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2006/11/29

『新本格魔法少女りすか』 西尾維新

新本格魔法少女りすか Book 新本格魔法少女りすか

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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“城門”で隔離された長崎県。そこは魔法の王国だった。

“城門”を潜り、こちらの世界にやってきた「赤き時の魔女」と共に、

僕は「ニャルラトテップ」を捜す戦いに挑む。

地味にまだ終焉を迎えていなかった、プチ西尾維新祭。『きみとぼく』捜す際に、『りすか』の方が2分も早く見つかったものですから、キープしておいたわけです。

さて、本作『魔法少女りすか』ですが、タイトルの前に付いた『新本格』ってなんですか?今、タイトル入力する場面に遭遇するまで全く無意識下でした。まさか、この作品が『新本格』だっていうわけじゃ無いですよね?無いですよね?まぁ、私の偏った読書遍歴では『新本格』と云えば綾辻以後の本格ミステリムーブメントのことですが、皆が皆『新本格』という言葉でそれを連想するわけが無いので、きっと私の知らない『新本格』なのだと思います。思いたい。

それでは、今度こそ本当に『りすか』について。りすかこと「赤き時の魔女」は、自らの父親であり大魔法使いである「ニャルラトテップ」を捜すため、魔法の王国たる長崎県を飛び出し、こちらの世界にやってきた少女。彼女は“ある目的”のため自らの手足となる駒を捜す少年・キズタカに出逢い、互いの目的を達成するために手を結ぶ…というストーリーです。はっきり云って、

なんじゃそりゃ?

ですよね。それでは、『りすか』のそりゃないだろ!ポイントその壱・キズタカ大人思想過ぎ!大人の私でも弱冠小学5年生のキズタカ思想についてゆけません~。実際、どんなにIQの高いお子様でも、あそこまでの思考回路は持ち合わせてないと思う。思考というのは生まれてきたときから備わっているものではなく、成長する過程で身につけるものだと思うんですよね。どうやって思考すれば良いのか、経験を経て構築してゆくものだと思います。だから、キズタカの言葉が常に嘘くさく感じてしまうわけです。最終的に辿り着くポイントは同じでも、小学5年生が辿る思考回路はそこじゃないだろ?と。

そりゃないだろ!ポイントその弐・いくらなんでも死んだら発生する時限装置式魔法式って無茶じゃないですか!この『りすか』には、キズタカの作戦のもとにりすかを“死なせて”、大人バージョンりすか(りすかは死ぬとセクシーダイナマイトな未来のりすかに変身可能になります)でトドメを刺す…という王道パターンが存在するのですが、そのりすかが死ぬシーン(特に第二話「影あるところに光あれ。」)がグロイです。ちょっと気分が悪くなります。王道パターンがあるっていうのは決して悪いことじゃないのですが、わざわざりすかを死なせること前提にした作戦っていうのがセコイ。もちろん、死なずとも良い作戦も携えては行くのですが、結局「りすかが死ねばなんとかなるんだからあっさり死んでもらおう」的な安易さが見え隠れしていて。それが残念でなりません。

その壱その弐まで書きましたが、なんか批判的なレビューになっていて自己嫌悪。うーん、なんか書きたかったレビューと違うな。批判しようと思ったら、とことん批判しちゃう悪い自分が出てきちゃってますね。でも、『りすか2』も持っているという事実で、この作品自体が嫌いではないということが判ってもらえればと思います。現在、『りすか2』読書中。『りすか2』でプチ西尾維新祭は終焉の予定です。次はどの本を読もうかな?お楽しみに!!

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2006/11/28

『きみとぼくの壊れた世界』 西尾維新

きみとぼくの壊れた世界 Book きみとぼくの壊れた世界

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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シスコン?僕はそんなんじゃない。ただ妹が大切なだけ。

大切な妹を守るため、妹に群がる虫と対峙したと思ったら…

本当に退治されてしまった彼。彼を殺したのは一体誰なのか?

戦国BASARA2購入後も、未だ開催中のプチ西尾維新祭。見つけることができたら…と弱気発言をしておりました『きみとぼく』、本棚と格闘すること5分ようやく掘り当てました(この表現がまさにぴったり。もうキャパをオーバーしちゃってて、普通に並べられないんですよ)。

さて、本作『きみとぼく』は西尾作品の中で唯一と云って良い、真っ向勝負のミステリではなかでしょうか?「もんだい編」「たんてい編」「かいけつ編」の3章に分けられた本作。「もんだい編」はメフィスト誌上で発表され、犯人当ての形式をとっていたように記憶しております(あぁ、実家に置いてあるメフィストがあればすぐ解るのに)そのころ私は西尾維新(戯言)デビューしてなかったので、特に興味もなく(←あっ!)応募もしなかったのですが、ちゃんと犯人&トリックは解りましてよ!!

でも、犯人とトリックが解っても、その動機が解けないと良しとはならなかったはずです。「かいけつ編」で病院坂もそう云っていたような気がする(おいおい、まだ読了後3日も経過してないのに、もううろ覚えかよ!っていうか、読了後3日間も何してたんだよ?BASARAです!!)とにかく、ごろごろ登場する天才によってミステリとしての体裁から外れてしまった『クビキリ』よりも、もっともっと普通のミステリ。西尾維新の作品の中では、きっと最も逆に異色。

まぁ、『きみとぼく』の中にも西尾維新らしいポイントはしっかり詰まっているんですけれどね。最たるものが“シスコン”“ブラコン”兄妹。ブラコンマウンテンの頭頂部まで登り詰めてしまった妹・夜月ちゃん。本当に西尾維新は兄妹モノが好きですね。その兄妹の読書癖はなかなか興味深いものがありました。夜月ちゃんの本棚整理テクの一欠でも私にあればな…。でも、レインボー本棚になんてしちゃったら、所望する本を探すのにそれこそ5分以上掛かりそう。ちなみに私の本棚はオーソドックスに作者順→出版社順→サイズ順です。

というわけで、西尾作品の中で最も真っ当なミステリ作品『きみとぼくの壊れた世界』でございました。未読の方は、ぜひ「もんだい編」読了後に頁を捲る手を止めて、犯人当てに挑戦してみてくださいませ。

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2006/11/25

『ネコソギラジカル(下)』 西尾維新

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い Book ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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ついに迎えた世界の終わり。

それは敵の所為でも、人類最終の所為でも無く、愛する青色の所為だった。

戯言シリーズ大団円、お別れなんてしたくない!

シリーズ作品を絶頂期に終わらせるのって、本当に潔く格好良いことだと思うのですが、やっぱり寂しいですよね。しかも戯言は

シリーズ通して振りまいてきた伏線をまったく回収せずに終焉!!!

結局そこなんです。いーちゃんと青色の過去とかいーちゃんの本名とか、とにかくいーちゃん関係あっさり未回収。せ、せめていーちゃんの本名くらい。狐さんにラストで宣戦布告したときに公表してくれたって良かったものを。まぁ、ネットで調べましたけれどもね。『クビツリ』のあのヒントで解き明かそうっていう剛の者はすごいねぇ。

というわけで、『クビツリ(下)』の副題は『クビキリ』と同じく「青色サヴァンと戯言遣い」、やっぱり戯言の主人公は青色と戯言遣いなんですよね。青色と居る世界こそが戯言遣いにとっての世界なのです。その青色が世界から消えれば…下巻の焦点はそこです!

にも拘らず!!!

青色の登場、最初と最後だけ!!ぎゃぼ!!!中巻ラストがあの衝撃的な一文でしたので、どれだけ青色出ずっぱりなのかと期待してたのに。どれだけ青色好っきゃねん、自分。

狐さんとのバトルもあっさりと停滞。降伏宣言して親子水入らずの隠遁生活でございますか。別に狐さんとのバトルなんて、かなりどうでも良かったんですけれど(あっ、云っちゃった!)大風呂敷広げたわりにアレじゃあねぇ。

でも、絶対にバッドエンドだと確信していた私にとって、あのハッピーエンドは嬉しい誤算。偶然持って生まれたサヴァンとしての才能をいーちゃんとの未来に活かした青色。青色が青色でなくなるのは青色スキーの私にとってとてもとても哀しいことなのですが、青色が自分で望んだ幸せなら良いや。直ちゃんもきっと目を細めて見守ってくれることでしょう。

そうそう、エンディングで思い出したのですが、潤さんの「親父がまた-何か、するつもりらしいぜ」は一体どういうことなんでしょうね?いや、いーちゃんがあそこで狐さんを殺していれば、いーちゃんはきっと世界から逸脱したモノになってしまったのだと思いますが。また何かするつもりなら、狐さんはなにを持ってして「死んだ」状態になったのか?初志貫徹してないじゃないですか?狐さん、私的にかなりどうでも良いんですが、ミステリ好きとしてこういうところ気になります。

というわけで、戯言シリーズの大団円としては(かなり期待していただけに)ちょっと不満の残るラストなのですが、青色が幸せならもうそれで良いや。西尾氏、いつか青色といーちゃんの過去について描いてくださいね?(まさか、特に考えてないなんてことは…?)

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2006/11/24

『ネコソギラジカル(中)』 西尾維新

ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種 Book ネコソギラジカル (中) 赤き征裁VS.橙なる種

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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橙なる種・想影真心によって次々と倒れ行く僕の仲間たち。

そして、僕の身に迫りくる危機を救ったのは…人間失格。

物語の終焉を前に集まるべくして集まった“大切な人たち”を僕は守れるのか?

はい、西尾維新に根こそぎ睡眠時間を奪われております私。肌荒れだって気になりません。だって、気になるのは世界の終わりの方だもの。

『ネコソギ(中)』は中巻としての役割をしっかりと果たしてくれた一作。橙なる種・想影真心の圧巻とも云える登場から、人間失格との再会、そしてラストの一文。

ラストの一文!

