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2006/07/31

『笑わない数学者』 森博嗣

笑わない数学者―MATHEMATICAL GOODBYE Book 笑わない数学者―MATHEMATICAL GOODBYE

著者:森 博嗣
販売元:講談社
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オリオン座を模した三ツ星館で開かれるパーティに参加することになった犀川&萌絵。

そこは、偉大な数学者・天王寺翔蔵博士の住処だった。

消えるオリオン像と殺人事件の謎とは?

第三次試験です。

森博嗣作品ではすっかり御馴染みの英語副題ですが、この『笑わない数学者』の副題は秀逸だと個人的に思います。「MATHEMATICAL GOODBYE」…趣がありますね。『今はもうない』の「SWITH BACK」もらしくって好きだわ。一番のお気に入りはやっぱり『夢・出逢い・魔性』ですが。

さて、この『笑わない数学者』は森作品の中でも数少ない“トリックも犯人も解った”作品のひとつです。他の方のレビューを読んでも、こう書かれている方は案外いらっしゃいますので、やはり容易なのでしょう。問題がシンプルだし、何から考えてゆけば良いのか明確ですからね。「問題は思考によって解決したまえ」とは天王寺博士の言葉ですが、現象を目撃していないからこそ、冷静な思考が保たれる。客観性は解決への近道です。

しかし、犀川先生ってこんなに女性にもてましたっけ?『すべF』のガンダム・島田に、『冷たい博士』のミニスカート・船見、そして『笑わない』のデザイナ・片山。まるで浅見光彦シリーズを読んでいるかのような既視感を覚えました(笑)女性が膝に手を置いたくらいで、思考を停止させないでください、犀川先生。

森博嗣氏はシリーズ三作目にして、特有の“読者を煙に巻く”手法を確立されていらっしゃったのですね。再読したからこそ解るこの浮遊感。天王寺博士は天王寺博士であったと私も定義したいと思います。

それでは最後に『笑わない』のfavorite wordを。

「防御することは、いけないことですか?」
「君がトーナメントの最後で負けたビリヤードと同じさ」

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コメント

おおっ、すっかり盛り上がっていますね、ジャック計画。
この作品は妙に思い出深いです。
というのは、最初の2作品は実はそれほどピンと来なかったんですが、ここから急にのめりこんだからです。
トリックのビジュアルが印象深かったからでしょうか。

森さんの作品には「天才」がたくさん出てきますが、「本当の天才」と「フツーの天才」がハッキリ分かれるんですよね。
凡俗からするとどっちもすごいんですが。

投稿: mangayomi | 2006/07/31 04:42

初めまして。本ブログからやってきました。
蛇足かもしれませんが、実はこの作品「逆トリック」というのが存在するんですよ。
なぜ、この作品の正トリックがこんなに簡単なのか、というのが逆トリックの始まりで、これに気づけば冒頭の引用文やエピローグの「内と外」の問題が大きな意味を持ってきます。(ゲーデルの不完全性定理が絡んでくる問題です。)
まあ、ミステリはエンターテイメントなので、敢えて複雑にする必要はないし、僕もネットでその存在を知ったのでたいしたことは言えませんが、余談でした。

投稿: Yuseum | 2006/07/31 05:57

☆mangayomiさん☆
わぉ!ご来場&コメントありがとうございます♪地道にこつこつ頑張っております!
mangayomiさんのコメント“森さんの作品には「天才」がたくさん出てきますが、「本当の天才」と「フツーの天才」がハッキリ分かれるんですよね”を読んで、西尾維新氏の創造したデッドブルーとマッドデモンの二人を想像しました。規格外と規格内の天才。その壁はどれだけ高い壁なのでしょうか。凡人には想像に難くないです。

☆Yuseumさん☆
はじめまして!
恥ずかしながら「逆トリック」と聞いてもピンとこなかったものですから、さっそく検索をかけてみました…難しい、難しすぎる。自分が見事に森先生の仕掛けたトリックに引っかかっていたことは理解できましたが、ネット上で交わされている議論を読んだだけでは、その真意に辿り着くことはできませんでした。「内と外」の概念と「神のトリック」、掴めそうで掴めません。これは、ノベルス版の北村氏の解説も読んでみないとなりませんね!そして『笑わない数学者』の再々読に取り組まなくては。
貴重なコメント、本当にありがとうございました!森作品は本当に奥が深い…。

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/07/31 20:01

ぎ、「逆トリック」!?これは全然しらなかったといいますか・・・うわあ、再読してみないといけませんね^^;;;

投稿: たいりょう | 2006/08/01 11:50

☆たいりょうさん☆
森作品には“気付かないならそれはそれでいい”スタンスの謎がばら撒かれているので、侮れませんよね。森作品の旨味をきちんと味わえていない作品が、まだまだあるのだろうなぁ。

投稿: まじょ。@管理人 | 2006/08/01 19:51

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