« 『封印再度』 森博嗣 | トップページ | 『DEATH NOTE‐ANOTHER NOTE』 西尾維新 »

2006/08/06

『幻惑の死と使途』 森博嗣

幻惑の死と使途―ILLUSION ACTS LIKE MAGIC Book 幻惑の死と使途―ILLUSION ACTS LIKE MAGIC

著者:森 博嗣
販売元:講談社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

天才奇術師・有里匠幻がミラクルエスケープの最中に殺害された。

さらに、死体が霊柩車から消滅して?

マジシャンに囲まれたマジカルなミステリ。

第6回戦でございます。

この『幻惑の死と使途』は次回のレビュー作『夏のレプリカ』と対になっていて、奇数章のみで構成されております。『夏のレプリカ』は偶数章。こういう趣向で読者を楽しませることができるのが、森博嗣という作家です。そして、この『幻惑の死と使途』発刊の時点で、森博嗣という作家がある程度のステイタスを確立していたことが窺えますね。ペーペーの作家なら、一見落丁かと思わせるようなこのアイデアを出版社が許可するとは思えないもの。

さて、この『しとしと』を読み返して、一番驚いたのはGシリーズで御馴染みの加部谷恵美ちゃんが登場していたこと。Gシリーズで何度か語られた“西之園萌絵といっしょに遭遇した殺人事件”というのが、これだったのですね。全然、覚えてなかった…。いつか短編あたりで発表されるのかな?なんて悠長なことを考えておりました。森ファンとして失格。Gシリーズ執筆にあたって恵美ちゃんの存在を思い出したのか、いつかGシリーズを書こうと思って『しとしと』に恵美ちゃんを登場させておいたのか、真相は森博嗣にしかわかりませんが(いや、さすがに後者だと思いますが)本当にシリーズ全てがリンクしているのだなぁ。一作たりとも逃すことはできませんね。

この『しとしと』は西之園萌絵が決してワトソンではないことを証明した一作でございました。萌絵がワトソンではないことは、森博嗣自身が公言していることではありますが、読者はこの『しとしと』までは確実に誤解していたはず。萌絵は決して電卓ではなくてよ。(高田崇史の作品に名言があります。「(パスルの)解き方がわかったとしても、そこから、電卓やエクセルや西之園萌絵が必要になっちゃうようなやつなんだ」by『試験に出るパズル』)私が高校生のころは、西之園萌絵という存在が傲慢であまり好きではなかったのですが、再読を重ねるにつれ、彼女の愛らしさや弱さに気付くことができるようになってきました。犀川先生が彼女にどうしても甘い理由がなんとなくわかった気がします。ただ、やっぱり友達にはなれないと思ふ。あと、盤も無いのにチェスはできません…。

次回は西之園萌絵に負けじと劣らない簑沢杜萌の登場です。彼女も盤無しでチェスができてしまう超人。でも、私は彼女が好きで、それに付随して『夏のレプリカ』も好きです。いつか、『しとしと』と『レプリカ』を交互に(章が連なるように)読んでみたいと思っています。

それでは、『しとしと』のfavorite wordを。

「最高に綺麗なスイッチだね」

|

« 『封印再度』 森博嗣 | トップページ | 『DEATH NOTE‐ANOTHER NOTE』 西尾維新 »

コメント

これは「冷たい密室~」と並んでS&Mシリーズの中ではもっとも好きな作品ですね。映画とか舞台をやっていた人間としては、この動機部分になんとなく共感できるところがあったからだと思います。

そして「夏のレプリカ」・・・個人的にどういうレビューを書かれるのか期待しております。

投稿: たいりょう | 2006/08/07 09:49

☆たいりょうさん☆
S&Mシリーズを10作読み終えたら、小休止としてベスト10発表をやってみようと思っているのですが、たいりょうさんのベスト10とどのくらい一致するのか興味が湧いてきました。『しとしと』は私の中でも上位に食い込んでくるので、結構同じになるの…かな?
これから『レプリカ』に取り掛かります。ご期待に添えるレビューが書けるかどうか…なんとも意味深なお言葉ですね。

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/08/07 20:54

またまたTBさせていただきました★

「最高に綺麗なスイッチだね」

は良いですよね~。
こんなことさらっと言える人間は最高にステキです。

これとは関係ありませんが、幻水好きなんですね。
自分も2だけはやったことがあります。
攻略本を借りてやるという体たらくでしたがww
自分だけで108人集める人はほんと尊敬です。

投稿: あさり | 2006/09/30 00:10

☆あさりさん☆
コメント&TBありがとうございます!
「最高に綺麗なスイッチだね」は森作品の中でも飛び抜けて好きな言葉です。女性なら1度は云われてみたい。しかも、これをあの犀川先生が仰ったというのが、最大の驚きなのですが!
幻水レビューばかりにかまけて、BOOKレビューがすっかり滞っておりまして、お恥ずかしい限りです。この土日でエンディングを圏内に捉えられたらと思っております。終わったら「十二国紀レビュー」開催しますので、またいらしてくださいね☆

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/09/30 13:47

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/38084/2949593

この記事へのトラックバック一覧です: 『幻惑の死と使途』 森博嗣:

» 私の名を…… [はちみつの蜜壺]
テンプレート変えてみました。 前のと同じ作者さんのものなので、イメージにはあまり違和感はないと思いますが、 どうでしょうか? ぜひ一度は月を投げてみてください。 所信表明演説、カタカナ語を100回以上も使用... [続きを読む]

受信: 2006/09/30 00:03

« 『封印再度』 森博嗣 | トップページ | 『DEATH NOTE‐ANOTHER NOTE』 西尾維新 »