この『ネコソギ(中)』が出てから、下巻が発売になるまでの5ヶ月間。この5ヶ月間は長かった!長かったんだよ!あのラストが、あのラストの一文が下巻でどうやって回収されるのか?ハッピーエンドが待ち受けているのか、いーちゃんの前にはバッドエンドしか有り得ないのか、というか私の青色をどうしてくれようってのか?と怒りにも似た感情を携えての5ヶ月間でした。上中下3巻セットで完結なら、間髪いれずに発売してくれよ講談社。

というわけで『ネコソギ(中)』レビュー。まずは橙なる種のお話から。私、今回再読するまで真心はずっと男だと思っていたのですが、実は女の子ですか?いーちゃんのER3時代のルームメイトだっていうから、なんの疑問も持たずに男の子だと認識していたのですが。でも、メイドがメイド服着せちゃうくらいだしなぁ。メイドはそのあたりしっかりしてそうだから、男の子にメイド服着せたりしないだろうし。『ザレゴトディクショナル』は未読なので、そのあたりも判明しているようでしたら教えていただけると助かります~。

そして人間失格。零崎一賊全滅って!全滅って!!人識と舞織が残って居る以上、零崎は生まれながらにして零崎なのではなく、ある日突然「成る」ものである以上、もう一度零崎コミュニティが出来る…ことはあるかもしれませんが、悲しいですよね。“愚神礼賛”があの場に居ないってのが寂しい。『人間人間』で活躍予定の“少女趣味”の物語にも終わりが見えてしまっているってのも、淋しい。それをなんともないことのように振舞う人識も哀しい。辛くないわけないもの。人識であっても、ね。

そして「チーム」の面々。宴九段=屍(トリガーハッピーエンド)ネタには萌え。しかも、かなり重要な役割果たしてくれちゃって!≪蒼≫に盲目なまでに背信する≪屍≫であっても、むしろ背信しきっちゃてるからこそ起こった初めての裏切り。いーちゃんへの密告。ラストの一文。いーちゃんの代替品になれなかった≪屍≫はどんな気持ちでいーちゃんと対面したのでしょうか?≪蒼≫にどんな気持ちで挨拶を交わしたのでしょうか?≪蒼≫はどんな気持ちでその挨拶を受け入れたのでしょうか?あぁ、私の想像力のなさが恨めしい!!

そして、云わずにはいられない。萌太くん、お疲れ様。崩子ちゃんはいー兄に任せて、安らかに死神に身を委ねてください。

物語も次巻で終焉。私の青色がどうなるのか?『ネコソギ(下)』のぶっ壊れレビューは今しばらくお待ちください。あともうちょっとで下巻も読了します故。

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2006/11/23

『ネコソギラジカル(上)』 西尾維新

ネコソギラジカル (上) 十三階段 Book ネコソギラジカル (上) 十三階段

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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「よう-俺の敵」

不適な笑みを狐の仮面で隠し、僕の前に現れた僕の敵。

孤独だと思っていた僕にも、こんなにたくさんの仲間がいるから-もう逃げない。

厚い、厚いよ!『ネコゾギラジカル』!!

ついうっかり始めてしまったプチ西尾維新祭。『ネコソギ』まで読むつもりは全く無かったのですが、頁を捲る手が止まりません。いや、『ネコソギ』も発売当時に一回読んだっきりだったので、丁度良い機会だったのかもしれませんが。

『ネコソギ』は上中下の三段構えで“どしーん”と私の前に立ちはだかっており、全部読んだ後に一気レビューすることも考えたのですが、こんなに厚い本3冊も読むのにレビューは一個なんて勿体無い!と超浅ましい私は各巻毎のレビューに取り組むことと相成ったわけです。

さて、『ネコソギ(上)』でいーちゃんの運命はたいして進展しません。いーちゃんと狐さんの因果、そして“殺し名”“呪い名”の説明に終始する感じ。戯言ファンにはこの辺りの世界観説明がもう堪らないんですけれど。もう一回云いましょう、堪らないんですけれど。これまでの作品で「?」だった部分が徐々に徐々に解消されてゆく感覚。この調子で謎がどんどん解けてゆくんだろうと期待していたら痛い目遭うんですけれど。ぎゃぼ。

そして、シリーズ終焉に向けてキャラ総動員。まず、登録人物表見てびっくり。多っ!!『ネコソギ』で初登場のキャラはもちろん、既出のキャラであっても「これ誰だっけ?」状態です。『ヒトクイ』で強烈なインパクトを残した匂宮出夢はもちろん、小唄さんに真姫さん(あっ、登場はしてない?)に、赤音ちんまで登場!!あっ、赤音ちんの登場はあれだけですか?赤色の再登場に華を持たせるためだけに、ヒューストンくんだりからやってきたのですか!?なんて不憫な赤音ちん。七愚人設定も私、大好きなんですよねぇ。

そして闇口崩子&石凪萌太兄妹が満を持してフル登場です。崩子ちゃん、いーちゃんなんかと契約したら貞操の危機ですわよ!7年待って下さい…って7年経ったってダメなもんはダメですよ!そして萌太くんに萌え。デフォルトであの口調ですか!それだけで私のモロ好みです。本当にこの兄妹好きだなぁ。兄妹ネタの多い戯言ですが、いっとぅ好きな兄妹です。でも、実戦経験は無いと云っていた萌太くんですが、『人間ノック』のアレは実戦には含まれないのでしょうか?“死神”の云うことはようわからんです。

そして、メイド!メイド!!あのメイドはあかりさんなのかひかりさんなのか、はたまたてる子さんなのか!!!個人的にはてる子さん設定でお願いします。心の中じゃ「あぁ、こんな奴早く死ねばいいのに!」なんて思いながら、笑顔で「ご主人様」と頭を垂れなくてはならないのですからね!てる子さん、一生の不覚!!でも、あのメイドさんが誰だったにせよ、あの最後の言葉は真だったのだと思いたい。この数ヶ月で本当に成長したよね、いーちゃん。

さて、『ネコソギ(中)』は物語が動いてゆきます。橙なる種の登場、そして人間失格との再会。うん、いまから読んじゃって眠れるのかしら私。あぁ、頁を捲る手が止まらない!!

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2006/11/22

『ヒトクイマジカル』 西尾維新

ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹 Book ヒトクイマジカル―殺戮奇術の匂宮兄妹

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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“殺し名”序列第一位・一人で二人の匂宮。

コレを拾ってしまったことが間違いの始まり?

バックノズルな運命に翻弄される僕を、とくと御覧あれ。

ぐっはぁ!姫ちゃん!!!

『クビツリハイスクール』で救われた姫ちゃんを、この『ヒトクイ』でばっさり切り捨てましたか!初読の時のあの衝撃。忘れられません。いきなりネタバレレビューで大変恐縮なのですが、しばらくはこの姫ちゃんトークを続けさせてください。

いーちゃんが姫ちゃんを見つけたあの瞬間。あの瞬間が頭から離れません。好きな人がいると告白する姫ちゃん。青色が彼女ではないなら、いっしょに旅行なんてのも大丈夫ですよね?と笑う姫ちゃん。その笑顔に隠された決意を決して悟られることの無いようにと、ぎこちなく、とてもぎこちなく笑う姫ちゃん。その姫ちゃんが翌日にはあんな、あんな姿に。

西尾維新、恨みマス!!(のだめ風)

ってのは冗談にしても(本当か?)かなりショックでした。『ネコソギ』の萌太くんに匹敵する衝撃。告げるはずでは無かった想いを告げてしまった後に、はにかんで笑う姫ちゃんがあまりにもあまりにも可愛くって、あぁ姫ちゃんは本当に良い子だと、きっと新しい人生を真っ当に生きてゆけると確信したのに、その私の想いはあっさりとあっさりと裏切られました。

しかも、姫ちゃんが最期に想ったはずであろう、幸せだった日々のこと、そして師匠を守れなかったことへの悔い。姫ちゃんには悔いなんて残して欲しくねーっすよ!!でも、そんな悔いは最期に人喰いとバトルしたいーちゃんが晴らしてくれたのかな?戯言は最初の本格ミステリ路線を捨て、スタンドの皆様がバトルを繰り広げる不思議小説へと昇華してしまいましたが、『ヒトクイ』のこのバトルだけは、姫ちゃんのために存在したこのバトルだけは好きです。

姫ちゃん、おつかれさまでした。

さて、『ヒトクイ』は『ネコソギ』に繋がる小休止的作品として認識しております私(その小休止で最期を迎えた姫ちゃんって…よよよ)。狐さんの登場で、いーちゃんの運命の歯車は脱輪寸前まで加速を始めます。決して避けることの出来ない因果に出逢ってしまった瞬間。そして戯言遣いが戯言を捨てる瞬間。

もう、『ネコゾギ』まで読むしかないってか!?

ラストでいーちゃんに「友達」だと云われ年相応にはにかんで見せた崩子ちゃんのために、そして崩子ちゃんを愛して止まない萌太くんのために。そして人間失格と、人としての終わりを迎える青色のために。私は読みましょう、重量1キロはあろうかという(もちろん未測定)『ネコソギ』を。

というわけで、次は『ネコゾギ(上)』のレビューでお逢いしましょう。

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2006/11/21

『クビツリハイスクール』 西尾維新

クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子 Book クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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人類最強の請負人にスタンガンで失神させられた後、連れて行かれたのはクビツリハイスクール。

戯言遣い今回のミッションは首吊学園からひとりの生徒を助け出すこと。

果たして戯言遣いはインポッシブルミッションを成功させることができるのか?

