« 『夏のレプリカ』 森博嗣 | トップページ | 名探偵コナン「ベイカー街の亡霊」 »

2006/08/09

『今はもうない』 森博嗣

今はもうない―SWITCH BACK Book 今はもうない―SWITCH BACK

著者:森 博嗣
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

婚約者と避暑のためやってきた別荘で出逢った不思議な女性。

笹木は婚約中の身でありながら、彼女に惹かれてゆく心を抑えられずに。

彼女の気をひくために、別荘で起こった密室殺人事件の謎に挑む。

いつもならまずブログジャックのバナを貼り付けるところなのですが、如何せんネカフェでの更新。森博嗣が一発変換できなくて、苛々。西之園も一発変換できなくて苛々。やっぱり自前パソじゃなきゃ駄目だ。

さて、この『今はもうない』はS&M作品のなかで、私が一番好きな作品です。『すべF』で真賀田四季博士は「7は孤独」という有難いお話をしてくださいましたが、S&Mシリーズではこの8作目にあたる『今はもうない』が孤独な存在です。Vシリーズでも8作目の『捩れ屋敷』が孤独。

まず、森博嗣の仕掛ける叙述トリックが秀逸です。私は初読の際、まんまと引っかかりましたよ。最初のモノローグで気付いたっておかしくないのですが、漢字が違うだけであっさり引っかかる単純人間なんです…。

私はミステリのジャンルの中で、叙述トリックものが一番好きです。本来ミステリとは名探偵と犯人の対決が描かれる作品類ですが、叙述トリックもののミステリは読者と作者が対決できる場だからです。騙されることを快感に感じることのできる場なんて、そうそう出逢うことはできない。もちろん、仕掛けるトリックが大きすぎるせいで、名作と駄作の明暗がはっきりと分かれてしまう危険なジャンルではあります。はっきり云って、駄作の方が多い。だからこそ、名作に出逢ったときの感動が大きなものになるのですが。手っ取り早く名作に出逢いたい場合は、折原一氏の「倒錯シリーズ」をオススメしております。

さて、『今はもうない』は肝心の密室トリックなんてどうでも良くなってしまうくらい、笹木さんの恋話が秀逸です。只者じゃないと思っておりましたが、やっぱり只者じゃ無かったね、彼女は。この『今はもうない』があるからこそ、彼女がどんな奇想天外な言動を取ったとしても納得できてしまう。そりゃ、彼女は役所より強いさ。(嗚呼、めちゃくちゃネタバレしてる。予告も無しに…)

とにかく、私のレビューを読む前に、本作を一度お読みください。願うならば、いきなり『今はもうない』を手に取るのではなく、シリーズの8作目として。8作目というこのタイミングで読むことに意味がある作品だと思います。

ネカフェの退出時間が迫っておりますので、今回の中途半端なレビュー。『レプリカ』の手直しもできなかった…。自前パソの元に戻りましたら、一気に修正をかけよう。

|

« 『夏のレプリカ』 森博嗣 | トップページ | 名探偵コナン「ベイカー街の亡霊」 »

コメント

久しぶりに読んだので、細かいところをすっかり忘れてて、思い切り騙されました(笑)。
いや、でもいい作品だと思います。詳しく語るのは難しいですが、まじょさんの感想には賛同しますね、はい。

投稿: たいりょう | 2006/08/10 17:58

☆たいりょうさん☆
すっかり騙されちゃいますよね!女は皆、女優ですよ。怖いですねぇ。
私も初読のときは「萌絵ってば、こんな恋話を犀川先生に披露して本当に大丈夫なの?なんの作戦よ?」と本気で心配になりました。あさはかだ…。
シリーズの中でも異色な作品ですが、異色作らしさがらしくって本当に良い作品ですよね。

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/08/12 00:29

たぶん、森作品の中で一番好きな作品です。
なぜ、「たぶん」なのかというと、かなり前に読んだので『夏のレプリカ』と混ざっちゃってるからです。しかも、タイトル的に好きなのは『夏のレプリカ』の方。
でも、叙述トリックということで、こっちだと思います。
まさに「騙されることを快感に感じ」た作品です。

投稿: mangayomi | 2006/08/12 02:20

☆mangayomiさん☆
私も「犀川先生のあの名台詞が読みたいのだけれど、どの巻のどのシーンだったっけ?」と本棚の前で座り込む回数が年々増えております。大抵見つからないのだけれど…ぎゃふん。
森作品はタイトルが秀逸ですよね。言葉の響きがとても綺麗だと思います。Gシリーズのおかげで、ギリシア文字にも強くなりました!

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/08/13 17:23

今はもうないも素敵な作品ですよね 最愛の犀川先生があまり出ないと言う寂しさありながらも、最後の一行へもってくる森氏の詩的な文章がとても好きです

投稿: きりり | 2006/08/14 12:28

☆きりりさん☆
犀川先生大好きなのに、『今はもうない』と『夏のレプリカ』という、犀川先生の登場が極端に少ない二大作品が好きだというのだから、矛盾しておりますわ、私。
二作ともに共通する、なんとも切なく詩的なラストが私の心にグッとくるのでしょうね。

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/08/14 18:37

またまたTBさせてもらいました★

これはやっぱりミステリィであってミステリィでない、
だけど結局は恋愛小説が正解ですよねw

自分もS&Mではやっぱりこれが一番ですね♪

投稿: あさり | 2006/10/30 23:13

☆あさりさん☆
コメント&TBありがとうございます!
あさりさんも『今はもうない』がS&Mベストですか!Vシリーズのmyベスト『恋恋~』も恋愛要素濃かったですし、森先生の恋愛モノは有りですね。(でも『どきどきフェノメノン』はそうでもなかったような…?)
睦子叔母さまのあの憎らしいまでの勝者の笑み、忘れられません。

投稿: まじょ→あさりさん | 2006/11/01 22:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/2991151

この記事へのトラックバック一覧です: 『今はもうない』 森博嗣:

» http://asari213.blog73.fc2.com/blog-entry-96.html [はちみつの蜜壺]
今日は朝から酷い目に遭いました。 電車が人身事故でストップ、完全には止まることが滅多に無い電車なのですが、 現場検証のため、今日は一時完全に止まってしまいました。 そこで、行われる振替輸送。 朝から電車の旅を... [続きを読む]

受信: 2006/10/30 23:03

» 「今はもうない―SWITCH BACK」 森博嗣 著 [新米主婦の備忘録。]
「今はもうない―SWITCH BACK」 森博嗣 著 S&Mシリーズ。嵐の山荘で [続きを読む]

受信: 2006/11/18 00:56

« 『夏のレプリカ』 森博嗣 | トップページ | 名探偵コナン「ベイカー街の亡霊」 »