『悪党たちは千里を走る』 貫井徳郎
| 悪党たちは千里を走る 著者:貫井 徳郎 |
せっかく計画した徳川埋蔵金詐欺を同じく詐欺師に邪魔された三流詐欺師。
しかし、いつの間にかその詐欺師とチームを組んで狂言誘拐をすることに?
貫井徳郎の新境地!
ブログジャックの最中でも図書館で予約していた本は…またまた以下略。
返却期日も近いし、もう読まずに返してしまおうか!と思ったのですが、
読まずに返さなくて良かった!
内容紹介部分の「貫井徳郎の新境地!」というフレコミは伊達じゃないです。本当に面白かった!貫井氏といえば『慟哭』に代表されるような固くて真面目なミステリ作家という印象だったのですが、『被害者は誰?』で「あぁ、こういうのもアリだな」と思わせ、この『悪党たちは~』で「やってくれました!」という感じ。
本作をジャンル分けするならば、ドタバタユーモアミステリ(コメディ?)といった感じ。まず、いまどき徳川埋蔵金で詐欺を働こうとする詐欺師なんて居ないですよ!!冒頭でいきなり彼らが三流(四流?)詐欺師であることが判明。もう、誘拐なんて大それたことするのは辞めなさい、とついつい諭してやりたくなるってなものです。
そこに二流詐欺師(リトグラフ詐欺)が合流し、次に企てるは犬の誘拐…ちょっと斬新?その犬誘拐計画を練っているところに登場した一流詐欺師。展開が迅速で読者を飽きさせませんな。この一流詐欺師がまた素敵で。彼がとっさに三流詐欺師どもにメッセージを残すシーンなんて、もう脱帽。賢すぎるザマス!でも、本当はディズニーランドではしゃぐ君が私は一番好きよ。
誘拐を企てた黒幕が誰か?という部分が、この作品の一番の肝なのですが、そこは貫井氏。どんでん返しの名手(私が勝手に命名)は本作でも伏線をばっちり活かして、納得の結末です。三流詐欺師がその正体に気付くまで、私はこれっぽっちも彼らを疑っておらず、思わず膝を打ってしまいました。粘着質ですね、黒幕。
とにかく、この名作を読まずに返さなくて良かった。読了後の清々しさは最近読んだ作品の中でピカイチです。最後の落し方も素敵。彼らはこの作戦が終了したあとにも、偶然を装った再会を果たし、いつまでも友人という関係を築いていって欲しい。彼らは秘密を共有する…なんて些細でお互いを縛り付ける関係でなく、ともに戦場を生き延びた戦友なのだから。
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