いやぁ、本当に西尾維新はすごいなぁ。西尾維新氏と私は同級生なんですよ。いや、学舎がいっしょだったことはもちろんないです(立命館だなんて滅相も無い)ただ同い年だというだけで。だからこそ、リアルにすごいと感じる。

『クビツリハイスクール』は戯言シリーズの中でぎりぎりミステリとしての様相を保っている最期の作品でしょうか?密室本として出版された本作ですが、ハイテクな密室をローテクで作り出すという、ミステリの基本が詰まった一作。ただ、登場人物がもうびっくり人間大集合化してしまっているので、ミステリとして読めませんけれども。

プチ西尾維新祭の開催を決定付けた『人間ノック』で華麗なる再登場を見せた“策師”と“闇突”が本作で初登場。“策師”の彼女なんて、たった3つの質問で戯言ファンの頭を相当悩ませる“いーちゃんの本名”を解き明かしてしまうというのですから、超侮れません。ただ、『クビツリ』は如何せん短い(200頁無いの。読了まで1時間ってところなの)ため、彼女の“策師”たるお姿がどうも伝わってこないのが残念です。“闇突”なんて“ジグザグ”にあっさりだもの。でも『人間ノック』で描かれる彼女に比べたら、随分と大人になったこと。

そして姫ちゃん。姫ちゃんのラストを思うと、彼女のどんな言動も許せるってなもんです。姫ちゃんは師匠(=いーちゃん)と請負人に出逢えて本当に良かったよなぁ。戯言遣いが姫ちゃんに語った未来。その戯言の目的が単なる時間稼ぎに過ぎなかったにしても、その言葉は姫ちゃんの胸に突き刺さったことでしょう。『サイコロジカル』や『ヒトクイマジカル』で描かれる“正しい未来”のことを思うと、お姉さんは嬉しく思うよ。それにしても、青色といい姫ちゃんといい、人は見かけによらないっすね!

そうそう、『クビツリ』を語る上で外すことのできない要素といえば…

いーちゃんの女装と請負人の女子高生ルック!!

潤さん、最高に似合うじゃないですか制服。すんげぇ、可愛い。もちろん請負人にはそのカラーである赤を颯爽と着こなしてもらいたいのですが、たまにはそんなお姿も良いっすよね!いーちゃんも、姫ちゃんにかましたあの素敵な戯言が女装姿だったことを思うと頬がにやけてしまいます。青色にしかと見せてあげたかったよ。でも、プリーツスカートに入ったあのスリットは、絶対にやらしいと思います。

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2006/11/20

今日の「のだめ」

うっかり見落としそうになった本日の「のだめ」。その「のだめ」に急展開がっ!!

クロキン登場!!!!!!!!!!

ぬぁにぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!

はぁはぁはぁ(要・深呼吸)

クロキンは登場しないもんだと思ってました。R☆Sオケはやらないもんだと思ってました。まさか沙悟浄があんな大物として登場するとは思ってませんでした(爆笑!)

クロキンのあの糸のように細い眼が再現されなかったのは残念ですが、なかなかの美形だったので一安心。神経質というよりは、緊張でカチカチコチコチ風でしたが。その点、チェロ・菊池はイメージ通りでしたね!

願わくば、峰と沙悟浄の愛のガンダーラを是非映像化してもらいたいものです。あの、秀逸なマングースストーリーはあっさりスルーしてくれましたからね、ドラマ。とにかく、来週の「のだめ」が楽しみだぁ!!

「のだめオーケストラ」LIVE! Music 「のだめオーケストラ」LIVE!

アーティスト:のだめオーケストラ
販売元:ERJ
発売日:2006/11/15
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『クビシメロマンチスト』 西尾維新

クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識 Book クビシメロマンチスト―人間失格・零崎人識

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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遅れること一ヶ月で大学生活を開始した僕。

そこに現れる馴れ馴れしいったらありゃしない女と、まるで鏡に映したかのような人間失格。

そして巻き込まれる絞殺殺人事件。僕の首を絞めるのは一体…誰だ?

プチ西尾維新祭…という名の、レビュー未作品消化試合です。

戯言シリーズは青色の活躍する巻のみ消化済という、趣味に走った読み方をしておりましたので、ここらでちゃんとレビューしておこうかな?と。でも、『ネコゾギ』上中下まで読むのかは未だ思案中。だぶんきっと読まない。

本作『クビシメロマンチスト』は未だ戯言シリーズ第二弾でしかないんですよね。すごいな、西尾維新。シリーズ終焉まで読みきった今だからこそ解るネタがところかしこに。しっかりとしたシリーズ全体像がこの時点で描かれていないと、こんなに伏線張り巡らしておけないでしょう?手の動くまま、キーを叩くまま任せていたのだとしても、漠然と創造しておかなくてはこうはいかないはず。どんな思考回路しているのかしら?

さて、前作『クビキリサイクル』ではこれでもかっこれでもかっ!と天才が登場しましたが、本作『クビシメロマンチスト』に登場するのは凡人ばかり。戯言シリーズの中で最もフツーにミステリミステリしている作品だと私は思っているのですが、いかがでしょう?

本作のキーパーソンといえる凡人は、やはり葵井巫女子。≪あのミステリ作家が新作予告、ただし「このミス」私の隠し玉!みたいな≫口調で(この巫女子節はいまなんとなく思いついて書いてみました)戯言遣いを煙に巻く不思議少女。彼女の狙いは戯言遣いそのものだと云うんだから驚きです。貴方、戯言遣いのどのあたりにシンパシィ感じたの?

『クビシメ』の最大お気に入りポイントはいーちゃんがその戯言を武器に巫女子と対峙する場面なんですが、確信犯であれだけの言葉を吐いてみせるいーちゃんはやはり素晴らしい。そうじゃなきゃ、いーちゃんじゃないよ。『人間ノック』で青色が「街」に見せた暴君っぷりのように、いーちゃんにとっても青色だけが特別。それ以外の好意なんてすっぱりあっさりばっさり断ち切って欲しいものです。

そして、人間失格と欠陥製品の邂逅。正直、初読のときはよくわからなかったのですが、『人間試験』に『人間ノック』に『ネコソギ(中)』を読んだ今となっては、あぁそういうことかぁと思う部分がありましたね。人識株、最近急上昇中ですの。

兎にも角にも、戯言で巫女子をぶった切るところから、いーちゃんの証拠隠滅のくだりまでが『クビシメ』で最もアツイ箇所だと思ってます。あの部分こそが『クビシメ』の真髄だと個人的に確信しておりますの。

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2006/11/19

『ダブルダウン勘繰郎』 西尾維新

ダブルダウン勘繰郎 Book ダブルダウン勘繰郎

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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一心不乱に日本探偵倶楽部(JDC)を見つめる探偵志望者。

そんな“探偵を志す者”と“かつて探偵を志した者”の出逢いがこの物語の始まり。

西尾維新の描くJDC TRIBUTE作品。

プチ西尾維新祭開催中です。

この『ダブルダウン勘繰郎』はJDC TRIBUTE作品ということで、清涼院流水氏の創作したJDCワールドが下敷きになっております。JDC(日本探偵倶楽部)とは一体なんなのか?西尾維新氏は読んでも、清涼院流水氏はちょっと…と仰る方が存外多いようなので、ちょっと解説を。

JDCとはJapan Detective Clubの略でして、未曽有の変態探偵を集めた集団です。探偵たちは一班から七班の“ランク付け”がなされており、一班の探偵となれば一流の名探偵であることはもちろん、一流の奇人変人たる資格をも持ち合わせております。JDCキャラクタの中で最も有名なのが九十九十九。彼はDOLLと呼ばれるJDCの上位団体からS探偵に任命させており、世界レベルの推理力を持ち合わせているのですが、彼を語る上で外すことのできないポイントはその美貌。素顔を晒せば、あまりの美しさに失神する者が多数。警視庁から外出の際にはサングラス着用を義務付けられているという剛の者です。(十九については舞城王太郎氏著の『九十九十九』に詳しい…のでしょうか?舞城とは決別宣言したので、未読なんです~)

そして、本作『ダブルダウン勘繰郎』にも登場する黒衣の貴公子・龍宮城之介。私は彼がJDCキャラクタの中でいっとう好きですが、彼は生粋の駄洒落スキーです。出てくる言葉出てくる言葉、すべて駄洒落。その駄洒落狂が自然と言葉遊びのプロとなり、暗号やアナグラムにかけて彼の右に出る者はおりません。愛用の黒いマント、黒い手袋、そして黒いフェルト帽から覗く愛らしいベビーフェイスに私はノックアウトなのですが、あの婚約劇だけはどうかと思います。

というわけで、『ダブルダウン勘繰郎』レビューと云いつつも、JDCへの愛を散々ぶちまけているだけになりつつあります。危ない危ない。本題に戻りましょうか。

『DEATH NOTE‐ANOTHER NOTE ロサンゼルスBB連続殺人事件‐』でも、人の土俵で鮮やかな舞を見せ付けた西尾維新氏ですが、デスノよりも前にその力を遺憾なく発揮されていたわけであります。JDCスキーな私でも、違和感なく読めるもの。龍宮の登場シーンなんて、清涼院氏が書いたのか?と思わせるほどです。

そして、TRIBUTE新探偵たち。あぁ、こんな奴等は本家のJDCにも絶対居るよ…と思わずにはいられません。西尾維新氏に多大な影響を与えた作家として良く挙げられるのが、森博嗣氏と清涼院流水氏ですが、流水イズムにこんなにもマッチするなんて。本家のJDCにもTRIBUTE探偵たちを登場させてやってください。

そして、おもしろいのが西尾流探偵論ですね。人間が必ず持っている“誰にも知られたく無い部分”を殺して解して並べて揃えて晒した挙句に、にやっと微笑む名探偵。自分の頭脳がいかに素晴らしいものであるかを時には控えめに、時には堂々と自慢し、他人を卑下する名探偵。た、確かに。現実世界にそんな奴が居たら、絶対にお近づきになりたくはありませんが、それでも名探偵が大好きな私はやっぱりミステリ狂なのかもしれません。

西尾維新氏が本作でかますトリック(ふたつあるのかな?)は、西尾維新氏らしいお遊びが含まれていて私は好きですね~。中でも“かつて探偵を志したもの”の変貌ぶりが素敵です。警備員に命令するときの、探偵にはもう失望してます(馬鹿にしてます)感が素晴らしかったですね。

というわけで、『ダブルダウン勘繰郎』レビュー部分よりも、JDC解説部分の方が長かったんじゃないか感(しかも、あっという間に書けた)は拭えませんが、この作品でJDCに興味を持つ人が出てくれば、西尾氏もそして私も本望なのだと思います。よぉし、それでは次は『クビシメロマンチスト』レビューでお逢いしましょう。

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2006/11/18

『零崎双識の人間試験』 西尾維新

零崎双識の人間試験 Book 零崎双識の人間試験

著者:西尾 維新
販売元:講談社
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殺人鬼・零崎一族の長兄にして斬り込み隊長・零崎双識。

自殺願望が“通り名なき可愛い弟”を探す旅の途中で出逢った可愛い妹。

彼女は果たして一族の希望たり得るのか?

