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2006/07/26

『魔王』 伊坂幸太郎

魔王 Book 魔王

著者:伊坂 幸太郎
販売元:講談社
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思考する兄と、選択し続ける弟。

世界を変える力を望む兄弟と、ひとりの政治家によって変わりゆく日本。

さぁ、消灯ですよ。

この作品は伊坂幸太郎のベストかもしれない。

はい、『死神の精度』のときにもこの言葉を発しましたね。先日読んだ『砂漠』も良かったけれど、『魔王』はその数段良かった。『死神の精度』と『砂漠』と『魔王』では良さのベクトルが違うけれども、その方向性に一番惹かれたのが『魔王』。

伊坂氏の作品は「なにが良かったの?」と自問してもいつも答えることができません。『魔王』にだって、どう惹かれてしまったのか自分では把握しきれていないし、言葉にすることは絶望的。でも読了後、確かに私の中の何かが変わりました。言葉にすることはできないけれど、その存在を確かに感じることができる。きっと言葉にする必要なんてないからこそ、言葉にできないのですね。

世界の変革というテーマに、政治をぶつけてきたことは非常に巧いと思いました。若者が政治に興味を持つことがカッコ悪いかのような風潮って、いつから生まれてしまったのでしょうか。うーむ、なにか違うな。政治に興味を持たないことがカッコ良いかのような風潮って、いつから生まれてしまったのでしょうか、が正解だな。私は選挙に行くことがすごく好きです。選挙が好きというのもどうかと思いますが、とにかく政治に参加していると自覚できることがすごく嬉しい。“死に票”なんて言葉がありますが、投票されて死んでしまった票なんて無いと私は思います。本当に死んでいる票は、投票されることの無かった若者の一票。そして、死んでいるのは若者の心。

いつから若者の心は荒んで、死んでしまったのでしょうか。昔は選ばれた人間しか選挙に参加することができなかったのに、普通選挙権という言葉が生まれ、成人した人間ならば誰でも選挙に参加することができるようになった。社会科で「選挙権の歴史」を学べば、自分がいかに恵まれた時代に生まれたか、容易に知ることができるというのに。どうして、その幸福を享受しようとしないのか。私には全く理解できません。

ここで、理解できないと突き放してしまっては『魔王』を読んだ価値がないというものです。理解できないのであれば、理解できるように世界を変革すれば良い。世界とは地球のことだけでなく、内なる世界のこと。自分の世界すらも変えられないならば、さらに広い世界へは飛び立つことなどできませんよね。というわけで、私にできることからなにか始めようというわけです。

って、随分ファジィなことばかりつらつらと書き殴っておりますが、こういった文章は推敲せずに残しておいたほうが、後の自分のためになるのだと思って、敢えてそのままにすることに致します。このレビューは自分のためだけの備忘録。変革してゆく気持ちを忘れるかもしれない自分のために仕掛けるタイムカプセルです。

とにかく、『魔王』は良かった。年に一度、必ず再読するリストに一冊追加。未読の方は、是非お手にとってみてください。

ちなみに、私が国民投票に参加するならば、投票用紙に記される記号は×です。私はあの思想が素敵な未来を描く第一歩だと未だに信じております。

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