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2006/08/30

『朽ちる散る落ちる』 森博嗣

朽ちる散る落ちる Book 朽ちる散る落ちる

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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“あの”土井超音波研究所の地下で発見された密室と死体。

誰がどのようにして密室を作ったのか。そして死んでいたのは一体誰なのか。

死を前にした数学者の本当の狙いとは?

ラスト6!

この『朽ちる散る落ちる』は「纐纈さんのお嬢さんが登場して、へっ君が誘拐され、ラストの保呂草さんがカッコイイ巻」という記憶しかなく、土井超音波研究所が再登場して一番びっくりしたのは私です。『六人の超音波研究所』を読んだときに感じた「あれ?地下室って登場しなかったっけ?」という違和感はある意味、間違っていなかったようです。

この『ちるちるちる』(我ながらすごい略し方)は、くどいようですが『地球儀のスライス』に収録されている「気さくなお人形、19歳」を読んでからお読みになった方が良いです。でないと、れんちゃんの涙の意味も、纐纈のお嬢さんの登場も、デコイチも、すべて色褪せてしまいます。「気さくなお人形、19歳」ほど存在感のある短編は森作品では珍しいですね。

『ちるちるちる』では『黒猫の三角』に登場した数学者・小田原博士が重要なキーパーソンとして登場します。小田原博士の昔話なんて、すっかり忘れていたものだから、素でびっくりしてしまいましたよ。小田原博士は紅子に絶大な信頼を寄せておりますね。そして、小田原博士も紅子も超越している。シャトルの謎と土井超音波研究所の謎、「なにか関係しいているに違いない」とは思っても、ああも容易に結び付けられてはCIAも立つ瀬無しってなもんですよ。ミステリでは「犯人やトリックをなんとなく想像するのと、確信するのでは一と百もの差がある」と(いうニュアンスのことが)云われていますが、紅子には百馬身以上の差を付けられて、ぶっちぎりで逃げ切られた感じです。

そして、今日のへっ君のコーナーをここで!『ちるちるちる』ではこれ以上無い!ってくらいへっ君にスポットが当たっておりますね。へっ君誘拐未遂(狂言?というか唯の勘違い)がこの『ちるちるちる』では起こります。「林さんのためならへっ君を殺せる」というのは紅子の弁ですが、母たる紅子を見ているとへっ君は愛されているなぁと感じます。へっ君は森川くんに車に乗せてもらえるという僥倖に恵まれて、兼ねてからの計画を実行したのでありますが、そこには紅子と七夏と林がみんなで喧嘩をおっぱじめるのではないかという遠慮と配慮がございました。なんて奥ゆかしい小学生…よよよ。へっ君、良い?へっ君はそんなこと気にしなくて良いのよ。林さんはまぎれも無く君のお父様(このへっ君の「お父様」発言にはかなり萌え)なのだし、林さんのことをもっと知りたいと思ったのならどんどん接点を持てば良いのよ。林さんが君を忘れることなどないのだから。君は愛されてこの世に産まれて来たのだから。あぁ、へっ君頑張れ!

そうそう、ラストの保呂草さんがカッコイイ。纐纈のお嬢さんにとって、保呂草さんの手によってもたらされたアレは、どんなものにも代え難い最高の贈り物だったでしょう。さらっとそれをやってのける保呂草さんが素敵☆そんな素敵な笑顔まで贈ってしまったら、纐纈のお嬢さんでなくともお礼をしたくなるってなものです。保呂草さんも素敵な時間を過ごせて、本当に良かったですね。

さて、Vシリーズも次作『赤緑黒白』で終焉を迎えます。伝説のサプライズが控えておりますので、とにかく楽しみ。事件自体は大したことなかったように記憶しておりますが。Vシリーズも10作読み終えた時点でベスト10企画をやってみようと思っております。ブログジャック終了までもう一踏ん張りですなぁ。

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コメント

どうもタイトルが『チルチルミチル』から作られたように感じるのは自分だけでしょうか?w

『超音波~』と対照的に物語を楽しむ構成ですよね。
林にシャキッとせんかい!!と言いたくなったことを記憶しておりますww

投稿: あさり | 2006/08/31 11:44

☆あさりさん☆
なにかを連想させるなぁと思っていたのですが、「チルチルミチル」でしたね!
『超音波』があくまでも序章で、この『チルチルミチル』で花咲かせた感じですね。『チルチルミチル』の方が断然好み!ラスト直前にして、シリーズに散りばめた伏線を回収していった感じもあり。全然内容を覚えていなかったわりに、充分好みの作品でございました。
林さんは…あそこで紅子に駆け寄って欲しかった…。

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/08/31 22:02

この話は、久々に私好みですぅ 最後の保侶草が良いですね
やっと色々なものが繋がった感がありました
なんだかんだ言ってあと1册

投稿: きりり | 2006/11/24 10:17

☆きりりさん☆
そうなのです、最後の保呂草さんが最高なんです!依頼された仕事のケア…だけでは無かったと思いたい。ジェントル保呂草にすっかりノックアウトでございます。
残すは『赤緑黒白』だけですね!最終巻らしからぬ一作(だと個人的に思っております)ですが、きりりさんのレビューが楽しみです☆

投稿: まじょ→きりりさん | 2006/11/28 23:24

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