『人間ノック』にすっかり感化されちゃって、『人間試験』の再読です。『人間ノック』が「意味不明の連中がただただ殺し合っている戦慄の小説」ならば、『人間試験』は「意味不明の連中がただただ殺し合っている中に描かれた家族の小説」です。新たな零崎の誕生、そして惜しいほど惜しい死。

舞織が双識の元に辿り着いた、あの瞬間がもう号泣なんですよ!

初読の際には、まさか西尾維新の小説で号泣してしまうとは…と、そりゃもうびっくらしました。

頬に刺青、運命の交差点で彼の道と触れ合ったが最期、当たり前のように殺す、通り名なき弟“零崎の中の零崎”零崎人識を、一族の長兄たる“自殺願望”がその気配を辿って探す旅の途中、出逢ってしまったのが本作ヒロイン・無桐伊織ちゃんです。零崎たる素質(性質)を持ちながらも、これまでの人生の中で誰ひとりとして殺してくることのなかったヒロイン。その“奇跡”その“希望”を彼女に見出しながらも、零崎であるにも関わらず巻き込まれてしまったトラブル。

トラブルについてはすべては“呪い名”の仕組んだこと…というオチです。まぁ、人識なら気まぐれで敵を見逃してやるくらいのことはしそうなものですので、諸手を挙げて賛成は出来かねます。長兄の手前、そう語っただけかもしれませんよ?それよりも重要なのが、人識の語る『欠陥製品』についての戯言。幼き頃から、いつか自分にとって大切な“誰か”に出逢うことを確信していた人識。その人識が出逢った『あいつ』のお話。それがたとえ零崎一族のコンビプレーを成立させるが為の、時間稼ぎの戯言であったにしても、戯言スキーにとっては聞き逃すことのできない戯言です。

いーちゃんは知らず知らずのうちに他人の運命を捻じ曲げて、自分の交差点内で事故を起こさせますからね。ある意味、石凪よりも死神です。

『クビシメロマンチスト』の巫女子ちゃんを彷彿とさせる、本作ヒロイン伊織ちゃんですが、彼女が覚醒し、死にかけの双識の元に辿り着いた際に、自らの止血なんて放り出して新たなる家族に駆け寄る双識。まさに“自殺願望”。そのふたりが醸し出す“零崎の家族の形”が最高です。「お兄ちゃん、独りじゃ、寂しいかなぁって」そう笑う彼女に、その嬉しさからかける言葉を失ってしまう双識。「妹を庇って死ぬなんて兄として本望じゃない。ねぇ、そうでしょ?お兄ちゃん」その台詞がすべてを表す、揺るぐことの無い零崎の家族愛。

たまんねっす!

普通にここで号泣しますからね。皆様、ご注意です。

孤独を知る者、孤独しか知らない者たちが集まった零崎コミュニティ。さぁ、零崎を始めよう-第三弾『零崎曲識の人間人間』がいまから楽しみです!

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2006/11/17

『零崎軋識の人間ノック』 西尾維新

零崎軋識の人間ノック Book 零崎軋識の人間ノック

著者:西尾 維新
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

殺人鬼一族・零崎の中でも異彩を放つ“愚神礼賛”こと零崎軋識。

昨日も今日も明日だって、軋識の前に立ちはだかるのは敵・敵・敵。

さぁ、零崎を始めよう。

うぉぉぉぉ、戯言シリーズキャラ総動員じゃないですか?

前作『零崎双識の人間試験』が超感動巨編だっただけに(号泣した口です)、期待も脹らむ第二弾『零崎軋識の人間ノック』。作者・西尾維新氏にして「意味不明の連中がただただ殺し合っている戦慄の小説」と云わしめる本作。戯言シリーズ後期の流れを汲んだ作品ですが、それでもやっぱり西尾維新はおもしろい!

オープニングから飛ばしてくれます。十二国記の泰麒を連想させるお姿で登場した人識を筆頭に、『クビツリハイスクール』であっさり殺られてしまった“策士”と“狂戦士”の登場。

うぉぉぉぉ、アツイ!アツすぎる!!

読む前におまけのトレーディングカードを覗き見してしまったため(だって、本がしならないから読み難かったんだもの)、狙撃手が登場した瞬間に狂喜乱舞。あの「正々堂々手段を選ばず真っ向から不意討って御覧に入れましょう」という名台詞がもう一度読めるとは。策士、大好きです。

とにかく戯言キャラ満載の本作。請負人が登場するのはまだ予想できたにしろ、鉄仮面メイド(最強!!)に、死神・萌太くんまで登場しますか!萌太くん、きゃわゆいなぁ。やばいな、ショタの気がバレる。

そ、そして“暴君”の登場には度胆抜かれました。

まさに暴君だよ!

「うにー、いーちゃん髪くくってー」とか云ってた、あの萌え萌えの青色はどこに?そうかそうか、さっちゃんはやっぱりドMだったわけだ。「殴っていただいてありがとうございますって言ってくれるかな?」なんて云われて、正気の奴なら殴り返すところです。「ごほうびに右足の親指を六十秒、しゃぶらせてあげるよ」って、お風呂嫌いな青色の足の指をですか?正気で居たいのなら顔を背けるべきです。うわぁ、私の愛しい青色を壊さないでぇ!!

しかし、独白スタイルをとっているにしろ「(会話文)」で状況説明させ過ぎじゃないですか?登場人物全員、どこからどう見ても怪しい人ですよ。中身がもうぶっ壊れているんだから、外身くらい真っ当な一般人を気取らせてやってください。軋識は絶対に「街」姿のスーツの方がお似合いよ。惚れる。

そうそう、スーツと云えば双識はどうしちゃったんでしょうか?彼が念願の妹を得るのは5年も後のことになりますが、策士に溺れる彼もさることながら、戦闘中の様がかなり無様。鉄仮面メイドと軋識のバトルや、人識と狂戦士(あるいは人喰い)のバトルに比べたら見劣りするったらないです。本当に零崎において一・ニを争う殺人鬼ですか?これはもう、『人間試験』を読み返すしかないっすね!

あ、あとね人識の「今度会ったら、すげえキスしてやるからな…」には爆笑させていただきました!あぁ、これが私の知ってる人識だよ。進学校で平均点90点以上取っちゃう人識ってのも、なるほど!と思ったけれども。

零崎シリーズ第三弾『零崎曲識の人間人間』が春から「メフィスト」で連載予定とのことですが、何年かぶりに「メフィスト」買ってみようかしら。その前に「メフィスト」置いてる本屋さんを探すのが先か。なんてマイナなんだ、「メフィスト」!

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2006/11/16

『カクレカラクリ』 森博嗣

カクレカラクリ—An Automaton in Long Sleep Book カクレカラクリ—An Automaton in Long Sleep

著者:森 博嗣
販売元:メディアファクトリー
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天才絡繰り師によって生を受け、120年の時を刻み続ける“カクレカラクリ”

“カクレカラクリ”は伝説でしかないのか?本当に存在するのか?

ひと夏の冒険をコカ・コーラと共に。

いっ、いま頃!?

皆様からのそんな声が聞こえてきそうな『カクレカラクリ』レビュー。ドラマですっかり意気消沈、なかなか手が出せずにおりました。ドラマレビューの際に頂戴したコメントで、ドラマと原作がてんで異なる作りになっていることは推測できましたので、そのあたりに注目して読み進めたのですが、やっぱり原作の方が数倍、数百倍おもしろい。

まずキャラクタ。ドラマでは演技力の問題だったのか演出だったのか、とにかく無気力無感動おまけに無愛想に描かれていた主人公・郡司くんでしたが、原作ではメガネの(ここ、ポイント高いです)理系思考、廃墟を目にすればまるで少年というなかなか好感の持てるキャラクタに仕上がっておりました。“天然”という表現だけはどうも納得ゆかないのですが(理系故の思考の飛躍でしょ?)

