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2006/11/19

『ダブルダウン勘繰郎』 西尾維新

ダブルダウン勘繰郎 Book ダブルダウン勘繰郎

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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一心不乱に日本探偵倶楽部(JDC)を見つめる探偵志望者。

そんな“探偵を志す者”と“かつて探偵を志した者”の出逢いがこの物語の始まり。

西尾維新の描くJDC TRIBUTE作品。

プチ西尾維新祭開催中です。

この『ダブルダウン勘繰郎』はJDC TRIBUTE作品ということで、清涼院流水氏の創作したJDCワールドが下敷きになっております。JDC(日本探偵倶楽部)とは一体なんなのか?西尾維新氏は読んでも、清涼院流水氏はちょっと…と仰る方が存外多いようなので、ちょっと解説を。

JDCとはJapan Detective Clubの略でして、未曽有の変態探偵を集めた集団です。探偵たちは一班から七班の“ランク付け”がなされており、一班の探偵となれば一流の名探偵であることはもちろん、一流の奇人変人たる資格をも持ち合わせております。JDCキャラクタの中で最も有名なのが九十九十九。彼はDOLLと呼ばれるJDCの上位団体からS探偵に任命させており、世界レベルの推理力を持ち合わせているのですが、彼を語る上で外すことのできないポイントはその美貌。素顔を晒せば、あまりの美しさに失神する者が多数。警視庁から外出の際にはサングラス着用を義務付けられているという剛の者です。(十九については舞城王太郎氏著の『九十九十九』に詳しい…のでしょうか?舞城とは決別宣言したので、未読なんです~)

そして、本作『ダブルダウン勘繰郎』にも登場する黒衣の貴公子・龍宮城之介。私は彼がJDCキャラクタの中でいっとう好きですが、彼は生粋の駄洒落スキーです。出てくる言葉出てくる言葉、すべて駄洒落。その駄洒落狂が自然と言葉遊びのプロとなり、暗号やアナグラムにかけて彼の右に出る者はおりません。愛用の黒いマント、黒い手袋、そして黒いフェルト帽から覗く愛らしいベビーフェイスに私はノックアウトなのですが、あの婚約劇だけはどうかと思います。

というわけで、『ダブルダウン勘繰郎』レビューと云いつつも、JDCへの愛を散々ぶちまけているだけになりつつあります。危ない危ない。本題に戻りましょうか。

『DEATH NOTE‐ANOTHER NOTE ロサンゼルスBB連続殺人事件‐』でも、人の土俵で鮮やかな舞を見せ付けた西尾維新氏ですが、デスノよりも前にその力を遺憾なく発揮されていたわけであります。JDCスキーな私でも、違和感なく読めるもの。龍宮の登場シーンなんて、清涼院氏が書いたのか?と思わせるほどです。

そして、TRIBUTE新探偵たち。あぁ、こんな奴等は本家のJDCにも絶対居るよ…と思わずにはいられません。西尾維新氏に多大な影響を与えた作家として良く挙げられるのが、森博嗣氏と清涼院流水氏ですが、流水イズムにこんなにもマッチするなんて。本家のJDCにもTRIBUTE探偵たちを登場させてやってください。

そして、おもしろいのが西尾流探偵論ですね。人間が必ず持っている“誰にも知られたく無い部分”を殺して解して並べて揃えて晒した挙句に、にやっと微笑む名探偵。自分の頭脳がいかに素晴らしいものであるかを時には控えめに、時には堂々と自慢し、他人を卑下する名探偵。た、確かに。現実世界にそんな奴が居たら、絶対にお近づきになりたくはありませんが、それでも名探偵が大好きな私はやっぱりミステリ狂なのかもしれません。

西尾維新氏が本作でかますトリック(ふたつあるのかな?)は、西尾維新氏らしいお遊びが含まれていて私は好きですね~。中でも“かつて探偵を志したもの”の変貌ぶりが素敵です。警備員に命令するときの、探偵にはもう失望してます(馬鹿にしてます)感が素晴らしかったですね。

というわけで、『ダブルダウン勘繰郎』レビュー部分よりも、JDC解説部分の方が長かったんじゃないか感(しかも、あっという間に書けた)は拭えませんが、この作品でJDCに興味を持つ人が出てくれば、西尾氏もそして私も本望なのだと思います。よぉし、それでは次は『クビシメロマンチスト』レビューでお逢いしましょう。

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コメント

こんにちは。戯言シリーズのレビューも気になるけれど、JDC解説、これすごい助かりました。元祖を知らずに「ダブルダウン勘繰郎」を読んだので、色々びっくりです。龍宮城之介は既出のキャラだったんですね。そして舞城の「九十九十九」も、そんな有名なキャラクターだったとは。。。まじょ。さんのJDC解説見て、清涼院流水読まねば・・という気がしてきました。

投稿: ソラチ | 2006/11/21 08:05

☆ソラチさん☆
わぉ!このレビューでソラチさんがJDCに興味を持っていただけたとは感激です!JDCも西尾維新に負けず劣らす(というか本家でしょうか?)変態キャラクタてんこ盛りで、読んでて「なんじゃこりゃ~」と思うこと必至です。ギャグは…確かにすべってますがね…。西尾祭が終焉を迎えたら、JDCシリーズ祭に移行しようかしら。

投稿: まじょ→ソラチさん | 2006/11/22 00:32

読みました。いやあ、本家JDCのメタっぷり(嫌いではありませんが)に較べてまともな作品でしたね~。二つのドンデン返し、2番目のはまあいいとして、最初のやつには腰抜かしました。
最初に記述者(かつて探偵を志したもの)が語る本格コードの否定すらフェイクになってて、ある意味「クビキリサイクル」以来の本格コード作品だったのではないでしょうか。
JDCトリビュートというよりは完全に西尾作品だったと思います。
舞城さんの『九十九十九』もそうとう壊れた小説でした^^;;

投稿: たいりょう | 2006/12/06 17:25

☆たいりょうさん☆
本家JDCはその世界にどっぷり漬かっていても「そのギャグ、寒っ!」と思うことありますからね。『カーニバル 五輪の書』で龍宮がラストに解き明かす謎(?)なんて、最高にくだらなかったですから。ここまで引っ張ってそれかい!みたいな。
『九十九十九』…持っているのにかれこれ○年積読です。どうしましょう、たいりょうさんオススメであれば、勇気を出してチャレンジしてみようかしら…。

投稿: まじょ→たいりょうさん | 2006/12/07 00:31

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