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2006/07/22

『あなたが名探偵』

あなたが名探偵 Book あなたが名探偵

著者:泡坂 妻夫,西澤 保彦,小林 泰三,麻耶 雄嵩,法月 綸太郎,芦辺 拓,霞 流一
販売元:東京創元社
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「ミステリーズ!」で連載されていた犯人当てミステリが一冊に。

あなたは見事に犯人を当てることができるのか?

先日レビュー致しました『気分は名探偵』と趣を同じくする本書。発表媒体が違う(新聞とミステリ専門誌)だけで、こんなに印象が異なりますか…。『気分は名探偵』は一般紙での掲載ということでオープンな印象を与えるのに対し、『あなたが名探偵』についてはコアなミステリファンしかこの小説は読んでいないだろうという前提があっての、クローズな印象。どちらにも寄稿されている麻耶氏、法月氏の作品を読むとその相違は顕著ですよね。正解率なんぞを掲載することによって、素人探偵を煽って「考えてやろうじゃないか!」という気持ちにさせてくれました。出版物としてのイメージは『気分は名探偵』の方が上かな。

さて、肝心の内容判定ですが、トリックに捻りの効いたものが多いのが『あなたが名探偵』の特徴。「ミステリーズ!」で発表するということは、もうコアなミステリファンに読まれることが前提となっているため、生半可なものは出せませんというイメージ。ある意味体育会系。

一番好みだったのは法月氏の「ゼウスの息子たち」かしら。ノックスの“十戎”に真正面から喧嘩を売った形の一作(笑)十戎なんて守ってたら新しいミステリは書けないと断言できるとは云え、どうしても十戎破りの作品に出逢うと“にやり”としてしまいます(←嫌な奴だな)

逆に麻耶氏は『気分は名探偵』の方が好きだったかも。あちらはロジックで複雑化しているだけで問題は単純であったのに対し、『あなたが名探偵』に掲載された本作は問題自体が複雑になっていたため、読了後「もう良いって…」と思ってしまった。問題はスマートであればあるだけ好みです。

せっかくの犯人当て小説感が薄かったのが本当に残念。問題編と解答編が完全に分かれてしまっているのも、やっぱり読み難い。そうすることで、読者に考える時間をという意図は充分に伝わってくるのですが。私自身が「当ててやるぜ!」という精神状態で無かったいうのが、一番の敗因なのですが…申し訳。

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コメント

これは正直、読むのがちと辛かったです^^;特に泡坂さんは期待してたのに・・・老いてしまったのか・・・と哀しくなってしまいました。まじょさんはどう思います?

投稿: たいりょう | 2006/07/24 20:20

☆たいりょうさん☆
泡坂氏、確かに…。亜愛一郎シリーズに流れるように存在していた短編のキレが、この作品では見られませんよね。これが、老い…なのでしょうね。ちなみに、私は湖の氷がぐるっと一周したのだと推理しました。北国に住む人間として、その推理はどうだ?という感じなのですが…。

投稿: まじょ。 | 2006/07/24 20:50

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