« 『ブルー・ブラッド』 ディヴィッド・ハンドラー | トップページ | 『零崎軋識の人間ノック』 西尾維新 »

2006/11/16

『カクレカラクリ』 森博嗣

カクレカラクリ—An Automaton in Long Sleep Book カクレカラクリ—An Automaton in Long Sleep

著者:森 博嗣
販売元:メディアファクトリー
Amazon.co.jpで詳細を確認する

天才絡繰り師によって生を受け、120年の時を刻み続ける“カクレカラクリ”

“カクレカラクリ”は伝説でしかないのか?本当に存在するのか?

ひと夏の冒険をコカ・コーラと共に。

いっ、いま頃!?

皆様からのそんな声が聞こえてきそうな『カクレカラクリ』レビュー。ドラマですっかり意気消沈、なかなか手が出せずにおりました。ドラマレビューの際に頂戴したコメントで、ドラマと原作がてんで異なる作りになっていることは推測できましたので、そのあたりに注目して読み進めたのですが、やっぱり原作の方が数倍、数百倍おもしろい。

まずキャラクタ。ドラマでは演技力の問題だったのか演出だったのか、とにかく無気力無感動おまけに無愛想に描かれていた主人公・郡司くんでしたが、原作ではメガネの(ここ、ポイント高いです)理系思考、廃墟を目にすればまるで少年というなかなか好感の持てるキャラクタに仕上がっておりました。“天然”という表現だけはどうも納得ゆかないのですが(理系故の思考の飛躍でしょ?)

そして、ドラマではただのチャラ男(うわぁ、古っ!)だった栗城くんや、魔女ですか?ってなくらい怪しげだった花梨お嬢様も、普通に馴染みやすいキャラクタで一安心。玲奈ちゃんだけはバイクの一件を除けば原作にかなり忠実でしたね。

一番ポイント高かったのは太一くんですね。エピローグの「どんな味でも…食べるしかありませんよ」と微笑むシーンで、お姉さま(私のことです)のハートを鷲掴みです!ドラマじゃ異常なほど腰の低いキャラクタに仕上がっておりましたが、原作じゃちょっと犀川先生を連想させる(本当はそうでもない)素敵青年として描かれているではありませんか。

とにかく、ドラマよりも数段魅力的なメンバで構成されております、原作。

そして、肝心の“カクレカラクリ”。巨大な建造物がにょきにょきと…というほどのカラクリではありませんでしたが、あれだけのエネルギィを用いてあの小さな人形を動かす…という一見(というか、かなり)無駄に思える仕様にロマンを感じますよね。好きです。あのカラクリ部屋でそれらが動く様を見たら、間違いなく感動すると思います。ドラマでは見事に描かれなかった部分でございますが。一体、なんだったんだ、ドラマ。でも、暗号(?)の難易度は変わらずでしたね。森博嗣作品の中では、最高に解きやすかろうと思います。そのあたり、一般向けを意識されましたか?森先生。

財宝云々の落とし方も良かったです。ドラマじゃ、財宝ネタは宙に放りっ放しで回収無しでしたからね。ちゃっかり着服(横領)しちゃうなんて、インキさんったらお茶目☆

玲奈と太一のラヴ模様も、ちゃんと救われるように描かれていて(ドラマでは絶対に結ばれてはならねぇ!みたいに描かれているように私には見えた)嬉しくなりました。従兄弟は結婚できますからね。両家を文字通り結んであげてくださいね。

というわけで、いつもの森作品ほどのキレはありませんでしたが、ドラマよりも数段おもしろい作品で一安心でした。今日はこのあと、録画したドラマをもう一度見てみようかなと思います。原作も読んだ今、きっとツッコミポイントは数倍に膨れ上がっていることでしょう。ある意味、楽しみ。

|

« 『ブルー・ブラッド』 ディヴィッド・ハンドラー | トップページ | 『零崎軋識の人間ノック』 西尾維新 »

コメント

自分はドラマ見てませんでしたw
キレのある作品とは言いがたいけど、
疲れたときにはちょうどいい雰囲気でした。
ドラマも見てみたかったです・・・。

投稿: あさり | 2006/11/16 00:30

☆あさりさん☆
あさりさんにも是非御覧頂きたかった、あのドラマ!
原作は確かに森作品らしいキレはありませんね。天才も不在ですし。でも、あのゆる~い感じの森博嗣もまた良かったです。
ドラマと比べれば数倍おもしろかったですけれど!DVD化されましたら、是非レンタルしてみてください~。

投稿: まじょ→あさりさん | 2006/11/16 22:15

森度は薄いけど、ドラマより数段いいですよね 
って言うかドラマは、からくりがぁ、からくりがぁひどすぎる!
ドラマがある故、世界観に違いとかいい本だな〜とかあらためて思った本です

投稿: きりり | 2006/11/17 11:36

こんにちは。
私もドラマは見てませんが、小説としては普通に面白かったです。
最近の森博嗣さんでは、かなり好きな作品。
「多大な労力を費やして、意味のないことをする」
というロマンティシズム、
これって森さんが追求(?)しているテーマのひとつなのでしょうか。
「ZOKU]なども、モロにそういう小説でした。

投稿: 木曽 | 2006/11/17 20:53

☆きりりさん☆
「森作品大衆向け」といった感じですよね。この作品から森学園に入学した方は『すべてがFになる』でどう感じるのかしら。願わくば、森ファンがひとりでも増えますように。
ドラマ…もう既にカラクリなんてありましたっけ?になりつつある一作ですね!

投稿: まじょ→きりりさん | 2006/11/17 23:17

☆木曽さん☆
Gシリーズを筆頭とした最近のシリーズ作品は、どうも投げっぱなしの印象を受けますよね。その意味でも一作できっちり完結している『カクレカラクリ』は読んでて安心感がありましたよね!
>「多大な労力を費やして、意味のないことをする」というロマンティシズム
これって素敵ですよね!現実に生きる私たちが本気でこれをやろうと思ったら、引退した後の余生でやるしかないですものね。こんなロマンを持ち続けたまま、可愛い刀自になりたいものです。
『ZOKU』はラストの二重人格(?)ネタしか覚えてないのですが、確かに木曽さんの仰るようにロマンに溢れていたように思います~。

投稿: まじょ→木曽さん | 2006/11/17 23:26

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/4185485

この記事へのトラックバック一覧です: 『カクレカラクリ』 森博嗣:

« 『ブルー・ブラッド』 ディヴィッド・ハンドラー | トップページ | 『零崎軋識の人間ノック』 西尾維新 »