そして、ドラマではただのチャラ男(うわぁ、古っ!)だった栗城くんや、魔女ですか?ってなくらい怪しげだった花梨お嬢様も、普通に馴染みやすいキャラクタで一安心。玲奈ちゃんだけはバイクの一件を除けば原作にかなり忠実でしたね。

一番ポイント高かったのは太一くんですね。エピローグの「どんな味でも…食べるしかありませんよ」と微笑むシーンで、お姉さま(私のことです)のハートを鷲掴みです!ドラマじゃ異常なほど腰の低いキャラクタに仕上がっておりましたが、原作じゃちょっと犀川先生を連想させる(本当はそうでもない)素敵青年として描かれているではありませんか。

とにかく、ドラマよりも数段魅力的なメンバで構成されております、原作。

そして、肝心の“カクレカラクリ”。巨大な建造物がにょきにょきと…というほどのカラクリではありませんでしたが、あれだけのエネルギィを用いてあの小さな人形を動かす…という一見(というか、かなり)無駄に思える仕様にロマンを感じますよね。好きです。あのカラクリ部屋でそれらが動く様を見たら、間違いなく感動すると思います。ドラマでは見事に描かれなかった部分でございますが。一体、なんだったんだ、ドラマ。でも、暗号(?)の難易度は変わらずでしたね。森博嗣作品の中では、最高に解きやすかろうと思います。そのあたり、一般向けを意識されましたか?森先生。

財宝云々の落とし方も良かったです。ドラマじゃ、財宝ネタは宙に放りっ放しで回収無しでしたからね。ちゃっかり着服(横領)しちゃうなんて、インキさんったらお茶目☆

玲奈と太一のラヴ模様も、ちゃんと救われるように描かれていて(ドラマでは絶対に結ばれてはならねぇ!みたいに描かれているように私には見えた)嬉しくなりました。従兄弟は結婚できますからね。両家を文字通り結んであげてくださいね。

というわけで、いつもの森作品ほどのキレはありませんでしたが、ドラマよりも数段おもしろい作品で一安心でした。今日はこのあと、録画したドラマをもう一度見てみようかなと思います。原作も読んだ今、きっとツッコミポイントは数倍に膨れ上がっていることでしょう。ある意味、楽しみ。

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2006/11/15

『ブルー・ブラッド』 ディヴィッド・ハンドラー

ブルー・ブラッド Book ブルー・ブラッド

著者:デイヴィッド・ハンドラー
販売元:講談社
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新進気鋭の映画評論家ミッチ・バーガーは妻を失った悲しみから“キノコ”生活を悪化させすっかり引きこもりに。

リハビリの一環として訪れたビッグシスター島で巻き込まれる殺人事件。

そして恋。

ホーギーに続くハンドラーの新シリーズがここに!

基本的に和製ミステリしか読まない私ですが、このディヴィッド・ハンドラーだけは別。翻訳ってどうもまわりくどくって、途中で投げ出してばかりなのですが、このディヴィッド・ハンドラーだけは別。訳者の北沢あかね氏が素晴らしいという噂もありますが、とにかくハンドラーだけは別なのです。

森博嗣氏に通じる意味なしジョークと、ハードボイルド。ホーギーシリーズが大好きな私ですが、本作はハンドラーが書き上げた新シリーズです。

主人公は妻を亡くし失意の日々を送るミッチ・バーガーです。ホーギーはまさにスマートという言葉がぴったりなダンディな男性でしたが、ミッチは若干ふくよかな体格をされている模様。ざ、残念です。でも、その中身はまさにスマート。ホーギーほどキザっぽくなく、それでいてセクシィ。うん、悪くない。

そしてヒロインはドレッドヘアの黒人女性警部補・ミトリー。ホーギーシリーズに登場したメリリーは女性的に「どうよ?」という感じでどうも馴染めなかったのですが、ミトリーはgood。好きになれそうだわ。

この二人が“ブルー・ブラッド=血統”に縛られた閉鎖社会で起こった殺人事件に挑む。この解決はあんまし好きじゃない(これだけで、当ブロ愚常連の方はトリックが読めたのではないでしょうか?)です。シリーズ一作目でこのトリックを用いてしまいますか。それがかなり残念。悪くは無いんですが。そこに落ち着く必然性はあるんですがね。

まぁ、ハンドラー作品のポイントはミステリじゃなくラヴですから。ミッチ&ミトリーのラヴはかなり見所ありますね!もう、じれったいのなんのって。愛する者を失い、一歩前進する勇気の無い二人。一目合ったそのときから、フォーリンラヴなのに。ミステリの結末より、この二人のラヴの結末、そしてこれからがかなり気になります。

そうそう、気になるといえば、「マジ」って言葉の多用にはちょっと閉口してしまいました。ハンドラー作品にはもっと綺麗で流れるような言葉を使用してもらいたいなぁ。「マジ」って言葉は、やっぱり汚いですよね。マジで。

全然、レビューになっておりませんが、ハンドラー作品はやっぱりそのキレ味が違います。和製ミステリしか読まない私でも、ついつい読みたくなってしまいますわ。翻訳ものはちょっと…と仰る方に是非オススメです。

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2006/11/14

『少し変わった子あります』 森博嗣

少し変わった子あります Book 少し変わった子あります

著者:森 博嗣
販売元:文藝春秋
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その店は極上の料理と一風変わった趣向を用意する。

その特別な趣向を楽しみながら自分の内面へと突き進み、そこで出逢うものとは?

森博嗣、新境地の連作短編集。

久しぶりの森作品。「ブログジャック!」とか云って、来る日も来る日も森作品だったあの夏の日々が懐かしい。すっかり秋めいて参りましたね。

さて、本作『少し変わった子あります』は一風変わった料理店が舞台。といっても体洗って来いだの、塩かけろだの、謎の注文が次々と舞い込む料理店ではありません。来店は必ず独りで、決まった店舗があるわけでなく、予約が入る度に廃墟となった小学校やら一般の民家やらを借り受け営業する、そして最も異質なのがその席に同席する“少し変わった女性”。

“少し変わった女性”との出逢いは一期一会。その日その場限りの女性。年齢も容姿もバラバラ、共通するのはつい見惚れてしまうほどとても上品に食事をする、ということだけ。一方的に捲くし立てるように話続ける女性もいれば、一言も言葉を発することなく黙々と食事を続けるだけの女性もいる。そんな料理店、なにが楽しいんじゃい!と思いきや、彼女たちと時を過ごすことで孤独と、内に秘めた自分の感情を知ることが出来る。

話を読み進めていくうちに、「もしやオチはこれかな?」と感じるものがあったのですが、読了しても正しいかどうか判断付きません。私的には

計画的誘拐組織

だと嬉しいのですが、皆様いかがでしょう。失踪促し集団でもアリなのですが、それだと彼女たちの目的がね。大学教授の優秀な(偏屈な?)頭脳を集めて、なにかデカイことをやらかそうとしているわけですよ(笑)

短編として一作ずつ解説するならば、2話目の「もう少し変わった子あります」が一番好みでした。指に残る苦味の話が具体的抽象的論旨へと帰着するあの流れが森博嗣的で一番落ち着く。森作品に必ず登場する天才ファクターを一番感じられる作品だからかもしれません。

もしこんな料理店があったら(私の場合、少し変わった男性、しかも美形で頭の良い方をお願いします)通うでしょうか?既に上記( )のように注文を付けている時点で通おうという意思が感じられるのですが(笑)自分のつまらない話を笑顔で聴いてくれて、しかも頭の良い返答をくれる美形が居たら行くだろうなぁ。まるでホストクラブのようですが(あっ、ホストクラブには行ったことないです)。

でも、このブロ愚は既にそういう場所になりつつありますよね。大好きなミステリ(本)のことをただただ話して、それを読んでくれている皆さんが居て、素敵なコメントをくださって。皆さん、もしかして組織的に私の誘拐を企んではいませんか?

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2006/11/13

『看守眼』 横山秀夫

看守眼 Book 看守眼

著者:横山 秀夫
販売元:新潮社
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短編の名手・横山秀夫。

彼の描く短編には、その枠に留まらないひとりひとりの人生が詰まっている。

渾身の一作。

やっぱり横山氏は短編だなぁと、私を唸らせた一作。『臨場』『顔』と連作(シリーズ)短編集を立て続けに読んだので、てっきり本作も連作だと思っていました。

刑事になりたいという夢を持ち続けながら看守としての人生を全うしてきた男が、定年目前にして見つけた真実を描く表題作「看守眼」を筆頭に、どれも素晴らしい出来栄えです。

短編は箱庭だと思っている私。限られた枠の中に山を造り、川を流し、ひとつの世界を造り上げる。ひとりの人間が何度も同じ枠内で箱庭を造る以上、作品自体が似てしまうのは避けられないことと思いますが、横山氏にはそれがない。ときには急な、ときにはなだらかな谷(オチ)を造り、私を魅了させる。横山氏、すごい。

ミステリ好きの宿命として、意外性のあるオチが無いとどうしても落ち着かない私にはぴったりです。先日『陰の季節』を読了した同居人に「こんなに意外性のあるオチばかり続いて、逆に飽きちゃわないのか?」という質問を受けましたが、フリークからすれば横山氏のオチは微妙に違うのだよ!ミステリ好きじゃないと、この微妙な違いはわからないのかもしれないなぁ。確かにそうかもしれないなぁ。

本作『看守眼』に収録されている作品で、私が最も気に入ったのは「自伝」。どれも甲乙付け難いのですが、この「自伝」のオチが一番しっくりきました。最後に強請らずにはいられなかった彼。強請った後に明かされた真実。悔やんでも悔やみきれない想い。こういう救われない話が好きです。病んでいるのかもしれません、自分。

横山氏の作品も、もうかなりの数を読みましたね。残すは『深追い』『半落ち』『震度0』の三作ですか。『半落ち』は直木賞論争のときに、うっかりネタバレ被害に遭っておりますが、実際に読んでみて自分がどういう感想を持つのか楽しみでもあります。でも、今の自分はすっかり横山信者なので(笑)ちょっと間を空けたほうが良いのかな?と思ったり。

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2006/11/12

『出られない五人』 蒼井上鷹

出られない五人―酩酊作家R・Hを巡るミステリー Book 出られない五人―酩酊作家R・Hを巡るミステリー

著者:蒼井 上鷹
販売元:祥伝社
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バー<ざばずば>に集う五人の男女。

そこに颯爽と登場する一人の死体。

<ざばずば>から出るに出られない五人は、その死体とどんな一夜を過ごすのか?

