« ちょっとだけ | トップページ | 『鏡の中は日曜日』 殊能将之 »

2006/09/18

『乱鴉の島』 有栖川有栖

乱鴉の島 Book 乱鴉の島

著者:有栖川 有栖
販売元:新潮社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

命の洗濯と題して休養旅行に出掛けた火村&アリス。

ふたりが迷い込んだ孤島で起こる殺人事件とは?

作家アリスシリーズ4年ぶりの長編にして、初の孤島もの!

このブロ愚を始めてもう8ヶ月になりますが、作家アリス(火村)シリーズのレビューを書くのはこの『乱鴉の島』が初めてになりますか。初のレビューが新作だなんて嬉しい限りです。というのも、最近の有栖川氏(漢字表記の有栖川有栖が現実世界の有栖川有栖氏です)はどうにも遅筆で(良心の小文字)このミスの「私の隠し玉」に毎年毎年掲載される『砂男』だって…それを云うなら学生アリス(江神二郎)シリーズだって…。でも、こうして『乱鴉の島』を読めたんだから、もう何も云うまい(もう既に散々云っちゃってるYO!)

下宿の婆ちゃんにお膳立てしてもらい、アリスと共に“命の洗濯”旅行(何度目の婚前旅行だ?)に出発することとなった火村。とある島で下宿の先輩が営む民宿に身を寄せるはずであったが、手違いのため“烏島”と呼ばれる絶海の孤島に迷い込むことに。“烏島”に住まう往年の大翻訳家と翻訳家を慕う面々がひた隠しにする秘密と、IT企業家殺害の謎とは?要約するとこんな感じでしょうか。

その殺害されるIT企業家なんですが、いくらなんでも“ハッシー”の呼び名はどうかと思います。ミダス・タッチなんて素敵な呼称があるにも関わらず“ハッシー”って。シリアスな場面で「ハッシー」「ハッシー」連発されると、どうにもテンションが下がります。どう考えてもホリ○モンがプロトタイプだし。

とにかく本作は事件の発生までが長くって。事件の発生に時間が掛かる本格ミステリは、往々にしてトリック自体に目新しさが無いものです(おいっ!)本作は殺人事件のトリック・犯人当てがメインではなく、“烏島”に集まった面々が抱える秘密とはなんなのか?がメインでしょうか。クローン技術の大家に、早くして愛する妻に先立たれた大翻訳家。ならばその秘密とは?

その秘密も、かなり丁寧に描かれているために想像の範囲内に落ち着きます。ヒム(私は火村のことを“ヒム”と呼んでいます。him)がその秘密に辿り着くまでにあんなに時間が掛かったのが不思議なくらい。まぁ、いつものようにアリスが重要な事案を“些細なこと”としてヒムに話さなかったのが主たる要因なのですが。さすがアリスです。4年ぶりであっても、お約束ごとは決して忘れません。

本作はヒム&アリスVS登場人部全員という図式だったために、アリス以外にも足を引っ張る人間がいっぱい居て、展開がゆるゆるだったのが非常に残念。ページを捲る手が止まる止まる。ミステリが主軸で無かったのも原因ですが、ちょっと物足りない読了となりました。やっぱり“読者への挑戦”が挿入されるバキッと本格・作家アリスシリーズが読みたいものです。

短編の作家アリス、長編の学生アリスで有栖川有栖は楽しむに限りますね。

|

« ちょっとだけ | トップページ | 『鏡の中は日曜日』 殊能将之 »

コメント

やっぱり学生アリスですよ〜(関係ない)
どうして皆ホリエモンなんでしょうか? この話たしかに、皆が何の為に集まってるか、それが最後までわからずクローンな話が、ちょっと長いな〜とか思たりでした 

投稿: きりり | 2007/06/09 11:50

☆きりりさん☆
やっぱり学生アリスですよね!(こちらも関係ない)
この作品は長い間熟成されて世に出たんだろうなぁ、と思わせる古さがそこはかとなく漂ってきますね。ホリ○モンとか。
学生アリスは作品自体が古いので、そんなことお構いなしにどんどん出版して欲しいものです。

投稿: まじょ→きりりさん | 2007/06/11 01:19

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/3492554

この記事へのトラックバック一覧です: 『乱鴉の島』 有栖川有栖:

« ちょっとだけ | トップページ | 『鏡の中は日曜日』 殊能将之 »