのバトル。うーん、盛り沢山なのですが、やっぱりキズタカの大人口調には馴染めないっす。

個人的に『りすか2』で最も気に入っているのは「出征!」だったりします。きずなさん、良い性格してますね。キズタカが最初に出逢った魔法使い=りすかという方程式は、これまでに何度も確認されていることなので、騙されることはありませんでしたか、キズタカが初めて母親と呼んだ女=きずなさんという方程式には、ちょっとだけグッときました。きずなさんの安否が気がかりで御座いますが、きっと以降の物語できっちりと回収してくれるものと期待します。

そして、キズタカパパの登場。キズタカパパ、ダンディこの上ないですね。私の妄想をここで吐き出すならば、キズタカパパ=ニャルラトテップ=りすかパパみたいな!りすかは自分の父親、見たことないでしょうから。キズタカパパがそれであっても気付かないみたいな!って、私如きに予想されるようなオチにはならないと思いますので、私の妄想で御座います。でも、そうでもないとキズタカパパのあの存在感は説明出来ないっす!

そうそう、この『りすか2』には□が延々と続いたり(きっと112個)、魔法使いを殺しというフレーズが延々と続いたり(きっと93個。もちろん数えておりません)する箇所があります。あとはまっさらな頁が一枚挟まってたり。すわ、落丁か?と思わせますが、演出です。でもねぇ、ニ段組の上段すべて□ばっかり…みたいな本を読まされてもねぇ。新しい作品の形なのかもしれませんが、頭の固い私にはやっぱり合わなかったりします。

というわけで、3人(えっ?3人ってもうひとり誰よ?とお思いの方は是非作品をお読みください)の行く末が気になる今日この頃。「ファウスト」は私、読んでいないので、この後の作品が発表されているのかどうかもわかりませんが、まさかここで終わらせたりはしないだろ…と願いつつ。

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2006/12/02

みんなの読書癖●勤労感謝の日に仕事に行かなくてはならない気持ちはどう表現したら良いのか編

北海道はすっかり冬景色です。もしかしたら、このまま根雪になってしまうかもしれません。いつか雪の無いクリスマスを経験したいと切に願っている私、まじょ。で御座います。さて、今月も既に備忘録としての役割しか果たしていない、このコーナーです。

まずは●ACRWEBのページアクセスランキング●から。

1 『のだめカンタービレ ♯16』とのだめドラマ 77
2 『零崎軋識の人間ノック』 西尾維新 74
3 ○十二国記 41
4 ○かまいたちの夜 40
5 ●辻村深月 39
5 □森博嗣ブログジャック計画 39
7 ○新撰組 33
8 『ボトルネック』 米澤穂信 30

8

『華胥の幽夢』 小野不由美 30
8 ●森博嗣 30

初めて名探偵コナンがランクインしていないランキング表を見ました…。

今月、コナンカテゴリは1票差の11位です。これで漸くミステリブロ愚らしくなってきました!と云いたいところなのですが、今月も1位はミステリ外…のだめです。ぎゃぼ。ランクインして一番驚いたのは米澤穂信氏の『ボトルネック』。米澤氏、メジャーへの階段を着々と昇ってきておりますね。そして、今月の申し訳無いで賞は辻村深月カテゴリ。カテゴリあるのに、投稿レビューが1作のみって!!早急に他の作品のレビューもしなきゃ!プチ辻村深月祭、開催計画中です~。

それでは●track wordランキング●の動向もチェック。

 1. 森博嗣(44)
 2. 西尾維新(36)
 2. 辻村深月(36)
 4. のだめ(34)
 5. かまいたちの夜(26)
 6. 十二国記(18)
 7. スレイヤーズ(17)
 8. 坂木司(16)
 9. ガラスの仮面(14)
 9. 名探偵コナン(14)

そして衝撃の次点が“十二国(13)”で御座います。あぁ、私もよくやりますYO!そうそう、いつも気になっていたのですが“名探偵コナン 黒幕”で検索してご来場くださる方が結構いらっしゃるのですが、これってどんなネタなのでしょうか?“名探偵コナン 黒幕 阿笠博士”のアンド検索も多いですね。まさか、組織のボスは最新刊でまるでマ○オのような黒髪を披露した博士なのですか!?そうだ、コナンの最新刊はかなりアツかったから、レビューしておこうかしら。ふむふむ。

それでは、来月のクリスマスに死ね死ね団をいっしょに結成しませんか編でお逢いしましょう。寒くなると、どうしてもおうちから出たくない(あるいはストー部から離れたくない)病が発病しますので、読書ペースも上がるものと考えられます~。

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