右サイドバー“掲示板?”でその存在を忘れられていた噂の一冊。それがこの『出られない五人』でございます。作者の蒼井上鷹氏は『九杯目には早すぎる』でデビューした期待の新人さんです。作風はドタバタコメディミステリ…でしょうか?とにかく登場人物がドタバタドタバタ。『九杯目~』に収録されている「タン・バタン!」のテーマがぴったりといった感じ。

作者が潜ます意図が深いんですよ。速読タイプ(ファジィタイプ)の読書をする私は、蒼井氏の意図をしっかり汲み取って読了することができないので、イマイチ楽しめなかったりします。あとは文章が苦手…かも。なんでしょう、シチュエーションコメディに大切なのは“読者に状況をはっきりと認識させること”だと思うのですが、この状況描写が私の感覚とリンクしないんですよね。この描写、どういう意味なわけ?と思うこと数回。もしかしたら数回どころじゃなかったかも。

そして、登場人物の豹変ぶりについてゆけない。人間誰しも複数の顔を持ち合わせているものですが、蒼井氏の描く人物は「あなた、詐欺師ですか?」と云わんばかり。うーむ、ひとりやふたりそんな人が混じっているのはかまわないのですが、全員が全員そんな人物ばかりっていうのもねぇ。せっかくのおもしろさが半減するような気がします。

しかも、五人の「出るに出られない理由」というのも、そんなに切羽詰ったもんじゃないですよね。「出られるけどできれば出たくない」くらいのもので。

本作一番の収穫はアール柱野でしょうかねぇ。アール柱野が実在すれば、その著書を是非とも拝読したいと思います。

というわけで、「悪くないけれどなんとなく合わない作家さん」になりつつある蒼井氏。私がもうちょうっと内容を噛み締めて読めば良いだけなのかもしれませんが。早くも三作目『二枚舌は極楽へ行く』が発売されておりますので、そちらも読んだ上でまた判断したいなと思ってます。

そうそう、“シュチュエーションコメディ”という点で射逆裕二氏と作風が重なるような気がしませんか?

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2006/11/11

『顔 FACE』 横山秀夫

顔 FACE Book 顔 FACE

著者:横山 秀夫
販売元:徳間書店
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「だから女は使えねぇ!」と怒鳴られながらも、警察組織の中で自分にしかできない仕事をしようと努める。

彼女は似顔絵婦警。

横山秀夫が描く、D県警シリーズ異色のヒロインがここに。

この『顔』は仲○由紀恵さん主演でテレビドラマにもなった有名作。すみません、当然のように見ておりません。いやぁ、おもしろうそうだとは思ったのですが、連続ドラマを見るという習慣がないんですよ、私。でも、原作がとてもおもしろかったので、今度レンタルしてこようと思います。しかし、オ○ジョーは一体誰役なんだ?ドラマオリジナルキャラクタかしら?

さて、横山作品異色の女性主人公です。横山作品立て続けに読んでおりますが、女性主人公に出逢ったのはもしかして初?横山作品といえば、中年男性には全く興味の無い私でも身悶えしてしまう素敵オヤジがバシバシ登場するのが、もうお決まりになりつつありましたが、女性主人公もイケますね!!

主人公・平野瑞穂巡査は『陰の季節』で既に登場済。本作は瑞穂が「黒い線」問題で鑑識課を追われたその後の話が描かれております。似顔絵婦警という仕事に誇りを持ち、がむしゃらに描き続けていたあの頃を懐かしみながら、そしていつか似顔絵婦警に戻れる日を願いつつ、広報室、なんでも相談テレホン、捜査一課と、課を点々とする瑞穂。どこに居ても、どんな事件を手掛けていても、いつも頭にあるのは似顔絵婦警の仕事。

彼女にとって似顔絵婦警というのは、警察署内における唯一の居場所だったのでしょう。唯一男性と肩を並べて仕事ができる、男性に負けない仕事。「だから女は使えねぇ!」と罵られたあの日を忘れることができすに、執拗なまでに似顔絵婦警に拘る彼女。その気持ち、わかるようなわからないような複雑な気分です。女は使えない…私も経験ありますが、見返してやれば良いと思うんですよね。でも、それは似顔絵婦警に拘ることでなく、人として平野瑞穂巡査その人として見返してやれば良い。うまく表現できませんが、似顔絵婦警に拘っているうちは、やっぱり使えないのかもしれません。

でも、そんな彼女も最終話「心の銃口」で一皮剥けましたね。最後に心の引き金を引いた彼女。それは自分に対して撃ち出した一発でもあったのかもしれません。

本作は似顔絵婦警として活かしてきた観察眼を瑞穂が遺憾なく発揮する、ミステリとしても充分読み応えある一作。再び似顔絵婦警としての道を歩み始めた彼女の活躍をまた読みたい気もします。

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2006/11/09

『臨場』 横山秀夫

臨場 Book 臨場

著者:横山 秀夫
販売元:光文社
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“終身検視官”の異名を持つ男・倉石。

死者が、犯人が、現場に残した最後のメッセージを汲み取る者。

そして、謎を解き明かす者。

『臨場』読了後、既に何冊か横山作品を読んでまして、しかもすべて短編集なものですから、ちょっと混じってます。すみません、いきなり云い訳です。

『臨場』は警察組織における“鑑識”にスポットを当てた一作。“鑑識”と云えば、耳かきに付いてるふわふわしたやつのでっかい版で粉を叩き、髪の毛一本逃さぬために床に這い蹲って目を凝らし、見つけた証拠品は嬉々としてビニール袋に…とかなり偏った(我ながら偏り過ぎだ)イメージを持っておりました。

ミステリでは、探偵は推理の飛躍を武器に、警察は科学捜査を武器に闘うものと相場が決まっておりますので(またもや偏見だ)警察における鑑識(科学捜査)の大切さは身にしみているのですが、その科学捜査の結果を印籠の如く叩きつける捜査一課の刑事にばかり目がいって、鑑識係そのものには全く目を向けたことはありませんでしたね。

そういえば、2時間ドラマで帝王・船越○一郎がそんなシリーズを持っていたようないなかったような…ググってみました。「火災調査官・紅蓮次郎」シリーズでしたか。そういえば、警察の制服ではなくて、ブルーのつなぎを着ていたような気がするよ。

さて、肝心の『臨場』レビューです。本作は8作の短編で構成されているのですが、主人公である終身検視官・倉石がフルで顔を出すもの、キーパーソンとしてのみ登場するもの、その造りは様々です。

私は8作のうち、「赤い名刺」の推理にグッときましたね。検視官はその現場を構成するすべての要素を拾い上げて、死者のメッセージを汲み取る。あのドアは世界と事件現場を遮断する物理的な役割はもちろん、犯人を遮断する役割も果たしていた。うん、すごい好きです、こういうの。あっ、さらっとネタバレしましたね。すみません。

そして、「餞」で倉石がみせた不器用な敬礼に倉石のひととなりが詰まっていて、またまたグッときました。倉石はぶっきら棒に見えて、実は暖かい。倉石校長と慕われる…のは実は良くわからなかったのですが、きっと触れ合うとグッとくるところがあるのでしょう。

こういうマイナな方向から警察組織を眺めるのも良いものですね。横山作品を読み始めてからというもの、警察事情にちょっとだけ明るくなったような気がします。

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2006/11/08

『ボトルネック』 米澤穂信

ボトルネック Book ボトルネック

著者:米澤 穂信
販売元:新潮社
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分身とも云うべき友を弔うためにやってきた東尋坊。

東尋坊の崖下へ投げ出された僕が辿り着いたのは…僕の生まれなかった世界。

そこで知ってしまった現実とは?

読了したのはもう2週間も前ですので、ちゃんとしたレビューが書けるかどうか不安です。しかも、そんな本がごろごろ残ってます。怖ひですね!!

さて、米澤穂信氏新刊はノンシリーズものの『ボトルネック』、ミステリではないですね。“これからは通常営業。ミステリブロ愚復活です。”とか上の方で云っちゃってますが、これからレビューを書かねばならない本もほとんどミステリじゃないじゃない。しかも、一ヶ月近くまともにミステリ読んでないじゃない。ぎゃぼ。

というわけで、米澤氏お得意の青春ものです。既刊の米澤作品において、その90%くらいは無気力無関心無感動を装った高校生の男の子が主人公なのですが、本作『ボトルネック』もその例に漏れません。ある意味安心、ある意味マンネリです。『犬はどこだ』はその点でやっぱり新鮮だったなぁ。紺屋S&Rシリーズ新刊、早く読みたい。

って、『ボトルネック』の話をしなきゃ!

