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2006/11/08

『ボトルネック』 米澤穂信

ボトルネック Book ボトルネック

著者:米澤 穂信
販売元:新潮社
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分身とも云うべき友を弔うためにやってきた東尋坊。

東尋坊の崖下へ投げ出された僕が辿り着いたのは…僕の生まれなかった世界。

そこで知ってしまった現実とは?

読了したのはもう2週間も前ですので、ちゃんとしたレビューが書けるかどうか不安です。しかも、そんな本がごろごろ残ってます。怖ひですね!!

さて、米澤穂信氏新刊はノンシリーズものの『ボトルネック』、ミステリではないですね。“これからは通常営業。ミステリブロ愚復活です。”とか上の方で云っちゃってますが、これからレビューを書かねばならない本もほとんどミステリじゃないじゃない。しかも、一ヶ月近くまともにミステリ読んでないじゃない。ぎゃぼ。

というわけで、米澤氏お得意の青春ものです。既刊の米澤作品において、その90%くらいは無気力無関心無感動を装った高校生の男の子が主人公なのですが、本作『ボトルネック』もその例に漏れません。ある意味安心、ある意味マンネリです。『犬はどこだ』はその点でやっぱり新鮮だったなぁ。紺屋S&Rシリーズ新刊、早く読みたい。

って、『ボトルネック』の話をしなきゃ!

いきなり良し悪しの話をするならば、『ボトルネック』は“良し”でしたね。あのラストが良かった。お読みでない方はさっぱりだと思いますが、僕はラストのメールを読んでどちらに進んだのか。前に足を踏み出したのか、回れ右をしたのか。私としては回れ右(家に帰った)だと思うのですが、結末が完全に読者に委ねられてますよね。こういう手法が嫌いな方も多いと思いますが(本当は私もそうです)この部分は読者がこれまでの物語をどう受け取ったかによるもので、どちらの結末を読者が選んでも物語の中身に影響を与えないので、ある意味“正しいラスト”だったと思います。どちらに進んだとしても物語として充分に成立するという部分が、単純に素晴らしいと思う。

そして“自分の生まれなかった世界”を旅するという設定。自分の代わりにそこに存在するのは、母親の胎内で亡くなり生まれなかった姉。姉の干渉によって、自分が居た世界よりも良い方向に進んでいる世界を見せられて、僕は当惑する。僕は生まれてきた意味があったのだろうか、と。自分は「不幸だ、不幸だ」と思って生きてきたが、それは自分が何もしなかったから、不幸を抜け出す努力をしなかったから。姉が放つ光にかき消されてしまいそうになる僕。光があるからこそ影が存在する。でも、強すぎる光ならば…?うん、これだけでもう青春です。

あとは、僕の分身たる彼女の存在ですね。あのときあの場所をたまたま通りかかり、声をかけたのがたまたま僕だったから…。確かにきっかけはそうだったのかもしれない。でも、きっかけを本物に変えたのは、彼女の意思があったからだと私は思います。だから君も捨てたモンじゃない。だからこそ、あのラストで回れ右をして、戻ってきて欲しい。

最後に浮かべた笑み。それはどちらの道を選択した笑みですか?

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コメント

こんにちは。
これはイタイ作品でした~。
米澤さんは、もともとダークなところのある作家さんで、
そこがある意味魅力でしたが、
ここまで真っ黒な作品を出してくるとは・・・。
ということで、私的には評価は保留です。
そのうち読み返してみよう。
11月12日発売の「野性時代」に、古典部モノの短編が掲載されるそうですね。

投稿: 木曽 | 2006/11/09 19:28

☆木曽さん☆
そうですね!米澤作品は青春の爽やかさでダークな部分を覆い隠している感じ。米澤作品は単行本化された作品はすべて読んでいる(はず)のですが、『犬』のラストでかましたダークさ(あのラストは大好き!)を、作品全体に置き換えた感じですね。
古典部新作掲載ですか!「野生時代」…知ってはいるが、手を出したことの無い雑誌ですね。どうしようかしら。他の掲載作品もチェックしてから決めることにします。
またまた情報、ありがとうございました!!

投稿: まじょ→木曽さん | 2006/11/11 17:56

米澤氏は、こういうのお得意なのですね 春季限定..の次に読んで分けわからんこの人〜って思いました 最後の方がおなじみじゃないと短いような気がしますって本返しちゃってわからないんですけど でも米澤氏の人気のほどはまだ理解できない感じ お勧め読んでみま〜す

投稿: きりり | 2007/01/09 12:17

これが初めての米澤さんでしたが、まあどう感想を書いていいのか難しいですね~^^;;
あのラストがよく分からなかったのですが、まじょ。さんの記事を見てなんとなく伝わりました。

投稿: たいりょう | 2007/01/10 22:34

☆きりりさん☆
この『ボトルネック』は賛否両論のようですね~。ノンシリーズでは古典部や小市民などの青春モノとはとは一線を画したものを読みたいと願っていたので、アリだと思ったのですが。ただ、『このミス』などにランクインされるほどのレベルか…と問われると「否」と答えざるを得ないですね~。
その点、『犬はどこだ』は充分、ランクインに耐える作品だと思いますので、是非どうぞ~。

投稿: まじょ→きりりさん | 2007/01/14 16:58

☆たいりょうさん☆
あけましておめでとうございます!たいりょうさん、今年もよろしくお願いいたします♪
さて、『ボトルネック』が初・米澤作品ですか…おっ、重たいですね。本来の米澤氏はもっとライトな感じですので、そちらがよりオススメかもしれません。
でも、たいりょうさんなら『犬はどこだ』がお好きだと思います!

投稿: まじょ→たいりょうさん | 2007/01/14 17:00

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