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2006/09/10

『輪違屋糸里』 浅田次郎

輪違屋糸里 上 Book 輪違屋糸里 上

著者:浅田 次郎
販売元:文藝春秋
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文久3年9月18日、芹沢鴨暗殺。

この暗殺劇に潜んだ、女の物語があった。

『壬生義士伝』の浅田新撰組、再び登場。

はぁ、新撰組はやっぱり良いわぁ☆

『女信長』に続いての歴史モノです。個人的な歴史小説好き好き度は“新撰組>三国志>戦国時代”ですので、沖田や斎藤さんが登場するとなれば、それだけで満足だったりするのですが、さすが浅田次郎。そこいらの新撰組モノとは違います。

『壬生義士伝』は号泣に継ぐ号泣で、家族への思慕と男の世界を描き切りましたが、この『輪違屋糸里』は転じて新撰組に翻弄される女の世界を描いております。島原で芸を為す天神たちと、新撰組屯所として彼らを住まわす女将、そして云わずと知れたお梅。新撰組小説といえば、むさっくるしい男どもが遊女を誑かし弄ぶものと相場が決まっておりますが(決まって無い無い。断じて無い)この『輪違屋糸里』はどこまでもピュアです。

物語は新撰組の初期も初期、芹沢鴨暗殺までが描かれておりまして、新撰組全盛期の剣呑とした雰囲気とはまた違った趣があります。芹沢鴨はとにかく極悪非道な手の付けられない奴…というイメージが先行していたのですが、最近になって芹沢鴨像が大きく見直されてきているように思います。個人的にはあまり好きじゃないんですけれどね。ただ、お梅といっしょに死ぬことができたことだけは、不幸中の幸いだったといつだって思います。

そして、本作で大きくクローズアップされたのが永倉新八。新撰組が京に上った経緯や、人物相関図などはすべてこの永倉の視点で描かれます。この部分がまた丁寧で丁寧で。新撰組を全く知らない人でも、永倉の語りを読めば大よその新撰組初期像は掴めるのではないでしょうか。『風光る』の影響か、永倉と云えば原田・藤堂と並ぶ三馬鹿トリオのイメージなのですが(し、失礼…)Wikipediaから引用するならば「剣の腕は、一に永倉、二に沖田、三に斎藤一ともいわれた程だった」というのだから、驚きです。私の勝手なイメージだと“沖田>一之太刀が外れた斎藤>永倉”という感じなのですが。斎藤の一之太刀が決まったならば、最強は斎藤ということで。

そして、本作を語る上で外せないのは女性たち。島原の天神として登場する“おいと”がおぼこくて。土方みたいな百戦錬磨に本気で惚れちゃ駄目だYO!女癖の悪さも含めての土方なのですが、あんなおぼこい(=うぶな、くらいの意味です)娘を自分の策略のために騙くらかすなんて、非道な。浅田先生はそのあたりにもきちんと配慮されているのですが、それがフォローにしか読めない私は土方をどれだけ悪い奴だと思っているのでしょうか。いや、土方も好きなんです。近藤と組のためにどこまでも鬼であり続け、最後まで意志を貫き通した土方は好きなんですよ…。

あぁ、やっぱり新撰組は良いなぁ。新撰組ネタ妄想はどこまでも広がります。この度、新撰組カテゴリを作成したので、どんどん新撰組モノを再読してゆきましょうかね。あとは『風光る』のレビューもこのカテゴリで!

輪違屋糸里 下 Book 輪違屋糸里 下

著者:浅田 次郎
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