いきなり良し悪しの話をするならば、『ボトルネック』は“良し”でしたね。あのラストが良かった。お読みでない方はさっぱりだと思いますが、僕はラストのメールを読んでどちらに進んだのか。前に足を踏み出したのか、回れ右をしたのか。私としては回れ右(家に帰った)だと思うのですが、結末が完全に読者に委ねられてますよね。こういう手法が嫌いな方も多いと思いますが(本当は私もそうです)この部分は読者がこれまでの物語をどう受け取ったかによるもので、どちらの結末を読者が選んでも物語の中身に影響を与えないので、ある意味“正しいラスト”だったと思います。どちらに進んだとしても物語として充分に成立するという部分が、単純に素晴らしいと思う。

そして“自分の生まれなかった世界”を旅するという設定。自分の代わりにそこに存在するのは、母親の胎内で亡くなり生まれなかった姉。姉の干渉によって、自分が居た世界よりも良い方向に進んでいる世界を見せられて、僕は当惑する。僕は生まれてきた意味があったのだろうか、と。自分は「不幸だ、不幸だ」と思って生きてきたが、それは自分が何もしなかったから、不幸を抜け出す努力をしなかったから。姉が放つ光にかき消されてしまいそうになる僕。光があるからこそ影が存在する。でも、強すぎる光ならば…?うん、これだけでもう青春です。

あとは、僕の分身たる彼女の存在ですね。あのときあの場所をたまたま通りかかり、声をかけたのがたまたま僕だったから…。確かにきっかけはそうだったのかもしれない。でも、きっかけを本物に変えたのは、彼女の意思があったからだと私は思います。だから君も捨てたモンじゃない。だからこそ、あのラストで回れ右をして、戻ってきて欲しい。

最後に浮かべた笑み。それはどちらの道を選択した笑みですか?

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2006/11/03

『のだめカンタービレ ♯16』とのだめドラマ

のだめカンタービレ #16 (16) Book のだめカンタービレ #16 (16)

著者:二ノ宮 知子
販売元:講談社
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十二国記一気読みレビューも終焉を向かえ、すっかり遅くなってしまったのだめレビューです。コミックスの感想とドラマの感想を一挙に…って、ドラマはもう3回も放送してるんだよ、貴女。

兎にも角にもコミックス16巻の感想から。

いきなり“マルレ・オケにバソンを残す会 会長ポール”にやられました!バソンの音って、全然思い出せないのですが(恥)、ポールのバソンは是非とも聴いてみたい!!千秋に「すげー」とまで云わしめるポールの腕前。超興味アリ。しかもそのあとのファゴット首席の口パクが最高なんですよね!コンマスに「マネか?」と詰め寄られる首席…可哀想に。

鬼の千秋とコンマスが結託し、マルレ・オケがいよいよ生まれ変わりますが、その定期演奏会の描写が最高なんですよね!キノコ(笑)が来てから必死に練習したチェロ首席のソロがまず素敵。キノコの頬がほんのり赤いのも最高。首席に惚れたね?キノコ。そして、ウィリアム・テル序曲の主題に合わせるように挿入されるナレーション(?)がまた最高。

「圧政に苦しむ人々が、テルと共に立ち上がる」の部分にさりげなく書かれた

安月給に苦しむ人々って何ですか!?(大爆笑)

そして、行進曲。ついに金管の出番…

「しかしもう怖くない!もうずっと怖いですからー」(これにも大爆笑!!!!!)

白目を剥く千秋。背後にブラックホールを携える千秋。オレ様千秋、サイコー!!トロンボーンの皆様の青筋(?)がまた最高なんですよ。かつてこんなにも笑かしてもらったオケがあったでしょうか!Sオケ名物ヴァイオリン縦弾きも最高でしたが、あれを越えたよ!!千秋の指揮するマルレ、絶対聴きたい!そう思いました。

そして、クロキンですが、ますます良い漢になりましたね!あの場面(ベビーシッター)で千秋に「大丈夫だよ」と声をかけてやれるなんて、もう一流の漢ですよ。自分にかけた言葉だったのかもしれませんが、クロキンの株は高騰に次ぐ高騰ですよ!クロキンとターニャの関係もどんな風になるのか若干気になりますし。なんてたって、クロキンは実はゲテモノ(のだめ)好きだからね。

のだめの出番が少なかったですが、その分のだめはサブ4コマで頑張ってましたね。「9月10日に生まれて」の納豆カンタービレが好き。のだめ、納豆を山のように買ってもらいなさい。

そしてドラマ。すみません、毎話ちゃんと見ているのですが、細部はもう思い出せないので(本当にすみません)キャストの皆様についてアレコレ。

まずはもちろん、のだめ。結構アリなんじゃないですか!!もちろんあの、のだめのぶっとんでる部分をすべて表現するのは無理だと思いますが、「ぎゃぼ」を云うときの声なんて可愛くって上出来です!ピアノを弾いていて興に乗ったときの“あの口”はちょっとやり過ぎかなぁなんて思ったりしますが。ハツラツな感じがかなり好感持てます。良い良い。

そして、千秋。千秋を演じるのはホント難しいと思いますよ。ただカッコよく演じるだけでなく、相当なギャクセンスが求められますから。なにより、オレ様だし。ただ、最大の難点は指揮が下手だということ…あぁ、ごめんなさい。云ってしまいました。だって、千秋よりも軽部(め○ましテレビ)の方が指揮上手なんだもの…少なくとも私にはそう見えたんだもの。ただ拍を刻むだけなら小学生にもできるので、もっと恐慌政治のような圧迫感かつ臨場感のある指揮を千秋には望みます~。

そして、峰。峰はまだ未知数なんですが、とりあえずヴァイオリンは下手くそでしたね!バックの音と手の動きがまったく合っていなかったのには驚愕致しました。峰って正常(サブキャラ)と異常(主要キャラ)の中庸キャラだと私は勝手に思っているので、微妙かつ絶妙な存在感をラストまでに確立してくれたらと思います。って、このコメントは自分で書いててもよくわからないものになりました。

そして、そして、我等が真澄ちゃん。デカイ!!アフロにちょびひげじゃなかったら本気で怒る!と宣言しておりました私でしたので、そのポイントがきちんとクリアされていて一安心。でも、デカイ!!そうそう、真澄ちゃんがのだめの顔に筆ペンで悪戯書きしたときののだめの顔が、3回の放送の中で一番笑かしてもらいました。普通に人の目に見えるから!!目を閉じながらも表情をつけるだなんて、すごいねのだめ!(って、そのコメントはのだめの項目に書きなさいよ)でも、デカイ真澄ちゃんもなんとなくしっくりくるから不思議。のだめとじゃれている真澄ちゃんは原作(コミックス)に忠実で安心できます。

とにかく、原作に忠実なドラマですよね。原作のポイントポイントをきちんと押さえて。でも、それなら原作を読んだほうが数倍おもしろいので、ドラマにはドラマの要素を詰め込んでもらいたい。ドラマの方が原作より勝っている点は、視聴者の耳に訴えることができるということ。CDをそのままかけるのでは無くて、オケの臨場感ある演奏をもっとバシバシ流してくださいませ!エンディングのラプソディ・イン・ブルーなんて、結構好きですよ~。

そうそう、大事な人を忘れてました。シュトレーゼマン。顔、黒いですね。

とりあえず、清良たんを学生として登場させたということはR☆Sオケは登場させずに、Sオケだけで最後まで引っ張るということだと思いますので、クロキンの登場はお預けでございますね。オーボエの音色がとにかく大好きな私にとっては、非常に残念でございますが、中途半端に登場させるくらいなら、そちらの方が清々しくって好ましいと思います。

ラストはのだめの催眠術で千秋が飛行機恐怖症を克服して、飛び立つところで終わりかな?フランス編をやるのはキャスティング的に無理だと思いますので(だって、フランス語でしょ?日本初・字幕ドラマ?)日本編でめちゃくちゃやっちゃってください!以上!!

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2006/11/02

『華胥の幽夢』 小野不由美

華胥の幽夢(ゆめ)―十二国記 Book 華胥の幽夢(ゆめ)―十二国記

著者:小野 不由美
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

長編でしか語ることのできない物語があるのなら、

短編でしか語ることのできない物語がここに。

十二国記珠玉の短編集。

“10000HIT御礼 十二国記レビュー”もこの『華胥の幽夢』レビューで終了でございますか。読み始めたら止まらない十二国記シリーズ。頁を捲る手を止めることができずに、レビューだけが遅々として進まないというなんとも申し訳ない結果に終わってしまいまして、大変申し訳なかったです。どこが“御礼”なんだ…自分が楽しいだけじゃないか…という至極真っ当なご意見が聞こえてくる前にレビューを。

この『華胥の幽夢』は十二国記シリーズ(今のところ)唯一の短編集。収録されている作品は「冬栄」「乗月」「書簡」「華胥」「帰山」の5作品です。今回は1作品毎にレビューを。

「冬栄」

舞台は戴国。『黄昏の岸 暁の天』に詳しい戴の惨劇が起こる前のお話。泰麒が幸せの絶頂に居たころのお話。泰麒が笑顔で居られた短い時間のお話。

泰麒は主・驍宗から大任を授けられる。それは“使節として漣国を訪問すること”。驍宗から大役を任せられたことの嬉しさと、驍宗と一時とはいえ離れてしまうことの寂しさの間で揺れ動く心。そんな泰麒の不安を取り除くのは農夫・廉王。

漣国主従、プラトニック過ぎます!!

