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2006/09/03

『四季 夏』 森博嗣

四季 夏 Book 四季 夏

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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14歳の夏、彼女はひとりの男性に恋をし、そして両親を殺した。

すべては計算し尽くされたこと。

天才に触れる『四季』シリーズ第二弾。

いきなりですが、『四季 夏』のレビューは全面ネタバレレビューとなります。こんな美味しいネタを語らずにはいられません。もちろん、未読の方はご注意くださいませ。

おかえりなさい、保呂草さん☆

この『四季』シリーズを通して、なにが一番びっくりしたかって、各務亜樹良がいつの間にか保呂草さん無しでは生きられない女になっていたことです。保呂草さんと各務女史の間になにがあったのか…それは決して語られることのない物語ですが、彼女が幼少のころに失ったなにかを保呂草さんが補うことができれば素敵だと思います。

しっかし、保呂草さん。四季を誘拐して自らの目的を達しようなんて、末恐ろしい男ですね。保呂草さんといえば「決断が遅く、行動が早い男」だったはずなのですが、今回の決断はとにかく早かった。数分ではないでしょうか?それだけ四季という存在が大きくて、成功率を跳ね上げるファクターに成り得たということなのですが。あのとき、四季に誘われるまま、四季の手を取っていたら、保呂草さんの人生は720°変わっていたと思いますが(結局元に戻ってますよ!)、瀬在丸紅子・各務亜樹良・祖父江七夏という3強女性と対峙を繰り返した軟派・保呂草の中でエマージェンシィコールが鳴り響いた結果が“逃げる”という選択肢だったのだと思います。

そして、3強女性のひとり瀬在丸紅子。今回は四季の精神形成に大きな影響を与えた人物として登場です。紅子から得たスタイルを元に、子どもを身籠った真賀田四季。そして、紅子から産まれたへっ君と死闘(?)を繰り広げるっていうんだから、萌えるなっていう方が無理です。しかし、紅子と林さんの間にどんな変化があったのでしょうか?Vシリーズの頃は指輪なんてしていませんでしたよね?七夏もなんとなく諦め気味と云いましょうか、仕事に没頭することで忘れようとしているように見える。へっ君は現在、林さんの元で生活をしているようですが。“子はかすがい”ってやつですか?

そうそう、へっ君&紅子シーンがようやく登場。へっ君、ちゃんと喜多先生にお母様を紹介しなくちゃ駄目ではないですか。もしこの関係を知らずにこのシーンを読んだら…あぁ、親戚だったのだなぁと思うかいな!絶対に怪しいと思うはず。それはそれで衝撃的だったなぁ。あれ?ん?あれれ?とか云いながら首を捻る自分…容易に想像できて怖いわ。

そして、真賀田四季。彼女のあの気持ちは本当に恋だったのでしょうか?天才と呼ばれ、普通の人間が踏み込むことのできない領域に立ち続ける彼女。そんな彼女にも恋と呼ばれる普通の感情があったのなら…ちょっと素敵かもしれない。彼女の中に存在するすべての人格が拒否しても、押し切らずには居られなかった感情。行動。そして結果。すべてが計算から導かれた結末だったとしても、想定された結果の中で最もバッドなものであったと思いたい。あれがハッピィな結末であったのなら、真賀田四季、貴女は哀しすぎる。

それでは次回は夢の競演が果たされる『秋』です。これがまた最高です。再びネタバレレビューでお逢いしましょう。

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コメント

読み終わりました。まさか『~夏』で両親殺害までいっちゃうとは思いませんでしたね~。
それにしてももはやミステリではなく四季の伝記ですね。あそこまで赤裸々に恋愛模様を描かれても^^;;

「~春」よりは読みやすかったですが、これからが想像できない分、「秋」「冬」も楽しみです。

でも林さんが、「犀川です」といった時にはしびれました♪

投稿: たいりょう | 2006/10/21 15:24

☆たいりょうさん☆
コメントありがとうございます!のだめレビューもすっかりサボってまして…せっかく来ていただいていたのに申し訳ないです。
『夏』で林さんが名乗ったときには「シリーズ10作であんなに引っ張ったのに、そんなあっさりと!」と仰天しました。この『夏』真相を知ったならば、あまりの激白にあんぐりしてしまったことでしょう。
四季の恋愛模様…あれが本当の愛だったのか、それとも策略のひとつでしかなかったのか。四季のみぞ知る真相ですが、四季にも人並みの幸せを知っていて欲しいと願います。

投稿: まじょ→たいりょうさん | 2006/10/29 17:08

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