« 『ボトルネック』 米澤穂信 | トップページ | 『顔 FACE』 横山秀夫 »

2006/11/09

『臨場』 横山秀夫

臨場 Book 臨場

著者:横山 秀夫
販売元:光文社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

“終身検視官”の異名を持つ男・倉石。

死者が、犯人が、現場に残した最後のメッセージを汲み取る者。

そして、謎を解き明かす者。

『臨場』読了後、既に何冊か横山作品を読んでまして、しかもすべて短編集なものですから、ちょっと混じってます。すみません、いきなり云い訳です。

『臨場』は警察組織における“鑑識”にスポットを当てた一作。“鑑識”と云えば、耳かきに付いてるふわふわしたやつのでっかい版で粉を叩き、髪の毛一本逃さぬために床に這い蹲って目を凝らし、見つけた証拠品は嬉々としてビニール袋に…とかなり偏った(我ながら偏り過ぎだ)イメージを持っておりました。

ミステリでは、探偵は推理の飛躍を武器に、警察は科学捜査を武器に闘うものと相場が決まっておりますので(またもや偏見だ)警察における鑑識(科学捜査)の大切さは身にしみているのですが、その科学捜査の結果を印籠の如く叩きつける捜査一課の刑事にばかり目がいって、鑑識係そのものには全く目を向けたことはありませんでしたね。

そういえば、2時間ドラマで帝王・船越○一郎がそんなシリーズを持っていたようないなかったような…ググってみました。「火災調査官・紅蓮次郎」シリーズでしたか。そういえば、警察の制服ではなくて、ブルーのつなぎを着ていたような気がするよ。

さて、肝心の『臨場』レビューです。本作は8作の短編で構成されているのですが、主人公である終身検視官・倉石がフルで顔を出すもの、キーパーソンとしてのみ登場するもの、その造りは様々です。

私は8作のうち、「赤い名刺」の推理にグッときましたね。検視官はその現場を構成するすべての要素を拾い上げて、死者のメッセージを汲み取る。あのドアは世界と事件現場を遮断する物理的な役割はもちろん、犯人を遮断する役割も果たしていた。うん、すごい好きです、こういうの。あっ、さらっとネタバレしましたね。すみません。

そして、「餞」で倉石がみせた不器用な敬礼に倉石のひととなりが詰まっていて、またまたグッときました。倉石はぶっきら棒に見えて、実は暖かい。倉石校長と慕われる…のは実は良くわからなかったのですが、きっと触れ合うとグッとくるところがあるのでしょう。

こういうマイナな方向から警察組織を眺めるのも良いものですね。横山作品を読み始めてからというもの、警察事情にちょっとだけ明るくなったような気がします。

|

« 『ボトルネック』 米澤穂信 | トップページ | 『顔 FACE』 横山秀夫 »

コメント

こんばんは
ついに臨場読破ですか。
私は倉石の無骨なまでの職人気質に惹かれました。
横山作品の中ではかなり好きな作品です。
臨場のその後の倉石を読んでみたいのですが、続きはないだろうなー。

投稿: うだじむ | 2006/11/10 17:10

☆うだじむさん☆
うだじむさんオススメの『臨場』、ようやく読みました!
>臨場のその後の倉石を読んでみたいのですが、続きはないだろうなー。
私も読みたい!!追いかけ続けたヤマ(「十七年蝉」)をひとつ片付けた倉石がどんな身の振りかたをしたのか。どこかの署長になってしまったのか、あくまでも終身検視官であり続けるのか。
男のロマンですね!

投稿: まじょ→うだじむさん | 2006/11/11 18:02

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/4119004

この記事へのトラックバック一覧です: 『臨場』 横山秀夫:

« 『ボトルネック』 米澤穂信 | トップページ | 『顔 FACE』 横山秀夫 »