戴国が舞台と書きましたが、ある意味この作品の舞台は漣国です。廉麟が「本当にもう、困った方ね」と廉王を叱れば、廉王は“子どものように、ごめんなさい”ですからね!のんびり過ぎる!!王様業は仕事ではなくお役目だよと笑う廉王は、美味しい実(野菜)が生ると廉麟が喜んでくれるのがとても嬉しいと泰麒に告白します。廉麟ががっかりするだろうな、と思うと踏ん張って頑張らずにはいられない。自分を見守っていてくれる廉麟の目が一番の励みになると…うわぁ、究極だ。この廉国主従が私大好きです。『月の影 影の海』に登場した功国主従のように、その関係が破綻し切ってしまった国もありましたが、やっぱり王と麒麟は一蓮托生、切り離せないものなのですね。

そして、泰麒の子守(笑)・正頼も私の愛してやまないキャラクタのひとりです。あの泰麒に話しかけるときの優しすぎる言葉遣いが私のツボです。私の妄想の中で正頼は、20代後半で黒髪セミロング、例えて云うなら「アンジェリーク」のセイラン(おぉ、腐女子全開)的なイメージだったのですが、結構なおじいさんらしいですね(よよよ)。そんな正頼の戴国に訪れた災厄の中で生死不明とのこと。お願い、生きていて正頼。

そして、漣国から戻った泰麒に思い掛けないご褒美が。漣国主従に学んだ“自分のお役目”を一生懸命果たそうと誓う泰麒。泰麒が一番幸せだった時間が切り取られた「冬栄」。好きです。

「乗月」

舞台は芳国。慶国で現在下官を務める祥瓊がかつて公主だった国。主人公は祥瓊からかつて「簒奪者」と罵られた月渓と、役人に追われた祥瓊を助けた桓魋。そのふたりが膝をつき合わせて語る主題はやはり…祥瓊。

『風の万里 黎明の空』をお読みの方なら、祥瓊がいかようにして成長し、かつての自分をどれだけ恥じていたかお解かりかと思いますが、その様子を生で見ていない月渓にとってはまさに寝耳に水。信じられるわけが無い。ましてや、祥瓊の大切な父=先王を自らの手で討たねばならなかったことを、未だに悔やみ続ける男なら尚のこと。

でも、私は芳国次期国王に月渓が選ばれるような気がしてならないのですよね!月渓は峯麒が自らの前で膝を折ったときに、果たして「許す」と云うことが出来るのか。云えば完全に王たる地位を簒奪することになると、再び悶々と悩んでしまうのではないかと。そんなことより、麒麟は蝕に巻き込まれ過ぎというツッコミポイントが有ったのでした…。

「乗月」で私の一番好きな言葉は桓魋のこの言葉。

「王が玉座にある朝を日陽の朝だとすれば、王のいない朝は月陰の朝じゃないかな。月に乗じて暁を待つ-」

珠晶の「委細構わず叩き出す」も捨て難いのだけれど。

「書簡」

舞台は雁国。主人公は変なものをついつい拾ってしまう星の下に生まれた巨大ねずみ。楽俊です。陽子との文通が主題のこの作品。陽子にとって大切な、この世界で始めてできた友人だからこそ、空元気を貫き通す。互いに空元気であることはわかっていても、心配させたくない…違うな、頑張る自分を見ていて欲しい、見守っていて欲しいという気持ちでちょっとだけ真実を隠した手紙をしたためる。

雁国の大学に首席で入学した楽俊。「一番で入学して、卒業できた奴はいない」そんな伝説を覆して、自分の新しい道を切り開くために楽俊は耐える。半獣であることで馬鹿にされることもある。書物を齧る…そんな偏見を受けても、いつでも優しくいれる彼。やっぱり、楽俊は最高です。

楽俊が功国の次期国王になる…そんな妄想を膨らましてみたこともありますが、同じ姓の国王が続くことは無いんですよね。もし半獣の彼が国王になったら…朝は荒れるでしょうね。雁国や慶国の後ろ盾があったとしても。そんな中、楽俊はどんな国を創ってゆくのか見てみたい気がします。でも、慶国で冢宰クラスの官吏になるっていうのも…アリですね。

楽俊がこれからどんな成長を遂げるのか。十二国記は成長の物語。坂道を転げ落ちるように出番の減ってゆく彼ですが、いつか彼メインの物語(長編)が読めることを期待しております。

「華胥」

短編集タイトルにもなっている本作。舞台は才国。一国が滅んでゆく姿が描かれた作品です。才国の宝重・華胥華朶はそれを枕辺に差して眠れば、理想の世を、華胥の夢を見せてくれるという。皆に望まれて采王となった砥尚であったが、国は一度も富むことなく沈もうとしている。采麟の夢見る華胥の夢と采国が一度も重なることのないまま。

この「華胥」は若干ミステリテイストです。密室の中発見された死体と、密室から消えた人物。果たして密室から消失を成し遂げた人物がその殺人事件の犯人なのか?十二国記にミステリ的なものは特に求めていないのですが、小野不由美主上はこのミステリの中に国の崩壊と自我の崩壊を投影させたのだと思ってます。

才国は「風の万里 黎明の空」で鈴が助けを求めた国として登場しますが、登場するのは采王・黄姑と采麟だけですので、どんな国なのかいまひとつはっきりしないなかった一国です。この「華胥」では最後にちょっとした驚きが潜んでおります。そうきますかっ!と。このオチで「乗月」レビューで書いた月渓の次期国王説もあるな…と勝手に思ったのですがいかがでしょう?

それにしても、麒麟の失道というのは辛いですね。自らが選んだ王によって、自らの命と精神を失うことになる麒麟。王と麒麟は一心同体、その摂理を再確認した一作です。景麒あたりなら「やはり…」とか憎まれ口を叩きそうなものですが、無垢な少女そのものの采麟があのように変貌してしまう姿は見たくない。現才王・黄姑が華胥華朶を使うことなく、才麟に華胥の夢を見せてあげられることを願いつつ。

「帰山」

物語の舞台は柳国。しかし、登場するのは雁国縁の人物と、奏国縁の人物。共に気の向くまま風の向くまま放浪を繰り返す人物…といえば、あの二人しかおりませんね。名付けて帰山コンビ。

二人は沈みかけた柳国の街で偶然…むしろ必然のように出逢う。そして始まる国の終焉談義。奏国の御仁は云う、雁国が沈むときは「延王がその気になったとき」。民も官も台輔も残らず、徹底的に雁国は無に還る。雁国の御仁は云う、奏国が沈むときは「風来坊の太子が、この世に繋ぎ止められるのに飽いて、宗王を討つ」ときだと。

奏国はまだ笑い話だとしても、雁国は本当に起こりそうで怖いよ!

「死なない王朝はない」と、時々怖くなるという奏国の御仁。「永遠のものなどなかろう」と冷たく云い放つ雁国の御仁。どちらも国の中枢にあって、国が沈むときは自らの命が断たれるとき。その想いが彼らを前に奔らせる。

十二国記は本当にキャラクタが魅力的で、どこの国の主従・官吏も素敵な人間ばかりです。だからこそ国が前に進む、豊かになる、続いてゆくのでしょうが、彼らにもいつか終わりがくることを思うと、いつも胸がザワザワとします。それは、十二国記シリーズにもいつか終わりがくることを惜しむ気持ちと同等。このまま十二国の時が止まれば、彼らはいつまでも終わることなく生き続けるのかと思うと、それを望んでしまう自分もどこかに居るんですよね。本当に不思議な気持ちにさせるシリーズです、十二国記。

そうそう、「帰山」で最後に奏国の御仁が語る慶国の様子にいつも嬉しく思います。奏国の御仁に「今度の慶は、いい感じだ」と云わしめる景王・陽子。やっぱり彼女は良い女王になるよ。

陽子の活躍、泰麒のこれから、愛すべきキャラクタたちとの再会をいつか果たしたときに、またこの“十二国記レビュー”に新たな記事が追加されることを願いつつ。“10000HIT御礼 十二国記レビュー”を締めくくりたいと思います。読んでくださってありがとうございました。また皆様とお逢いできる日を楽しみにしつつ、さようなら。

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2006/11/01

みんなの読書癖○体育の日はオリンピック開催式の記念なんだから10月10日じゃなきゃダメでしょ編

着々と冬が近づいてきますね。北海道はもう雪がちらついた地域もあるとのこと。私の実家の方でも、今日着雪したそうです。嫌だな、雪の無い北海道の冬を夢見る少女(←えっ?)まじょ。です。

今日もやります、みんなの読書癖○10月編。これまでのレビューの最長タイトルになりましたね。タイトルに凝って(凝ってるつもりなのか!?)どうするんだ自分。

それでは、いつものように○ACRWEBのページアクセスランキング○から!

1

名探偵コナン実写ドラマ「工藤新一への挑戦状」 113
2 『陰の季節』 横山秀夫 106
3 ○名探偵コナン 43
4 □森博嗣ブログジャック計画 37
5 ○スレイヤーズ 28
6 ○かまいたちの夜 26
7 『赤緑黒白』 森博嗣 23
7 NHKドラマ「クライマーズ・ハイ」 23
9 『λに歯がない』 森博嗣 22
10 ●森博嗣 21

今月も名探偵コナンの独走、それを追う形で森博嗣氏と横山秀夫氏が混戦といった感じですね。2位の『陰の季節』レビューについては95%くらいの方が「上○隆也さん」のキーワードでご来場くださったものと思われますので、まったく信憑性の無い数字なのですが(汗)上記三つ巴のランキングの中、定期的に入場者を集めるスレイヤーズとかまいたちの夜がなんとなく霞んでみえるのは…絶対に気のせいじゃ無いですね。

さて○track wordランキング○の動向もチェックしてみましょうか。

 1.上○隆也(47)
 2.森博嗣(22)
 3.コナン(20)
 4.四季(15)
 5.名探偵コナン(13)
 6.スレイヤーズ(11)
 7.乱鴉の島(10)
 7.刀之津診療所の怪(10)
 7.小○旬(10)
10.かまいたちの夜(8)
10.女信長(8)

やっぱり!!

ランキング1位が恐怖のフセ字です。本当に上○隆也さんで当ブロ愚にご来場くださった方には、なんとお詫びを申し上げればよいのか…。しかも記事の内容も上○さんでは役が合わないみたいな内容でしたのに。本当にごめんなさい。

しかし、track wordのランキング基準ってよくわかりませんね。

遅々ながらも完結しつつある「10000HIT御礼十二国記レビュー」は来月のランキングには絡んでくるのでしょうか?それでは、来月の勤労感謝の日に仕事に行かなくてはならない気持ちはどう表現したら良いのか編でお逢いしましょう☆

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